女神転生RTA 「東京崩壊防止チャート」   作:マテチャ

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Part 15 イベント後編①

 

 チャクラ・シンボリズム。

 

 

 人間の体内には、チャクラと呼ばれるエネルギーセンターが6つ存在すると言われている。

 

 

 ヨーガの伝統では、身体には縦横を走る生体エネルギーが存在しているとされ

 縦に流れるエネルギーは、身体の中心に延びる"中央スシュムナー気道"と

 それを巻きつくように入るイダー(月の気道)ピンガラー(日の気道)を道筋とする。

 

 

 また、体内のチャクラを活性化させることで、縦に流れるエネルギーを横に

 広げることができ、6つのチャクラを全て開放することが出来れば、頭上に存在するとされる

 第7チャクラ:サハスラーラ・パドマを発現させ、結果解脱に至るという。

 

 

 そして星斗の精神世界は、まさにそれに準じたような構造になっていた。

 

 

 

 …………

 ………

 ……

 

 

 

 第一チャクラ:ムーラーダーラから始まった旅路は、第二チャクラ:スヴァーディシュターナと

 第三チャクラ:マニプーラを超え、第四チャクラ:アナーハタに至る。

 

 

 様々な経路が交差するこの場所で、それでも道を違えずに進むことが出来たのは

 先導するヒュプノスの力あっての事だろう。

 

 

 そして、ここに至るまでに、陽乃は自身が星斗の精神世界へと

 足を踏み入れたおおよその経緯を思い出していた。

 

 

「サイコダイバーの彼も困惑しただろうね、なんせ星斗君の精神構造は複雑だ」

 

 

 そう、ヒュプノスが陽乃に話しかける。

 

 

「そうですね、本職でも匙を投げる程度には」

 

 

 そう、星斗が意識を失った後、空が準備したというサイコダイバーが現れ

 その精神へとダイブを試みようとした矢先の出来事である。

 

 

 万全に近い準備をしながらも、その精神は潜り込むことを躊躇するほどに怪奇で

 おおよそ常人のそれとはかけ離れている、それに対応できるほどの力を

 サイコダイバー本人が持ち合わせておらず。

 

 

「そして彼の代わりに、君たちが星斗君の精神へと入り込んだわけだ。

 星斗君に過去の記憶を思い出して貰うために」

 

 

 そういった経緯から、その精神の入口だけを確保させ、星斗の精神へと潜り込む。

 最初、その意識が曖昧だったのは、かなり無茶な方法でのダイブだったためであろう。

 本職ではない人物が、()()()()()も入り込んだのだから。

 

 

「空君は中央スシュムナー気道から泰山府君と

 ルナ君はイダー(月の気道)からアラディアと共に進んでいるよ」

 

 

 仲魔同士で連絡でも取り合っているのか、他の二人の状況は十分に把握しているようで

 ともなれば、こちらも状況もあちらに伝わっていると考えるのが自然である。

 

 

「……他の二人が何を考えているかは、私には分かりません」

 

 

 ほとんど同時のタイミングで、星斗の精神へと入り込んだ二人について考えを巡らせる陽乃。

 本日が初見の二人に対して、陽乃は特段良い印象を持っているわけでなく。

 むしろ、邪魔になるのではないかという懸念すら頂いていた。

 

 

 しかしながら、そんな陽乃の様子も特段気にせずヒュプノスは言葉を放つ。

 

 

「まぁ、心配することはない、資格が無ければどこかしらで立ち止まる事になる」

 

 

 そのように言葉を発した後、陽乃の方を振り向いてもう一言付け加える。

 

 

「無論、それは君自身にも言えることだがね」

 

 

 

 

 

 

 

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 近い将来、東京にはミサイルが打ち込まれ

 そのことごとくを破壊し、長きにわたる荒廃が続く。

 それは、この世界において必定の歴史である。

 

 

 しかしながら同時に、それに抗う一人の少年の姿がそこにはあった。

 

 

 ある時は、大天使ミカエルの天軍の剣に貫かれ、天魔アスラ王のゴッドハンドで押しつぶさる。

 大天使メタトロンのシナイの神火で焼かれ、魔王ベルゼブブの死蝿の葬列に晒され

 神霊エロヒムの光に照らされ、魔王マーラにより誘惑される事もあった。

 

 

 それは、ここに至るまでに実際に起こった出来事の数々。

 多種多様な過程を辿りながらも、その結果は常に変わらず。

 東京崩壊は止められないまま、少年は次の世界へ輪廻転生を繰り返す、何十回、何百回と。

 

 

 

 

 

 

 

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 それは第四チャクラ:アナーハタを超え

 第五チャクラ:ヴィシュッダへ進む道すがらの出来事である。

 

 

「このビジョンは……」

 

 

 そう呟きつつ、陽乃は先ほどまで延々と見せられていた、少年の死にゆく様を思い浮かべる。

 かなり高位の悪魔に殺されている事もあれば、低位のそれや人間に殺されている事もあった。

 そのどれもが、違った背丈の違った容姿であるにもかかわらず、既視感のようなものを感じる。

 

 

 そんな陽乃の疑問に、ヒュプノスは直接答えを言うわけでもなく。

 

 

「君もライドウなら聞いたことぐらいはあるだろう。

 我々の過ごすこの世界が、アマラ宇宙に浮かぶ泡沫の一つに過ぎないという事を」

 

 

 ヒュプノスの言う通り、この世界はアマラ宇宙という無限に広がる空間の中に存在する

 泡沫の一つに過ぎず、そして同じような平行世界が無数に存在していると言われている。

 

 

 過去には歴代最強として名高い十四代目葛葉ライドウが

 これら平行世界間を繋げるアカラナ回廊を用い、別の世界へと行き来していたとも語られる。

 

 

「勿論知っていますが、それが何か?」

 

 

 続けて疑問を発する陽乃に、ヒュプノスは神妙な面持ちで言葉を返す。

 

 

「それぞれが独立した世界ではあるが、極まれに例外は存在する。

 その(カルマン)により、目的が達成されるまで、生まれ変わった世界で同じことを繰り返す存在」

 

 

 誰の事を言っているのか、この時点で陽乃には見当が付いていたが言葉にはせず。

 

 

「君が見たのは、そんな彼が辿ってきた道の、ほんの僅かに過ぎない」

 

 

 言葉にすれば、その想像が事実へと確定してしまうと思ったから。

 

 

「それでも、ここで見られるのは比較的上手くいったものだがね。

 酷い時は、生まれる事すら出来ない世界もあったようだ」

 

 

 星斗の異常な精神構造、その理由の一端を垣間見た陽乃であった。

 

 

 

 …………

 ………

 ……

 

 

 

 第五チャクラ:ヴィシュッダに至ったその時、急にヒュプノスは立ち止まる。

 

 

「……どうしましたか?」

 

 

 急に立ち止まったヒュプノスの行動を疑問に思い、問いただす様に言葉と発する陽乃。

 そんな彼女の方を向き、なんてことはないといった表情で言葉を放つ。

 

 

「ここで一つ、君に協力して貰いたいことがあってね」

 

 

 そうして陽乃の返答を聞く前に、ヒュプノスは自身のスーツからとある液体を取り出し

 周囲にそれをしみ込ませるように、ばらまく。

 

 

「……いったい何を?」

 

 

 ヒュプノスの突然の行動に困惑する陽乃だったが、それはすぐさま結果となり現れる。

 

 

 液体を付着した箇所から、黒い光が漏れ、シルエットが浮かび上がる。

 それは鬼のような形相が三つ、首だけで宙に浮かんでおり

 その身は、陽乃を丸ごと飲み込んでしまわんとする程、巨大。

 

 

「これは、星斗君のトラウマを具現化した、もう一人の彼とも呼べる存在だ」

 

 

 別の平行世界では、ペルソナとも呼ばれるそれの正体は。

 九曜星の一つであり、八方敵殺にて万事凶事となす羅喉星。

 インド神話において不死の霊薬アムリタを飲み込み、太陽と月を怨み日食や月食を起こす怪物。

 

 

『悪星ラーフ』

 

 

 それは星斗が無意識に抑圧した「もう一人の自分」であり、今世で乗り越えるべき壁。

 

 

「本題に入る前に、この些細な問題を解決しておきたくてね」

 

 

 そんな言葉を聞く前に、すでに陽乃は仲魔が入った"封魔管"を準備して戦闘に備えている。

 そんな彼女の様子に満足げな様子でヒュプノスは言葉を放つ。

 

 

「安心するといい、ここでなら君も本気で戦える」

 

 




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2021/09/02
誤字・脱字修正、ご指摘ありがとうございました!

読者兄貴姉貴たちの女神転生シリーズプレイ状況について

  • ほぼすべてプレイ済
  • いくつかのナンバリングだけプレイ済
  • ペルソナだけプレイ済
  • 上記以外の派生作品だけプレイ済
  • 二次創作による知識だけ
  • 前提知識なし、未プレイ
  • その他
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