女神転生RTA 「東京崩壊防止チャート」   作:マテチャ

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Part 12 イベント後編

 

 

「空のこと、ちゃんと見える人って、そんないなくて」

 

 

 自身のことを空(そら)と呼ぶ少女が、星斗を前にして話始める。

 相変わらず全身にコートを身に纏い、容姿の仔細は分からない。

 

 

 しかしながら、最初の会話の時とは異なり

 その声色に、図らずとも嬉しさの感情が読み取ることが出来た。

 

 

 そんな少女の反応とは対照的といった表情をする星斗。

 それを端的に表すなら、まさに困惑といったところだろうか。

 

 

 先ほど警官が不思議と納得して去っていた出来事などを含め

 一体何が起こっているのか、一向に理解が追いつかず。

 

 

 様々な考えが頭の中を駆け巡る中、一先ず一番の疑問について確認を行う事とする。

 すなわち、社会的に危なそうな、その呼び方に一言物申すこととした。

 

 

「パパって、どういう……」

 

 

 ママならさっきまで隣にいたけど、と見当違いなことを考えてしまう星斗だが

 目の前の少女は楽しげな様子で、その問いには取り合わず。

 

 

「にしし、いいじゃんいいじゃん♪ 

 どうせだれも、()()()()()()から!」

 

 

 さらに、問題など起こりえないという事を、さも当然のようにハッキリと断言する。

 

 

「そんな事より、ちょっとだけ空とお話しよっ?」

 

 

 

 

 

 

 

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 気が付けば、空と星斗は近くにある喫茶店へと入っていた。

 

 

 傍から見れば、その奇妙な風貌と組み合わせに

 店員からある種の疑念を向けられても、仕方ないというものだが

 星斗の懸念に反し特段気にされた様子もなく、すんなりと席へと通される。

 

 

「空はホットミルクで!パパはなに頼む?」

「……水で」

「え~、パパお金ないの?」

 

 

 そういって少し小馬鹿にした感じで、星斗に言葉を投げかける空。

 

 

 勿論、星斗が水を選んだのは金銭を渋ったからではない。

 透明な液体なら、何かしらの細工があれば気が付きやすいという事。

 

 

 さらに言えば、そもこのような場で食事をする事は常日頃避けているため

 無駄に注文を行い、食材の台無しにすることもあるまいという若干の配慮もあった。

 

 

 そういった意図が伝わったかどうかは分からないが、空もそれ以上煽るような事はせず。

 

 

 そして注文したホットミルクが届いた際、

 空は食事の邪魔になると考えたのか、自身が羽織っているコートを脱ぐこととなる。

 

 

 その露わになった彼女の容姿は、事前の印象と変わらず

 少女と読んで差し支えないもののように星斗は思えた。

 

 

 髪は潔白といった感じの白色で、ショートヘアといった感じ。

 イエローベースの肌色に、唇は炎が燃焼しているかのように赤く映えている。

 そしてその瞳は、全てを打ち消すような純粋な黒色。

 

 

 しかしながら、ただ一点異常なのは、その右手。

 コートに覆われて良く見えなかったその箇所に、今まさに機械のそれが露わとなっている。

 

 

 それは、いわゆる"サイバネティックアーム"と呼ばれる義手の一種であり

 可憐と称して問題ない少女には、到底似つかわしくない代物であった。

 

 

「その腕……」

 

 

 それを見て、思わず言葉を放つ星斗。

 その様子に最初は疑問の表情を浮かべる空だったが、その視線に目をやることで気が付く。

 

 

「……そっか、ふつう気になるよね」

 

 

 普段なら誰も気にしないそれの存在を、改めて感じさせられた星斗の行動に

 その心中こそ分からないが、若干悲し気な様子になる空。

 

 

 しかしながら、星斗が考えていることは空が気にしているような事ではなく。

 

 

「いや、その腕、どこかで見た事あるような……」

 

 

 過去、その腕に見覚えがあったからからこその行動であった。

 そしてその言葉に大きく驚く空。

 

 

「えー!もしかして空たちって初めましてじゃないの!?」

 

 

 そう嬉しそうな様子の空をみながら、再度自身の記憶を掘り起こす星斗。

 自身の()()()()()()()記憶の中からなら、必ず見つかるはずだと。

 

 

「……確か、以前に受けた依頼の中で見たような……」

「えー、いつの時だろう!」

 

 

 そんな星斗のと言葉にはしゃいだ様子を見せる空。

 そう、それは星斗にとっても非常に印象深い記憶の一つであり

 

 

「確か、十二神将を召喚して戦っていたが……」

 

 

 デビルサマナーとは何かを改めて考えさせられた出来事であった。

 

 

 

 

 

 

「じゅうにしんしょう?」

 

 

 しかしながら星斗のその言葉に、なにそれ?と言わんばかりの表情を浮かべる空。

 その行動に思わず、あれ人違いだったのかな?と星斗は思ってしまう。

 

 

 しかしながら、空が考えている事は星斗の想像とは大きく異なる。

 

 

 心当たりがないのではなく、()()()()()()()()()といった感じであった。

 

 

 そして、空は"サイバネティックアーム"にいる仲魔をおもむろに召喚し始める。

 勿論周りからみれば異様なそれだが、またしても周囲の人間は気に留めた様子もなく。

 

 

 そんな異様な光景にも少しずつ慣れてきた星斗であったが、

 次は、空の召喚する悪魔の数々に度肝を抜かれることになる。

 

 

 

 

 

 

「えーと、これかな?」

「……それは、八大竜王」

 

「それともこれ?」

「…………それは、十二天」

 

「うーん、これだ!」

「…………それは、二十八部衆」

 

「…………これ?」

「それそれ」

「やった、当たった!」

 

 

 

 

 

 

 仲魔を召喚しては引っ込めるを繰り返し、ようやくお目当てのものを引き当てる空。

 自身の戦力を次々と晒していく行為にも驚いたが、それ以上に驚くべきはその数。

 

 

「どれだけ仲魔がいるんだ?」

 

 

 星斗が数えただけでも30近いそれは、なおストックがありそうで

 おもわず空に確認を行ってしまう星斗。

 

 

「う~ん、たくさん!」

 

 

 笑顔のもと返されたその回答が、誤魔化すためものなのか

 本当に自分でも正確な数を把握していないからなのか、星斗には判断がつかなかった。

 

 

 しかしながら、それでも星斗には一つ分かったことがあった。

 それは、空が召喚していた悪魔が所謂『天部』に属しているだという事。

 

 

 天部とは仏教において、それ以外の宗教から取り入れられた神格を指しており

 超人的な能力を具え、主に如来や菩薩の守護の役割を担っている。

 

 

 空が持つサイバネティックアームと、それを守護する天部の存在。

 あのオッドアイの男が言っていた『鋼鉄覚者』とは、まさに彼女の事なのだろうと。

 

 

 

 

 

 

 

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「依頼主とはどんな関係なんだ?」

 

 

 仲魔のパリコレ状態が一端落ち着いたろころで

 星斗は探りを入れるように新しい話題を切り出す。

 

 

「え~と、よく家に遊びに来てたおじさんかな?」

 

 

 それに関して、空の返事は曖昧で。

 おじさんというのは、親類ではなく知り合いの男性を指す言葉だろうとは思ったが

 その詳しい関係性を知れる情報ではなく。

 

 

 しかしながら、次に続く言葉に星斗は様々な考えを巡らせることとなる。

 

 

「最近はあんまり会ってなかったんだけど……」

「会ってなかった?」

「うん、あたしたちのやってること、あんまり好きじゃないみたい」

 

 

 あたしたちのやってること、という言葉に反応する星斗。

 

 

 あのオッドアイの男性が言葉が正しいなら

 目の前の少女は東京崩壊に深くかかわっていることになる。

 それも"たち"というのは、彼女だけではなくそれ以外の人物も関わっているのだろう。

 

 

 そしてあまり好きじゃないという言葉。

 これは、あのオッドアイの男性自体、東京崩壊には積極的に関わっていないという事だろうか? 

 

 

 そのような考えが星斗の頭の中を渦巻く。

 そして、その詳細を確認しようとするも、空は口はそこまで軽くはないようで。

 

 

「にしし、それはひみつ~

 パパが、空にもっと会いに来てくれたら、教えちゃうかもな~♪」

 

 

 その言葉の真偽はさておき、貴重な情報源である空との関係を持つことは

 星斗としても異論はなく。

 

 

「それより、パパの事、もっと知りたい!」

 

 

 極力その機嫌を損ねるような事はするまい、と考える星斗であった。

 

 

 

 …………

 ………

 ……

 

 

 

 時間にすれば、空が注文したホットミルクを飲み干す程度のものだった。

 

 

 本来なら、自身の情報など気軽に他者へと教えるものではないが

 どうせ調べればすぐに分かることだと思い、星斗はこれまでの歩みを語っていく。

 

 

 最初は興味津々といった感じで聞いていた空だったが

 話が終わりに近づくにつれ、その表情は険しいものとなっていく。

 

 

「う~ん?」

「うん? 何か変なところでもあったか?」

 

 

 首を傾げ唸るように言葉をひねり出す空に、星斗は疑問を投げかける。

 勿論、奇妙なところしかない人生である星斗だが、空が考えていたのその内容ではなく。

 むしろ語られていない部分。

 

 

「パパ、まだ、空にないしょの所、あるよね?」

 

 

 どこか問い詰めるような口調で空は星斗へと言葉を放つ。

 しかしながら、星斗は自身が覚えている範囲の内容は話しており

 一体何を指しているのか分からず。

 

 

「む~、ず~る~い! 

 お~し~え~て~、お~し~え~て~」

 

 

 そう駄々をこねるように言い放つ空に困惑してしまう星斗。

 そして、その様子に何か勘づいたように顔を上げ星斗を見つめる空。

 

 

 星斗は自身を見つめるその純粋な黒い瞳に引き込まれそうになる。

 

 

「パパも()()()()のかな?」

 

 

 その空の言葉に、星斗は不意を衝かれたような気持ちになる。

 確かに、自身には欠落してる記憶が幾つか存在していると。

 

 

「そうだ! 今度会った時に、面白い人、連れてくるね! 

 それで、全部、すっきりさせて、またいっぱいお話しよっ!」

 

 

 そう言って、席を立ち上がり店の外へと走り出す空。

 やりたいこと、言いたいことだけして去っていくその様は、まさに子供といった所か。

 

 

 そして、空が飲み干したホットミルクのカップを見つめながら

 空に指摘された事をについて、星斗は考えに耽る。

 

 

 仲魔であるヒュプノスの力を借りれば、どうにかなるかもと考えたことがあった。

 しかしながら、記憶とは自身の人格を形成するうえで重要な要因の一つである。

 

 

 欠落しているその記憶を思い出すことが、自身にとって本当に良い事なのかどうかわからず。

 今のところ現状維持というスタンスをとっていた星斗だった。

 

 

 そして、どうすべきかの答えを、星斗は未だ持ち合わせてはいない。

 

 

 

 …………

 ………

 ……

 

 

 

 思い返せば、今回は終始相手のペースであった事を反省する星斗。

 

 空のあの口ぶりから、まだ彼女との接触の機会はあるようなので

 次こそは、と気を引き締めながら店を出ようとする。

 

 

 しかしながら、空がいなくなってからも、まだ頭は混乱しているようで。

 

 

「お会計、480円になります」

 

 

 空が注文したホットミルクの代金を払いながら

 これがパパ活代か……と見当違いな事を考えてしまっていた。

 

 




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読者兄貴姉貴たちの女神転生シリーズプレイ状況について

  • ほぼすべてプレイ済
  • いくつかのナンバリングだけプレイ済
  • ペルソナだけプレイ済
  • 上記以外の派生作品だけプレイ済
  • 二次創作による知識だけ
  • 前提知識なし、未プレイ
  • その他
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