うわぁ~っとスバルは叫びながら用務員?から逃げる。
まつり達の元に戻ったスバルの方に足を引きずりながら用務員?が近づいてくる。
あり得ない状況に足腰が立たなくなっている4人。
すぐそこまで近づいてくる用務員。
4人は昔見たゾンビ映画やゲームを思い出す。
噛まれれば死ぬ。
ゾンビになる。
怖くて気を失いそうだった。
眼前まで来た用務員?が、うぁ~と叫び声を上げながらまつり達に襲いかかろうとしていた。
ダン
乾いた音がして、襲いかかろうとした用務員が後ろにぶっ飛び仰向けに倒れた。
振り返る4人。
そこには自分の身長程あるライフル銃を肩にのせて、朝礼台に立つはあとの姿があった。
朝礼台の下には大きな荷物にもたれ掛かるわための姿もあった。
「はあとちゃん」
「はあと先輩」
次々に名前を呼ばれ、おまたせと手を上げながらはあとは4人の方に合流した。
「し、死んでない?」
おかゆが用務員?を覗き込む。
「たぶん…」
その言葉にはあとも覗き込みながら言った。
ころねは用務員?の手首で脈を取る。
「生きてるみたい」
心なしか用務員の顔にも赤みがさしていた。
「じゃ、想定通りね」
胸を張ってはあとはどや顔をした。
不安げに見つめる4人。
行き当たりばったりですねとはあとの横でわためが呟いた。
その後、はあとは詳しい話は後と4人にわためが運んできた重火器と弾を渡す。
使った事のない物を急に渡され戸惑っていた4人だが、拳銃を持ったとたんになぜか使い方が分かった。
はあとが言うにはこの弾をゾンビ?になっている相手に当てれば気絶し元に戻るという事だ、たぶん。
話している間も学校の門にはゾンビ?が増えていく。
4人は決心し銃を構える。
2人は手慣れたように銃を構えた。
さぁ、反撃の始まりだ。
各世界でゾンビ?現象が多発し始める。
それぞれの世界で戦いが始まっていた。
ただ、戦いに参加している人の中でなぜゾンビ?が大量に現れたのか知る者は数人だけだった。
力は強くないが圧倒的な物量でゾンビ?達は世界を蹂躙しようとしていた。
ゾンビ?に対する決定的な対処法が見つからないまま戦いは続く。
そんな時、ゾンビ?にならず戦いに参加していた者達がほぼ同時期に世界から姿を消した。
世界はゾンビ?がさ迷う世界と姿を変えてしまった。
ここはどこなのだろう。
ゆっくりと目を開けるとそこは何もない真っ白い空間だった。
ただ、その空間に見知った顔が何人かいた。
「はじめまして、そうじゃない人もいるかな?」
その空間に可愛い女性が立っていた。
会った事がないはずなのに心のどこかで会った事があるように感じる。
「わたしはときのそらと言います」
ときのそら?
どこかで聞いた気がする。
そう、どこかですれ違ったって感覚じゃない。
前から知っていた気が。
『そら先輩?』
空間にいる人達から口々に声に出される言葉。
半信半疑で出た言葉は次第に確信へと変わる。
「やっぱり真実を知ったそらと話すと記憶戻っちゃうんだね」
そう言ってそらの横にホログラフのAちゃんが現れた。
『えーちゃん』
会った事もないその姿を見て、口にでる名前。
「今から大切なお話をしますね」
そう言ってそらはみんなに向かって今回の事件の真相を話し始めた。
まず始めにこの世界は現実の世界ではなくインターネット上に存在する仮想世界である事。
そして、今この世界にいる人はある1人を除いて全て仮想世界に生きる人だという事だった。
ただ、ここにいる人と数人は特殊なAIである事が語られる。
そして、今回の事件もその特殊なAIが発端だった。
特殊なAIというのは現実世界にいるある人達から性格や意識、様々な考え方をコピーしそれを下地にして作られたAIだという事だった。
まずはオリジナルと呼ばれる4人。
計画は順調で4人はこの世界の要となってくれた。
次に第一世代、第二世代、第三世代、第四世代と続き、問題の第五世代になった。
問題はコピー最中に起きた。
第五世代に参加してくれたのは5人。
その日はとても天気が悪くコピー作業は延期される予定だったが、それぞれの予定が重なるのがその日だけだった。
予定どおり行われたコピー作業。
初めは順調でほぼ終わりかけた時にその問題は起きる。
近くの場所に落雷が起きたのだ。
コピーしていた施設は突如停電。
復旧まで数時間かかった。
コピーに参加した5人には怪我やコピーによる障害もなかった。
ただ、問題は停電が復旧した後発覚する。
5人が参加したそのコピー作業。
停電復旧後コピーされたキャラクターを調べた結果、その中の1人に異常が出て、キャラクター崩壊を起こしていた。
現実でいえば生まれてこれなかったのだ。
それを受けて第五世代は凍結。
それぞれのキャラクターに異常がないか確認し、異常がなければ実装する形となった。
ただ、彼女達は言わば同じ時に生まれた姉妹のようなもの。
それが1人欠け、そして、その1人は生まれなかったまま眠らされた。
その事でかなり恨みを抱いていたのだろう。
そして、今回どういうわけか、第五世代の凍結が解かれ【ホロライブワールド】に現れた。
彼女達がこの世界に来る時にあるモノもこの世界に流れ込むようにしていた。
それが今回のノイズの正体だ。
そらが見た巨大な剣はこの世界と現実を繋ぐ橋のようなもので、そこから流れてくるノイズを感じ不安になったという事だった。
そして、そのノイズの正体とは言うなればコメントだった。
インターネットの世界で飛び交う様々なコメント。
それには善も悪もない。
ただ、流れる字の集合体だ。
しかし、その文字の集合体は時には人を傷付け破滅を招く。
時には人を助け、救う事もある。
彼女達はそのコメントを集め、多数の意思として【ホロライブワールド】に干渉できるようにしたのだ。
1つの意見は通らなくても、多数の同じような意見は通ってしまうように。
そのコメント集に当てられ、気分が高揚し自分とは違った行動をとってしまう。
言わばコメントに影響された状態がココやあやめ、サメの女の子の状態だ。
そして、第五世代の子達も少なからずその影響を受けているとの事だった。
思い起こせば、彼女達は破滅の事しか頭になく、こちらを見ていなかったような気がする。
「ロボ子ちゃんがいない」
そらが回りを見て言った。
「この強制召喚でも来ていないのならたぶん、彼女達の方にとらえられているのだと思う」
空中で何かを叩く動作をするA。
「なら、早く助けないといけない」
誰かが言った。
『そうだよ』とその場のみんなも賛同する。
「ただ、今現在コメント集が現れた場所は3ヶ所あります。
そのどこかにロボ子さんがいると思われます」
Aは何かを調べながら伝える。
「相手は4人なんだよね?」
みこの言葉にAは頷く。
「なら、手分けしていこう。
それに、御神木にも1人くるよ。
必ず切るって言ってた」
「あの大桜はこちらから送ったデータを受けとるアンテナのような役割をしているからでしょう」
「そうなんだ~」
「知らなかったぺこか?」
「当たり前でしょ、みこ達がAIだなんて今始めて知ったんだし」
「だったら、ここは4つに別れた方がいいね」
「いや、5つね」
はあとが銃を片手に言う。
「【バーチャル】の学校、攻め落とされるとヤバいでしょ」
「はい、あの場所はこの世界を維持する為に大量の情報が保管されている場所の1つですから。
でもやっぱりはあとさん、イレギュラーだったんですね」
Aははあとに向かって言った。
「え?はあと先輩敵なんですか?」
隣にいたわためが驚く。
「違うわよ、私は他の子達より少し事情を知ってるだけ」
「はい、この中の何人かは自分がAIだと初めから認識している人達もいます」
「そう、私意外はほらそこの悪魔、人の影に隠れてないで出てきなさいよ」
「はは、ばれた?」
そう言ってノエル、フレア、マリンの後ろから姿を表すトワ。
『トワ?』
驚く第4世代組。
「どこ言ってたの?」
かなたは驚いたように聞いた。
「ちょっと異変を感じて【大陸】の方にね、たぶん、はあと先輩と同じタイミングかな」
「はい、確かにその時に3人をlostしました」
Aが頷く。
「で、手に入れた?」
はあとの問いに頷くトワ。
トワが手に持っていた箱を開けるとそこには大きめの銃弾のようなモノが4つ入っていた。
「私が持ってきたやつの強力版ね」
「これをコメント集に打ち込めばコメントは散りじりになって無害に戻るはず」
それを見てAは頷いた。
「では、5つに別れましょう」
Aの提案で今いる人達を5チームに分ける。
まずは【バーチャル】にいるねねのところに。
そら、AZKi、すいせい、るーな、あくあ。
【ファンタジー】にいるラミィのところに。
第三世代組。
【ゲーマーズ】に来るぼたんに。
みこ、フブキ、ミオ、あやめ。
【ふぉーす】にいるポルカのところに。
メル、アキ、シオン、ちょこ、トワ、かなた、ココ。
そして、学校防衛に。
はあと、まつり、スバル、おかゆ、ころね、わため。
の5チームになった。
「今は時間を調整して【ホロライブワールド】の時間はかなり遅くなっています。
しかし、それもおかしくなっている世界であまり持たないでしょう。
みなさん、無事に帰ってきてください。
そして、第五世代の子達を救って上げてください」
Aはみんなに向かってエールを送る。
「それじゃ、防衛チーム以外にこの弾を渡しとくね、さっきも言ったけど、コメント集に向かって打ち込んで。
でも、その前に邪魔してくる第五世代の子の動きを止めてからね」
『うん』『分かった』
それぞれはミッションを確認しグループに別れる。
「では、無茶はしないで」
Aは手元で何かを押した。
するとその場にいた全員がこの真っ白い空間から消えたのだった。
どうか無事にみんな一緒に戻って来てください。
Aは誰もいない空間でそう願い消えた。