4人で集まってから幾ばくかの時が流れた。
進捗は芳しく無いが定期的に集まり報告を聞く。
そんな夜は帰りが遅くなるので店の電気は消えている。
風呂に入り身支度を整えて就寝する。
コレがいつもの動きなのだが今日は違うようだ。もう少しで意識が落ちるなぁという所で静かに扉が開けられる。
薄目で確認すると枕を抱き抱えたクリスが様子を伺っている。
そーっと足音に注意しながら部屋に入ってくる。
寝ている幽香に近づくと寝ているか様子を伺っているようだ。
変化が無い事で寝てると判断したのかゆっくりとシーツを捲って隣りに入ってくる。
幽香はこっそりと布団に入ってきたクリスを可愛いと思いつつ様子を伺う。
手をちょんと触って起きない事を確認してから握ってきた。
我慢出来なくなった幽香はゴロンと体をクリスの方に向けて抱きつき足も絡めて逃げられないようにする。
「お、お前起きてたのか!!」
驚きと恥ずかしさで声が上擦る。
しかし、がっしりと捕まっているので胸の中でもがくことしか出来ない。
「ええ、可愛らしく枕を抱いて入ってきた所からね」
「はっ、初めからじゃねぇか!!」
「いいじゃない。可愛らしくて良かったわよ〜」
「っ〜」
恥ずかしさで声は出せなかった。
逃げられないので胸に顔を埋める事で見られないようにする。
「最近居なくて寂しかった?」
子供をあやすように頭を撫でながら問いかける。
「うん、それに・・・それに頼って貰えなくて悔しい」
胸の中で告げるクリス。
温かい居場所をくれた幽香に頼って貰いたい。恩を返したい。という思いがあり今回のような状況は面白くない。
「全く可愛いわね。いつも頼りにしてるじゃない」
優しく頭を撫で続ける。
「クリスには助けられてるし、これからも助けて貰うつもりよ?」
「うん」
クリスがぎゅっと抱きつく。
「そうね。眠くなるまで最近の事を教えてくれるかしら?学校の事とかね?」
「う〜?」
身じろぎして何を話そうか考えるクリス。
「そういえば学園祭があるらしいじゃない」
考えるクリスに話題を提案する。
「あー、あるなぁ」
余りに乗り気な反応ではない。
「何かあったの?」
「いや、クラスの奴がしつこく付き纏ってきてなぁ。苦手なんだよ。あの感じ・・・むず痒くて・・・」
「あらあら、楽しそうで良いじゃない。見に行くからね」
いちいち可愛いなぁと頭を撫でながらほっぺも撫でる。
「うー、まぁ悪い奴らじゃないし・・・頑張る」
そんな感じで夜は更けていく。
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「調ぇ、最近マリアが前より落ち込んでる気がするデスよ」
バンっと机を叩き訴える。
「そんなに大声出さなくても聞こえるよキリちゃん」
対面に座っている調は静かに指摘する。
「んふー!!何でそんなに冷静なんデスか!!」
頬を膨らませて抗議の声を上げる切歌。
「落ち着いて。そこでコレ、ジャーン」
抑揚の無い言葉で手紙を出す。
「何デスか?」
調の横に周り隣りに座る切歌。
「この間のライブでマリアとコラボしたツヴァイウィングのマネージャーから届いた招待状」
「招待状?」
封を開けると季節の挨拶から始まり丁寧な言葉で書かれている。
「青い方の学校でお祭りがあるから来ないかって」
端的に伝える調。
「学校デスか・・・」
自分達には縁のない場所の名前に胸がチクリと痛くなる。
「気晴らしにはなると思う。ライブは楽しそうに歌ってたし」
「そうデスね!!マリアを連れ出すのデース!!」
調の手を握り、おーと持ち上げる。
「切ちゃん、痛い」
「調もテンション上げるデス!!」
「うん」
「「えいえいおー!!」」
マリアを元気にするべく頑張る2人であった。
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「やっと来ましたか。全く慎重過ぎますよ」
メールを確認してやれやれと首を振る。
「まぁ、英雄になる為の序章ですからね。さっさとやりますか」
ここにも動き出す人物が1人。