好きな子がドスケベVtuberだったんだが。 作:杜甫kuresu
ちなみにエロは適度で留める予定です。
「なあ…………遠野あけみってVtuber。知ってるよな、千尋。アレお前だろ」
明らかに顔が動揺してる。そうだろうとも、気づいた当時の俺はその数倍やばい顔になった。大学構内の外れに連れ込んだところまで俺が完全に怖いやつだが、形勢逆転と見ていい。
遠野あけみ。これが何かというと、裏垢紛いのヤバいVtuberだ。ママがフォロワー6桁のエロ漫画家と言えば分かる人にはヤバそうな予感がしてくれるだろう。
実際酒を飲んでゲームしながらヤバいことを言っている。オフパコしてんじゃねえのコイツとか経験人数三桁とかリプで突っ込まれる事をよく言っているが、本人曰くそこまでではないというのがウリ。いやなんか半ば冗談とリスナーに思われてるけど。
「ちょ、ストップ。何でそれを透が知ってるの?」
「お前が真っ昼間の配信で工事音声を事故って流したから」
「……………」
「あっ目線そらした」
コイツめっちゃ嘘つくの下手だな。
吾妻千尋の住んでいる所は結構静かな所なのだが、工事が最近始まって困るという話をしていたことがあった。
配信で思いっきり工事音が流れてた。いや配信を自粛しろよ。
「後配信中に部屋の近くで”グットアイディィィィィアアアアア!!!!!!!”って叫んでたやつ居たろ。アレ俺」
「透だったの!? っていうか何してるの!?」
「気になって仕方なかったから体を張った」
俺が叫んだ瞬間に配信でビビってたからクロだなーと思った。後反応は可愛かった、切り抜き動画で採用されてる。この天谷透様に感謝しろリスナー諸君。
逃げ道を失って破れかぶれな返答をしていた千尋だが、俺が顔つきを戻すと途端に伏し目がちでジリ、と後ずさる。
いつもグループで遊んでる時は朗らかでだからと距離も近すぎない、という感じの美人で通っている千尋でも、こう明らかに身構えてる時は凛々しい表情を見せた。
「…………だ、だとしたら何? 脅すわけ?」
「いや…………最高だと思った。付き合ってくれ」
目が点だった。ごめんて。
「ちょっと待って。そこからなんで付き合って欲しいになるの…………?」
「かなり順当な結論だぞ。そのキャラでエロトーク好きは理想だ!」
叫んだせいで周りの客に白い目で見られた。おずおずとしていた千尋の目線が右往左往、流石にバカ大学生でもこれは駄目だなと反省してる。
半ば無理やりみたいな形で連れ込まれたス○バだが、コーヒーは結構いいものだった。ただわざわざ人目のある場所に連れてきたのは千尋も相当焦ってるんだなーと思う。
「普通引くとか、こう、それこそR-18な要求をするとか…………」
「引くには清々しい喋りっぷりだし、そういうプレイならさておき無理矢理は好きじゃない」
「プレイ言うな!」
それは割といける。後今度は千尋の大声で視線が集まった。
贔屓目だと思ってみても千尋というやつはなかなか可愛い。独特の地雷風味ファッションもスペックで全部誤魔化してる。
ただ汚れるリスクを取って黒が多いとか謎の生活感があるのが何か面白いというか、個人的には好き。地雷風味ファッションに挑戦できるならそこ妥協しなくてもよくないか?
明らかに集まる視線に居心地が悪そうに足をもぞもぞとする。
「……こほん。まあ趣旨は理解した」
「お、じゃあ返答は?」
「早い早い。まずはお友達から――――」
「もう一年も遊んでるだろ。もしかして友達じゃなかったのか?」
「友達だったね、うん…………」
頭を抱えてる。逃げ口上はもっと考えて言った方がいいと思った。
特別個人的に距離が近かった覚えはないが、いつものツレみたいなカテゴリで毎回遊んでた仲ではある。大学生ではそういうのは友達と言っていい、多分。
「じゃ、じゃあなんで私が良いの? ほら、配信でも言ったじゃん」
「非処女って話か?」
「声大きい!」
「いだ、いだだだっ! すまん、すまんから離して!?」
顔を真赤にして頬をつねられた。
数分の格闘の末、身の安全を確保。店員の何とも言えない視線が千尋に突き刺さっていたような気がした。確かにこれは申し訳ない。
とはいえス○バに連れてきた方もミスだと思うんだ、これは。
「ま、まあそれもそうだし。ああいう下品なのって男は嫌いだとばかり」
「むしろ長所。変に躊躇われると肝心な時に困る、性欲は三大欲求だぞ?」
男女間の下ネタは良くないみたいな風潮、故にというエロスが有ることはさておき嘆かわしいものだ。
世の中の人間は少なからずエロに関わる。回避は出来ない、だから男女間でも有用な情報や意見は積極的に交わされるべきだ。
それがないからAVやら同人誌やらのフィクションに影響された残念な男が誕生する…………。
という思慮あってのものだったが、正直言ったら首を傾げられるのは知っている。
が、今回は違った。千尋は感心したような様子を見せる。
「やっぱりそう思う?」
「そうだろ。まあ隠す良さもあるので変に開けっぴろげなのは良くないが」
「めっちゃ分かる」
其処だよ。
俺が勢いづくことに気づいたのか、千尋が固まる。
「遠野あけみというVtuberはエロ談義ばかりしてyou○ubeをよく弾き出されてはいるが」
「やめて。気にしてるから」
「でも、エロ談義をそれほど特別扱いしてない。何というのか、臭みのない喋り口で俺は好きだ」
日本特有なのか分からないが、エロ談義をする時にまるで国家機密に触れるようなおっかなびっくりなやつを腐るほど見てきた。
姉の話を聞く限りは、女は逆にグロ過ぎるという。
遠野あけみ、というか千尋はどっちでもなかった。オススメの飲食店を喋る感覚で語る。
これがかなり良いと思った。
「まあそれは関係なく元から好きだったんだが」
「……っ!?」
「とはいえそこまで価値観が一致してるならもう買いだ。だから俺に買われてくれ、吾妻千尋」
頬を紅潮させて、手を当てて俯く。
見本のようなリアクションだ。
「そういう反応をする所も可愛いと思う」
「遠慮なさすぎ…………」
「告白で遠慮をしたら、人生のどこでワガママを言うんだよ?」
千尋が目を点にして何かを考えている。
実際そういうものだと思う。告白というのは何度やろうがやはり一世一代の勝負だと思ってやる、そこで遠慮をしたら俺はきっと事が上手く運んで付き合えても、どこか本気になれないだろう。
勉強なんて本気じゃなくていい。部活なんて本気じゃなくていい。恋愛なんて本気じゃなくていい。というか、全部本気じゃなくていい。
でも、俺が選ぶなら。選ぶことは本気じゃないと。その後積み重ねることが濁る。
「千尋も遠慮しなくていい。フラれたらそれはそれで考える、俺もバカじゃない――――どうなんだ?」
縮こまってしまった。
まあ何となく分かってはいた。Vtuber、というかネットでの顔と現実のそれがかなり乖離してるから。
吾妻千尋は天真爛漫だが、遠野あけみはガキのようだった。根が変わらないのは見れば分かっても、やっぱりつけてるガワが色んな意味で違う。ここまで化けの皮を剥がしても感じる。
「…………付き合うってのは、正直待って」
「そうか」
やっと口を開いたそいつは、そりゃあいい顔をしていた。
恥ずかしそうだが目は逸らさない。下手くそだけど快活そうな笑顔で、それはどっちかと言えばイタズラでもしてきそうな強気なもの。
でもどことなく、弱気な感じもする。いつもの千尋はそういう顔はそんなにしなかった。
ましてや、遠野あけみというやつも。
「透は私のこと、多分あんまり知らないでしょ」
「まあエロ談義が好きな女狐というところまでだな」
「告白しといてよくそこまで言うよ…………」
女狐だ。此処まで化けるんだから。
それが此処まで綺麗なんだから。間違いなく化生の類ってやつだろう。
「まあそこから。嫌だったら嫌でいいし」
「お、それはオーケー寄りってことか?」
「調子乗らない。正直透のことよく分かってないかもしれないのは私も一緒だし、まずは一歩ずつ。オッケー?」
「つまり前戯が重要って話か?」
「取り敢えずもう透とこのス○バ二度と行かない…………っ!」
明らかにまた視線が集まった。本当に申し訳ない。
「すまん、お前と喋ってると気が抜けてつい」
「ぜんっぜん嬉しくないんだけど! それ!」
Vtuber要素がうすすぎる! 期待した人にごめんなさいしろ!
エロと可愛いが連結してるのは分かるけど、交互に反復横とびする作品を作りたかった。やってみたら中々ぶっ飛んだタイトルになった自覚がある。