これが逃げるという事だ   作:福泉

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第2シーズン第20話 韋駄天(ウマ娘)

私がURAファイナルを勝利した後・・・。

 

季節は3月、分かれの季節。

そう、今日は中央トレセン学園の卒業式・・・。

長らく生徒会長を務めていたシンボリルドルフ会長が今日をもって中央トレセン学園を去る。

次期会長にはシンボリルドルフ前会長直々の指名でスペシャルウィーク先輩が就任。

補佐としてプライドは高いが面倒見の良いキングヘイロー先輩が副会長に、文武両道のグラスワンダー先輩が書記として就任した。

また問題児を監視するとの名目で生徒会事務係(急遽作られたので名称は適当)としてセイウンスカイ先輩とシンボリルドルフ前会長が頼み込んで要監視対象のシンボリクリスティが就任。

両名は非常に嫌がっていたがグラスワンダー先輩の圧に屈して入る事になったそうだ。

なお当初はゴールドシップ先輩も入れる予定だったが、入れた方が寧ろ制御が困難になるという沖野トレーナーからの忠言により中止。

トウカイテイオー先輩は大好きなシンボリルドルフ前会長の後継ぎに成れなかった事を酷く悔しがっていたが、卒業式で本来であればスペシャルウィーク新会長が手渡す感謝の花束をトウカイテイオー先輩が特別に渡すという事で話をまとめた。

「私達は今日、ここ中央トレセン学園から卒業する。しかしそれは終わりではなく、新しい航海への旅立ちである。七難八苦、どの様な困難が立ち塞がろうと、諦める事無く立ち向かっていく所存だ。以上、シンボリルドルフからの最後の言葉とさせて頂く」

割れんばかりの拍手と、幾多の泣声に包まれる大講堂。

舞台の上には懸命に涙を堪えながら笑顔を作るトウカイテイオー先輩が、彼女の体より大きな花束をシンボリルドルフ会長に渡す。

「ずいぶんと大きな花束だな・・・」

「それだけ皆カイチョーが・・・ううん、シンボリルドルフが大好きなんだよ!皆の思いを込めたらこんなになっちゃった」

「そうか・・・ありがとう皆。ありがとうテイオー」

「ボクこそありがとうシンボリルドルフ・・・永遠の皇帝・・・」

必死にこらえていた涙が頬を伝ってしまうがトウカイテイオー先輩は最後まで笑顔だった。

こうして、多くの人に見送られてシンボリルドルフ前会長を始め、幾多の先輩ウマ娘達が卒業していった。

 

そして4月・・・。

 

「えっと・・・と言う訳で・・・その~・・・あの~・・・」

「カイチョウ!カンペヲワスレテマスワヨ!」

「アリガトウキングサン。・・・えっと、皆さん文武両道を目指し、切磋琢磨して、し、シンシュカカン?に学園生活を送ってください!以上、生徒会長のスペシャルウィークです!」

若干危ない部分が見受けられるが周りからフォローされながら何とかスペシャルウィーク会長は業務をこなしている。

多分カンペ書いたのグラスワンダー先輩なんだろうなぁ・・・。

新入生からはしっかりとした拍手が、在校生からは若干の笑い声と拍手が送られた。

 

「それで、ドリームトロフィリーグに移行するんだな?」

「はい、もっと色んなウマ娘と戦いたいですから。例えばチームハダルの先輩方と本気のレースで・・・」

トゥインクルシリーズがつまらないというわけではない。

しかしより高見に居る先輩たちと戦いたいと言う気持ちは変わらなかった。

それに、あの憧れの青い背中とも戦える期間はもうそれほど残っていない。

「そうか・・・そんなお前に朗報だ。実は7月に・・・」

そうして山田トレーナーはとあるレースの名前を私に告げた。

 

5月・・・。

 

「ルーちゃん、大丈夫?」

「お見舞いに来たよ」

「お怪我の具合はいかがですか?」

天皇賞春出走後に病院に運ばれたルーちゃん。

「軽度の屈腱炎だそうよ。今すぐ引退するほど酷い状況では無いけれど、今後の事を考えたらドリームトロフィーリーグに移行した方が良さそうね。ルーちゃん、お疲れ様」

「ま、的場トレーナー・・・」

「ふふ、私の事なら大丈夫よ。シルクも居る事だし、貴女の大好きなお姉さまのライスの所に入れる様にしてあげるわ」

「ううん、私は的場トレーナーの所がいいです。シルクちゃんのお蔭で的場トレーナーもドリームトロフィーリーグの許可が下りますよね?」

「ルーちゃん・・・ありがとう」

ルーちゃんは怪我が理由ではあったものの、ドリームトロフィーリーグへの移行を決めた。

キタちゃんとサトちゃんは今年一杯は頑張るらしい。

 

6月・・・。

 

「・・・と言うわけで凱旋門賞出走の為に一時的にチームハダルに移籍になったマキシマムターボだ」

「マキシマムです。よろしくお願いします」

どうやらマキシマムのトレーナーさんは海外遠征のノウハウが無い新人トレーナーらしく、ベテラントレーナーで海外遠征も経験のある山田トレーナーに依頼したらしい。

もちろん現地へは両方のトレーナーが赴き、海外遠征のノウハウを教えるらしい。

「よろしくね。マキシマム」

「はい、運命(的な何かを感じる私)の先輩」

「うん、括弧の中身をちゃんと言うところから始めようか!!私のために!!」

やっぱり誤解が生じたマキシマムの言葉にバクソウオーちゃんが食って掛かり、先輩方(特にスカイ先輩)に揶揄われた。

先が思いやられる・・・。

 

そして7月・・・。

 

「さあ!まもなく始まりますURA60周年記念特別協賛レース、ドリームトロフィーリーグ韋駄天杯!このレースは逃げウマ娘の!逃げウマ娘による!逃げウマ娘の為のレースです!ここ、福島競場に多くの逃げウマ娘が集まりました!芝2000メートルで争う逃げの頂点を取るのはどのウマ娘か!」

4月に山田トレーナーに告げられたレース。

常設レースでは無いがURA60周年という事で多くの意見が寄せられて開催されたレース。

その意見とは、『逃げウマ娘は誰が一番早いのか』というものだった。

逃げウマ娘は元々少ない。

その上大成する逃げウマ娘は殆ど一握りと言っても良いだろう。

いやまあチームハダルみたいなロマンチームも有るけれども・・・。

そんな意見から作られたこのレースには当然の様にチームハダルのメンバーも揃って出場する。

勿論他のチームからも逃げ脚自慢のウマ娘達が参戦する。

「それでは注目のウマ娘達を見てみましょう!1枠1番は何で貴女がここに居る!至高のスプリンターサクラバクシンオー!トレーナーさんを半ば脅迫しての出場です!」

「どんな距離でもバクシンあるのみです!」

「2枠2番は異次元の逃亡者!サイレンススズカ!」

「先頭の景色は譲りません」

「3枠3番はバク逃げコンビのメジロの方!メジロパーマー!」

「いやその紹介はどうなの!?」

「4枠4番はバク逃げコンビのギャルの方!ダイタクヘリオス!」

「いえーい!バク逃げゴーゴー!」

「4枠5番は元祖スーパーカー!マルゼンスキー!」

「テンションアゲアゲよ~!」

「5枠6番はミスパーフェクト!ダイワスカーレット!」

「1番は譲らないんだから!」

「5枠7番は砂の女お・・・ウマドル!スマートファルコン!」

「ファル子がんばりま~す☆」

「6枠8番は個性派逃亡者!ツインターボ!」

「ターボが一番!」

「6枠9番は大逃げ傾奇者!インパクトターボ!」

「逃げる阿呆に追う阿呆、同じ阿呆なら逃げなきゃ損々!」

「7枠10番はマイペースな曲者!セイウンスカイ!」

「ま~程々に頑張るよ~」

「7枠11番は天真爛漫の自在な脚質!マヤノトップガン!」

「今日のマヤノは逃げるよ~!」

「8枠12番はまさに風神!アイネスフウジン!」

「皆で一緒に逃げるの!」

「8枠13番は坂路の申し子!ミホノブルボン!」

「指令<オーダー>を確認、ミノホブルボン発進します」

「以上13人の逃げウマ娘です!皆さんの逃亡者は誰ですか!?」

まさに逃げウマ娘の祭典!

果たして私は勝てるのか!

ワクワクが止まらない!

このワクワクはあの憧れの背中と一緒に走れる事も関係している。

ついにツイン先輩と走れるんだ!

さあ!レースの時間だ!

 

「各逃げウマ娘がゲートに収まりました。・・・スタートしました!全員見事な好スタート!13人全員が先頭争い!流石のスプリンターサクラバクシンオーがハナを取りましたがその隣にマルゼンスキー!しかし他のウマ娘達も先頭を諦めた訳ではありません!暫定3番手はツインターボとインパクトターボが競り合っています!そこにサイレンススズカも参戦!アイネスフウジンも外から行く!ミホノブルボンとダイワスカーレット、メジロパーマーはその後ろ!ダイタクヘリオスは一旦下がって外に持ち出した!スマートファルコンとセイウンスカイ、マヤノトップガンが最後尾ですが先頭との差はわずか5バ身!しかしとてつもないハイペース!スプリントレースではありません!繰り返します!スプリントレースではありません!」

皆早い!

スタート自慢の私が先頭を取れない!

キタちゃんと競り合った事は何度もある!

でも先頭が取れなかったのは初めてだ!

興奮が止まらない!

もっと早く走って先頭を取らなくちゃ!

「さあサクラバクシンオーとマルゼンスキーが先頭のまま!いやそこにツインターボとインパクトターボも加わりそうだ!第1コーナーを回って第2コーナーに向かいます!先頭は4人!僅かに先を行くサクラバクシンオー!そのすぐ横にマルゼンスキー!それを抜こうとするツインターボとインパクトターボ!サイレンススズカはあえて内に入ってスタミナを温存!その外にアイネスフウジン!ミホノブルボンとダイワスカーレットも上がってきました!向こう正面入りましてメジロパーマーとダイタクヘリオスが並びましてスマートファルコンとセイウンスカイ、マヤノトップガンが不気味な静けさ!後ろにいますが追い込みではありません!」

サクラバクシンオー先輩はそろそろ距離限界か!

マルゼンスキー先輩はまだ余裕がありそう!

隣を走るツイン先輩もまだまだ元気!

後ろだってまだ全員先頭を諦めて無い!

「さあ残り800メートル!第3コーナーに向かいます!先頭サクラバクシンオー表情が険しくなってきました!マルゼンスキーがここで先頭に!いや、!外からツインターボとインパクトターボが並ぶ!先頭は3人!マルゼンスキーとツインターボにインパクトターボ!サクラバクシンオーは4番手に・・・いやそのままズルズルと下がっていきます!やはり適正の壁は分厚いか!4番手に上がってきた集団はサイレンススズカ、アイネスフウジン、ミホノブルボン、ダイワスカーレット!メジロパーマーとダイタクヘリオス、そしてスマートファルコンにセイウンスカイ、マヤノトップガン上がってくる!」

小さいコーナーは速度が出た状態では外に膨れ上がってしまう!

けれども少しでも速度を緩めればもう追い抜く事は出来ない!

小柄でコーナーの得意なツイン先輩が内側に切り込んで先頭を取ろうとする!

私も内側に入る!

マルゼンスキー先輩はどうしても少し膨れ上がってしまう!

「さあ第4コーナーを曲がって残りは短い直線だけだ!先頭ツインターボ!インパクトターボとマルゼンスキーもほぼ横一列!サイレンススズカ、アイネスフウジン、ミホノブルボン、ダイワスカーレットも並ぶ!メジロパーマーとダイタクヘリオスはちょっと苦しそうだが上がっていく!セイウンスカイ、マヤノトップガンが先に行く!スマートファルコンはやはり芝は苦手か!先頭並んでいる!ツインターボ必死の表情!インパクトターボ限界を超えれるか!マルゼンスキー行けるのか!サイレンススズカはどうか!アイネスフウジン風になれるか!ミホノブルボン想定通りか!ダイワスカーレット1番になれるか!マヤノトップガンは持つのか!セイウンスカイの作戦は上手くいったのか!メジロパーマー根性で追いついた!ダイタクヘリオス苦しい中でも笑顔だ!スマートファルコンも気合の走り!並んでいる!12人の逃げウマ娘が並んでいる!そのままなだれ込むようにゴール!最後にポツンとサクラバクシンオーもゴールです!」

果たして誰が勝ったのか!

「勝ったのは・・・マルゼンスキーです!しかし2着ウマ娘との差はわずか1センチ!マルゼンスキー!スーパーカーの面目躍如です!」

くぅ!マルゼンスキー先輩を超えられなかった!

でもとっても楽しいレースだった!

これからも私は逃げ続けるだろう!

この想いが続く限り!




次回予告

時はさらに流れていく。

新たな出会い、そして永遠の別れ・・・。

そんな中俺を訪ねてきた人がいる。

第2シーズン第21話 時は流れて
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