この世界を(人気的な意味で)救いたい   作:残朧

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第2話 ファンタジーでも普通に現代的な問題あるんですがどうすれば?

 「………」

 

 これは…駄目だなぁ……

 

 ツン

 

 「アガッ!………」

 

 駄目だこりゃ。

 何が挫いただ…冷静になって見てみればこれは完全に折れているし、なんなら普通にボギッて音してたぞ。

 これは暫く弓トレだけだな…私は欠損部位がポンポン生えるような種族ではないが一応魔族なので骨折でも安静にしてれば治る。

 そう思いトレーニングしていると

 

 ドッ

 

 一本目の矢が的の真ん中に刺さり、その矢を貫いて二本目の矢も真ん中に刺さった。

 

 「あっ…これ何て言うんだっけ…まぁいいや」

 

 難しいらしいのは覚えているが、そこそこ練習を重ねたのと的までの距離が二、三メートル程度だったので当然と言うべきか。というかこのくらい出来なくては困る。

 ふと遠くを見ると私と同じぐらいの背丈の子が手から火を出している。

 

 「あっ…魔術…」

 

 …何てことだ…こんな事を忘れていたなんて……この世界には魔術があるんだった。

 手から火を出している子に教えを乞いたい所だが、魔族の世界は弱肉強食である。そのまま焼かれて食われるかもしれない。

 

 こんなんで原作知っていると言えるのかと思われるかもしれないが、原作では人類側視点なのだ。人類側の脚色がある程度入っている為魔族の事情はわかりずらい。

 例えば魔族の世界でも男尊女卑がある点とかがそうだ。男性の魔族と女性の魔族がいて同じ実力なら男性の方が持ち上げられるのだ。それに六しょ…十三将も女性は一人しかいない。

 男尊女卑があるのは男女で筋力などが少し違うから、或いは妊娠などがあるからと思われるだろうが、魔族は例え同じ種族でもかなりの個体差があるのが特徴のため、性別の違いによる筋力などの僅かな差は正直殆ど意味がなく、そもそも魔族で妊娠する機能を持つ種族はほぼいない。大抵卵胎生。

 子供も基本放置して育てる…矛盾しているように思えるがそれが魔族での常識だ。

 そんなことより魔術をどうやって学ぶか…

 

 やっぱこれしかないな

 

 

 

 

 「…で、あるからしてこの魔術は氷属性ではなく水属性として扱う。で、あるからしてこの問題の答えは③だ。」

 

 いかにもなタコが先生っぽい喋り方…先生っぽい喋り方てなんだ?まぁいいや。

 ここは都心に近い感じの学舎である。足がまだ痛いのでここには匍匐前進で来た。まさか匍匐前進で学舎の敷地内…それも教師の声が聞こえるほど近くに誰にも気づかれずに来れるとは…私は隠密行動の才能があるかもしれない。私が今いるのは教室のすぐ外にある木の上だ。

 これでやっと魔術の事が学べる…!と思ったが凄く眠い…それもその筈、ここを探し出して来るまで約二日間ほど掛かったからだ……勿論移動は全部匍匐前進で、しかも誰にもバレないように気をつけながら。

 魔族の世界での負傷者は格好の餌だからな……ヤバイ眠くなってきた…………

 

 

 

 

 

 

 

 「サンダー」

 

 「アバッ!な、何だぁ!?……教師かぁ。」

 

 「教師ではありません。パシュトム先生、です。」

 

 「ア、ハイ。パシュトム先生」

 

 ここは…まだ木の上だ。何故私を起こしたのだろうか?学舎の敷地内に無断で侵入したなら警備員に引き渡せばいいし起こすならその後の筈だ。

 

 「もう授業は終わりました。帰りなさい。」

 

 「えっ?」

 

 「帰りなさい。」

 

 「えっあっその、私は木の上が家なので…」

 

 何言ってんだ私…せっかく見逃してくれそうな雰囲気出してくれてるんだからさっさと匍匐前進で元の木の上に帰れよ…寝起きで疲れてんのか…そうか…

 

 「そうですか。」

 

 何言ってんだコイツ…じゃなくてパシュトム先生は帰っていった…何で?

 まぁいいや…わからない事を一々考えても仕方がない。

 まだ眠いし…寝よ…

 

 

 

 

 

 パシュトム視点

 

 私はパシュトム。この学舎の教師をやっている。不満は…結構ある。

 教師には私自ら望み、そしてなった。だが、理想と現実の乖離というべきか私の思っていた教師像とはかけ離れていた。

 魔族で学舎に来るのは余程勉学に興味を持っている者だと思っていたが、実際は金持ちの上流階級ばかり…しかも意欲は無いときた。

 それもその筈、勉学に興味を持つのは勉学に頼らざるを得ないほど弱い者が殆どで、そういう者はすぐに食われる運命だ。

 また、学舎の建設、維持費に多額の費用を使っている為、学費が高い。というか魔族に金銭の価値観を持つ者自体少ない。

 

 「おいタコォ!よくも親父にサボってた事チクりやがったな!殺してやる!」

 

 すぐこれだ。勿論殺すというのは冗談ではないようで平然と殴りかかって来たり剣を振り回したりする。

 それにタコと呼ばれているが、私の初めての授業の時にイカなどと呼ばれたことに比べればこれでも改善したほうだ。

 

 「教師として当然のことです。」

 

 「オラァ!」

 

 ガギンッ

 

 バリアで防いだはいいものの、さてどうするべきか…ボコボコにしたい所だが生徒に手を出すのはマズイ、モンスターペアレントが来るからな…私の思い描く教師像と違うというのもある。

 結局、生徒が疲れて動けなくなるまでバリアで耐え続けた。

 

 「で、あるからして………で、あるからして………」

 

 「ギャハハ!」「ウオォー!」「でやぁー!」

 

 「で、あるからして………で、あるからして………」

 

 ガンッ!バキッ!

 

 「フム…これにて今日の授業は終了です。帰りなさい。」

 

 「言われねーでも帰ってやるよ!ギャハハ!」

 

 一人の生徒がそう言うと生徒達は帰って行った……

 最近一日を短く…その逆に授業をしている時間を長く感じるようになった。

 

 私は昔、授業が一科目につき30分は短すぎると感じていた。何でも人間の学舎ではもっと長くやるらしいのだ。魔族と人間を比べてもしょうがないと諦めたが…

 だが、その30分も今では長すぎると感じる様になった。生徒達の授業が長いという文句に同意出来るようにもなった。

 

 さて……外の木の上にいる少女…どうするか…普段なら警備員に引き渡す所だが今の私にはそれをする気力すら残っていなかった。

 …授業は疲れるのだ。

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