二人のオルフェノクがぶつかり合う少し前 Side十六夜
「む!?…」
「可笑しいわね…この時間帯ならもっと人が居る筈なんだけど…」
「ああ、確かに人の気配がほとんどしないな…」
診療所へ着くと異様な雰囲気を感じ取り俺は恵にも警戒するように促した。
「これは!…」
診療所内に入ると周囲にはいくつもの灰が積もっていた。
勿論只の灰などではない。
辺りにいくつものの警備員服や白衣、後はナース服が一着だけ散乱している事からまず間違い無くオルフェノクの手によるものである事は明白だった。
「お、遅かったのか?…」
俺は一番最悪な事態に陥ったのかと思いおもわず頭を抱えた。
「うう…」
「生存者か!おい大丈夫か?!」
「この人、確か武藤先輩の彼女だわ!」
「し、清水さん!?それに貴方は?…」
「俺も同じ学生だ。此処に搬送されてきた先輩の事が少しばかり気になってな…」
「そ、そうなの…」
「それよりも何があったのです?」
「そ、それが…」
俺は受付で気を失っていた女性を起こすとどうやら件の先輩の彼女さんだったようで詳しい事情を聞いた。
それと彼女からする気配は人間のままだったので運良く助かったようだ。
「何だって!?…それは本当ですか?!」
「ええ、とても信じられないかもしれないでしょうけれど全て事実なんです…」
「…」
俺達は彼女から話を聞いて驚いた。
件の先輩の手術が失敗に終わってしまい失意に暮れていたら突然診療所内に烏賊の様な姿をした化物、クラーケンオルフェノクが意味不明な事を叫びながら看護師達を次々と殺していった事、女性看護師はどうやら自ら盾になってくれた看護長さんのおかげで全員逃げおおせたがどうも彼女だけは恐怖で腰が抜けてしまい逃げ出せなかった所にもう一人別のオルフェノクが突然横から現れ自分を襲おうとしてきたクラーケンオルフェノクを吹き飛ばし外に出て行ったとの事だった。
成程、おもわず最悪の事態を想定してしまっていたがどうやら別口のオルフェノクの仕業だったのか。
ふと開け放たれていた奥の扉が気になり覗く。
先輩は此処で治療を受けていたが結局…といった所か。
だが彼の遺体は何処にも無くまず間違い無くクラーケンオルフェノクを撃退しようとしているオルフェノクの正体がオリジナルに覚醒した先輩であるのは明らかだった。
だが覚醒仕立てで勝てる程オルフェノクの世界は甘くはない。
殺しに慣れてしまっている様な奴が相手では非常に分が悪いのは明白だ。
「恵はその人の傍に居てやってくれ」
「分かったわ!気を付けてね!」
「ああ!」
恵に彼女の事を任せて俺は先輩とクラーケンオルフェノクを探しに急いでオートバジンを飛ばしながらアスタルに変身する。
「!あそこか!」
少し先の他に人気の無い河原でクラーケンオルフェノクと先輩が変身した虎型のオルフェノク、タイガーオルフェノクが争いあっていた。
お互い恐らくオリジナル…だが目に見えてタイガーオルフェノクの方が劣勢である事は明白だった。
「不味い!?間に合えー!」 <Ready!>
タイガーオルフェノクは振り上げた手刀を防がれクラーケンオルフェノクから反撃されて吹き飛ばされ元の先輩の姿に強制的に戻り気絶してしまう。
クラーケンオルフェノクは更なる追い打ちをかけようとしており俺は急いでアスタルエッジを引き抜き構え勢い良く奴の伸ばしていた触手へと目掛けて投擲し斬り飛ばした。
触手を斬り落とされたクラーケンオルフェノクは痛みに悶える。
「な、何だテメエ!?…」
「これ以上こんな所で暴れるのはやめるんだ!」
「五月蠅い!俺の邪魔をする気ならお前も排除してやる!」
片腕を斬り飛ばされても尚クラーケンオルフェノクは俺に反撃を仕掛けようとしてくる。
「チッ!…これ以上の説得は無駄ときたか…最早止むを得ないようだな…」
「何をゴチャゴチャと!」
俺は奴の説得は不可能だと悟りエッジを回収し再度構える。
クラーケンオルフェノクは更に激昂し残った触手を伸ばしてくる。
だがその程度の動きに遅れをとる様な俺ではない。
「ふっ!はっ!」
アスタルエッジで触手を次々と斬り裂いていくと奴は丸腰になる。
「そんな馬鹿な!?…だ、だがこいつならどうだあ?!」
「おっと!」
そういうとクラーケンオルフェノクは今度は口元や脚部等から黒墨を吐き出してきた。
俺は難無く回避するが墨が散布された箇所にあった草花はドス黒くなって仕舞いにはすっかり枯れ果ててしまっていた。
「直撃は避けないと流石に不味いようだな…先輩だってまだ居るしな…」
「そらそらあ!」
逃げ場を無くそうと次々と墨を放ってこようとしてくる奴を見て俺は先輩に当たってしまいかねないのを防ぐ為に上手く立ち回る。
「ははははは!」
案の定俺だけに狙いを絞って墨を連射してくる奴だったがその程度!
「悪いがここらでジ・エンドだ!」 <BURASTMOOD>
「んなっ!?…」
回避しながら一気に距離を詰めた俺はアスタルフォンをドライバーから素早く取り外してゼロ距離で弾丸を全弾連続で奴の腹へと撃ち込んだ。
「ぐっ!?…お、俺は…」
流石にオリジナル体の奴であってもこの攻撃は堪えたようで穴の開いた腹を抑えながら呻いた。
「遺言くらいは聞いておいてやるよ」
「だったら…どうかあの糞医者の野郎の悪事を暴いてくれ!…頼む!…」
「分かった…!」
「あ、ありがとう!…愛奈子…今度こそ俺もそっちに逝くからな……」
俺は人間体に戻った男が取り出してきた紙を受け取った直後、男はフォトンブラッドに焼かれて消失した。
「さてと…」
俺は武藤先輩を回収し帰路に着いたのだった。
感想もっとほちい…
正史郎をオルフェノクにするか否か?
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する!
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しない