シズク=ムラサキは愉悦したい   作:さろんぱす。

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暑すぎてトロけそうです。オマケに台風も来るとか。
今年は屋根が吹き飛ばないといいなぁ。


第22話 立つ鳥が跡を濁す最終試験

 軍曹を消し飛ばして10分ほど経つと、途中で倒れた3人――イルミ、バショウ、マロさんは動けるようになった。どうやらあの能力の持続時間は摂取した量に依存するらしい。

 

 その後は協力して倒れていた人たちの救助に当たり、やってきた協会の飛行船でまとめて回収された。残念ながら村の方は全滅だったが、協会の職員は半分が生き残った。リン試験官もだ。今頃彼女達は協会が運営する病院で治療を受けているだろう。

 

 そうした諸々があって現在。

 私達は次の試験会場へ移動中である。

 繰り返す、次の試験会場へ移動中である。

 

「やっぱ協会って頭おかしー。」

 

 そう、試験は当たり前のように続行された。これだけの不祥事を起こしておきながら。

 流石は天下のハンター協会である。分かってたことだが組織自体がめちゃくちゃ図太い。

 

 まぁハッカーハンターなんてのが居るのだ。きっと今回の事件も、何らかの情報操作が行われるのだろう。個人的には政治家に幾らバラまくのか興味が尽きない。

 

(裏でどんな取引をするんだか。まっ、試験が続行なら何でもいいけどね。)

 

 私が一番恐れていたのは今年の試験が中止になること。

 だってあんな高位能力者と戦って取り止めだなんて、骨折り損のくたびれ儲けだ。

 だからこればかりは協会の英断に感謝しかない。

 

(試験は後2つぐらいかな? 早く終わるといいんだけど。)

 

 そんな事を考えながら割り当てられた個室で寛いでいるとアナウンスがあった。呼び出されたのは軍曹と戦った時の4人。私は座っていたベッドから腰を上げ、指定された部屋へ向かった。

 

 

 

 

「失礼しまーす。」

 

 呼ばれた部屋の扉を開くと、中は4畳半の和室になっていた。

 床には畳が敷かれ、壁には”心”と書かれた絵が飾られている。

 

 中央には足の短いテーブルが一台。上には7人分の湯呑がある。

 向かい側には中央にネテロ会長が、その右にツェズゲラさん、左にルビィさんが座っていた。

 

「さっ、早く入りなさい。この人数だとちと狭いがの。」

 

 私達はゾロゾロと部屋に入室する。確かにこれだけ居るとちょっと狭い。

 それでも詰めて何とか全員が座ると、ネテロ会長は話を始めた。

 

「さて、ワシは協会会長のネテロじゃ。ついでにこの試験の最高責任者でもある。」

 

 知ってる。というかハンターファンでこの人を知らない人はいないだろう。

 感謝の正拳突き1万回。百式観音。蟻の王とのバトル。そして最後の散り様……一度でも読めば忘れようはずがない。

 

 そしてその実態は、最強の念能力者でありながら、他人に無茶振りをしまくるスーパーワガママおじいちゃん!!

 

(だがソレが良い!!)

 

 原作ではシズクと同じぐらい好きだったキャラだ。

 

 私は会長をじっくり見据え、殺気を込めながら全力で【練】を行う。

 ついでにデメちゃんも最大サイズで頭の上に具現化する。

 正面からの挑発だ。自重? やつならオアシスでバカンスしてるよ。

 

(さぁどうでる?)

 

 私はワクワクしながら会長の様子を窺う。だがこれは別に会長と勝負がしたい訳ではない。というかもし戦闘になってしまったら、ゴンさんでも無ければプチっと潰されて終わりだろう。

 

 私は少しでもいいから会長の念が見たいだけである。『研磨された針みたい』と言われてた練とか特に。

 

(ん~、ダメか。)

 

 しかし会長に動きはなかった。他の全員が臨戦態勢に入る中、一人だけ平然と座ったままだ。オーラも驚くほど"静か"。そこには一切の動揺が見られない。

 

(うーん、すごい。これが文字通り"年季の違い"ってやつか。)

 

 私の【纏】が風で揺れる稲穂だとすれば、会長のは巨大な樹木だろうか。

 ミョンミョン動きまくってる私達のオーラとはLVが違う。

 

「……気が済んだかの? ならばちと抑えてくれ。一人気絶しかけておるわい。」

 

「はーい。」

 

 みればマロさんが気を失いそうになっていた。おっといけね。

 

 私はすぐに【練】とデメちゃんを解除する。会長が動かないならこれ以上続ける意味はないからね。ついでに軽く謝っておく。

 

「ごめんなさい。」

 

「うむ、では始めるかの。」

 

 会長は場を仕切り直すと、何もなかったかのように話を再開した。マロさん大丈夫かな?

 

「まずは礼を言っておこう。お主らのおかげでうちの職員が助かった。迅速な救助を感謝する。」

 

 そう言いながら会長達3人は一度頭を下げた。

 その様子に私達受験生は驚く。もちろん私もだ。

 

 だってこれが出来る大人は強いから。必要なら躊躇なく『わざわざ俺らが頭下げたんやぞ? だからこの件はこれで終わりね』という武器を振り回せる、という意味で。

 

「残念ながら村の方は全滅じゃったが、それでもお主らが今回の件に尽力してくれたことは間違いない。」

 

 そうだね。今回はめっちゃ頑張った。

 なにげに本気で死ぬかと思ったのは、この世界に生まれてから初めてだった。

 

(でも個人的にはお礼より、何かの"形"で返してほしいなぁ。)

 

 地球のすごいバッターは言いました。『誠意とは言葉でなく金額』と。

 だからもういっそ合格にしてくれるとか。何ならライセンス2枚くれてもいいのよ?

 

「ついてはその功績を鑑み、お主達4人は残りの試験を免除することにした。つまりお主達にとっては、この面接が最終試験の代わりと言うわけじゃ。」

 

 まじで!? 流石ネテロ会長! 話が分かるぅ~!! 頑張って戦った甲斐があったぜ。

 

「良いのでおじゃるか? マロはただの足手まといだったでおじゃるが。」

 

 だがマロさんはちょっと思うところがあるらしい。

 

 くれるっていうんだから遠慮せずにもらっとけば良いと思うんだけどね。

 生真面目だ。念を覚えたら具現化系かな?

 

「確かに戦闘では役に立ったとは言えんの。じゃが回復してからは職員の救助に最も尽力してくれたと聞いておる。ならば問題なかろう。他の3人も文句はあるまい?」

 

 私としては異存はない。他の二人も同じようだ。

 てか麻薬中毒の処置法とか知らなかったし。そっちはほとんど大人二人に任せっぱなしだったからね。

 

 職員は麻薬化したオーラを長時間摂取させられていた。そのせいでなかなか意識が戻らなかった。だから知識のある人が居てくれたのは助かった。それに他の受験生は時間ギリギリまで戻ってこなかったし。

 

「ふむ、ではまずハンターになったら何をしたいかを聞かせてもらおうかの。番号の若い順からじゃ。」

 

 番号順か。てことは私は最後だ。

 ちなみに番号は163(イルミ)461(マロさん)893(バショウ)999(ワタシ)

 

「特に無い。」

 

 最初はイルミ。まぁ私の様子を見に来ただけっぽいしなぁ。

 てか今さらだけどライセンス取っちゃったよ。もうキルアと一緒に試験受けれないじゃん。これでまた一つ原作崩壊が加速した。まぁどうせ崩壊させるつもりだからいいか。

 

「マロは一から鍛え直すでおじゃる。実力不足を痛感したからの。」

 

 マロさんは鍛錬か。そういえばまだ念に気づいてないっぽいんだよね。

 まぁ裏の試験官がすぐ送られるだろうから、次に会う時には習得しているだろう。

 

「俺は植物のハンティングだな。幾つか使ってみたい葉っぱがあるんだ。」

 

 バショウは植物か。意外な答えだ。でも原作では"キレイなハッパ"とかいう合法麻薬作って特許まで取ってたっけ。あれ、じゃあコイツめっちゃ頭良いんじゃね? うーん、似合わない。けどこれは金の匂いがする。

 

「それでお主はどうじゃ?」

 

 そして最後は私だ。

 

「そうですね、強いて言えば……私も修行かな? 他にもやりたいことはありますけど。」

 

 誰がなんと言おうが、この世の中心は暴力だ。どんな聖人でも頭を弾かれれば終わり。どれだけ言葉で着飾っても否定することは出来ない。暴力は大きければ大きいほど良い。

 

「ふむ、しかし此度の犯人はお主が最後に一人で倒したと聞いておるが?」

 

「それでも全然足りないです。」

 

 私が勝てたのはガスマスクで麻薬化したオーラを吸わずにすんだから。あと不意打ち出来る能力を持っていたからだ。つまりたまたまである。これではとても俺Tueee!! なんて思えない。

 

「もっと強い暴力を身に付けて、その暴力でお金を稼いで、お金で政治家に恩を売って傀儡にして権力を握るんです。……そうするとほら、大抵のことは出来るようになるでしょう? だからもっと修行して稼がないと。」

 

 具体的にはまず賞金首狩り。お金と戦闘経験を稼げて一石二鳥。

 んでお金が溜まったら島でも買って本拠地を作る。

 それから金策の為に会社起こして権力者にコネを作って。

 あとは金と暴力でじわじわ支配を広げていくって感じ?

 

 我ながらスカスカのフローチャートで嫌になるが、まあ全てはこれからだ。

 今後はライセンスでどこでも行けるようになるからね。

 

 ……と、考えていた大まかな予定を話してみれば、部屋の全員が微妙な顔をしていた。

 あれ、私おかしなこと言ったかな? 割とどこでもやってる事だと思うんだけど。

 

「お主……その年で恐ろしい野心家じゃな。」

 

「え~、そんな私なんて普通ですよ普通。」

 

(((((ねーよ!!!)))))

 

 暴力・財力・権力……この世界を楽しむには全部が必要だ。

 これから愉悦部をやるなら特に。大きいほど活動に幅が広がるだろう。

 

 待ってろよ世界。面白おかしく引っ掻き回してやるからな!!

 

「それならいっそ、もうハンター協会の会長を目指してみんか?」

 

「あっはっは、やだなぁ。そんなのタダの罰ゲームじゃないですか。」

 

「ワシの前でそのセリフを堂々と言えるのは大したもんじゃわい。」

 

 何を言ってるんだろうか。

 だって会長になってもV5から無理難題を押し付けられるだけでしょ?

 原作のネテロ会長だってそれで体に薔薇を仕込んで戦うハメになった。

 

「あっ、でも100億くれるなら考えてもいいですよ?」

 

「ちょ、ちょっと貴方!! 何言ってるか分かってますの!?」

 

 ルビィさんがテーブルを叩きながら勢いよく立ち上がった。

 衝撃で湯呑の中に波が立ち、青いドレスに包まれたおっぱいがタプンと揺れる。

 

 でもこれぐらいポンともらえなきゃ、会長を目指す気にならないんだよなぁ。

 だってこのまま行けば十数年後の協会はパリストンに侵食されてガタガタになる。

 会員の1/3と本部職員が言うこと聞かないとか、運営の難易度はナイトメアだ。

 

 そしてトドメが暗黒大陸への進出。ビヨンドがカキンと組んでる以上、これは必ず始まる。原作で説明されていたとおり、カキンが動き出すと止めようが無いからだ。ネテロ会長が死ななくても時間の問題。もちろんV5は無茶を押し付けてくる。

 

(やっぱないわー。てか会長の椅子の価値って、これから下落するだけだよね。)

 

 誰がなるかは分からないが、将来の会長に期待しておこう。生贄(犬の人)的な意味で。

 

 

 

 

 そうしてその後も幾つか質問が続いたが、面接自体は1時間ほどで終了となった。

 

「うむ。ではここにいる4名を新たなハンターとして認定する。」

 

 最後に会長から合格をもらうと、私達はライセンスを受け取り部屋を出る。

 

(っしゃー!! ライセンスゲットぉおおお!!!)

 

 ねんがんの ライセンスを 手に入れたぞ!!

 この世界に生まれてから定めた目標の2つ目を達成だ。念を覚えたときと同じぐらい嬉しい。

 

(これが1枚何十億かー。)

 

 手に入れたライセンスを頭上に掲げる。

 スポーツ選手が表彰台で金メダルを両手で持つように。

 何となくめっちゃ輝いてる気がする。

 

 説明された特権を要約すればこんな感じである。

 ・大体の場所に入れるよ!

 ・公的施設使い放題だよ!

 ・融資も一流企業並みに受けれるよ!!

 ・でも再発行はしないよ! 頑張って守ってね!!

 

 これでもう密航する必要はなくなった。むしろこれから公共の乗物はほとんどタダ。

 子供だからってホテルの宿泊を断られる事も無ければ、電脳ページもめくり放題だ。

 

 このカード1枚で今までネックだった部分が全部まるっと解決である。

 

(うひひひひ、嬉しいなぁ。……でも意外と小さい。しっかり管理しないと。)

 

 ライセンスカードを軽く曲げたりして触ってみる。

 大きさは銀行のキャッシュカードぐらいだ。サイフに入れれば他のカードと紛れるだろう。こっそり盗まれても気づかなそう。

 

(普段は金庫にでも入れといて、必要なときだけ能力で取り出せばいいか。)

 

 世間では『売れば7代遊んで暮らせる』と言われているが、時価は10~15億ぐらいだろう。ジンがビヨンド組の一人に払ったのが30億で、それがライセンスを2回売った額らしいから。

 

(確かに派手な事をしなければ7代暮らせるね。)

 

 一生独身貴族ならだけど。まぁ嘘は言ってない。

 私達は各自の部屋に戻ると、飛行船から降りる準備を始めた。

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□

 

 

 

 

 

「さてあの4人じゃが、一番気になったのは何番じゃ?」

 

 新たにハンターとなった4人が部屋から退出した後。

 ネテロは備え付けの窓から外を見ながら、隣に座るツェズゲラとルビィに問いかけた。

 

「「……999番。」」

 

 その答えを聞き、ネテロはやはりそうか、と頷いた。

 

「会長、最初のアレはよかったのですか?」

 

「うむ、正面から挑発されるなぞ何時振りじゃろうな。しかも堂々と手札まで晒しよって。」

 

 もちろんネテロは事前に報告は受けていた。

 だが実際に会ってみれば、それ以上にハジケた子だった。

 

「それにあのテロについては、幾分かはあの子が原因ですわよ?」

 

「じゃが全く気にした様子はなかったのぉ。」

 

 更に報告にはバイクで爆走して試験官を轢き、下剤を配って砂漠を阿鼻叫喚の地獄に変えたともあった。結果、3次試験に同行する試験官と職員が少なくなり、テロを起こす隙を与えてしまった。

 

「恐らくですが、過去を一切気にしないタイプなのでしょう。」

 

「そうじゃのう。ワシが言うのもなんじゃが、随分とぶっ飛んだ性格のようじゃの。それに面接での吹っかけ方も。年齢から考えれば、念の方は良い感じなんじゃがのぉ。」

 

 999番は素晴らしい才能を持っていながら、それを己の欲望の為に使う事に躊躇がない。

 ネテロを含めた3人は面接を通じて、その事をハッキリと確信した。

 

「実は8歳の子供ということもあり、審査委員会からは教育し直しましょう、という意見があったのじゃ。」

 

「それには同意いたしますわ。」

 

 すぐにルビィが頷いた。だがネテロはそんな事に意味を見いだせなかった。

 

「いや無駄じゃろう。あれはあの歳ですでに確固たる自我を持っておる。今さらどんな教育をしても変わったりはせんじゃろ。」

 

 正直、せめてもう少しだけ心根が真っ直ぐならと思わんこともない。現状はあまりにもねじ曲がりすぎているのだ。だが同時に、だからこそ面白いともネテロは思った。

 

 ハンターというのはある意味、望みに向かって突っ走る者ばかりだからだ。

 その点だけを鑑みれば、999番はハンターとして優れた資質があるということになる。良くも悪くも、だが。

 

(フォフォフォ、さて将来はどうなることやら。)

 

 ハンターとして星を得るのか、それとも大犯罪者として捕まるか。

 あれほどの欲望を持っているのなら、辿り着くのはどちらかしかないだろう。

 

 ネテロは楽しみじゃのぉ、と呟きながら湯呑をとってお茶を飲んだ。一時間前に入れたままだったお茶は、当たり前のように冷めていて不味かった。

 

 

 

 

 

 

■□■□■□■□■□■□

 

 

 

 

 

 4次試験の会場に飛行船が着いた。

 部屋の窓から外を見れば、残りの受験生たちがゾロゾロ降りていく所だった。

 

 私達はしばらく待機だと言われたので、私はその間にお世話になった人達を訪ねることにした。狙いはコネ作りだ。日本ではあまり良いイメージがないが、他人との繋がりだって一種の力なのだ。

 

 特にハンターなんて次は何時会えるか分からない。だからこのチャンスは逃せない。

 

「という訳でツェズゲラさん。私の師匠ポジが空いてるんですけど、幾らで買ってくれますか?」

 

「頭は大丈夫かね?」

 

 最初に向かったのはツェズゲラさんの部屋。懸賞金(マネー)ハンターで仕事を金で選ぶと公言している彼は一番気が合いそう。割の良い仕事も沢山知ってそうだし、最低でもホームコードか名刺は欲しい。

 

「私はこれから星を取ります。そしたらほら、貴方の星も増えますよ。」

 

 頭を心配されたことは気にせず、私を弟子にした場合の利益を説明する。

 

 プロのハンターは業績を残すと星が一つ与えられ、シングルハンターと呼ばれる。

 だがそこから星二つのダブルハンターに昇格するには、面倒をみた後輩が星を得る必要があるのだ。

 

 そうして考えると、8歳でハンター試験に受かった私はとても良い商品になる。念能力も見せたので、修行をサボる雑魚とは違うということも分かってもらえてるだろう。

 

 だからこの売り込みだ。身も蓋もない言い方をすれば、要は『将来貴方を二つ星にしてあげるから金をくれ』ということである。

 

「なるほどな。……値段次第だ。」

 

(っしゃあ!)

 

 ツェズゲラさんは顎に指を当てて数秒考えると、アッサリと私の申し込みを受けた。

 普通のハンターなら切れるだろうが、金至上主義のこの人はその辺に頓着がない、という予想は当たっていたようだ。

 

 まぁ名声が増えればその分だけ美味しい仕事が入ってくるだろうし。

 私としても売れるタイミングは今しか無かったからね。今回の試験にこの人が居てくれたのは運が良かった。

 

 そうしてツェズゲラさんへの売り込みが終わったら、その次はルビィ試験官。

 

「私を轢いた事と砂漠で下剤を撒いたことは許せませんわ。」

 

 部屋に入ると、私を見た彼女はプリプリ怒り出した。

 

「ごめんなさい。」

 

 まぁやったことを考えたらしゃーない。私は素直に頭を下げる。

 ついでに部屋に入る前に指しておいた目薬の効果で涙を出して、本気で反省してます度をアピール。幼女の泣き顔謝罪だ。果たして彼女は耐えられるかな?

 

「……しょ、しょうがないわね。まぁ貴方は私のライバル(親友)のリンさんを助けてくれましたし。なのでその件と併せて特別に帳消しにして差し上げます。いいこと、と・く・べ・つ・に、ですわよ?」

 

 デレキター!! もちろんしっかり録音中だ。あとでリン試験官に送らなきゃ(使命感

 

 それからマロさんとバショウとも連絡先を交換した。

 

「まさか同郷だったとはの。言われてみればソナタの名前もジャポン風でおじゃるな。」

 

 マロさんとはジャポンの話をした。私が同じ国の出身だと知るとマロさんとてもは驚いてた。最後には美味しいお寿司屋に案内してもらう約束をした。再びジャポンに行く日が楽しみだ。

 

「世話になったぜ。」

 

 バショウからは本人の発――【流離の大俳人(グレイトハイカー)】について教えてもらった。句にすれば何でも実現できるが、効果は数秒しか持たず1メートル以内にしか及ばないとのこと。しかも何かを作り出すような句じゃないと駄目。つまりコッテコテの具現化系の発だ。ちなみにバショウ自身も具現化系の模様。

 

 バショウは最後に『てめぇが倒さなきゃ俺様も死んでたからな。特別だぜ。』等と言っていたが、私は原作知識で知っていたので収穫としては微妙だった。

 

 

 

 

 そうして過ごしていると、ついに私達が降りる時間がやってきた。

 最初にバショウが、次にマロさんが去り、最後に私が降りる。

 

 タラップから少し離れた辺りで振り返れば、飛行船の出入り口から顔を出した会長達がいた。

 私は会長に向かって手を振りながら叫んだ。

 

「会長ー! 今度、百式観音を見せてくださーい!!」

 

「おまっ……」

 

 私の発言を聞いて会長がほんの一瞬だけ固まった。

 おお、会長が驚いてる。流石に能力バレは予想外だったようだ。

 

 私はそんな会長達を背に走り出す。

 ハプニングは有ったが、念願のライセンスは手に入った。

 これでもう行動を制限されることはないだろう。

 

 私はどこにでも行けるし、どこにでも入れる。

 

 そう、私の人生は、改めてここから始まるのだ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「じゃあゾルディック家に連れて行く(連行する)から。」

 

 はい。

 

 駄目だったか。途中まで、おっ? これは行けるんじゃね? って思ったのに。

 

 やっぱりイルミは誤魔化せなかったよ……

 

 まぁライセンス受け取ってから()()()後ろを付いてきてたもんね。

 しかも今は手に縄を持ってるし。全く信用されてなくて草生える。

 

 私の人生……始まるといいなぁ(ゲームオーバーの予感)

 

 

 




これでハンター試験編は終わりになります。
読んでくれて有難うございました。
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