白き流星のレコンギスタ   作:紅乃 晴@小説アカ

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第九話 乱舞、Gセルフのコア・ファイター!(2)

 

 

 

私、アイーダ・スルガンは今、メガファウナの甲板上で攻め入るキャピタル・アーミィの飛行部隊との対空迎撃を行っています。

 

 

「うわぁあああ!?す、滑るぅう!?」

 

 

そして、私の背後にあるハンガー内ではGセルフのコア・ファイターが宇宙用耐火マット上で右往左往と暴れ回っています。

 

 

「ベルリ・ゼナム君!?なにをやっているのですか!」

 

 

迫ったキャピタルのカットシーの羽を狙撃ビームライフルで撃ち抜いたアイーダは声を荒げた。こっちは遊んでいる場合ではないというのに、Gセルフのコア・ファイターはまるで言う事を聞かないじゃじゃ馬のような状態だ。

 

 

「このコア・ファイターの操縦が難しいんです!!」

 

《姫様!ベルリくんのコア・ファイターをGセルフに押し込んでやってください!》

 

 

飛び込んできたドニエル艦長の声に、アイーダは思わず素っ頓狂な声をあげてしまった。こっちは今まさにキャピタルのMSをメガファウナに近づけないようにするために必死なのですよ!?

 

 

「そんな無茶ですよ!?だって、勝手に飛び回ってるんですもの!!」

 

 

だいたい、コア・ファイターがスラスターを吹かして暴れまわっているのだ。メガファウナも高高度飛行に備えてグングン上昇している。足場も安定しない中で、暴れ回るコア・ファイターを捕まえてGセルフに突っ込むなど無茶以外の何者でも無い。

 

そんなやりとりをしてる最中、折り畳まれていたコア・ファイターのウイングが展開した。

 

 

「ウイング展開!?と、飛ぶのか!?」

 

 

グンッと押し出されるような感覚とともに、ベルリを乗せたコア・ファイターはアイーダのアルケインの股下を潜り抜けて大空へと飛び立ったのだ。

 

 

「飛んじゃってーー!?」

 

「うおぉおおあーー!!」

 

 

飛んで、キャピタルのカットシーが目の前にいるのだから!!

 

 

「こんなのぶつかっちゃうでしょう!?」

 

 

咄嗟に引いたトリガーに連動して、目の前にいたカットシー目掛けて機銃が放たれる。突如として上がってきた戦闘機に目が奪われたことと、放たれた機銃にふらついたカットシーのおかげで、ベルリのコア・ファイターは正面衝突をなんとか避けることができた。

 

 

『何だ!?今の機体は!?』

 

「Gセルフのコア・ファイターか!?」

 

 

敵味方入り乱れる空域を一直線に離脱してゆくコア・ファイターを、カーヒルやグリモアを相手にするマスクも目撃した。

 

戦闘機は大気圏用グライダーと同じ理論なんだから操縦できるようになれよ、とベルリが操縦桿を握りしめる。と同時にそばを通ったラリーとレイカの機体の風圧で煽られ、コア・ファイターは姿勢を崩した。

 

しこたまコンソールに頭をぶつけたベルリは、目が回るような光景に目を向けた。

 

 

「あっちがラリー隊長で、こっちはカーヒル機で…ええ!?そりゃだめでしょう!?」

 

 

状況を把握したときにはすでに手遅れだった。迂闊に近づいたクリムのモンテーロの頭部を、マスクのエルフ・ブルックが鷲掴みにしたのだ。

 

 

「ちぃ!メインカメラが!?」

 

『ふははは!!海賊のモビルスーツをガラクタにしてやろう!!文字通り、貴様らにはジャンクがお似合いなんだってなぁ!!』

 

 

出力にものを言わせてモンテーロの頭部をねじとったマスクは、トドメと腕部のビームの銃をモンテーロに向ける。このままじゃあの天才パイロットが落とされる!

 

 

「このぉおお!!水の玉だ!」

 

 

咄嗟の判断で、ベルリは救命装置とスラスターの冷却材としても使われる水の玉を、クリムの機体に迫るエルフ・ブルックの頭上に投下した。

 

人が一ヶ月生き延びることができる水が高密度に内包された「水の玉」は、その内部の水圧をすべて開放してビームを打とうと迫っていたマスクの機体を水で包み込んだのだ。

 

 

『な、なんだ!?海に落ちたのか!?み、水だとぉ!?』

 

 

水圧を想定されずに製造されたエルフ・ブルックのコクピットには、隙間から水が吹き出してきていた。それに気取られたマスクの隙をついて、頭部を失ったモンテーロと、ベルリのコア・ファイターは一気に離脱する。

 

 

「ベルリ・ゼナム!戻ってGセルフとドッキングなさい!」

 

 

眼下を見ると、アイーダがアルケインを使ってコア・ファイターが引っこ抜かれているGセルフを甲板に引っ張り出してきていた。

 

 

『あの機体のコア・ファイター?行かせると思わせない!』

 

 

降下しようとするコア・ファイターに目をつけたレイカのエルフ・ブルック。だが、その前にラリーのローンズーが立ちはだかる。放たれたビームの雨を、ラリーはビームサーベルを回転させることでコア・ファイターへの被弾を防いでいた。

 

 

「ベルリ!この際なぜ出てきたのかは問わん!とにかくメガファウナに戻って…この機体、しつこい!!」

 

『私を前によそ見をしたら死んじゃうんですよ!!』

 

 

横合いから邪魔に入ったローンズー。忌々しい機体め、とレイカは大きなエルフ・ブルックの足でビームサーベルを構えたラリーを蹴飛ばした。

 

 

「こいつ!変形する板っぺらの分際で!!」

 

 

蹴られた瞬間、ラリーもビームサーベルを振るった。切先がレイカの放った機体の脚部を掠め、そこを目印にするように吹き飛ばされつつもビームライフルで撃ち抜く。

 

 

『きさまぁああ!!』

 

 

展開された透明のエアバッグに顔を埋まらせながらレイカは機体を安定させて離脱する。これで少しは時間が稼げるはずだ。

 

 

「ラリー隊長!戻るって言っても、あの対空火砲をすり抜けろって言うんですか!?」

 

 

泣き言は戦場では聞かんぞ!、と怒号で返すラリーの声に尻を叩かれながら、ベルリはコア・ファイターを操縦してメガファウナの対空火器の攻撃をすり抜けて旋回する。

 

だが、あまりにも速度が速い。それにベルリという少年は戦闘機によるドッキングシークエンスなど経験がないのだ。アイーダは動かないようGセルフを支えながら絶望したように叫んだ。

 

 

「やっぱり無茶よ!ええ!?あの子、本気!?」

 

 

機体制御が効かない!?ベルリはドッキングする速度とは思えないコア・ファイターの制御が出来ないことに焦っていた。

 

オ、オートマチックなんて!?嘘!?そんな…ぶつかる!!

 

光センサーで誘導されているとは言え、ぶつかればコクピットが潰れそうな速度のままベルリの恐怖を無視してコア・ファイターはGセルフの背部から一気にドッキングを果たした。

 

 

「…ッ!ドッキングセンサー!エレクトリックシステム、フィックス!!機体チェックは…えぇ!?」

 

「さっさと上がって撃墜してこい!」

 

 

ベルリが見上げると、そこにはコクピットモジュールをいじっていたメカニックのハッパが張り付いていたのだ。

 

よく…あの速度で突っ込んで無事だったんですね!?そんな疑問も与えないまま、ハッパは迎撃しろとベルリに命じた。

 

 

「上がるって言ってもバックパックなしじゃ!」

 

「一撃離脱!45秒なら飛べる!」

 

「えぇい!このぉおおーー!!」

 

 

脚部のスラスターを全開にしたベルリのGセルフは光の尾を作って大空へと飛翔する。

 

 

「ベルリの機体が飛んだ!?」

 

 

その姿を見て、レイカは息苦しいヘルメットを脱ぎ去って小さくつぶやいた。

 

 

『あの機体…ガンダム!?』

 

 

ガタガタと高出力の影響で震えるコクピット。ベルリが上がった先に待っていたのは、マスクの扱うエルフ・ブルックだった。

 

あれを落とせば、戦いが終わるというなら!!

 

 

「45秒ぉぉおぉお!!」

 

『Gセルフ!歯向かうのかぁー!!』

 

 

飛翔するGセルフを見たマスクは、間髪入れずに迫る敵のGセルフへレーザービームを撃ち放った。もはやGセルフとラライアを奪還するという考えは、マスクの中から綺麗に無くなってしまっていたのだ。

 

降り注ぐレンジ色のビームを目の当たりにしたベルリは、首周りに備わるビームサーベル格納ラックを開いて、サーベルを手に装着した。

 

 

「レーザー!?やられてたまるかぁ!!」

 

 

ラリーがやっていた通りに!そう言い聞かせるようにベルリは二つの腕に装備したビームサーベルを高速で回転させる。

 

プロペラのように回るビームの幕は、エルフ・ブルックから放たれた光の矢を完全に防ぎ、弾き返していた。

 

 

『ビームサーベルを網にして防ぐのか!?』

 

「守るだけでは…勝てないからぁあ!!」

 

 

ビームの一閃を切り払って、ベルリはさらに飛翔する。大振りに上へと構えたビームサーベルの出力はさらに上がり、その一撃は遥か先にいたはずのマスクの機体の先端を切り裂いた。

 

 

「キャピタル・アーミィがそんなものを使ってはいけないんですよ!!」

 

 

サーベルに切られた衝撃でマスクのエルフ・ブルックは大きく高度を落とした。だが、カリブ海の水面に激突する前になんとか立て直し、機体は飛行形態へと変形し空を飛び始める。

 

 

『マスク大尉!機体に傷が!』

 

「大した損傷ではない!だが、これ以上はこちらが不利になる。手痛い仕打ちだが…しかし、データは取った。帰投する!」

 

 

他にやられたカットシーのこともある。マスクの指示に従ってレイカは負傷したカットシーや修繕可能な機体を牽引し戦線を離脱してゆく。

 

 

(あの感覚…なんだったんだろうか…大佐なら教えてくれるのだろうか)

 

 

まだ記憶は戻らない。

 

レイカは宇宙から落ちてくるとき、その以前の記憶を失っている。まるで自分が遠き過去からきたような不安がずっと胸にあった。

 

しかし、今回の戦いはそれを忘れさせてくれる戦いだった。操縦桿から手を離して、開いて握ってみる。感覚は随分と鋭敏になったような気がした。

 

次は決して負けない。

 

レイカは操縦桿を握り直しながら、密かにあの「白いローンズー」へリベンジを果たすと心に決めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

デレンセン教官の今後について

  • 原作通りベルリの手によって戦死
  • 生き残るがアーミィとして敵に
  • 生き残ってメガファウナにくる
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