この世界を(人気的な意味で)救いたい   作:残朧

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第4話 やっぱりそうなるよね…

「終わりました。全員血の気が多いだけで叛意は無かったようです。」

 

「そうか、お疲れ様。」

 

 いつものやりとり…もう2年目だ。2年。2年だぞ…

 私の魔術が尋問の場で通用するのがわかったのは嬉しいが、ずっとこれでは十三将になれない。十三将には独断で動いていい権利があるのだ。十三将になるには魔王に認められる必要がある。認められるにはやっぱり尋問してるより戦ってた方が覚えがいい。

 …仕方がない、やるか。

 

 

 

 

 

 

 ドーモ、ニンキデス。新たに戦争の前線に配属されました。まぁ基本的に戦いを好む魔族が尋問ばかりさせられてるなんて可哀想だから多少はね?

 今回の指揮官の戦術は…脳死突撃である。適当にやれとのこと…戦術と言えるかは怪しい所だが、やりづらく無くて良い。

 私は精神系の魔術で魔族の戦意を上げて、人間の戦意を下げた。その後弓で援護する。

 正直これだけで勝てそうだが…もっと毟るか。

 やられた人間の兵士の姿の幻を自分に被せ、たった今逃げようとしている人間の指揮官に近づいて周りの護衛ごと幻術にかける。

 勝っちゃったよ…余りにもあっさりすぎてもしかして幻術かと思ったが、どう自分を検査しても正常だ。

 

 追いついてきた熊みたいな魔族が言う。

 

「ヒョロイのに、やるじゃねえか!」

 

「あ、はい。」

 

「俺らが真面目に戦ってるのに、一人抜け出して漁夫の利って訳か。」

 

 こっちは…鰻?

 

「(私第三者じゃなくて一応魔族側なんだけどな…)すみません。」

 

「何言ってんだ兄者。俺達があの人間の護衛を抜いて殺っちまえば、そもそも手柄を取られちまう事も無かったんだ。俺達が弱いのが悪い。それに俺達は殺す事は出来るが、こうして生け捕りには出来ないだろ?」

 

「…フン。」

 

 こいつら兄弟なのか…鰻の方が兄で熊が弟…逆と言われた方がしっくりくる。というか兄弟だという時点でびっくりだ。

 …魔族は見た目によらない事を再確認しつつ魔族領に帰った。

 

 

 

 

 

 魔王城では…

 

「魔王様、サーレル平原で敵指揮官を生け捕りにしたとの報告が。」

 

「何?あそこは負け戦であった筈…」

 

「どうやらその軍には魔術に秀でた者がおらず、故に幻術を使える者が一瞬で方を付けたとのこと。いかがなされますか?」

 

「…戦果を挙げた以上、褒美を取らせぬ訳にはいくまい。呼べ。」

 

「はっ。」

 

「………予定では負ける筈だったのだがなぁ。」

 

 

 

 

 

 

 ニンキ視点

 

 帰ってきてすぐに呼び出されたんだが……人事操作の件がバレたか?

 …何時でも逃げれるように準備しなきゃな。

 魔王城の景観なんぞに気を取られてる場合ではない。まぁ……少し禍々しい雰囲気がするだけでそれを除けば普通の城といった感じなので、大した興味は湧かないが。

 

「ニンキです。」

 

「通れ。」

 

 城の中に入る。

 また扉と門番。

 

「ニンキです。」

 

「通れ。」

 

 ……なんか凄いあっさり通されてるが、ちゃんと本人かどうか確認されてるのだろうか?

 しかも、通れ、としか言わないし。

 魔術に自信がある私から見て、別に魔術で作られた存在の様には見えない。必要最低限の会話をすることを心がけている兵士……としか思えない。

 

 おっ、秘書っぽい魔族。

 

「ニンキです。」

 

「お前がそうか、この扉の先で魔王様がお待ちだ。行け。」

 

 秘書さんも凄いあっさり…魔王周りでもこんな感じなのか。

 

「はい。」

 

 クソでけぇ扉だな……開けれるかな?

 思った通り簡単に開いた。そりゃ見た目相応の重さだったらこの扉を開けれる奴は少ないだろう。

 ていうか、秘書さんは入ってこないのか?魔王と一対一?

 

「ニンキです。」

 

「入れ。」

 

 …原作通りの全身を鎧で隠したように見える姿。

 だが、本当は中身なんて無く、鎧が本体そのもの。

 

「あぁ…畏まる必要は無い、今回貴様を呼んだのは人事の件だ。」

 

 や、やっぱり……

 

「あいつは情を持たず、冷静な判断が下せると思っていた。だがまさか、魔族なのに戦いに出さないのは可哀想だ。などと言われた時は驚いたぞ。それをさせた貴様の魔術にもな。」

 

 …準備はバッチリ、何時でも逃げれる。

 

「魔族が戦いを好むこと、或いは貴様が戦果を、十三将の座を欲することはどうでもいい、我が不思議に思うのは何故貴様は生き急ぐのかということだ。」

 

「生き急ぐ…ですか。」

 

「貴様は戦いや地位を必要とするようには見えん。金は貴様の魔術で掠めとればいいだろう。何故急ぐ?」

 

「………この世界を救う為です。」

 

 何言ってんだ私。

 

「……成程……貴様は転生者…だな?」

 

 私は逃げた。とにかく逃げた。

 背後から迫る魔王の魔術を躱し、逸らし逃げた。

 何で急に……成程……貴様は転生者…だな?なんて言うんだよ!怖いじゃねーか!

 さっき通った扉が閉まってる、魔王の許可が無ければ出入り出来ないようだ。

 

『開けろ!』

 

 よし、開いた。幻惑系のちょっとした応用である。

 

「大したものだな。」

 

「あっ。」

 

 扉が開いた先に魔王がいた。

 魔術に自信がある私にはわかった……これは空間転移の魔術とかじゃない、扉が少し開いた瞬間に私が認識出来ない速度で先回りしたのだ。

 

「っ!」

 

「ほう…」

 

 今の私のフルパワーの幻術を魔王に試してみるも全く効果無し。

 ならば…!

 

「すいません、許してください。」

 

「そもそも怒ってはいないのだがな。さっきの位置に戻れ。」

 

 それを言い終わった瞬間、魔王は王座に座っていた。私はさっきの位置にもどった。

 

「さて……貴様からは何かあるか?」

 

「いくつか。」

 

「申せ。」

 

「まず…何故私が転生者だと?」

 

 もし私が転生者なのがわかった理由が、魔王もそうだからなら、中身は甘ちゃんの可能性がある。ならば、幻術使わなくてもいいように操れるのでは…

 

「勘だ。」

 

 説明足りてないんだよなぁ!?この世界にはそもそも転生なんて概念が、言葉が無いのになんで転生者なんて言えたんだよ…やっぱり魔王も転生者じゃん。

 

「そうですか…何故私を殺さないのですか?人事の件と…魔王様のお話の途中に逃げ出したというのに。」

 

「この程度の問題で処罰していては魔族は我以外には残らぬであろうよ。聞きたい事はそれだけか?」

 

「…はい。」

 

「あぁ…先の戦についての話がまだであったな。ふむ…貴様の望むものは何だ?」

 

 褒美ってどのくらいまでが許されるんだろうか。

 

「十三将です。」

 

「無理だな。」

 

「…どのくらい戦果を上げればいいでしょうか?」

 

「戦果もそうだが、実力が足りないな。幻術が効かないから負けましたでは話にならない。」

 

「う…精進します。」

 

「後、効かぬとわかっていながら全力を出さんことだ。貴様もわかっていようが。」

 

「…はい。ところで、私はこれからどうすれば?」

 

「あぁ、そうであったな。貴様には潜入の任を与える。」

 

「えっ?」

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