「おやおや、手持ちのものは全て倒されてしまったようだ。
これは君の勝ちかな、星斗君」
自身の悪魔を全て倒されてなお、余裕そうな表情でその白人男性は呟く。
その姿はブロンドの長髪に赤青オッドアイ、さらに戦場には似つかわしくない
青のスーツを着こみ、その周囲からはなんとも言えない異様な雰囲気が醸し出される。
その相手の様子に、星斗はおろか仲魔の泰山府君、ヒュプノスでさえ酷い息苦しさを感じる。
彼との戦いの結果を本当に勝利と呼んでいいのか、星斗には甚だ疑問であった。
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東京池袋、常人では立ち入るどころか認識すら出来ない建物のその一角。
星斗が依頼を受けたトーナメントの会場が、そこにはあった。
今回星斗のこの依頼を受けたのは、トーナメントの賞金が欲しかったから……ではない。
ガイア教関係者との関りを比較的容易、かつ安全に確保できると考えたからである。
東京崩壊について
あの時に聞いたルナの言葉が正しければ、そのきっかけを起こすのはガイア教側からである。
現状に鑑みれば、それが発生した時の防御策の方は順調に進んでいる。
時間猶予はさておき、それを行えるに足るだけの後ろ盾を星斗は確保できていた。
ジプス、天意、ヤタガラス、そして葛葉ライドウ。
しかしながら、これはあくまで事が起きてしまった際の事後策である。
可能であれば、事が起きるその前に、その要因を突き止めて行動自体を
阻止できたほうがより望ましいのは間違いなく。
そしてそのためには、ガイア教の内情を詳しく知る必要があると星斗は結論付けていた。
しかしながら、その内情を知るための伝手を、現状の星斗は持ち合わせていない。
そのあたりの伝手がありそうな、師匠であるナオミに何となしに探りを入れてみたが
思い当たる節がなさそうで、またファントムソサエティ経由での依頼で忙しいらしく
残念ながらその手を借りることも出来そうにない。
つまりは東京崩壊、その予兆を感じ取るための最低限の情報すら
手に入れられる環境にないというのが、星斗の実情であった。
さてどうしたものかと考えあぐねていたそんな中にあって
今回のトーナメントの依頼はまさに渡りに船といった所であった。
今回の様な力試しを行うイベントはガイア教系の依頼の中では
数少ない余人への被害が極力少ない類のものであり
これには星斗の心情的にも非常に楽に感じるものだった。
また、星斗に直接依頼が来たことからも分かるように
この業界内で一定以上の実力があると認められたものだけが
参加できる資格を持っており、界隈の有力者と面識ができる可能性もある。
その中で星斗の力を誇示することが出来れば、必ず接触してくるものがいるはず。
そしてその伝手を辿っていけば、何かしらの情報を手に入れる機会を設けることが出来るはず。
星斗はそう考えていた。
そして、その星斗の考えは十分なほどに的中することとなる。
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決勝に至るまでの3回戦は、星斗にとって特に苦戦するような戦いではなかった。
その中には星斗自身と同等程度の実力を持つであろう相手も存在していたが
デビルサマナーとしての使役している泰山府君、ヒュプノスの敵ではなく。
先の道満との戦闘で感じていた手ごたえは間違ったものではなかったことを再確認する。
やはり、自身の実力と同等以上の相手をする際に
デビルサマナーとしての戦い方は非常に有用であると。
そして、その考えは決勝でも星斗の予期せぬ形で再認識することとなる。
決勝の相手は、星斗と同じデビルサマナーの様ですでに悪魔を場に召喚した状態で現れていた。
地母神イナンナ、龍神ケツァルコアトル、邪神アマツミカボシ、そのどれもが高位悪魔である。
そして、それら悪魔と共にスーツ姿の男性が前線で戦闘を行っており
サポートを主とする星斗とは異なるタイプのサマナーであるように見受けられた。
ただし、その戦闘方法に若干の違和感を星斗は覚える。
相手の悪魔たちについてあの男性に付き従っていることは間違いないが
その実使役しているという感じに見えない。
なんなら、野良の悪魔4体を相手にしている、そんな事さえ感じていた。
そして、そんな状況であったお陰もあり、一体、また一体と各個撃破することで
なんとか数的不利を押し返せていた。
少しずつ有利な立場になっていく星斗達。
しかしながら、周りの悪魔たちを倒せても、目の前にいる男性をどうにかできるとは
少しも思えなかった。
相手の悪魔たち全て倒した後、相手の男性の方が負けを認めていなかったら
果たして自分たちはどうなっていただろうかと。そんなことを考えざるをえない星斗であった。
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優勝商品として、ディアーナが仲魔になったのは星斗にとって嬉しい誤算であった。
ディアーナはローマ神話における、狩猟、貞節と月の女神であり
その実力は手持ちの仲魔達と比較しても遜色なく。
なにより、その会話の中で星斗との相性も良さそうなのも高評価である。
その希望を持たせてくれるような彼女の言い回しは、
特段おかしなところは無さそうだが、若干の違和感を覚える。
しかしながら、そんな違和感を吹き飛ばすかのように
それを受け取った事を確認するかのように、決勝で戦った男性が星斗の元へと近づいてくる。
「中々どうしてニンゲンにしては強い」
まさに不敵な笑みといった感じで話しかけてくる男性。
その様に思わず星斗は身構えるが、目の前の男性は気にも留めず。
「その身を削って戦う様には、感動を覚えなくもない」
すべてを見透かしているような、それでいてどこを向いているのか
わからないような、そんな言い回しに星斗は困惑する。
「そんな、君の力があれば、振り子の落ちる先ぐらいは変える事ができそうだ」
この時点で目の前の男性が自身の反応など期待していないことに星斗は気が付く。
ようは言いたいことだけ言って満足するタイプだろうと。
そんな星斗の思いを知ってか知らずか、さらに言葉を続ける男性。
「今君が最も会いたいと思っている人物を、紹介しよう。
そう、この東京の未来についてのね」
「……っ!」
東京の未来。そのキーワードに一瞬動揺を浮かべる星斗。
「《鋼鉄覚者》」
「……」
知っていて当然と言わんばかりに、言い放つ男性。
そんな様子に、いや全く知らない人ですけど……、とは星斗は言い返せなかった。
「会えばわかるさ、特長的な見た目だからね」
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「君はただ死にゆくだけの運命から抜け出し、未来を変える機会を得ようとしている。
ただ、どういう未来の形にすべきか……、それを見誤らぬことだ……」
「では、見物させてもらうとしよう……」
そう、そのための楔はすでに打ち込んであるのだから、と。
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2021/07/30
誤字・脱字修正、ご指摘ありがとうございました!
読者兄貴姉貴たちの女神転生シリーズプレイ状況について
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ほぼすべてプレイ済
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いくつかのナンバリングだけプレイ済
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ペルソナだけプレイ済
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上記以外の派生作品だけプレイ済
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二次創作による知識だけ
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前提知識なし、未プレイ
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その他