第15話 試験に向けて
皆さんこんにちは。
無事フロアマスターになったシズクちゃんです。
サドエラも無事に始末されたようで、うざかった蚊も消えて完全勝利!!
ただしシンジは大怪我で入院中(全治半年)。
それからフロアマスターになると、あまり試合が無いようで。
暇になった私は現在、闘技場内のガンショップに来ています。
「ちょっと聞いて下さいよ銀お姉さん!
あの後、なんでか私に警告が来たんですよ!!」
「いやそれはしょうがない。むしろその程度で済んだのを幸運だと思うべき。」
会話している相手は売子のお姉さん。本名は知らない。
綺麗な銀髪をポニーテールにした人なので、私は銀(イン)お姉さんと呼んでいる。
基本無表情なのが玉に傷だが、それでも街を歩けば10人中8,9人が振り返るぐらいの美人さんだ。
ちなみに念能力者でもあり、あまり細かいことを気にしないようなので恐らく系統は放出系。
ついでにマゾラー一行に追い詰められた私に、あの銃(MG42)を売ってくれた人でもある。
「私は襲われた側なのに!! 運営酷くないですか? 泣きそうになりましたよ。」
「いやアレだけ広報に力を入れてた試合よ?
それが勝手に場外で殺しあって結局不戦勝って。泣きたいのは運営の方だと思うわ。」
話題はこの前終わった私のフロアマスター戦について。
あたり前だが死んだマゾラーは試合に出れなかったので、試合は私の不戦勝になった。
しかし運営的には大層不満だったのだろう。
どこかから私とマゾラーが殺し合った事を知ると、しっかりと釘を刺してきたのだ。
「もし同じことやったら次は出禁だそうです。」
「残当。」
ひどくね? 相手は10人以上いたんだよ?
私はそれをちょっと機関銃で薙ぎ払っただけなのに。
まぁ文句は言わないけどね。じゃあ選手管理はしっかりしろよ! なんて言ってしまうと、これ幸いにと行動を制限されそうだから。
場合によっては裏を読んで口を閉じる、これも社会人としての必須スキルである。
御偉いさんの社会の窓が開いてたりとか、カツラがズレてた場合とか。
「まぁマゾラーは私も嫌いだったから、個人的にはグッジョブだけどね。それで今日はどんな用事?」
「えーと、もうしばらく試合が無さそうなので。
今のうちからハンター試験に備えようかと。今日はその装備の相談に。」
「えっ、ハンター試験受けるの? 貴方まだ7歳よね?」
驚いたような発言をしているが、銀お姉さんの表情筋は揺るがない。
うーむ、いきなりおっぱい揉んだら流石に動くかな?
「試験前に8歳になりますよ。胸揉んで良いですか?」
「ちょっと早いと思うけど? 二重の意味で。」
銀お姉さんがそう言った瞬間、私は練でオーラを増やし、凝で腕にオーラを集中。
始めの頃に比べれば多少はマシになった強化系を使って腕を伸ばす。
しかし銀お姉さんは伸ばした私の手をあっさりと払い除けた。
くっ、私もまだまだか……。
「修行不足。私のを揉みたかったら、もっと頑張りなさい。」
「銀お姉さんもおっぱいはまだまだだけどね!(並盛り」
「大丈夫、私は着痩せするタイプだから(震え声」
うーむ、どうも子供扱いされているな。
まぁ一般的に考えれば確かに早いよね。ゴンやジンですら受けたのは11歳だったし。
でも受けないとグリード・アイランドの発売に間に合わないから仕方ない。
それに原作試験と同じぐらいの難易度なら、今でも十分に勝算はある。
それにどちらにしろ、今の私は暇なのだ。
最初は賞金首を狩ろうと思っていたが、戸籍がなく国家間の移動に制限がかかる現状では動きにくいので止めた。
となると後はもう修行以外では、ハンター試験への準備ぐらいしかやることがない。
「そこはどうしても必要な事情があるんです。それで流石にあの機関銃を持って走るのはきついかなって。なので他に良さそうなのありませんか?」
部屋に置いておけばいつでも弾を補充できる私の能力は、銃器系とかなり相性が良い。
現在考えているのは、デメちゃん経由で弾を取り出しつつ、距離をとってぶっ放すスタイルだ。
これなら強化系が苦手な私でも接近せずに戦える。
えっ、近寄られたら? 手榴弾とか撒きながらガン逃げでおk
「そうね、ちなみに銃に望むものは?」
「望むもの……」
必要なのはハンター試験でライバルを蹴散らす為の武器。
試験の過酷さを考えれば、もっとも重視するべきは『頑丈さ』だろう。
途中で壊れると非常に困る。銃の知識があまりない私では修理できない。
次点で火力も必要だ。
せっかく持っていっても効かないのでは意味がない。
出来れば念能力者も撃ち殺せるのがいい。
最低でもボディーアーマーを貫通するぐらいは必要だ。
そして持ち運びやすさ。
重すぎて疲れたりすると逆効果だからね。
あとは子供の私でも使いやすければ最高だ。
以上のことを踏まえて諸々考えると……候補は1つ。
「A○47(軍用突撃銃)か、RPK(軽機関銃)かなって。」
「待って、あなたどこにカチコム気なの?」
そんなにおかしいチョイスかな?
頑丈さ>威力>携帯性 で選べばこの2択だと思うんだけど。
あっ、ちなみにこの世界の銃は名前が地球とほぼ一緒だった。ついでに性能も。
もちろんAKシリーズは頑丈さと信頼性でぶっちぎりの評価だ。
「この店には無いんですか?」
「両方有るわよ? 私の私物だけど。」
そうか、有るのか。今更だけどこの店のラインナップもおかしいよね。
買った私が言うのもなんだけど、普通は店に軍用の機関銃なんて置いてない。
せいぜいハンドガンか、速度を落とした短機関銃がいいとこのはずだ。
(全く、ハンター世界は常識が通じないから困る。)
まぁここはちょっと街を離れたら人を食べる魔獣がウヨウヨいる世界なので、その分だけ規制が緩いのだろう。おかげで私は助かった。
銀お姉さん本人も動作が妙に洗練されてるし、恐らく特殊部隊か工作員あたりの出身かな? 銃器もその時のツテとかそんな感じだろう。
なんとなく地球にいた、そっち系の知り合いと同じような感じがする。
何であれ、私としては銃器を売ってくれるなら問題ない。
「貴方の手だと22口径ぐらいが持ちやすいと思うわ。」
「22口径と9mmはダメ。はっきり分かんだよね。」
主に威力的な意味で。
念能力者が参加していた時の事を考えると、普通のハンドガンは無い。
作中でもクラピカが『22口径では念能力者を止められない』と断言している。
9mmパラも念能力者なら防御は可能だ。
実際、原作の継承編で味方が撃たれたが普通にピンピンしていた。
「念能力者は滅多に居ない。なら普通の受験者を対象に選ぶべきよ。」
「えー」
言われてみれば確かにそうなんだけど、でもやっぱ不安なんだよなぁ。
特にハンター試験はヒソカみたいなキチガイが稀に湧くし。
「ちなみに銀お姉さんのお勧めは?」
「うーん、そうね……ちょっと待ってて。」
そう言うと銀お姉さんは一旦店の奥に引っ込み、2つの銃を持って戻ってきた。
「私のお勧めはバラマキ用の
まずはこれ、と言ってお姉さんが一つの銃を机に置く。
それはT字の様な形をした短機関銃だった。
マガジンはグリップの中に入れるタイプで、全量が30cmちょいとかなり短い。
銃身の下には無理やり付けられたようなピカティニー・レールがあった。
「世界中でベストセラーになったウ○ジー短機関銃の最新モデル。
元々はもっと大きかったんだけど、軍の要求で縮小された。
ミニ版とマイクロ版が作られ、これはそのマイクロ版を近代改修したプロ版。
装弾数はロングマガジンで50発。」
手にとってみると結構軽い。2.5kg前後ぐらいだろうか。
短機関銃なのに拳銃並に取り回しが良さそう。これで50発も撃てるのはすごい。
「それから自動拳銃はこれね。」
次にお姉さんが机の上に置いたのはハンドガンだ。
デザインはよくある形だが、ハンドガンとしては一回り大きくてゴツイ。
流石にこれは映画やゲームでよく見かけるので私でも知っていた。
「市販されてる自動拳銃で唯一50口径弾を撃てる銃、デザートイ○グル。
装弾数は7+1発で、近距離であればボディーアーマーを貫通する。
ちょっと反動が大きいけど、念が使える貴方なら大丈夫。」
ふむふむ。装弾数が少ないのは弾が大きいからかな?
私では両手持ちじゃないと握りづらそうだ。
しかしここで私は一つ、肝心な事を聞いてなかった事を思い出した。
「あのぅ、すごく今更ですけど、銃の威力ってどれぐらい違うんですか?」
「あー、そこからか……」
銀お姉さんは呆れたようなジト目で私を見てくる。
しかし私は銃についてほとんど素人だ。
前世も日本人だったので、撃つ機会なんてなかったし。
てか普通の人は銃の威力なんて知らないと思う。
どの銃でも撃たれたら怪我するから。威力まで調べたりしない。
「という訳で解説はよ。」
「そうね、まず22口径の威力を100とすれば、9mmパラが350ぐらいよ。」
ふむふむ、だいたい3.5倍になるのか。
銃自体は同じように見えても全然威力が違うのね。
これぐらいが普通の念能力者が防げる限界なのかな?
「それからアサルトライフルが1350、50口径オートが1500ぐらいね。
これぐらいあれば普通の念能力者は傷を負うわ。」
おおう、更に4倍とか。この辺からは念能力者も必死に避ける威力か。
てかこうして比較すると22口径弱すぎでは?
しかしここで一つ疑問が出てきた。
「アサルトライフルの銃身を短くするってダメなんですか?」
「銃弾の威力は『弾頭重量』と『発射速度』に影響される。
アサルトライフルは銃身を長くし、弾丸が火薬のエネルギーを長く受けることで弾速を上げ、それによって威力を増やしてる。だから銃身を切り詰めると速度が落ちて威力も落ちる。」
ふむふむ。
「それとライフル弾は拳銃弾の2倍以上長い。
だからハンドガンみたいにグリップにマガジンを入れられないし、全長が長くなるのは避けられない。」
うーん、小さい銃でライフル弾を、なんて美味しい話はないってことか。
まぁ出来るのなら銃会社がとっくに作ってるよなぁ。
「ちなみにスナイパーライフルはどれぐらいの威力なんですか?」
「対人用で2500ぐらいね。」
おおーと、威力が更に倍になったぞぉ!
これをコメカミに食らって「いてっ!」で済ます某旅団員さん……
「えーと、一度だけ対戦車バズーカを素手で防いでる人を見たって言ったら信じます?」
「詳しくは分からないけど、一番メジャーなバズーガでたぶん威力は5万以上だと思う。防ぐのは不可能。」
(22口径500発分て……やっぱウヴォーギンて強かったんだな。)
威力350でクラピカがビビっていたのだ。
威力5万超えを片手で防ぐとかやばい? やばくない??
いくら強化系だからって防御力高すぎである。
そりゃ凝なんて使わずに正面から殴りに行くわ。だって必要ないもん。
(クラピカもガチメタ張ってなければゴリ押しでヤられてたんだろうな。)
まぁ私が受ける試験に限ってそんな人外が居る事はないはずだ(フラグ
だからお姉さんが言うようにもう少し気楽に選ぼう。
という訳で……
「もう面倒なんで必要そうなもの全部見繕ってもらえますか? 銃以外も。」
「OK、まとめ買いしてくれるお客は好きよ。」
やはりこういう場合はプロに丸投げが一番である。
銀お姉さんは沢山売れてハッピー。私は面倒が減ってハッピー。
やっぱり取引はWin-Winが一番だ。
「あっ、あと比べてみたいのでこの店で一番威力が強い銃も下さい。アタッチメントも全部。」
「はいはい、了解。」
銀お姉さんは左手をヒラヒラさせながら店の奥に引っ込む。
その後はバズーカから地雷まで持ってきて、全て丁寧に説明してくれた。
私はなんだかんだで途中から楽しくなってきて、言われるがままに全てを買いとった。
「じゃあ地下の射撃場で順番に撃ってみましょうか。」
「はーい。」
それから私は今までの訓練と並行して、銃の練習を始めた。
やっぱりぶっ放すのはとても楽しい。
待ってろよハンター試験、必ずヤってやるぜ!!(合格的な意味で
銃の元ネタはウージーとデザートイーグルです。
子供の手だと撃てないって? 大丈夫だ、念があればきっと撃てる。
威力で参考にしたのはWikiにある『マズルエネルギー』のページ。
バズーカはAT4の弾頭重量と初速から着弾時の爆発を加えたら
これぐらいになるんじゃね? という想像なので気にしないで下さい。
成形炸薬弾のジュール計算とかむりだよぉ……