Side徹
「…う…此処は!?…」
「俺の家だ、やっと目を覚ましたようだな」
「君は?はっ!?…そうだあの化け物は!?…」
「俺は神原 十六夜、数ヶ月前にこの村に引っ越してきて同じ学校に通う生徒の一人だ、とりあえずまずは一旦落ち着いて下さい、先輩の身に起こった事も含めて話してやるからよ」
「え?」
僕は知らない人の家で目を覚ます。
ああそうだ…確か診療所が不気味な灰色の化物に襲われてそして…律子さんまでもが襲われそうになって無我夢中でそれで…。
「まずは先輩が戦り合ったあの診療所を襲った灰色の怪物は説得不可能だと判断した俺が最終的に手を下すかしかなかった…」
「そうですか…」
「それと先輩の身に起きた事だが…アンタは一度死んでオルフェノクとなったんだ…診療所を襲った奴と同じオリジナルのな」
「お、オルフェノク?…」
「ああ、オルフェノクは死を経験した人間が類稀に転生した人類種の進化系だといわれている…先輩は事故死という自然的な死を一度迎えた事でその中でも最も基礎能力や特異性が高いオリジナルへとなった…先輩が対峙した奴も恐らくはオリジナルだったようだ」
「僕も化物に…」
僕は神原君の話を聞いて絶句するしかない。
そういえばあのオルフェノクも死んでも死に切れなかったと言っていたような…という事はもしかしてあの彼は…。
「何故そんなにお詳しいのですか?…」
「…俺も実はオルフェノクだからさ…」
「!…」
神原君は静かにそう語る。
「アンタはこれからどうしたい?人間のままの心でオルフェノクの生を全うするか…それとも拾った命を捨て去ってしまうか…」
「…」
神原君にそう言われて僕は即答出来ずに悩んでしまう。
死を確定された挙句に化物にまでなってしまった僕は最早家に帰る事すらも叶わないだろう…それ所か…
「無理に答えを急ぐ必要は無いさ…だが武藤先輩、アンタの今はもうアンタだけの物じゃない筈だ」
「!」
悩む僕に神原君はそう告げてくる。
そうだ僕は!…
「生きます!…僕はまだ彼女を残して逝く訳にはいかないんだ!…」
「そう言うと思っていたよ…それじゃあこれからの事について話し合おうじゃないか!」
僕の決意を聞いた神原君はその後、同じ学校の生徒である清水さんや地方ローカルアイドルとして活動している羽山さんを呼んで更に詳しく説明してくれた。
彼女達も事情は違うがオルフェノクらしいのには驚いたが。
Side十六夜
「さてと…オルフェノクについての説明はこれで終わりだ。
次は…屍鬼、起き上がりについてだ」
「!?それって…」
俺がそう告げると武藤先輩は驚いた顔をする。
「やはり口伝で知ってはいたか…この村で連日起きている奇妙な事件はほとんどが起き上がりによるもののようだ…だけど彼等は純粋に生きたい理由があるだけ…例外はいれど俺は彼等を悪だとは思えないんだよな…」
「…起き上がりが本当に…オルフェノクになった僕が言ってもあれですが…」
俺が起き上がりについての考察を述べると武藤先輩は非常に難しい表情をする。
「もう一つ、あのクラーケンオルフェノクの男性から最後に受け取った物についてだ。
それにはあの診療所の院長の悪事が書き記されていた…かなり嫌悪感を覚えるものしかなかった」
「酷い!…」
俺はクラーケンオルフェノクの男性から受け取っていた物を皆に見せた。
その内容はこれが本当に人間がやった事であるのかと激しい嫌悪感を覚えたものだ。
「只これだけじゃその屑の一族の保身の為に握り潰されてしまう可能性が非常に高い…」
「それは…」
「ああ、俺は他にも人には言えない事をやっているのはでないかと踏んでいる…人命を軽んじるこんな屑だと起き上がりの彼等にも確実に害が及ばされるに違いない!
それに…」
「それに?」
俺が口籠ると武藤先輩は疑問を問いかけてくる。
「既に先日の件は当然だが単なる謎の集団行方不明事件として報道処理がされている…生存者も本当の事は言い難かったのかもしれないだろうが…その屑院長の事だ…自らをも破滅させかねなかった爆弾を抱えていた共犯者をあわよくば手際良く始末出来たと思っているかもしれん…もし奴と接触する時は人間だと思わない方が良いな…」
「分かりました…」
「さてとそれじゃあもう少ししたら行こうか」
「え?…」
「起き上がりの根城だよ」
俺は先輩達を連れて桐敷邸へと再び向かった。
正史郎をオルフェノクにするか否か?
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する!
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しない