ようこそ厨二病患者のいる教室へ 作:我が名はゼロ
5月最初の授業が始まり、担任である茶柱先生が教室へ入ってくる。険しい顔つきをしているので恐らくは婚活に失敗したのだろう。クックック、哀れだな。まぁ、最悪の場合は貰ってやるから安心するがいい……綾小路がな!
「これより朝のホームルームを始める。その前に質問はあるか?気になることがあるなら今聞いておいた方がいいぞ?」
「あの──」
「先生、何故この学校内にポテトチップスが存在しないのでしょうか」
俺は何か質問をしようとしていたよくわからないモブを差し置いて先生に質問をする。
「……悪いがそんなことは知らない」
──バンッ!
先生の返答を聞いた俺は思わず床をブン殴った。そして手が赤くなった。か、かっけぇ……これは紋章……ふっ、俺がいずれ神々を殺す、ということはこの紋章が出たことにより確定した。
「知らない……だと?俺にとって…‥どれだけポテチが重要なものか分かっていないからそんなことが言えるのだ……」
「…………」
「俺にとってポテチはなぁ…‥ポテチは……うっ……うう……」
話してるうちに何故か目から鼻水とおしっこが出てくる。汚ないな。あとで堀北様の髪で拭かせて頂こうではないか。勿論許可を取るに決まってる。そして勝手に拭こう。
「そ、そうか……泣き出すほど重要なものなのか……あとで聞いておこ──」
「……俺にとってポテチは……1×1の解を出すことと同じくらい重要なものだ!!」
そう、ポテチさえあれば神を越せる、神を殺せる!……俺にとってそんなにも重要なことだと言うのにこの教師は……。
「──あぁ、そうか。じゃあ他に質問があるやつはいるか?」
なんだあの目は……呆れを通り越して軽蔑の領域まで行っているぞ……あれは一体誰に向けての視線なのだろうか。可哀想に綾小路、お前は軽蔑されたらしい。
「あ、あの、今朝確認したらポイントが振り込まれてなくてジュース買えなかったんですけど……」
「本堂、前に説明しただろう。ポイントは毎月1日に追加される。今月も問題なく支給されたことは確認している」
「え、でも振り込まれてなかったですよ?」
さっき俺が遮ったモブが質問をする。そういや俺は今日ポイント振り込まれたのを確認していなかったな。まぁ別に見る必要ないから見とくか。えーっと、なになに?……
「お前達は本当に愚か──」
「……はぁ!?ゼロじゃないか!チッ、これも神々の妨害か?」
なんと、驚くことに俺のポイント残高は0だったのだ。だが、この俺、神を壊し、代わりに輝く男はこの程度では動じない!くははは!
「おい神月、今は人が話している最中だ」
「先生!聞いてくださいよ!なんと、俺のポイント残高がゼロだったんですよ!」
「だから、今はその話をしててだな……と言うか大体、0、と言うことは全てのポイントを使ったのかお前……」
そこに気づくとはなかなか鋭いな……そう、何を隠そう俺は……全てのポイントをチップスターに注ぎ込んだのだ!お陰で俺は今月、朝昼晩の飯が全てチップスターだった。
「何故ならば、私は残高ゼロ。世界を壊し、世界を想像する男だからだ」
「そうか、それはすこぶる良かったな……ごほん……お前達は本当に愚かな生徒達だな」
何やってるんだこの先生は……いい歳してそんな厨二病のようなセリフを吐いて……恥ずかしくないのか……?
「一応言っておくが、ポイントが振り込まれてないなんてこともなく、このクラスだけ忘れられたなどという可能性もない。わかったか?」
一ミリもわからないな。でもそれを言ったらなんとなく太陽まで吹き飛ばされる気がするから黙っておこう。というか多分、今は何を言っても太陽まで飛ばされると思う。先生あんた、堀北様といい勝負してるよ……。
「ははは、そういうことだねティーチャー!簡単なことさ、私たちDクラスには1ポイントも支給されなかった、ということだね」
「は?毎月10万ポイント支給されるって……」
「わたしはそう聞いた覚えはない。そうだろう?」
高円寺コンツェルンの息子さんがさっきのモブを論破する。……な、なんだってー!!と叫びたいところだが叫んだ瞬間殺される気がしてならないから黙っておこうと思う。
「な、なんだってー!」
……どうやら俺は口の操作をミスってしまったらしい。
「態度は悪いがその通りだ。あれだけヒントをあげて気付くのが数人とは……まったく、嘆かわしい」
良かった、無視された。……は?この先生、俺のことを無視しやがった……お巫山戯も大概にして欲しい。
「揃いも揃ってよくもまぁこんなに遅刻や欠席をしてくれたな。私は初日にこの学校は実力で生徒を測る、と言った筈だ。このポイントはクラス全体の成績を反映したもの。つまり、授業態度や遅刻欠席でそれを判断し、今回Dクラスは0ポイントの価値しかない、と判断されたというわけだ。ちなみに、クラスポイント×100が振り込まれるポイントとなっている」
先生は淡々とそう告げ、手にしていた紙を広げそれを黒板に貼り付ける。そこには、Aクラス:940、Bクラス:650、Cクラス:490、Dクラス:0、と書かれていた。0……俺の残高と同じ数字だな……これはもはや運命と言っても過言ではない……。
「……どうしてここまでクラスに差が……?」
勇者平田が皆を代表して先生に問う。
「当校のクラス分けは優秀な生徒たちの順でされている。最も優秀な生徒はAクラス、落ちこぼれはDクラスへ。つまりお前たちDクラスは落ちこぼれの不良品というわけだ。だが、Dクラスから脱却することは可能だ。簡単な話、クラスのポイントをCクラスより多く手に入れれば、DクラスがCクラスに入れ替わるようになっている。つまり、クラスポイントによってクラスが変動するということだ」
不良品?……俺は一体いつから品になったのだろうか。ていうかそもそも人には誰しも欠陥があるのだぞ?仮にできない人間を不良品、と呼ぶとして、その呼び方は間違ってないか?不良品、つまりは欠陥がある、ということを言いたいのだろうが、そうなると全人類が不良品となってしまうのだが、そこのところどう思っているのか是非お聞かせ願いたくないな。時間の無駄無駄無駄無駄ァッー!ふむ、ホモか。
「さて、もう一つ残念なお知らせがある。これは先日やったテストの結果だ。揃いも揃って一体お前達は中学で何を学んできたんだ?」
茶柱が追加で張り出した紙にはテストの点が並んでいる。基本的に60点前後の点数ばかりで、14点だとか24点だとかもいる。一部点が高い奴もいるが、このクラスの平均は65点ぐらいだ。
「良かったな。これが本番だったら8人は退学になっていた。………あぁ忘れていた。この学校は中間、期末テストで赤点を1教科でも取れば退学だ。今回のテストで言うと、32点未満の奴らだ」
──生徒達がざわめく中、茶柱は説明を続ける。曰く、この学校の説明にある、希望の就職先や進学先に進めるのはAクラスだけなのだと。
「浮かれていた気分は消えたようだな。中間テストまで3週間、退学しないように頑張ってくれ。お前達が赤点を取らずに乗り切る方法はあると確信している。できるなら実力に相応しい振る舞いで挑んでくれよ?」
……いや少し待て……希望就職先、希望進学先に進めるのはAクラスだけ……だと?……詐欺だ!訴えてやる!覚悟の準備をしておけよ!腐った政府め!
……はぁ、俺はここの希望就職先ってので総理大臣を希望して『お遊びは終わりだ』とか言って法律を変え、『
──仕方ない、ポテチの力でパパっとAクラスにして貰おう。ああ、俺はなんて天才なんだ。……所でその肝心のポテチが売ってないのだが一体どうしたらいいだろうか。