パソコンの前で待機する女性。
画面内でコメント集が消滅したのを確認した。
彼女Aはすぐにキーボードのボタンを押す。
画面上の全てのerrorの文字が消え、完了という文字が表示される。
椅子にもたれかけながら一息つくA。
これで外部からあの世界にコメントが流れ込むことはない。
第五世代組がどうして凍結を解除しあの世界に行けたのか?
誰がコメントを集めて世界を脅かすような力のやり方を彼女達に教えたのか?
まだ、調査しなくてはいけない事は多くあるが一先ずはこれであの世界が消滅する事はなくなった。
秘密を知ってしまった彼女にも、もうこっちに戻ってもらわないといけない。
Aは隣の部屋で眠るときのそらを静かに見つめた。
戦いが終わり、ゾンビ?になっていた人達は元に戻りそれぞれの場所へと戻っていった。
今回の戦いに参加したメンバーも学校へと集まった。
ねねと意識を取り戻したぼたん、ポルカは第三世代組からラミィの話を聞いた。
第三世代組は悲しみにくれていたが、ラミィの最後が自ら先輩達を助ける為だった事にねね達はラミィが自分で決めた事だったのだと、彼女達を責めなかった。
メンバー達もそれぞれ自分の思うように行動する事にした。
自分の住んでいた場所に帰る者、新たに冒険に出る者だ。
オリジナルのメンバーはみこ以外はまた世界を旅しながら歌を歌って行くことにしたようだ。
みこは御神体を調整する役目がある為に神社に戻る。
第一世代組のフブキは自分が守護する山へ、ミオも自らの神社に戻った。
残りの3人もそれぞれの世界に帰る。
ただ、はあとはねねと共に世界を回る旅に途中まで付き合う事になった。
ねねは自分が壊そうとした世界を見て回りたい為に旅を、はあともそれに付き添いながら、今回世話になったエリアを回るようだった。
第二世代組もそれぞれの生活に戻る。
第三世代組も自分の世界に戻りまた冒険をするとの事だった。
第四世代組も自分達の生活に戻る。
ただ、その中でココだけは違った。
ココはこのエリアで十分に財宝集めをしてしまった為、新たな宝を探しに違うエリアにも行ってみるとの事だった。
別れを惜しむメンバー達。
だがココはたまには顔を出すと笑顔でメンバーに伝えた。
第五世代組のぼたんもまたねねと同様にこの世界を旅する事にした。
自分の力をもっと強くしたいという願いで1人旅をするそうだ。
ポルカは【ファンタジー】に残り自分の腕を磨きながら、第五世代組が戻ってこれる場所を作るそうだ。
なぜかポルカはぺこらにその建物の建設を依頼していた。
ぺこらはその話をニヤリと笑いながら聞いていた。
それから1ヶ月後。
ノエルとフレアはある依頼を受け【ファンタジー】にある森の中の村に来ていた。
村長に今回の依頼を聞くノエル達。
なんでも、数日前突然、森の中にある神聖な湖に見たこともない熊が現れるようになったという事だった。
村の者としてはあの神聖な場所を守りたいのだが相手は見た事もない猛獣で手が出せない。
そこで、2人に依頼したとの事だった。
ノエル達は快く承諾し湖に向かう。
確かに神聖な場所だけあり、空気が清んでいてモンスターにも出会わなかった。
湖付近に来た時に突然2人の前に巨大な影が現れた。
2人はとっさに身構えたが、その巨大な影は一向に襲ってこなかった。
よく見るとそれは大きな白熊だ。
白熊は2人をじっと見つめた後、いきなり小さくなり始めた。
そして、その姿は小さい白熊が布にくるまれたような形になった。
どこかで見た事のある白熊に2人は考えた。
「あ、ラミィちゃんのそばにいた熊」
びっくりしたように思い出すノエル。
「確かにそうだよ」
フレアも頷く。
その声を聞いて白熊は2人に背を向けどこかに浮かびながら移動し始める。
2人は頷き合い後を追った。
そこは湖の側にある切り株。
切り株の側に何か布の塊が置かれていた。
ノエル達は近くによる。
そして、優しくノエルはその布の塊を抱き上げた。
その中には青い髪で綺麗な瞳をした赤ん坊がいた。
ノエルは知らぬまに涙が溢れていた。
フレアもノエルの肩に手を置いて泣いていた。
あの時、自分を助けてくれたそして助けられなかった命を感じる。
「ま~ま、ま~ま」
赤ん坊は精一杯手を伸ばしノエルに言った。
「フレア、この子育てよう」
ノエルは赤ん坊を見ながら言う。
「そうだね、こうやって出会えたのも何かの縁だし」
フレアは涙を溜めながら笑った。
「これからよろしくね、ラミィちゃん」
赤ん坊をぎゅっと抱きしめながらノエルは赤ん坊に言った。
それから数ヵ月がたった。
そこは巨大な剣が立つ場所。
あの事件が終わった後、そらにしか見えなかった剣は誰もが見える物となった。
そこにあの最後の戦いに参加したメンバーが集まっていた。
その中には他のエリアに行っていたココ。
旅をしていたはあと、ねね、ぼたんの姿もあった。
ねねとぼたんは旅から帰って今はポルカが作った家を拠点にして活動していた。
ノエルとフレアの間に少し大きくなった女の子がいた。
あれからノエル達に育てられているラミィだ。
成長が早くもう歩いて簡単な言葉を喋っていた。
驚いた事に昔の記憶があるらしく第五世代組に突っ込みを入れたりしている。
ただ、ノエル達との生活が気に入ったみたいでポルカの拠点に合流するのはまだ先のようだ。
今日の主役が現れた。
そらだ。
今日はそらが元の世界に帰る日。
「集まってくれてありがとう」
笑顔でみんなに伝える。
『そら先輩』
コピー先の記憶も甦っているメンバーはそらをそう呼んでいた。
そらは1人1人と握手やハグをして別れを惜しむ。
泣く者、笑顔で送る者、声援を送る者。
みんな、それぞれそらに自分の気持ちを伝えた。
そらはその言葉に答えながら思い出が甦った。
そらはあの戦いの後、この日までにメンバー1人1人に会いに旅をしていた。
そこで沢山の思い出をみんなにもらっていたのだ。
ゆっくりとそらは光に包まれる。
そらが見ている風景が歪んでいく。
それはそらが光に包まれているからなのか。
それとも目に溜まった涙のせいなのか。
もう、そらには分からなかった。
そして、そらは静かにこの世界から消えた。
最後に「絶対また会おうね」と言葉を残し。
そこは見慣れた部屋の天井だった。
あの日、えーちゃんにバーチャル世界へ体験ダイブの仕事を受けた私が連れてこられた部屋だ。
ヘルメットを取り、壁にかけられた時計を見る。
日付付きのその時計はまだ1日もたっていなかった。
向こうの世界で何年もいたような感覚だったのに…
時計と反対の方を向くとえーちゃんが笑顔で出迎えてくれていた。
お疲れ様、おかえり。
その言葉に私は自分の世界に帰ってきたのだと確信した。
その後は会社にバーチャル世界の体験を報告、えーちゃんから今回の問題も報告された。
あの世界は凍結ではなく時間の調整をされ、今一度念入りの調査をしながらそのまま様子を見る事になった。
あれから1週間。
私はこちらでの生活を楽しんでいた。
もちろん嫌な事もあったが、私には頼もしい友人や賑やかな仲間がいる。
「そろそろ始まるわよ」
ステージの横でえーちゃんに声をかけられる。
私は笑顔で頷く。
ステージを見ると跳び跳ねながら手を振る女性。
あの元気なのはみこちゃんだな。
今日はみんなでお披露目するライブの日。
私は一歩ステージへと足を進める。
これからまたみんなと新しい思い出を作る為に。
机の上に携帯が置かれていた。
ピピピピ
どこからかメールがくる。
メールにはこう書かれていた。
『Have you event wanted to visit a place that’s a world apart』
※この後、ホロライブ・オルタナティブのfull.PVをご覧になった後後書きをお読みください。
「みんな、ただいま」