お楽しみ頂ければ幸いです。
短くてすみません。
椅子に座り写真を確認しながら先程の言葉を思い出す。
確かにマリアは「助けて」と口にしていた。
写真には見たことある少女がカプセルの様な機械の中で目を閉じている。
初めて此方に来た時に化け物と戦っていた小さな戦士。自分より周りを優先して助けようと懸命に戦う姿に興味を惹かれて助けた筈だった。
「ということは・・・さっきの娘はあの時の泣き虫?」
泣きながら頼み込んで来た娘がいたなぁと思い出す。しかし、泣き虫は大人の姿なのに写真の少女の姿は変わっていない。
「ふふ、大きくなっても泣き虫なのね」
写真を渡す時に顔を間近で見たが少し涙が流れていた。必死に堪えていたのだろう。
「もう少しの我慢よ」
そう呟き端末を操作し連絡を取った。
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幽香の店で打ち上げ用の料理を皆んなで並べている時だった。
「え〜幽香さん打ち上げ参加しないの〜」
悲しみと驚きが混ざった声を上げる響。
「ああ、なんか確認する事が出来たって帰ってくる途中で連絡があった」
そう言うクリスも声に張りがなく落胆しているのが見て取れる。
「残念です」
「ビッキーとヒナがよく話すお姉さんに会えないのは残念だね」
「ん〜出来る女の辛い所って感じ?」
板場達も残念がる。
そこに今夜の主役が登場する。
「いや〜楽しかった〜」
上機嫌で扉を開ける奏。
「さっきからそればっかりね。奏は」
苦笑しながら続いて翼も入ってくる。
「お疲れ様です!!」
「凄い楽しかったです!!」
「こんな2人と知り合いとか、ほんとアニメみたい!!サイコー!!」
2人を歓声で迎える一同。
「あれ?アリスさんと緒川さんは?」
未来は2人が居ない事に気づく。
「なんか司令から呼び出しがあったみたいだぞ」
「ああ、ライブの撤収作業の途中で連絡があってな」
2人の発言に室内が静かになる。
「このタイミングでか?」
「何かあったのか?」
クリスの呟きに翼が反応する。
今の状況を簡単に説明する未来。
話を聞いて考える。
「分からないな、ノイズ関係なら私達に連絡がある筈だし・・」
「幽香の思いつきなら巻き込まれるのはアリスだけだし・・・」
「緒川さんと弦十郎さんもとなると・・・」
皆んながうーんと考える。
「まぁ、なんかあったら動けるようにしておくしかないんじゃないか?」
沈みかける雰囲気を察して奏が発言する。
「そうですね!!難しく考えても答えを出せる自信がありません!!」
それに響が続き空気が緩む。
それぞれが頷き、少し引っかかるが打ち上げを楽しむ事にするのだった。
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ライブが終わりホテルに戻ってからマリアはソファから動こうとしなかった。
祈る様に手を合わせて額に当てて座っている。マリアは先程の事を思い出し後悔している。なんの説明も出来ずに写真を渡して立ち去ってしまった。こちらは鮮明にあの時の事を覚えているが、あちらは忘れているかもしれない。考えれば考えるほど不安になる。あの写真がセレナに関する唯一の品というのも心を揺さぶる要因である。マリアにとってセレナの姿を見る唯一の手段。見ていると悲しくなるが取り戻そうとやる気が出てマリアを支える写真。
どのくらい考えていたのかもわかなくなった頃に左右から温かさを感じた。
なんだろうと確認すると調と切歌が寄り添ってくれていた。
「マリアが何を悩んでるのかは分からないデス」
「私達は無力だけど一緒にいる事は出来るから」
2人の温もりがマリアを癒す。
血反吐を吐きながら訓練を共にした家族。
本当に優しい2人。
「ありがとう2人とも」
2人に手を回して今ある温もりを確かめるマリアだった。