凍結極寒世界フロストパンク〜鋼の指導者たち〜   作:アイゼンパワー

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情熱に身を任せて書き上げました
たぶん所々おかしい


新たな家 その1 〜邂逅〜

 1886年、二つの巨大火山の噴火により、太陽光は遮られ、地球は極寒の世界となった。日に日に気温が下がり、ロンドンが雪に埋もれ行く中、富豪と貴族は悠々と避難所に避難したが一般市民は取り残された。

そして、一人の男が死に行くロンドンから逃げ出すことを提案した。

ここに留まっても未来はない、であれば外に向かって未来を探すのも手ではないか。

仲間はあっという間に集まった。未来を求める者は数え切れないほどいたのだ。

残された鉄屑、蒸気機関、木材、石炭を用いて巨大な蒸気機関車を作り、“ウィンターホーム”……市民の希望、最後の街へと旅立った。

旅は簡単なものではなかった。

最も暖かい時で摂氏-20度、寒い時は-100度にも達する極寒の中、彼らはひたすらウィンターホームがあるはずの北へ向かって進んだ。

そうして、人々が疲れ切り、もう歩けないというところで、彼らは見つけたのだ。希望を……巨大な、無傷の蒸気ジェネレーターを。

ウィンターホームを目指す旅は一旦取りやめとなった。

男は言った「ここに新たな街を築こう。人類最後の街を、最も快適な街を。」

しかし彼らは所詮難民なのだ。持ってるものは個人用の小さな暖炉と分厚い防寒着、そしていくつかの登山用具のみ。住むところすらなかった。

それでも、生きねばならない。

生き残らなければならない。

ロンドンに置いてきた者のためにも、途中で落伍した者のためにも、我らは生きねばならないのだ。

 

 

生きよう、この新たな家(New Home)

 

分類:並行世界

命名:frostpunk

シナリオ:NEW HOME

観測開始

 

ーーーー

ノウム・カルデアにて

「藤丸くーん」

かの偉人、レオナルド・ダ・ヴィンチの霊……ただし幼女の姿が口を開き、人を呼ぶ

そして駆けつけたのは夜闇のように黒い髪、引き締まった体、整った顔を持ったどこに出しても恥ずかしくないイケメン、我らが人類最後のマスター、藤丸リツカである。

「なんだい?ダヴィンチちゃん」

「興味深いものを観測してね、ほら、第一異聞帯。覚えているかい?」

「もちろん、逆に忘れるとでも?」

忘れもしない第一異聞帯、大寒波により世界のほとんどが壊滅した中、ロシア帝国のみが魔獣との融合を果たすことにより生き延びた世界。そこに未来はなく、ついに世界から切り捨てられてしまった。

そして異聞帯で結んだ縁……パツシィ、カドック、アナスタシア。これもまた忘れることはないだろう。

「そこにね、面白いものを見つけたんだ。聞きたいかい?聞きたいよね!」

「そこまでいうなら聞いてみたいな」

興奮するダヴィンチちゃんを見て、藤丸は面白いこととは何か、本格的に気になってきた。

「なんとねえ!!」

「うん」

「なんとなんと!!」

「うんうん」

「なんとなんとなんと!!」

「早く言ってよ」

「並行世界が繋がったんだ!」

 

 

 

沈黙

 

 

 

 

「それってすごいことなの?」

藤丸が問いかける。

時計塔に代表される魔術の学術機関を出たものならば皆が知っているように、並行世界の運営及び観測は第二魔法の領域とされ、使い手は宝石翁、魔導元帥など多くの肩書を持つキシュア・ゼルレッチ・シュバインオーグただ一人とされている。

簡単に言うと、とってもすごいことだ。

今の人類が逆立ちして生身で空を飛べばできるかもしれないがそんなことができる奴は人間ではない。

そして悲しいかな、藤丸は数年前までただの素人だったのだ。

魔術学校やそれに類するものに通ったことなどないし、魔術師に師事したこともない。知らなくて当然であろう。

「もちろんすごいことだよ!」

「おい、技術顧問。私は忙しいんだ。用事は素早くしてくれ。」

ダヴィンチが興奮と共に叫ぶと同時にカルデア新所長、ゴルドルフ・ムジークが技術室に入ってきた。

「よく来てくれたね!新所長!」

「おぉ…来たとも。で、用事はなんだ?」

ダヴィンチのあまりの興奮しようにゴルドルフが少し気圧されている。特に珍しくはない光景だ。

「並行世界につながった話はもう聞いたかい?」

「ああ、聞いたとも。それで?」

「レイシフトの許可をいただきたい。」

 

 

沈黙

 

「な、何を言うんだ君は!」

ゴルドルフが叫び出す。

「ただでさえ我々は危険な状態にあるんだ、観測できる限りでも異聞帯は後二つある。それなのに、並行世界にも首を突っ込もうとは、正気か?!」

第五異聞帯、オリュンポスを攻略し、次の異聞帯のための長い長い準備期間を設けているが、食料や医療など問題は未だ山積みである。

そんな暇はないがトンチキ特異点に数多のリソースを割いてきた旧カルデア組としてはそんなものは問題ではなかった。

「ゴルドルフ君。君は並行世界を見てさぁ、第二魔法を一時的ではあれど使用した者として尊敬されたくないのかい?」

 

鉄の男、ゴルドルフ。しかし名誉と愛には弱いのであった。

 

「というわけで許可を得たので、並行世界に向けてレッツゴー!」

「ダヴィンチちゃんそれでいいの……?」

とは半ば空気と化していた藤丸の言である

いいわけがないが監視機関など今や存在しないのだ。好きなだけやってしまえ。

「あ、あそこすごく寒いらしいから防寒魔術礼装着てってね。」

「了解しました、技術顧問殿。」半ば呆れたように、藤丸は返事をするのであった。がんばれ、藤丸。世界の明日は君の肩にかかっているぞ。

 

ーーーーーーー

レイシフト当日

中央官制室にて

『藤丸くーん、マシュー、準備はいいかーい?』

「はい!マシュ・キリエライト、いつでも準備万端です!」

相変わらず我らが後輩は元気で可愛い。

「もちろん。いつでもOK。」

藤丸は答える。

『レイシフト先では魔力はごく少量しか検出できなかったから魔獣とかの心配はしなくていーよー。じゃ、いってらっしゃーい』

 

視界が歪む、体の感覚が消えていく、自我の境界が薄れていく。

レイシフトの感覚はいつも好きになれないが、もう、慣れてしまった。

 

そして目の前が光り、トンネルのような何かを通り抜け、レイシフトが完了する。

 

 

 

「「さっっっっっっむい!!!」」

 

それもそのはず、現在摂氏にしてマイナス40℃、極寒と言われる気温である。ここに普段着で来るような愚か者がいようものなら一瞬で凍結し、死亡するだろう。

しかし彼らは普段着ではなかった。普段着のように見えるが、緻密に縫い込まれた魔術礼装の働きにより、寒さを寄せ付けないのである。

であるが………

その礼装を貫通するような寒さ。ヤガ・ロシアでも見なかったような寒さだ。

 

空間に青いノイズが浮かび、人の顔が映し出される。

『聞こえるかい?聞こえるなら返事をしてくれ。』

「聞こえます、ダヴィンチちゃん」

カルデア定番の通信である。

仕組みはよくわからないが固有結界の中でもつながる優れものである(その割には結構通信不能になるが)。

『それならよし。北の方に大規模な生命反応があるんだ。向かってくれ。』

 

ーーーーーーー

我々はロンドンから逃げ出して、どれくらい歩いたのだろうか、数日?数週間?もしかしたら数月間?

全球の空が火山灰に覆われた今では朝と夜の区別がほとんどつかない。

我々の時間を守ってくれるのはロンドンから持ち出した大時計のみだ。

我々はかつて自分を育ててくれたもの、自分がかつて信じたもの。

過去の栄光、過去の発明全てを捨てて未来を求めたのだ。

この旅路がどれほど無謀で、どれほど厳しいものであるかは我々が一番よく知っている。

ともあれ、今は巨大蒸気ジェネレーターを見つけて一安心できる。

石炭も山ほど集めて、ジェネレーターを起動し、暖かい区域にテントもいくつか建てた。食料は持ち出したものがまだある。資源は収集小屋から得ることができる。エンジニアたちがさらなる技術を求めて研究を行なっている。今は安心して過ごすことができそうだ………

「キャプテン。」

そんな静かな時間に闖入者が現れる。

ほらみろ、ちょっと目を離したすきに紅茶が凍ったではないか。どうしてくれる。

「なんだ?一体。俺の紅茶を凍らせる価値はあるんだろうな?」

申し遅れた。私はマカリスター、ジェレマイア・ジェイコブ・マカリスターだ。周りはみんな私をキャプテンと呼ぶ。

「紅茶を凍らせたのは申し訳ないですがお客様です。」

闖入者……我が友、アーサー、アーサー・デリック・クロイドンが続ける。

「人数は?病気はどうだ?資源を持ってきたか?」

「人数は二人ほど、見た感じは極めて健康、資源はなさそうです。」

心の中で舌打ちをすると共に安堵する。

資源がないのは今のコロニーにとってマイナスだ。

木も石炭もなんとか生きていく分しかないが、働き手も足りていない。

労働力が増えると考えれば素晴らしいことだがたった二人とは……

二人のためにテントを設けるのももったいないような気もするが……

 

仕方ない、設けてやろう。

「迎え入れよう。ここに連れてこい。」

「はい」

アーサーは快く頷く。仲間が増えることに喜びを感じているようだ。私は嬉しくないがな。人が増えるとその分不満が増える、どこかに文句の言わない労働力はないものか……

「ところでだが……どこから来たか言っていたか?ほら、ロンドンとか、エディンバラとか……もしかしたらウィンターホームから?」

これは重要な問題だ。もしウィンターホームからの使者なら丁重にもてなし、支援を乞う。我々はあらゆるものが足りていないのだ。特に石炭と木。エンジニア諸氏が昼夜問わず研究室に篭って石炭発掘に関する技術を研究してるがまだ結果は出ない、チームリーダーはもうすぐできると言っていたが果たしてどこまで信用していいものか……

 

話が逸れた

ともかく、そういうことで、どこからの避難者であるかは非常に重要な問題なのだ。

 

「えーと、どこだったかな……あ、あった。どうやらカルデア?とかいう研究機関から来たそうで」

 

アーサーが答える。しかしカルデアなる研究機関がこのブリテンに存在していたとは聞いたこともない。私のような一市民の知るところはたかが知れてるがな。

「それなら彼らは技術者ということか」

「それがそうでもないようで……」

「じゃあなんなんだ。」

我が新しい家(NEW HOME )には無駄飯食いを置く余地などまだない。技術者ではないなら単なる労働者として石炭を拾い集めてもらうほかないのだ。

「ただの青年です。しかしカルデアはまだ暖かいそうです。」

 

 

いいことを聞いた。まだ暖かいということはまだ食物が豊富にあることに他ならない。我々は今、これまたロンドンから持ち出した保存食しか持っていない。狩人たちが一生懸命クマやオットセイと言った動物を狩っているが慢性的に不足している。野菜を育てるには寒すぎる。だが、暖かいとなれば話は別だ。きっと野菜を大量生産して食を供給できているに違いない。しかも石炭の産出だって多いはずだ。でなければどうやって暖かさを保っているというんだ。

「なら話は別だ、丁重にもてなせ。そのカルデアとやらに食料等を送ってもらえないか聞くんだ。いいな?」

「はい、キャプテン。」

 

ーーーーーーーー

 

「………見えた!あそこだね?ダヴィンチちゃん!」

藤丸一行の前には巨大なクレーターがあった。

平地を取り囲む険しく反り立つ崖、その中央に立つ巨大な鉄の柱。その先っぽからは炎がチロチロと顔を出している。

『そうだね!大小合わせて80人いるらしい。どこかから降りれないかな』

横を見ると、ロープが張られていた。降りて行った人達が置いて行ったもののように見える、もちろん憶測に過ぎないが。

『あの巨大な構造物……興味深いなぁ…降りたら近づいてみてくれたまえ!』

「はいはい………よっと…」

「大丈夫ですか?先輩。」

藤丸が降り、マシュが心配する。いつもの光景だ、何も珍しくない。しかしいつもならここら辺でワイバーンが襲いかかってもいいはずだがそう言った気配はまるでない。

「………うん、大丈夫そうだ。かなりしっかりとした縄だ。マシュも降りておいで!」

「はい!」

二人がギシギシと縄と大地に突き刺されたパイルを鳴らしながらクレーターの底へと降りていく。

⦅おい、なんだあいつら⦆

当然というべきか、高いところは人の目につきやすいのだ。

近くの資源収集小屋で働いている男たちに見つかった。

⦅誰かキャプテンに報告を!武器を持ってこい!⦆

周りは一気に騒然となり、数人がジェネレーターの足元にあるテントに走って向かい(雪に阻まれてうまく進めないが)、数人が斧やスコップ、ツルハシ、人によっては腰に携えていた信号銃や拳銃をその手に縄の根元に駆け寄った。

「これはちょっとまずいんじゃないかな、ダヴィンチちゃん。」

藤丸は問う。

『だぁいじょうぶ、よーく聞いてご覧?』

 

⦅おい!お前!降りてこい!⦆

男たちが叫ぶ。手に武器を持ち、全身に力がこもり、見るからに臨戦態勢だ。

「何言ってるのか全然わからないんだけど…」

「これは古い英語ですね!アルトリアさんたちが時折話しているのを聞いたことがあります」

マシュが健気にも答えてくれた。わざわざ翻訳機を切って新たな言語を習得しようとするとはさすがマシュである

『翻訳機壊れたのかい?』

胸元につけてある小さな四角い機械を見てみるとそこには真っ白に霜がつき、振ってみるとカラカラと音がする

「こりゃダメだ。ダヴィンチちゃん、壊れてるよこれ。」

なるほど言葉が分からなかったわけだ。

カルデアではレイシフトで様々な地域に赴く必要性があることにより、魔術と科学の融合である同時翻訳機を作成し、各マスターに持たせているが、どうやらあまりの寒さに壊れてしまったようだ。原因は内部部品の凍結だろう。

『じゃ仕方ないネ。こっちで翻訳したデータをそっちに送るよ』

⦅おい!お前たち、何をぶつぶつ言ってる!⦆

古いイギリス労働者は日本語やアメリカ英語、ラテン語を解さない。

「おとなしく降りよう」

そして彼らはクレーターの底に降り立った後、即座に取り囲まれ、しばらく質問攻めにあい、巨大な鉄柱の下に連れて行かれた。

 

そこには男が一人立っていた。他の住人と同じく首の周りに毛皮(ファー)がついたコートを着ているが、彼だけは帽子やフードの類を被っていない。まつ毛は白く凍結し、髪の毛も凍りかけている。顔の血色も悪い。しかしながらその目には強い意志が宿っており。生命力の強さを感じさせる。

 

⦅ようこそ、フジマル君。我らが拠点、新しい家(New home )へ。私たちは君を歓迎しよう!⦆

立っている男……周囲の人物に“キャプテン”と呼ばれている……は両手を広げ、流暢な英語で歓迎の言葉を述べた。

「ありがとうございます。それで、さっそくですが今は何年ですか?」

⦅君は奇妙なことを聞くね?⦆

怪しまれかも知れない、藤丸の心臓は一気に縮まった。

⦅………君は研究機関から来たと聞いた。きっと研究室に篭りきりだったのだろう。今は1886年だ。⦆

1886年にこのようなことになった記録はない。なりかけた記録もない。彼らの話す英語からここは大英帝国であることは察しがつくが、英国がこのように氷雪に包まれることなどあっただろうか。

⦅こちらからも質問をさせて欲しい。⦆

“キャプテン”がこちらに問いかける。

⦅君たちのところ……カルデアだったかね?……はまだ暖かいと聞いたが、本当か?⦆

マシュが答える。

「ええ、本当ですよ。」

彼女は嘘をつくことを知らないのだ。よって、この場に小さな混乱をもたらしてしまったようだと

あたりが騒然となる。人々はひそひそ話を始め、キャプテンも隣の者と何かを話し合っている。

⦅ン゛ッ、ゴホン、静粛に!静粛に!⦆

そしてあたりは静寂を取り戻す。

⦅見ての通り、我々は極めて危機的な状況にある。家は足りない、家を建てるための木も足りない、蒸気ジェネレーターを動かすための石炭は確保してあるが長くは持たないだろう。⦆

マシュと藤丸は彼が何を言いたいのかが少しづつわかってきた。

⦅つまるところ、その、支援してもらえないだろうか?今は対価を出せないが、今後必ず礼をする!どうか、石炭だけでも分けてくれ……!⦆

 

 

『もちろん!』

 

空中に突然青い四角の平面が飛び出す。そこには愛らしい幼女*1の顔が写っていた。

キャプテンは大層びっくりしたようで、目を見開き、口が半開きのままになり、声も出ない。

群衆の方は一つ大きな声をあげ、後ずさった。

 

『もちろん支援させてもらうさ!そっちの方が楽しそうだからね!』

⦅あ、あなたはどちら様で……?⦆

目を見開いたままキャプテンは問いかける。

『ん?そういや自己紹介を忘れていたね!私はダヴィンチ、レオナルド・ダ・ヴィンチ。カルデアの技術顧問をやっているよ!』

画面の中の幼女は元気よく答える。

それに返答するはキャプテンである

⦅ご丁寧にどうも……申し遅れましたが、私はマカリスター、ジェレマイア・ジェイコブ・マカリスターです。この街の長をやっております⦆

⦅私はアーサー・デリック・クロイドンです、市長補佐をやっています⦆

*1
中身が超絶フリーダムな万能人であることを忘れるべからず




FROSTPUNKすごい楽しいのでみんなもやろう!
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