コメントを頂き直ぐ上げたかったのですが手間取りました。
OTONAを入れる案を思いついて書き直しました。
お楽しみ頂けたら幸いです。
デュランダル起動実験の準備中にそれは届けられた。ネフシュタンの鎧。デュランダルと同じく完全聖遺物。しかも覚醒したものであり幽香により届けられた。
(何という僥倖!!手札は揃った!!後はデュランダルを起動しカディンギルにて月を穿つ!!憎きバラルの呪詛からの解放を成し遂げるのだ!!)
歓喜渦巻く胸中、不敵な笑みを浮かべながら端末を操作する。
デュランダルを実験場に移し終わり実験時間まで、ネフシュタンの鎧の状態を一人で確認していた。歓喜と現状の状態により油断していた。
「良いかしら?」
「っ!?」
背後から風見幽香に声をかけられた。
背筋に特大の悪寒が走る。
「な、何かしら?」
「これを届けに来たのよ」
幽香は1つの封筒を差し出す。
「これは?」
「雪音クリスからよ」
「そう」
(コイツ、気づいているのか?)
微かに震える手で封筒を受け取る。
「中は見てないから安心して」
「・・・」
踵を返して背を向ける幽香。
「そうそう、悪巧みも程々にね」
そう言い残し部屋を出ていった。
封筒を開けると一枚の便箋が入っておりそれを読む。
「「役に立てなくてごめん。もうこんなことはやめよう。2人で償おう。」」
内容のみで名前が書いてないのはクリスなりの配慮なのかもしれない。
「バカな娘ね。こんなことでは止まらないわ」
冷たい表情のまま封筒と共に便箋を掌の上で燃やす。
搬入された機器に収まっているデュランダル。練習場には機器を取り扱うスタッフが計器の確認で忙しなく動いている。
「ネフシュタンの二の舞にならん様に最善を尽くせ」
弦十郎はスタッフに檄を飛ばす。
響と翼もシンフォギアを纏い準備万端の状態でいる。
今回の覚醒計画は先日確認できた装者の訓練によるフォニックゲインの上昇を利用しデュランダルを覚醒させるというもの。
相手は幽香なのだが、実はやりたくないと大分ごねた。
理由は店を閉めるのが嫌とのこと。
今回はアリスも現場で警戒する為クリス1人で店番は厳しい。試しに幽香無しでフォニックゲインを計測したが上手く上昇しなかった。これはシュミレーションと幽香を相手にした時の本気度が違う為だと思われる。本気でぶつかって尚凌駕され、油断すれば容赦なく与えられるダメージ。戦場と同様の緊張感を与え、装者自身が心から全力であたらなければ「やられる」という感覚こそがフォニックゲインを高める要因と考えられている。
そこで再度交渉を行い「翼と奏を1日自由にする」という事で決着がついた。
本日はクリス1人で窓口のみの営業を行っている。
「ぐぬぬ、幽香の条件を飲むとは・・・不安なんだが」
「そうか?私は楽しそうだけど。そこんとこどうなんだ立花」
「私の時はみんなでコスプレしました!!面白かったですよ!!」
和気藹々としてる中、幽香が現れる。
「あらあら、賑やかね」
「幽香さん!!」
幽香を見つけた響は一目散に駆け寄り抱きつく。主人を見つけた犬の様だ。
「よしよし」
幽香は頭をなでなで、顎下をこしょこしよと犬の様に撫でる。
「幽香、立花は犬じゃないぞ」
「いや、ありゃ犬だろ」
目を閉じて気持ちよさそうに受け入れる響。
「来てくれたな。幽香君それでは始めるか!!各員持ち場につけ!!」
「「「はい!!」」」
持ち場に着くスタッフ達、弦十郎も司令室に戻ろうとした時に
「弦十郎、貴方も参加しなさい」
「何?俺は司令所で全体の指揮を」
「師弟揃って相手してあげるわ」
幽香の提案に困惑するが、真剣な目に何かを感じ取り了解する。
「始めるわよ」
いつもと違う覇気を纏わせ対峙する幽香。
響と翼は足が止まってしまう。
「ふん!!」
開戦の狼煙を上げたのは弦十郎だった。
踏み込み地面を陥没させる程の踏み込みから正拳突きを打ち出す。
幽香は突き出る腕に体を滑り込ませて背負い投げで迎撃する。
投げの勢いを利用し、思いっきり飛び上がることで辛くも地面に叩きつけられる前に腕の拘束を解き、前回り受け身をへて立ち上がる。
「翼ぁ!!続けぇ!!」
弦十郎の叫びにハッとし剣を構えて突撃する翼。
「立花ぁ!!」
「はい!!」
翼の一閃を傘で受け止める。
空いた片手で拳を放とうとすると翼に隠れていた響が横ステップで回り込み脇腹目掛けてフックを撃ち込む。
早い連携に受け止められないと感じた幽香は、傘の力を巧みに抜いて一閃を響側に落としバックステップで距離を取る。
距離を取った矢先に殺気を感じ、後回し蹴りを繰り出すと弦十郎の蹴りと鍔迫り合いとなり互いに距離を取る。
距離を取った先は幽香を中心に弦十郎、響、翼に三方を取り囲まれる死地であった。
死角に翼と響を配置し1番の脅威である弦十郎が正面という布陣。
「良い連携ね」
「私達も学んだのだ。易々といくと思うな!!」
「勝たせてもらいます!!幽香さん!!」
「俺も久々に楽しませてもらっている」
一拍の静寂の後、幽香が弦十郎に襲いかかる。
目潰しを兼ねた下段からのひっかき、地面を抉り無数の礫がショットガンの弾丸の様に弦十郎に襲いかかる。
「ハァ!!」
回し受けにて砂塵を散らし礫を弾く。
迫る拳を腕に受けて防御し受けた勢いで腰を回しボディを打ち込む。
この訓練で初めてダメージを負い一瞬体が硬直する幽香に翼と響が迫る。
辛くも翼の一閃を体を捻り避け、その回転で弦十郎にバックブローで牽制する。
「立花ぁーー!!」
「うおぉぉぉぉ!!」
バックブローにてガラ空きになった胸元。
鳩尾に拳が突き刺さりガングニールがアンカーを打ち込む様に開いた機構を閉じて必殺の威力を発揮する。
幽香の背中に円形の衝撃が幾重にも伸びる。その後に幽香がミサイルの様に肉眼で捉えられない速度で壁に突き刺さる。
特殊装甲を含む壁の中に消えた幽香。壁は軋みひび割れが幾重にも起き、コンクリートは崩れている。
「あわわわ!?」
「立花!?」
「いかん!!医療班!!」
騒然となる現場。
「ゆ、幽香さんがぁぁ!!」
「いくらなんでもやりすぎだ立花!!」
「だって!!幽香さんめちゃくちゃ強いんですもん!!つい!!」
あたふたする響と翼、慌てて指示を出す弦十郎。
轟音が響く。
鉄板やコンクリートが降り注ぐ。
一瞬で静まり返る練習場。
「良い一撃だったわ」
幽香が埋まった時の何倍もの大穴を開けて舞い戻る。
服こそ汚れ破れているがダメージを負った様には見えない。
悠然と歩いて来る幽香。
赤く輝く瞳、全身にオーラを纏い。
「第二ラウンドね」
妖艶な笑顔を向ける幽香。
しかし、部屋を包み込む様な光が一瞬起きてデュランダルが機器の拘束を離れて浮き上がった。
館内放送にて
「じっ、実験は成功です!!訓練を中止してください!!不足の事態に備えてください!!」
「あら、残念」
ため息1つシュンとする幽香。
「た、助かったのか?」
「こ、怖かった」
幽香のオーラに押されていた2人は力が抜けて安堵する。
職員と共にデュランダルの前に行く一同。
「拾いますね」
「待ちなさい!!響ちゃん!!」
「へ?」
幽香の静止も虚しくデュランダルを握る。
「あ!!あぁぁぁ!!」
黒い光に包まれ絶叫する響。
「立花!!」
「響君!!」
「職員は離れなさい!!」
デュランダルが輝きを増していく。
ゆっくりと振りかぶろうとする響。
「ごめんね」
幽香はボディブローを一撃入れてデュランダルを剥ぎとる。
ゆっくりと黒い光が収まりいつもの響に戻る。
「凄い力ね」
マジマジとデュランダルを観察する。
ストレッチャーで響は医務室へ運ばれていった。翼もついて行く。
「はい」
近づいてきた了子にデュランダルを渡す。
「んぅ。凄いわねぇ」
恍惚とした表情でデュランダルを観察する了子。
「了子君、厳重に管理するんだぞ」
「勿論よぉ。じゃあ後でレポート提案するから失礼するわ」
「わかった」
るんるん気分で退室する了子。
「弦十郎ちょっと良いかしら」
「ん?ああ」
幽香は弦十郎と話した。
その直後。
「ノイズの反応多数!!今までに無い規模です!!」
アラームと共に館内放送が入る。
長い1日が始まる。