もう一人のサイヤ人が桃白白の弟子になる話   作:麻寿津士

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其之七 海賊たちの洞窟

「わわわっ!」

「なっ、なんだ!?」

 

海中、ドラゴンボールを探し海底洞窟に入ろうと試みていたところ、突如岩壁が爆発する。

いやちがう、魚雷に襲われたのだ。

4人乗りの小型な潜水艇は爆風と塵にあおられ、洗濯機に放り込まれたハンカチのようにゆらゆらと頼りなくぐらつく。

 

「ど、どういうことだ!?」

 

クリリンたちが振り返ると、そこには青い青い暗闇が鎮座している。

茶色い岩肌や海藻をかき分け、白い泡の筋を追った。

そのずっと奥、ぽつりとまるでチョウチンアンコウの明かりにも似た、何かを見つける。

それは自分達が乗るものの十数倍はあるであろう、鯨のような潜水艦だった。

 

「あいつらが撃ったんだわ!」

「レッドリボン軍のやつらかな」

「あいつらしっつこいなぁ」

「「えっ!?」」

 

うんざりした様子のフーイと悟空へ思わず目をやって、ブルマとクリリンの二人は顔を見合わせた。

恐る恐るブルマの方が問いかける。

 

「ちょ、ちょっと待ってレッドリボン……って。あのレッドリボン軍……!?」

「知ってんの?あいつらもドラゴンボール探してるらしいんだ」

「そういや悟空はジングル村の連中が初めてじゃないんだっけ」

「うん。オラが邪魔らしくて、いつも喧嘩を仕掛けてくるんだぜ」

「じょ、冗談じゃないぜ!」

 

潜水艇の操縦かんを握り締めたままクリリンは声を張り上げた。

 

「お前らそんな奴に狙われてるのか!? レッドリボンっていったら世界最悪の軍隊だぞ!」

「ちょっと、よそ見しない!」

 

後ろから無理やり手を伸ばし、フーイが操縦かんを奪い取る。

ぐうっとせかされるように動き出す船の後ろから、再び魚雷が迫って来ていた。

 

「また撃ってきた!」

「だからそういってるじゃん!」

「言ってはないだろ!」

 

クリリンを押しのけ操縦席に座ったフーイは、操作盤をみてあれっと驚く。

 

「この船マシンガンとか魚雷とか、水中ライフルとか積んでないの!?」

「積んでるわけないだろそんな物騒なもの!」

「普通ついてるでしょこういうやつには!」

 

ごたついている間にも、猛然と魚雷は近づいてくる。

白い泡を飛行機雲のように後ろに伸ばし、ただ一直線に。

十分目視できるスピードなのが返って恐怖をあおる。

 

「いいから、早く洞窟に隠れるのよ!」

 

悟空たちが船を進め、狭い穴の奥まで入り込むと、それを追ってブルー将軍たちも小型艇に乗り込み後を追う。

ドラゴンボールをめぐる、奇妙な鬼ごっこが始まった。

 

 

~・~・~・~

 

一方その頃、カメハウスでは……

 

ブルー将軍の別動隊があっという間に亀仙人の返り討ちに遭い、無様に撤退していた。

 

~・~・~・~

 

 

水路が行き止まりになり、敵も味方も船を捨てて洞窟の中をひた走る。

湿った冷たい岩の壁を、人工的な明かりが寒々と照らした。

頭上へ張り巡らされた電線は、ここが誰か意図を持った人間に、しかもかなり長期にわたって使われていたことを、これ以上ないほど実感させる。

 

「わかったぞ!」

 

突然、クリリンは目を見開いて立ち止まった。

それに合わせて他の三人もとりあえず足を止める。

 

「出発する前に言っただろ、大昔の海賊の宝がこのあたりのどこかに隠してあるはずだって!

 それがここだよ!」

「えっ!?」

 

きょとんとした顔のフーイと悟空を置いて、ブルマもポンと手を叩いた。

 

「なるほど!ここなら滅多に見つかりっこないわ!」

「まさかこんなところにあったなて……すごい大発見だ!」

 

急に眼の色を変えて万歳三唱をするクリリン。

次の瞬間にはすっかりレッドリボン軍の事など忘れて、意気揚々と歩きだす。

と、

 

――カチッ――

 

その低い頭の上ギリギリを何かがかすめた。

ちらっと眼をやると、銛が震えながら突き刺さっている。

それも、硬いコンクリートで固められた壁の片側に、自立するほど深々と。

 

「……い!?」

 

恐らく後数センチ背が伸びていれば、頭蓋骨の右から左を貫通していただろう。

ぶわりと脂汗が吹き出し、血の気が引く寒気が襲う。

 

「な…なんだよこれ~~~っ!」

 

見てみれば、急に四角く整えられた通路の床にはびっしりとスイッチのようなものが敷き詰められていた。

 

「侵入者から宝を守るための罠よ!

 床にあるボタンをふむと横の穴からヤリが飛んでくる仕掛けだわ!」

「じゃあこの奥に宝があるのは確実ってことか」

「でもこれじゃあ通れっこないわよ!」

「ようするにさぁ」

 

狼狽するブルマに、悟空がなんてことないかのように言う。

 

「下にある丸いのを踏まなきゃいいんだろ?」

「孫くんったら何言って………」

 

彼女が言いきるよりも、彼が動く方がずっと早い。

びゅっと風のようにかけだすと勢いよく足を踏みしめる。

放たれた矢のように低く、長く、遠く、悟空が飛んだ。

 

とんっと着地すると三人の方を振り返って手を振る。

 

「お――い!お前たちも飛べよ!」

「あ、呆れた……20メートルはあるのに……!」

「その手があったか、よーし!」

 

だっとクリリンも勢いよく駆け出し、思い切りよく地面をける。

が、勢いが良すぎて天井に思いっきり頭をぶつけ、スイッチの地雷原のギリギリの位置にひっくり返った。

ない鼻先のあたりを2,3本の銛がかすめる。

 

「次はブルマの番だ!さあ飛べ――っ!」

「冗談じゃないわよ!飛べるわけないでしょ――っ!!」

 

怒鳴り声を張り上げるブルマの足元で、フーイも頷いた。

 

「私もブルマには無理だと思う」

「ね、そうよね!私ったら孫くんたちとは違ってか弱い乙女だし」

「だから、さ」

 

にっと少女はいたずらっぽく笑った。

そこには気遣いはない。優しさもない。

ただ、興味本位で蝶の羽をちぎるような、残酷な無邪気さと加虐心があった。

 

「私が投げてあげるよ!」

「へ?」

 

ブルマが言葉の意味を理解するよりも早く、小さな手がまるで発泡スチロールのように、自分よりも背の高い女性の体を持ち上げる。

 

「ちょ、ちょっと!フーイ!ま、待ってよ!」

「暴れると落ちるよ。落ちると刺さるよ」

 

混乱する悲鳴を聞いて、余計に楽しそうにウキウキとする。

 

「体育座りみたいにぎゅっと丸まって。大丈夫、悟空とクリリンが受け止めてくれるし」

「だからちょっと待ってよ!そ、そうだ、そんなことしなくても如意棒を使って……」

「そ――れっ!」

「キャ~~~~~っ!」

 

金切り声をあげながらも、言われた通り防御姿勢をとったブルマは、ある意味とても冒険向きなのかもしれない。

一直線に近い弧を描いてあっという間に彼女の体は地雷原を越え、待ち構えていた二人によってキャッチされる。

まもなくフーイも、軽々その隣に降り立った。

 

「ちょっと!あんたねぇ!」

「でも、早かったし安全だったじゃん?」

 

ね?と首を傾けるその仕草に、悟空とはまた別の話の通じなさを感じて、ブルマは諦めて口を閉じた。

 

 

 

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