天狐の使徒と屍の鬼が紡ぎし狂想曲   作:カオスサイン

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EPⅦ「苛まれる生命PARTⅠ」

Side?

ドサッ!

「キャー!?」

「ヤッベ!?やっちまったのか?!…」

「お、俺達は悪くないぞ…」

「お前達一体何をそんなに騒いで…うわ!?…は、早く保健の先生を…いやそれとも救急車か?!」

「うぅ…」

一体何だ?…なんだか頭が凄く痛い…アレ?僕何でこんな状況になっているんだっけ?…律子さん…。

 

Side十六夜

「一体何事だ?」

俺が恵と無事に結ばれてから数日が経ったある日の昼休みの事だった。

教室から外を覗いてみて見ると何やら一騒ぎが起きていた。

「大変!どうやら三年の武藤先輩が階段から落ちて頭を打って大怪我を負ったみたいって!…」

「え!?またどうして?!」

クラスメイト達の話を聞いてみる。

「二年の不良連中共が別クラスの女子生徒に執拗に絡んでいた所を止めようとしていたらしいの」

「それでその不良連中が逆切レしておもわず武藤先輩の事を?…」

「そうみたい…」

「事故…ま、真逆な…」

「十六夜君どうしたの?!」

「その先輩ちょいと不味いかもしれない…」

「それってもしかして…私も行くわ!悪いけど代わりに私達の早退届出しといて!」

「え?ちょっと神原君、清水さん!?ああもう!分かったわよ!」

俺はクラスメイト達の話を聞いて嫌な予感を感じすぐに診療所へと向かおうとする。

オルフェノクの特性を知っている恵も俺の慌てように事態を察したようで後を追ってきた。

 

その頃、Side?

「律子ちゃん、こっちをお願いね」

「は、はい!」

私は国広 律子、外場村唯一の診療所である尾崎医院で看護師として何時も忙しく働いている。

そんなとある日の事だった。

「重症患者です!通して下さい!」

「あらやだ事故かしら?…」

慌ただしく院内に入ってきた救急隊の皆さんに同僚が呟く。

「…え?…」

だが運び込まれてきた患者さんを見て私は頭の中が真っ白になってしまった。

その患者さんが自身の愛した人だったのだから。

「徹君!?そ、そんな!?…しっかりして!」

「ううう…!?」

私は慌てて駆け寄って呼びかける。

かろうじて息はあったものの頭部の傷が酷かった。

早く処置を施さねば死んでしまう。

だけどタイミングが悪い事に院長である敏夫先生は医学学会の出演の為に今は都会に出ていて不在だった。

こんな難しい手術が可能な医者など他にはいなかったのだ。

「せ、先生は!?…」

「急ぎ連絡致しましたが今はどうしても抜けられないと…」

「そんな!?…でしたら他の方を…」

「それでは間に合わないかと…」

敏夫先生が戻られない事を知って私は絶望した。

都会から別の先生を呼んできたとしてもかなりの時間を要してしまう…その間に徹の容態が悪化してしまいかねない。

「兎に角集中治療室に搬入させて!出来うる限りの手を尽くすわよ!」

「皆さん!…」

同僚達に励まされて私は一旦落ち着き透の応急処置に加わった。

だが…

「だ、駄目だ!…予想以上に傷が深くてこれ以上は我々の手には負えない!…」

「徹君!?…死んじゃ嫌ー!私を置いていかないでえー!…」

残っていた者達の手だけでは本当にほんの少しの簡易な治療しか施せずにその甲斐も無く透の命の灯火はかき消えてしまった。

「徹君…」

私が絶望に暮れたまま治療室から出たその時だった。

「お、尾崎を…あの藪医者野郎を出せえー!」

「え!?…」

そんな声が聞こえてきたので何事かと思うと見た事の無い灰色の不気味な化物が現れたのだ。

周囲は当然その化物に対しパニックに陥った。

「お前何をしている!?」

そこで騒ぎを聞きつけた警備員の人達が駆けつけてくる。

だが…

「邪魔をするなああー!」

「ぐおっ!?……」

「ぎゃあ!?……」

灰色の化物が腕を触手の様に伸ばしたかと思うと警備員さん達に突き刺した。

その瞬間、彼等の体が灰のように崩れ去ってしまったのだ。

「ば、化物だあー!?」

そんな瞬間を目の当たりにした生き残ったもう一人の警備員さんは逃げ出してしまった。

「フン!…おいさっさと尾崎の野郎を出せと言っているだろう!」

逃げ出した警備員さんには目も暮れずに化物は私や同僚達に詰め寄ってくる。

「あ、生憎ですが尾崎先生はただいま研修中で不在でして…」

「何だと!?…まあ良い…あんな屑野郎が院長の診療所なんかで働いてるあんた達も同罪だ!全員まとめて俺の妻に詫びてこいやあー!」

「ぐわあああー!?……」

化物は意味不明な事を叫びながら男性の同僚達が一人、又一人と灰にしていってしまう。

「はははは!あの屑野郎の絶望した顔が目に浮かぶ!…」

「ヒッ!?…」

「嫌あああああー!?」

化物が今度は女性達に魔の手を伸ばそうとしてくる。

「危ない!…」

「は、橋口さん!?…」

最年長であるチーフの橋口 やすよさんが化物の触手を受け止めていた。

「あんた達早くお逃げ!この化物はあたしが何とか食い止めてみせるさね!」

「でもそれじゃあ橋口さんが…」

「早く!」

心配する同僚達だったがやすよさんにそう叱責され急いで外に逃げ出していった。

「ああ!?…」

「律子!?あんた腰が抜けて!?…」

だが私は恐怖ですっかり腰が抜けてしまいその場から動けずにいた。

「糞ババアが!さっさと其処を退け!」

「ぎゃ!?……」

激高した化物はもう片方の触手を伸ばしてやすよさんに突き刺して灰にしてしまった。

やすよさんまで化物に灰にされてしまい私はいよいよ己の命が此処で終わってしまうのだと悟った。

だが… 

「グウウウウ!…」

「何!?俺と同じ…ぐわっ!?」

「な、何!?…」

もう一体の灰色の化物が突然現れ私を襲おうとしていた化物を吹き飛ばしたのだ。

あまりにもの出来事に頭の処理が追い付かずに私はそこで気絶してしまった。

 

正史郎をオルフェノクにするか否か?

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