後3話から4話で無印は纏めるつもりです。
お付き合いいただけると幸いです。
お楽しみ頂けたら幸いです。
アリスをこき使い響と未来からお礼を言われた翌日。クリスはまだ寝ていた。アリス経由で医者に診させたが体に問題は無いと聞いている。そうなると目を覚さないのは面白くない。今日は響への罰ゲームをさせるので一緒にやらせるつもりなのだ。
眠るクリスの鼻を摘む幽香。
「んあ?」
間抜けな声をあげて目覚めるクリス。
「ここは?」
「おはよう、寝坊助さん」
混乱するクリスにニコニコと挨拶する。
クリスは戦闘の事を思い出して何か言おうとするが謝れば良いのか、感謝すれば良いのか分からず言葉に出来なかった。
「さ、お風呂入って綺麗になりましょう」
「え?」
ニコニコとクリスを引きづり衣服を剥ぎ取り体を洗う。瞬く間に泡だらけにされて身綺麗にされる。最初こそ抗議の声を上げたが力ではまるで勝てないので途中からは諦めてなすがまま洗われた。誰かに優しく洗われるのがこんなに気持ちの良い事だと思ったのはいつぶりだろか。両親と風呂に入った時以来だろうか。程なくして泡を洗い流される。シャワーで適度に温められてから風呂から出され脱衣所でタオルにて隈なく拭かれる。
髪を乾かして服が出される。
「これを着るのか!?」
「そうよ」
迫力ある笑顔に逆らう事をやめたクリスだった。
着替え終わったクリスは幽香の部屋に連れられてサンドウィッチとミルクの軽食を食べながら説明を受けた。
本日は響、クリスの罰として1日こき使うとの事。その際には特別衣装を着てもらう。
以上。
「響ってまさか」
「トレーラーにいた娘よ」
自分が力を向けた相手。
曇る表情をするクリスに幽香が
「小難しく考えなくて良いわ。あの娘はそんな事で貴女を避けたりしないわ」
「でも・・・」
「難しく考えないの、最後にチェックしたら行くわよ」
身支度を整える。
最後に幽香はクリスの頭を撫でる。
少し長いかな?とクリスが思った後にカフェの扉を開く。
カフェに居るのは3人。
黒いメイド服を着るアリスと未来。
黒をベースに白いフリルのついたエプロンとカチューシャがキュートである。
そして響は燕尾服。
黒のジャケットで燕の尾の様な裾に黒ズボン。
女性的な体のラインはそのままに対照的な男装。未来からは熱い視線が送られている。
そして入ってきた。クリスは白いメイド服をベースに水色のフリル胸元にはピンクのリボン。
「あの」
クリスが話そうとすると
「かわいい〜すごいかわいいよ。あっ、ごめんね。私は立花響!!15歳!!好きなものはご飯&ご飯。身長体重はもうちょっと仲良くなってからね!!貴女の名前は!!」
ずいっと距離を詰めて捲し立てる響。
「ちょちょちょ!?離れろ!びっくりするだろ。それに、良いのかよ私はお前を」
しりすぼみになる言葉に響はキョトンと首を傾げる。
「もう、戦わなくていいんでしょ?それに幽香さんの知り合いだし、私も友達になりたい!!」
にこにこと眩しい笑顔でストレートに思いを告げる響。
未来もよってきて
「諦めて下さい。響がこうなったら半分もう友達だと思われてます」
苦笑して告げる。
「私は小日向未来です。よろしくお願いします」
「ゆ、雪音クリスだ」
困惑気味に笑うクリスと満面の笑みの2人。
「クリスちゃん!!改めてだけど本当に可愛いよ!!特にその、っ!!」
「??」
「可愛いわよねぇ、響ちゃん」
何かを誉めようとした響は幽香と目が合い言葉を止めた。
クリスは困惑するが照れの方が強かった。
「ダメだよ響」
「う、うん、うっかり」
ヒソヒソと未来と響が話す。
「アリス、流石貴女ね。お礼を言うわ」
「そう思うなら休ませて欲しかった」
1人グロッキーなアリスは今日の為に特急で服を作成するはめになったのだ。
「ダメね。貴女と上海と蓬莱も人気なんだから盛り上げてもらわないと」
そう言う幽香に諦めるアリス。
店内は遮光カーテンで締め切られてる他には変わりはない。
「じゃあ、開店させるから頑張るのよ」
「うぇ、接客なんてした事ないぞ」
「私もないけど頑張ろうクリスちゃん」
「私も」
「こんなんで大丈夫なのかよ」
不安を覚えるクリスだが止まる事は無かった。
外は開店前から行列が出来ており上海と蓬莱達が列の整備と今回の特別開店についてのチラシを渡している。
ドアが開かれて皆が迎える。
「「「「「いらっしゃいませ」」」」」
瞬く間に店内は満席になる。
飛び回る上海と蓬莱。
ぎこちなくオーダーを聞くクリス。
すっ転ぶ響。
フォローする未来とアリス。
無駄撮影する者を処断する幽香。
騒がしくも楽しく過ぎていく。
クリスは男女問わず可愛いと言われ頬を染める。
響は女性客から黄色い声援を受け満更でもない表情で笑う。
その背後では黒い微笑を湛える未来さん。
店を回す中でそれぞれの距離感も近くなり終わる頃には微笑み合っていた。
最後の客を見送ると3人は近場の席に腰掛けて伸びていた。
初めての接客で疲れ果てている。
「お疲れ様、大盛況だったわね。ありがとう。今日はご馳走するから皆食べていきなさい」
「やったー!!」
「ありがとうございます」
「本当こき使いやがって」
喜ぶ響と未来。
言葉は悪いが達成感からか良い笑顔のクリス。
アリスは疲労で天上を見上げたまま微動だにしなかった。
「まぁまぁ、良いじゃない本当に可愛いわよウサギの耳も貴女の髪にも合ってるわ」
「ウサギ耳?そんな可愛いのついてねぇよ」
「え?」
「え?」
「え?」
「クリスちゃん、流石に気付いてると思ってたよ」
「うん、結構お客さんも我慢出来て無かったし」
驚きと呆れの響と未来。
驚愕のクリス。
「え?いや!!そんなのあるわけが!!」
頭に触れるとカチューシャが落ちる。
そこには確かにウサギ耳、片側は少し垂れる形になっている。
「はい」
幽香は1枚の写真を渡す。
接客中にお客さんから可愛いと言われ頬を染めてはにかむウサミミメイドのクリスの写真。
クリスを中心に慌しい店内が伺える。
後ろでは浮かれた響に黒い微笑で詰め寄る未来。飛び回る上海と蓬莱。こき使われるアリス。隠れて写真を撮ろうとした客を処断する幽香。
この写真は勇者が幽香に献上する事でカメラの粉砕を許して貰えた逸品である。
「はぇぇ、凄い良く撮れてる!!ね!!クリスちゃん!!」
「うん、綺麗」
写真を見て驚く未来。
写真を見た後にクリスにまとわりつく響。
「ん〜!!ちょせぇ!!まとわりつくな!!」
「あいた!!ひどいよクリスちゃん!!」
ニコニコ揶揄う様にまとわりつく響にチョップを入れて引き離すクリス。
「ちくしょーー!!」
恥ずかしさで叫ぶクリスとニコニコする面々の和気藹々とした夜は続く。