Side十六夜
オルフェノクである俺達でさえも尾崎診療所の院長が人間的にかなりヤバイ輩であると危機感を抱かせた奴の事を屍鬼達に知らせる為に夕暮れ頃迄待って再び桐敷邸へと足を運んだ。
「あら?またお客様…まあ!またお越し下さったのね!」
「やあ!」
砂子ちゃんが俺に気が付いて顔を綻ばせる。
「こんな幼い子が…」
「起き上がりの実質リーダー…」
砂子ちゃんを見た武藤先輩と羽山さんが驚愕する。
「それで今日は何のご用なのかしら?」
「警告にきたんだ」
「警告?」
「ああ、この村にある尾崎診療所の人間には出来うる限り手を出さないでくれ。
先輩の恋人も居るし、特にあそこの院長がかなりヤバイ人間のようなんだよ…奴が君らの存在に感付いたらほぼ確実に排除に動きかねない」
「…」
俺が尾崎の事を砂子ちゃんに説明すると彼女は難しい顔をしていた。
「分かったわ、同胞達には私からちゃんと言い聞かせておくわ…でも…」
「何か他の問題が有るのか?」
「ええ…私の母親代わりが居るんだけどね…彼女って良くも悪くも起き上がりらし過ぎるのよ…」
「ああ、そういう事か…」
俺が偶然にも始末をつけた変態司書の起き上がりの男の一件があってから万が一を考えて吸血しに行く時は二人以上での行動を推奨させる事にした。
だがそうした中でも砂子ちゃんの母親代わりだという起き上がりは単独行動を貫いているみたいだ。
自由奔放が過ぎるせいでまるで危機感を抱いていないという事か…。
「ねえ…その起き上がりの人ってもしかして金髪の?…」
そこで恵が砂子ちゃんに問う。
「ええ、間違い無くうちの千鶴ね…そういえば貴方は彼女に襲われた経験があるのだったわね…」
「…」
砂子ちゃんがそう答えると恵は一瞬こわばった表情を見せるがすぐに何時もの可愛らしい表情に戻った。
「今では逆に感謝しているわ…だってこんな素敵な人と巡り逢わせてくれたもの!…」
「恵…!」
顔がついにやけてしまうのを抑えて俺は続けてもう一つ砂子ちゃんに質問を問いかける。
「そういえば客人が他にも来ていたって言っていたけど…」
「ええ、起き上がりの存在に好意的に捉えてくれた人間が少なからず居るの。
一人は屋敷の住人で唯一の人間、そしてもう一人はこの村の若お坊さんよ」
砂子ちゃんはそう答える。
「村のお坊さんというと間違い無く室井家の現当主のお兄さんの事だね」
この村に詳しい武藤先輩がそう告げる。
「その人とも一度話してみたいな…なら先にもう一人からの話を聞いてみたいかな。
居るんだろ?」
「ええ、今頃猟銃のお手入れをしていると思うから呼んでくるわ…それともうすぐ夜も更けてくる…時期に皆も戻ってくる頃合いね。
折角の機会だから顔合わせくらいはしておいても良くないかしら?」
「ああ、お言葉に甘えて…っと恵は家に…」
「大丈夫よ、お父さんにはもう彼氏の家に泊まるって言ってあるから!お父さん凄くビックリしていたけどね」
「そ、そうか…」
俺は別のプレッシャーを感じたのであった。
気を取り直してしばらく待ち俺達は他の屋敷の者達と対面する事になった。
正史郎をオルフェノクにするか否か?
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する!
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しない