誤字報告ありがとうございます。
お楽しみいただけたら幸いです。
「ネイチャの加護を研究して出来た試作品だ。回復力を高める実験結果が出ている。さぁ、コック長飲みたまえ」
差し出された試験管を受け取るコック長は困惑した表情をしている。
「約束したから飲むけど前回がなぁ、害は無いと思うが・・・」
「あぁ、あれは酷い事件だった」
額に手を当てて思い出す2人。
以前、似たような薬品を飲んだコック長は全身を発光させてパンプアップした状態でハイテンションになり踊り狂うという事件を起こしている。時折ポージングを決め、発光し暑苦しい笑顔でサイドチェストを決めたコック長を至近距離で見たトウカイテイオーやスペシャルウィーク等が数日の間、コック長がサイドチェストで迫り来る悪夢を見たという。
「あの時の失敗から強壮剤となる素材を1から見直したんだ今度はいけるはずさ」
「わかったよ、男は度胸ってな!!行くぜ!!」
腰に手を当ててグイッと飲んだ。
「タキオンの薬って割と速攻で効くのに?」
コック長の周りをクルクルと回り全体を確認するが変化を確認出来ない。
「失敗だろうか?力が漲る筈なのだが・・・」
「これ以上漲らせてまなぁ、あ!うっ!うぁ、がぁ、ぐお!」
「おお、やっと効いてきたか!!」
部分的にパンプアップと元に戻るを繰り返す体
「ちょっ、止めろ、とめ、止めてぇぇ!!」
眩く発光し視界が白に染まる。
「タキオン、また何かやらかしていると報告が入ったぞ!!」
バタンと扉を扉を開けてエアグルーヴとヒシアマゾンが入ってきた。
「やぁ、副会長とヒシアマゾン、正直困ってしまってね。見てくれたまえ」
そう言ったタキオンは少年を持ち上げてエアグルーヴとヒシアマゾンの前に出した。
「どっから迷い込んだんだ?随分と服の丈が合ってないな」
「ああ、ぶかぶかじゃないか」
「コック長なんだ」
「ん?」
「へ?」
告げられた内容を理解出来ない2人。
「コック長が私の薬によって縮んでしまったんだ」
「コック長って誰のことだ?」
少年は可愛らしく首を捻り口にした。
「姉ちゃん達、ウマ娘だろ!!すげぇ初めて見た」
「 」
「嘘だろ」
絶句するエアグルーヴと信じられないと声が漏れたヒシアマゾン。
「なるほど、記憶に何らかの変化があるようだ興味深い」
観察を継続するアグネスタキオンの声は嬉しそうだった。
「ふむ、記憶の欠落が見受けられるが問題無く料理は出来たと。更にDNA情報はコック長で間違いないと」
「はい、更に害は無いので、そのまま生徒会預かりとすると理事長が決定しました」
シンボリルドルフとエアグルーヴが確認している中でコック長(ショタ)はソファの上でスーパークリークと遊んでいた。
「キャハハハハ」
「うふふふふふ」
甘やかす事が大好きなスーパークリークは、コック長(ショタ)とあっち向いてホイや、あやとり、いっせーの、で遊んでいる。
「普段の奇行が嘘のような、無邪気な少年になっているな」
「はい、既に「タキオンの奇跡」として噂が広まりつつあります」
普段はた迷惑な実験を繰り返すタキオンの成功例と言う事と、奇跡のようにコック長の不要な部分を削ぎ落とした事。2重で皮肉った呼称が広まっている。
「面白い、流石は強化モルモットとして覚醒したコック長だ!!そのデータを余す所なく記録しなければ」
「これ以上事態をややこしくするな!!」
ケタケタと笑いながら端末に入力を繰り返すアグネスタキオンに怒号が飛ぶ。
そんな中バタンと扉を開けて
「カイチョー!!なんか面白い事になってるって聞いたよ!!僕も混ぜて!!」
トウカイテイオーが勢いよく飛び込んできた。
「また、騒がしいのが」
頭に手を当てるエアグルーヴは本当に困った様子である。
アグネスタキオンがコック長(ショタ)に迫るのをスーパークリークが鉄壁の防御で阻止してる間にトウカイテイオーはコック長(ショタ)に近づく。
「ほー、コック長また面白い事になってるねぇ」
「なんだ?姉ちゃん遊んでくれるのか?」
「良いよー何する?」
「お姉さんも混ぜてね」
「もちろん!!」
遊ぶと聞こえた瞬間にアグネスタキオンをねじ伏せたスーパークリークは何も無かったかのように参加するのだった。
「お、おのれ、スーパークリークっ、ガクっ」
倒れ伏すアグネスタキオンは恨めしそうに呻き意識を手放した。
「ダメだぞ、そんなとこで寝たら風邪引くぞ!!」
倒れ伏すアグネスタキオンを何とかソファに寝かせようとするが体格と力が足りない。
「クリーク姉ちゃん手伝って!!」
「はーい」
元凶はニコニコ笑顔で手伝うのだった。
「何で、この天使みたいな子がコック長になるの?」
アグネスタキオンをソファに寝かせると
「疲れた、お腹空いたよクリーク姉ちゃん」
お腹を押さえるコック長(ショタ)
「それじゃあ、おやつにしましょうか」
「うん、厨房に連れてって」
「僕もおやつー!」
喧騒を見つめるシンボリルドルフは静かに考え込んでいた。
「会長どうされました?」
「いや、少し考え事をね、まさかな」
「??」
「それより、彼らを放置すると厄介な事になりそうだ行こうか」
「ちょっと待っててね!!すぐ作るから!!」
厨房に消えるコック長(ショタ)
「カイチョー、あれって大丈夫なの?」
「料理は出来たと報告はあったが少し不安だな」
ここにいる面子は、皆少し不安な様子だ。
「ちょっと覗いちゃいましょう」
スーパークリークの提案により、こっそりと
厨房の傍から覗き込む。
コック長(ショタ)は危なげない手つきでトマトとピーマンを輪切りにし、ウインナーを斜めに切っていく。それを少し厚めに切った食パンにのせトースターに入れる。
程なくして出てきたトースターにあるものを取り出す。
「何あれ!?」
ホールチーズを半分に切ったものが設置されている機材。コック長(ショタ)はスイッチを入れると切られた部分が熱せられてトロリと溶けていく。それをヘラで撫で取りトーストにかけていく。
最後の1つにかけて完成したピザトースト。
「姉ちゃん達、お待ち!!特製ピザトーストだよー!!」
トレイにピザトーストを乗せたトレイを持ってきた。
「ちょっと待っててね!!」
小走りで戻るとすぐに瓶を持って帰ってきた。
「コックさんがニンジンジュースくれたー」
ニコニコするコック長(ショタ)はピザトーストをみんなに配りニンジンジュースを注いだコップを1人1人に手渡した。
「食べながらケチャップとマヨネーズ、タバスコを好きな様にかけてね。美味しいから」
忙しなく動くコック長(ショタ)を見守りながら、言われた事にうんうんと頷き返す一同である。
「じゃあ、手を合わせてー」
「「「「「いただきます」」」」」
パンから溢れんばかりのチーズとそれに埋もれる具材は、乗せすぎでは?という様な様相だが、それぞれの塩気、酸味、苦味が絶妙にマッチして厚めのパンが更にボリューム感をプラスする。
「美味しい、なんか昔食べたことある様なシンプルなトーストだね」
「偉いわ、こんなに美味しいのを1人で作れるんだから、良い子良い子」
「やめろよ、食べてる時は食べる事に集中するんだって母さんが言ってたぞ」
「ごめんなさい」
撫でた事を注意されるがニコニコと謝るクリークだった。
「まったく、普段のコック長にもこうなって貰いたいものだ。会長どうされました」
「いや、彼だったんだなと思ってな」
「コック長の事ですか?」
「ああ、確信が無かったのだからこれで思い出したよ。私はこれを食べた事がある」
懐かしむシンボリルドルフは遠い目をしていた。