この世界を(人気的な意味で)救いたい   作:残朧

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第5話 原作開始まで約290年あるんだが…

「えっとその…緊張してうまく聞き取れなかったかもしれないのですが…任を与えると?」

 

「確かに言ったぞ。」

 

「その任とは?」

 

「人類軍の内情を探れ。」

 

「な、何故そのような任を私に?」

 

「貴様の能力に見合う一番の仕事は尋問だ。…少なくとも我はそう思っている。だが、貴様は人事を洗脳し戦場に行った……それは何故だ?」

 

「十三将の座が欲しいからです。」

 

「貴様が十三将の座を欲するのは何故か……ククッ、世界を救う為と言ったか?」

 

「う…それは…その…」

 

「それは何故かと聞いても答えぬのだろう?…まぁ貴様を再び尋問の任に戻したとして、また貴様は同じようなことをするだろうからな。貴様は戦いに向いてはいない、だが尋問が嫌だと言うのなら任せられるのは隠密くらいだろう。」

 

「……ありがとうございます!」

 

「よい、わかったら早く行け。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなこんなで人間領に潜入した。

 魔王曰く、適当に調べてこいとのこと。

 

「…もしかしてもう十三将になる必要無いのでは?」

 

 私が十三将になりたかったのは人類軍をより苦境に立たせることでそこからの逆転劇を際立たせる為だ。

 まぁ、やる事と言えば予め原作で人類軍に有利に働くイベントを潰すだけ。

 …人類軍に有利に働くイベントって言っても聖剣入手イベくらいだが。

 あと、伏線の無い日常パートも起こらないようにするとしよう。

 それをやったら、良い展開になるよう微調整するだけだ。

 

 何にしてもまずは任務を遂行しなくては…

 

 

 

 

 

 

 終わったあぁーー!

 この前の戦いとは違ってそこそこの魔術師が結構居たが私の敵ではなかった。

 

 さて…任務の期限が大分余っている。

 これで人間領でフラグ破壊工作に専念できるという訳だ。

 まずは聖剣だな。

 

 

 

 

 

 人間領の奥地にある隠れ里…そこに聖剣がある訳だが…

 

 (隠れ里の結界…それもかなりのレベル。

 やろうと思えば強引に壊せなくもないが、その力は聖剣をどうにかすることに注がなくては。)

 

「…人は闇だけでなく、光にも惑わされる。

 故に聖剣をこの地に封ずる。」

 

 …うわ、開いちゃったよ、いや開いてくれないと困るけれども。

 原作で「代々受け継がれてきた言葉だ」なんて言っていたが…

 パスワードは定期的に変えた方が良いと思う…創作物に言っても仕方無いか。

 

 

 分かってはいたが凄いのは結界だけで中の人達は弱い。

 力に惑わされないようにという理由で力に無欲な人達しか隠れ里に住めないのだ。

 おかげであっさり無力化できた。原作に関わるので殺してはいない、時間が経てば自然に解ける幻術をかけた。

 そして…

 

「おぉ…これが聖剣。」

 

 質素な台座に剣が刺さっている。

 その剣の放つ気配は確かなものだ。

 

「………」

 

 別に聖剣は魔族が触れただけで死ぬような物ではない。

 というかもしそうだったとしたら、粉々にしてそれを散布すれば人類軍の勝ちだ。

 魔族がこれで斬られると大ダメージになり、その傷が治り辛くなるというだけ…

 しかも勇者しか扱えないというおまけ付きだ。

 

 そんな武器だが…強いのは間違いない。

 

「だから…貰っていくぞ…!」

 

 そう言って聖剣を引き抜こうとするも、びくともしない。

 勇者にしか抜けないのだ。

 だが私には幻術がある。

 

「はああぁぁー!」

 

 幻術で私は勇者だと聖剣に誤認させる訳だが、魔王の時は実際に魔王の声を聞いていたから再現できたのに対して、私は勇者の事を原作でしか知らず、この世界でも会ったことはない。というか勇者はまだこの世界に生まれてすらいない。

 

 「ハァァァァァッ!」

 

 魔王の時は合鍵を使って鍵を開けたとするなら、これはピッキングと言ったところか。

 魔王の時とは違い、使う魔力、体力、集中力は桁違いだ。

 しかも聖剣を相手にそれを行なっている。

 

 私は聖剣の中にある勇者かどうかを判断するシステムに干渉して、どのような値なら勇者判定されるか調べた。

 

「………よし…………………どわっ!」

 

 解析が完了し、その値を幻術で打ち込んだ瞬間に聖剣が抜けた。そのせいで力んでいた私はずっこけたが。

 

「はぁ…ふふ………よく考えたら引っ張りながら解析する必要無かったんじゃね?」

 

 聖剣が抜けた台座になんちゃって聖剣(私作)を刺して、その剣に聖剣みたいな雰囲気を放つようにする魔術を付与して私は隠れ里を後にした。

 

 

 

 

 

 

 かなり…疲れたが、まだやる事は残っている。

 別に伏線でも何でもない日常パート…ありがたいことに原作でそれがあるのは1話だけ。

 私の偏見かもしれないが、日常よりも戦闘の方が人気があると思うのだ。

 日常パートを見てがっかりする人がいるかもしれない。

 

「……ここで最後か。」

 

 普通の村だ…その中心には大きな木がある。

 原作では日常パートの舞台は村としか表記されず、唯一その村の場所を推察できる材料は中心に大きな木があるという描写だけだった。

 中心に大きな木がある村が一つな訳も無く、複数存在した為、全て潰した。

 聖剣を解析するのと同じくらい疲れた…

 

 

 

 

 

 

 

 やっと帰ってきた魔族領、人間領では私が魔族だという事を隠す為に魔術を使い続けていたからまともに休む暇が無かった。

 

「ニンキです。」

 

「通れ。」

 

 一門番。

 

「ニンキです。」

 

「通れ。」

 

 二門番。

 

「ニ…って居ない…」

 

 零秘書。

 

「ニンキです。」

 

「入れ。」

 

 良かった…魔王も居ないかと思った。

 

「人類軍の内情をまとめた書類です。」

 

「ふむ…確かに受け取った。…疲れているようだな?」

 

「え、はい。」

 

「…これだけの働きをしたのだ、暫く静養するといい。」

 

「はっ。」

 

「……あと290と少しか?」

 

「…!……その数はいったい?」

 

「クク…我の望みだ。」

 

「はぁ、そうですか。では私はこれで。」

 

 コイツゥ〜またはぐらかすような言い方を。

 ま、転生者だろうな。

 

 

 

 

 

 ところで、持ってきた聖剣。

 幻術のおかげで抜けはしたが私は勇者じゃないので扱えない。

 そもそも聖剣持ってるところ見られたらやばいので火山に隠すことにする。

 魔王の攻撃に耐えれるのだから、マグマも大丈夫だろう。

 あまりやりたくないが…

 

 

 

 

 聖剣を火山にぶち込んでようやく帰宅だ。

 自宅は…木の上だ。

 

 任務の報酬とかで結構お金はあるが、魔族は未だに物々交換文化が根強い。

 宿屋はないし、家建てるってのも勿体ない気がする。

 …木の上だと安心するし。

 

 

「原作開始まであと約290年か…」

 

 …やる事ねぇなぁー。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あ!土ジジイのこと忘れてた!

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