天狐の使徒と屍の鬼が紡ぎし狂想曲   作:カオスサイン

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EPⅩⅥ「狂気の暗雲」

Side十六夜

「こうも短期間の内に立て続けにオリジナルへの覚醒者が出るとはな…」

羽山さんからまたオリジナルオルフェノクへの覚醒者が出たと報告された俺は話をする為に彼女達を家に呼び出した。

「おるふぇのく?…」

「そうだ、一度死した者達…だけど不幸中の幸いかオルフェノクに転生を果たした」

「そんな事が…」

俺がオルフェノクについて覚醒者の青年に教えると彼は驚愕していた。

「敦君だったか?何にせよ君はその力に溺れる事無く罪の無い人間達を守った…それは誇りに思って良い」

「それは…」

「それともう一つ知っておいてほしい事がある」

「もしかして起き上がりの事ですか?」

「ああ、彼等も一部を除いて只必死に生に焦がれているだけだ…それを否定する権利なんか何者にも初めから無いのだという事を…」

「…」

青年、敦は俺の話を黙って聞いていた。

この様子ならこれから先も力に飲まれる可能性は限りなく低いだろう。

しかし…過剰な心配だとは思うが用心しておくには越したことはないか…。

 

その頃、Side敏夫

「…ありがとう、君は漸く私の役に立ってくれたようだ」

「んンー~!?」

「これはよもや病などではない…人間ならざる者共の振り撒く死という名の伝染だ!」

診療所に積もった灰に目もくれずに敏夫は地下で狂喜したかのように拘束したある女性を見下ろしていた。

その女性の名は尾崎 恭子、敏夫の妻だった。

但し両者の間には愛など微塵もない金銭絡みだけの関係だった。

そんな恭子は自分でも知らない内に起き上がりに襲われており自身も起き上がりとなってしまっていた。

その自覚も無い内に人を人とも思わない悪魔の元へと戻ってきてしまった。

恭子の異変に気が付いてしまった敏夫はこれ幸いとばかりに彼女に対して非人道的な実験を繰り返し行う。

そして

「お前達の生態は良く理解した、さよならだ化け物」

「んぐぐぐー!?」

敏夫の無慈悲にも振り下ろされたメスが泣きはらし解放を懇願する恭子の心臓を貫き彼女は絶命させられてしまった。

「ふう…これは村人達にも伝えなくてはいけないか」

その行為が正真正銘の化け物の怒りを買う愚かな行いであるという事にも気が付く由もないまま彼は命を奪った恭子の遺体を処理しながら次の行動に移る手筈をとるのだった。

 

数日後 Side徹

「く、クソがあ!?な、なんで邪魔をするんだよ!?」

「砂子ちゃんから聞いていないのかい?緊急を要するのでないなら人間を無暗に襲ってはいけないと…それに君さありっちゃんの事を良くない目で見てたよね?

彼女は僕の大切な人だ」

「!?……」

「ふう…」

りっちゃんの事を影ながら守っていた僕はふと気が付く。

診療所にここ数日尾崎先生の姿が無い事に…。

「一応十六夜君に伝えた方が良いかもしれないな…」

 

Side十六夜

「尾崎の姿が見えない?」

「そうなんだ」

徹先輩からそんな事を聞かされた俺は訝しみ思案する。

「真逆…尾崎って母親以外の身内は…」

「確か隣町に住んでいる奥さんが居るって話をりっちゃんから聞いた事が…」

「それって別居状態だって事だよな?…」

「だよね…」

おいおいマジかよ…そこまで気が回らなかったぜ…

「非常に不味いかもしれん!…」

あの男の事だ…別居状態だという事はそこに最早愛なんて皆無だろう…その奥さんがもしも起き上がりになっていたとしたら奴は平気な顔して非道な事を仕出かすのは目にみえている!

「今すぐ砂子ちゃん達に伝えなくては!」

俺はアスタルフォンを取り出し桐敷家に電話をかけた。

「『もしもしどうしたのかしら?』」

「尾崎に君達の事がバレた可能性が有る!」

「『えっ!?…』」

「恐らく襲った人間の中に尾崎の身内が居た…兎に角今は派手に動かない方が懸命だ。

対策を立てる為に今からそっちに…」

「『あっ!?…』」

俺がそう告げると砂子ちゃんは思い出したかのように叫ぶ。

「『不味いわ!…まだ千鶴が帰ってきていないのよ!』」

「んなあ!?」

砂子ちゃんの言葉に俺は慌てた。

「俺達が総出で探す!」

「『お、お願いするわ』」

俺は通話を切り恵達にこの事を伝え千鶴さんを捜索することとなるのだった。

 

正史郎をオルフェノクにするか否か?

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