ようこそ厨二病患者のいる教室へ 作:我が名はゼロ
果たして、人は皆平等だろうか。世界がどう思うかは知らないが、俺は人は皆平等ではないと思う……例えば、劣悪な環境で育った人間と、普通もしくは恵まれた環境で育った人間、事実がどうあれどちらが優秀と判断されるかは明白だ。ほら、もう平等ではないではないか。
いや、この際平等かどうかは置いておこう……俺が聞きたいのは、何故皆平等を求めているのか、という点だ。平等な世界になったら人類は停滞、いや、下手すれば絶滅するぞ……分かっているのか?平等な世界になってしまえば、テストの点の競争や、スポーツでの競い合い、そして何より戦争、それらが全て無くなるのだぞ?
……きっと、そんな世界平和でいいじゃないか、と思う人は沢山いると思う。が、そんなことを思える奴は大切な人がいるやつだけだ……大切な人がいない人からすればそんな世界、いずれ飽きるに決まっている。
……もし、もし仮に直ぐに飽きなかったとしても、いずれ誰かが絶対に飽き始める。そしてその飽きは伝染し、もしかしたら人は生きることに飽きてしまうかもしれない。争いというものは人間にとって必要不可欠なものだ。争いがなければより優秀な機械は作られなかった。争いがなければこの世界の天才は生まれつき才能が開花していたやつだけになってしまう。そして何より、争いがなければ人は成長できない。
……無論、平和を否定しているわけではない。平和ではなく、平等を求める奴等の気が知れないだけだ……平等は悪ではないが正義でもない。同じように不平等は正義ではないが悪でもない。結局のところ何が正しくて何が間違っているかなんて神にしか分からない。国の法律だって間違っているのかも知れないし、警察が正義で犯罪者が悪かどうかなんて人間如きが決めていいことじゃないのだ。……とはいえ生憎とそれを唯一決めることのできる、神という存在は現れてくれやしない。
故に俺は──神に代わる存在となる!
……どこぞの夜の神は神を名乗り報いを受けた。つまり、人の身で神を名乗るというのはあまりにも傲慢な行為なのだ……だがならばどうすればいいのか……簡単な話だ、神を殺し、代わりに俺こそが絶対の存在になれば良い……つまり、俺という存在を神よりも絶対的な存在にし、神の存在意義を消すのだ。……そして、存在意義の無いものなど死んだも同然、実質俺が神を殺した、ということになるわけである!ふっ、あまりにも完璧な作戦!
──くははは!我が名は
……これより『
「今直ぐ黙りなさい」
突然、俺の耳に聞くだけで着床しそうな美声が聞こえてくる。……俺にはわかる、今俺に黙りなさい、と、まるでムチを持った女王様のように命令をしてきたのはついひっこ抜きたくなるような綺麗な黒髪ロングのまな板系美少女、堀北鈴音。全く、入学早々ラッキーだぜ。政府が東京に作った、希望就職先に100%応えるらしい高度育成高等学校とかいう胡散臭い学校にわざわざ来た甲斐があったな。
「……ふっ、マイスイートハニーの願いといえど流石にそれは聞けないな」
「はぁ?そもそもあなたは誰なの?」
「ごもっともな質問だ。流石マイスイートハニー、そんなところに気がつくなんて」
「ちょっと何を言っているのかわからないわね。今すぐ病院へ行ってきたらどう?」
クックックッ、俺が病院?面白い冗談だ!もう既に1万回は行ったぜ!……………ふむ、そういえば俺がくるたびに医者が老け顔になっていたな……もしや、俺には特殊能力があるのだろうか。人の顔を老け顔にする能力、か………………うおおおおおおお!やったぜええええええええ!
「……どうやら俺には人の顔を老け顔にする能力があるみたいなんだが、俺自身にもその能力は使えると思うか?」
「そうね、どうやらあなたの脳みそは既に老化してしまっているようだし、使えるんじゃないかしら?」
「なるほど、俺が誰か、か?流石マイスイートハニー、そんなところに気がつくなんて」
「……本当に大丈夫?」
「くははは!我が名は──神童の神のしん、破壊の壊のかい、代弁者の代のだい、光輝燦然の輝のき、で
くそっ!俺はキレた!約3億光年ぶりにキレた!……ちなみに光年とは距離の単位である。
「……ふぅ、ていうか机のネームプレート見ればわかるだろ。俺はそれ見て隣の奴が堀北鈴音、って知ったわけだし」
「……あなた、情緒不安定すぎない?……ていうか名前、本当は
「違うな、間違っているぞ堀北鈴音。その名は世を凌ぐための仮の名……」
「本当は?」
「神月の前に夜、をつけると最終的に神に殺されたどこぞのライトの本名に読めてしまうから神壊代輝を名乗っているだけだ。俺はいずれ神を超えるもの、神になろうとしただけの男とは格が違うんだよ。あれと同じ名前なんて吐き気がする──はっ!貴様!よくも俺から極秘情報を引き出しやがったな!くそっ、これがコールドリーディングか……」
……こいつ、結構やるな……!
「私は何もして──」
「──ところで、マイスイートハニーと話し始めてからずっと俺を凝視してきてるすぐ後ろのホモは誰だ?堀北のことずっと見てたし堀北お前、惚れられたんじゃないか?」
茶髪で影薄の実力隠してる俺カッケー!って思ってそう系イケメンが俺達のことをめっちゃ見てくる件について。アッー!
「……流石に自分の言っていることが矛盾してることに気付いてるわよね?」
「あ、そうそう、話変わるけどすぐ後ろのホモ堀北に惚れたんじゃないか?」
「話は変わってないし、あなたが本気でその理論が正しいと思ってるのならあなたの中で私は男なの?」
「何を言っているのか1+1ぐらいわからないな。俺がこんなに髪の毛を抜きたいと思ってる時点でマイスイートハニーは女だが?」
……こんな簡単なこともわからないなんて……失望しました。堀北鈴音様の信奉者になります。
「……はぁ、あなたと話していると本当に疲れるわね………後ろでずっと見てきているのは確か、綾小路清隆くんって人ね。大方、私が彼との話を切り上げたのにあなたと私が話してるから気になってるってところじゃないかしら」
「それは本当か!?……ところで全く聞いてなかったからもう一回頼めるか?」
「──これ以上会話しても本当に無駄のようね。あなたがあまりにもうるさかったから注意しただけだったのに……こんなにも疲れるとは思ってなかったわ」
そう言って堀北は本を読み始める。
「題名『罪と罰』か……懐かしいな……俺も子供の頃よく読んだ……」
「──子供の頃よく読んだ?あなた、それ何歳の頃の話?」
俺がつい思ってたことを声に出して言ってしまうと、もう反応しないと思われていた堀北が食いついてきた。これはあれか?ツンデレというやつか?
「何歳って……2、3歳の時とか?」
「流石に嘘よね?」
「いや、本当だが?確か内容は正義と悪が題材で──」
「……そんな、まさか……この本を2、3歳で読んだっていうの?」
「──仮面を被った男の人が悪者をキックするやつだよな」
「もう一切言葉を発しないで。次喋ったらどうなるか分かるわよね?」
悪いが全くわからない。今回は本気で1÷0並みにわからない。でも多分それを言ったら火星に飛ばされると思うから言うのはやめておこうと思う。俺だけ火星移住計画を実行したところで、他の人間がいなければ俺は決して神を越えれないからな。クハハハッ!……ふむ、何故か今ほんの少しだけ尿が出てきたぞ。パンツが濡れてしまった。本当に何故だ?心当たりといえば今の堀北があまりにも怖かったことぐらいなのだが。ところで心当たりがあるなら心外れもあるのだろうか。
「……あっ、いや、悪かったなマイスイートハニーよ。俺はどうやらそれをかの有名な死のノートと勘違いしていたらしい。確か正義のためなら悪を為してもいいか的なあれだったろ?死のノートも同じような感じだったからな」
「今度は何?大体、仮面を被った人が悪者をキックするってどう考えても……」
「???何言っているのか特殊相対性理論並みにわからないな。死のノートのある話で、名前を見られないために仮面を被った私はLサイズですさんが悪人をぶち殺して神になろうとしたマヌケをキックしたシーンがあるからそれを言ったんだが?」
「そ、そう。……私はあまり詳しくないからわからなかったわ」
「わからない?そんなんで恥ずかしくないのかマイスイートハニーよ。ちなみに本当は仮面をつけてたのはキックしたシーンじゃないし、さらにしたのはキックではなくパンチだ。どうだ、騙されたか?俺は騙されたぞ」
「死になさい」
イエス、ユア・マジェスティ!堀北は女王、つまり皇帝に等しい存在である!