天狐の使徒と屍の鬼が紡ぎし狂想曲   作:カオスサイン

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狐モチーフのライダーが公式で出てくるとは…こっちは怪人やけど


EPⅤ「不穏」

Side刹那

俺が清水さんに使徒再生を施した二日後、彼女は又元気に登校してきていた。

それを見てほっとする。

どうやらまだオルフェノクになってから訪れる禁断症状には見舞われてはいないようだった。

もしも陥って無闇に人間を襲ってしまわないように見守らないといけないな。

「…」

こっちの問題は一応片付いたがもう一つの問題が未だ分からない事だらけである。

「どうするべきか…」

再びあの屋敷を訪れる必要性があるとふんだ俺は早速行動に移した。

清水さんの事は今は純子さんに任せておこう。

そして陽が暮れる寸前の時間帯を狙って俺は件の屋敷へと再び足を踏み入れた。

「おおーい誰か居るのか?…!」

恐る恐る呼びかけながら奥へ奥へと歩を進めていくとリビングらしき場所から異様な気配を感じ取ったので其処をそっと覗き込んだ。

「あら?…この屋敷に侵入してくる勇気あるお客様が居るなんて意外だわ!…」

すぐに其処に居た可愛らしい黒髪ロングの少女に気付かれてそんな声をかけられる。

どうやらアスタルに変身した俺に蹴りを入れてきた男はいないようだ。

「君がこの屋敷の主人かい?…」

少女に俺は違和感を感じる。

少しばかり警戒しながら尋ねると謎の少女はこう言ってきた。

「ええそのつもりよ…聞きたい事はそれだけかしら?…ならあたしからも質問するわ。

貴方一体何者なのかしら?」

「…」

謎の少女の言葉に俺は少しばかり思案する。

俺の考えが正しいとするならこうするしかなさそうだ。

「俺の事が知りたいならその前にお嬢ちゃんの体を確認させてもらいたいんだけど?」

「貴方もしかしてロリコンという奴かしら?…」

あ、ナチュラルにセクハラしちゃった事に気が付かれて少女はドン引きする。

「い、いやそのつもりはなくてちょっと確信を得たくてな」

「…まあ良いわ。普段なら他人に触れさせる事なんて無いんだけど」

「脱がなくて良いんすけど!?」

「冗談よ」

「ったく…それじゃあちょっと失礼…」

少女は俺をからかいながらも触れる事を許可してきたのでそっと彼女の右肩に触れる。

「!…」

この子心臓はあれど脈が無いのか!?…やはり俺が立てた仮説は正しかったようだな。

「もう良いかしら?」

「ああ…」

俺は手を離し一息ついた直後に自身の疑似心臓を一時解除する。

「それじゃあ貴方の事について教えて貰えるのかしら?」

「ああ、俺は神原 十六夜、まずは俺の胸板に触れてみてくれ…」

「分かったわ…」

今度は少女が俺の体に恐る恐る触れる。

すると彼女の顔つきが変わった。

「!?ど、どうして貴方、心臓が無いのに生きているの?!…」

少女は本来ならばありえない事象に驚きを隠せない。

「それは俺が一度死を経験してオルフェノクに覚醒したからなんだ」

「お、おるふぇのく?」

俺の言葉に少女は訳が分からないといった表情をする。

「まあオルフェノクの生態については未だに判明出来ていない事が多いんだけど進化した人類なんていわれてる。

心臓を必要としなくなった事、超人的な能力への目覚め、とある物質と寿命を除けば基本死ぬ事がなくなる…そんな半人半怪物になったのさ」

まあ俺の場合はフォトンブラッドを過剰に浴びなければ寿命による死も関係無くなっているのだが。

俺は少女の目の前でオルフェノク体に変身する。

「…す、凄いわ!そんなありえないであろう存在が居るだなんて!」

少女は興奮気味になっていた。

「あまり良いものではないけどね…それより君の体は一体?…」

「私はね小さい頃から病に長い間苦しんで一度死んだのよ…だけどこんな不便な体になって生き返った…いえ彷徨い続けているといった方が正しいわよね…」

少女、桐敷 砂子ちゃんは語り出す。

死んだ筈の己が生きていてだがしかし生者とはとても言えない体に成り果ててその苦しみに耐え忍びながら今も陰でこうやって生活しているのだと。

「私達、屍鬼と呼ばれる存在は陽の光を浴びる事も許されない上、人間の血を定期的に摂取しなければ飢えに苦しむ末路が待っているだけ…だからこそこの村を安寧の地としたいのだけど…」

「成程…いわばオルフェノクにすらも成り損ねた者達という事か…」

俺達と違い人間の血以外は受け付けない上に心臓以外の機能のほとんどは死んでいる不便な体に成り果てた彼女達の苦しみは相当なものだろう。

「ねえ、そのしとさいせい?だったかしら…それを私に…」

「…恐らく無理だな…」

砂子ちゃんはなれるならとオルフェノクになる事を望んできた。

だけど成り損ねて屍鬼という存在になってしまったという事を考えるとその素質がそもそも備わっていないという事…もしこの場で彼女に使徒再生を行ったとしてもオルフェノクにはなれず体が只灰化してしまうだけという末路を辿るだけだ。

「そう…」

俺がそう告げると砂子ちゃんは残念そうな顔を浮かべる。

こればっかりは俺でもどうしようもないのだ。

「ねえ、もしかして貴方の知り合いに居るのかしら?」

「他のオルフェノクの事か?ああ、二人居るぞ。

一人はなった事すらもまだ知らないんだけどな…」

「貴方達の血は吸えそうにないようだし今後は是非共仲良くしたいわね!」

「不用意に可笑しな事しなければこっちも手出しはしないつもりだよ」

「そういえば貴方の同級生を襲おうとして倒された同胞の事だけど不問にするわ…あの男は十歳に満たないまだ屍鬼にすらなれない子供も無作為に襲っててこっちも手を焼いてたから」

「そうか」

年齢が満たないとそもそも体の変化についていけなくなるようだな…そこもオルフェノクとは違う所か。

「とても有意義な時間だったわ…貴方達の事は信頼出来る仲間にしか言わないから安心して」

「そうしてくれると助かる」

砂子ちゃんと約束を交わし俺は屋敷を後にするのだった。

 

少し時を遡り、Side純子

神原君が再び桐敷家の屋敷へ調査に向かったので私は清水さんの事を任されたので何時も通り彼女と一緒に帰路に着いていた。

そこに

「フウぅ!…」

街灯の物陰から明らかに不審な男が現れる。

「!コイツ…」

私はすぐにその男が同類である事を理解する。

だが覚醒したてだからか禁断症状を抑えられていない。

そのせいか私達が同胞である事すらも分かっていないようだ。

「ひっ!?…」

「清水さん私の後ろに!」

「う、ウガアー!」

まだ自分の秘められた力に気が付いておらず怯える清水さんを私は庇う。

対する男は雄叫びを上げながらバッファローオルフェノクへと変貌し襲いかかってきた。

私はすぐさま反応してバッファローオルフェノクの手刀を受け止めた。

「どうやら説得は難しいようね…仕方無いわ…清水さん出来るだけ私達から距離を取って陰に隠れてなさい!」

「え?」

「早く!」

「わ、分かったわ…」

私は清水さんにそう言ってフォトンブラッドの影響が及ばない距離まで避難させた。

「初めて使うけどやってみせるわ!」

念の為にと神原君から預けられていたデルタギアを私は装着する。

「変身!」

<Compleate>

「はっ!」

「グウッ!?…」

デルタに変身した私はバッファローオルフェノクにパンチをお見舞いする。

凄い!…コレが草加君の扱っていたカイザギアのプロトタイプの力…。

「はあっ!」

続け様にキックを入れて奴の御自慢の角の片方を蹴り折った。

「グオオオー!?」

<BURSTMOODE>

角を折られて痛みに悶える奴を見て私はデルタミッションメモリーを装填しデルタギアの更なる力を解放する。

「もう一本も折ってあげるわ!」

「ウギィ!?…」

デルタのエネルギー弾を撃ち込んでもう片方の角も折ってやった。

「そこまで己を抑えられなかった不甲斐無さを恨みなさい…チェック!」

<ExceedChage>

「やああああー!!」

トドメのルシファーズハンマーを繰り出してバッファローオルフェノクを蹴り貫く。

「!?!?……」

そこで漸く正気を取り戻したのか元の男の姿に戻るが時既に遅くフォトンブラッドの炎に焼かれて奴は灰となり果てた。

「アンタを焼いた罪は背負ってやるわ…」

変身を解除した私はそう呟きながら夕風に吹かれ散っていく遺灰に手を合わせるのだった。

「じゅ、純子ちゃん!今のは一体何なのよ!?」

「あんまり騒がないで欲しいのだけど…詳しい説明は神原君からされるから…清水さん貴方の身に起こった変化についてもね」

「え?…」

隠れて避難して成り行きを見守っていた清水さんが叫ぶ。

対して私がそう言うと彼女はぽかんとしていた。

神原君さっさと戻ってきなさい…。

 

正史郎をオルフェノクにするか否か?

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