トレセン学園コック長   作:ブランチランチ

16 / 29
誤字報告ありがとうございます。

お楽しみいただけたら幸いです。


芋けんぴお待ち!!

「コック長〜」

 

野菜農家から品物を受けっとっている途中でハルウララが声をかけて来た。

 

「どうしたウララ?」

 

「あのね、あのね、おねがいがあるの!!」

 

「いいぞ、了解した!!」

 

内容を聞かずにサムズアップするコック長。

 

「え?いいの?まだ何も言ってないけど・・・」

 

「当たり前だ!!」

 

「あっはっはっは、流石コック長」

 

納品に来た農家もコック長のウマ娘好きを知ってる為、噂通りの姿を目の当たりにして笑う。

 

「んで?なんだ」

 

「あのね、実は・・・」

 

 

 

 

 

「任せなウララちゃん、そういう事ならすぐに持ってくる!!」

 

鼻息荒く胸を叩く農家のおっちゃんは任せろと興奮してる。

 

「でも、すぐとなるとなると難しいんじゃないか?」

 

「当てはある、ダメといったら大根でぶっ叩いてやる!!」

 

「まぁ、ほどほどに頼む」

 

「お願いします」

 

野菜農家のおっちゃんの意気込みに苦笑するコック長と頭を下げるウララだった。

 

 

しばらくしてサツマイモをトラックいっぱいに持ってきたおっちゃん。

 

「お、おう、多すぎないか?おっちゃん」

 

「いやぁ、ウララちゃんの話ししたら、「うちの持ってけっ!!」「いやいやうちの!!」ってなってな!!後トラック2台分はくるぞ!!最初は渋りやがったから、かぼちゃでぶっ叩いてやったわ。なっはっは!!ウララちゃんの話ししたら掌返しやがって!!」

 

「先に話しようぜ」

 

「おっちゃん、ありがとう!!でも暴力はダメ!!」

 

メッっと人差し指を突き出すウララ。

 

「すまねぇ、ウララちゃんに少しでも恩返ししたくて興奮しちまった。でも皆んな話しを聞いたらこれよ。」

 

孫を可愛がる様な優しい笑顔で笑うおっちゃんはコック長の方を向くとキリッとした表情になって

 

「コック長、後は任せるぞ!失敗したらここら辺の農家は皆んな敵になるかもな、なっはっは!」

 

「おー怖い怖い、そんな事にはならんよ任せとけ!!あっはっは!!」

 

豪快に笑い合うコック長とおっちゃんだった。

 

 

トラック3台に及ぶサツマイモはウマ娘大好きな訓練されたスタッフが瞬く間に倉庫へ搬入した。

 

 

 

とりあえず一箱を持って調理場に行く。

 

「それじゃあやるぞ!!ウララ!!」

 

「うん、頑張るぞー!!」

 

三角巾とエプロンを装備したウララ。三角巾から覗く耳、エプロンはデフォルメされたニンジンのアップリケ。

 

(天使か)

 

ホッコリするコック長。

 

「取り敢えず2個くらいでいいか、芋洗うぞ」

 

「はーい」

 

丁寧にサツマイモについた泥を洗い流し、キッチンペーパーで軽く水気を取る。

 

「次は包丁を使うんだけど使ったことあるか?」

 

「うん、猫さんの手だよね、にゃんにゃん」

 

(きゃわわ)

ホッコリするコック長。

 

じゅるり

 

ハッとして付近を見渡すコック長。

 

(クソが、この邪気は間違いなく見てやがる!!クソ姉がぁ)

 

パンプアップして警戒するコック長。

 

「どうしたの?」

 

「大丈夫だ続けよう」

 

首を傾げるウララに応えて警戒しながら調理を続ける。

 

「じゃあ、猫の手で5ミリ位でまずは輪切りにしていこう、こうやって、こんな感じだ」

 

サツマイモをまな板の上に置き、見本としてコック長が切っていく。

 

「うん」

 

ゆっくりと切り終わると少し不揃いだがキチンと切れた。

 

「んで、切ったやつを今度は同じように5ミリ位で切ってスティック状にする」

 

同じように手本を見せてそれを真似るウララ。

 

「切ったな、じゃあこっちのボウルに入れてくれ。少しアクを抜く15分くらい休憩だな」

 

「うん!!ねえ、コック長おっちゃん達にもお礼したいんだけどどうすればいいかな?」

 

「うーん、どうせなら、おっちゃん達の分も作るか?喜ぶぞ」

 

「ウララので喜んでくれるかなぁ?」

 

切ってだけだが、コック長のものと比べてしまうウララ。

 

「ウララから貰ったら泣いて喜ぶんじゃないかな、マジで」

 

「わかった!!一生懸命作る、やるぞー!!」

 

気合いを新たにサツマイモを洗い始めるウララだった。

 

「んじゃ、揚げるぞー」

 

「おー!」

 

掛け声を上げてサツマイモを揚げる準備にかかる。

 

あの後大量に切ったサツマイモはアク取りと乾燥を終えている。

 

「じゃあ油が跳ねないように淵からゆっくりいれるんだ」

 

「うん」

 

緊張した様子で入れていく。

 

「そんなもんだな、後はくっつかないように菜箸でたまに転がしてやるんだ。15分くらいかな」

 

パチパチと音を立てるサツマイモを見ながら時より菜箸で転がす。

 

「んじゃ、もうちょっとで揚がるからからフライパンでこいつを熱してくれ」

 

「うん」

 

「んで、もう少しするとトロミが出てくるから火を止めて余熱で転がす。じゃあ、このザルでサツマイモを掬って軽く油を落としたらフライパンに入れて、そうそう、転がしてそのトロミでコーティングしてやるんだ。最後にこのクッキングシートに乗せて熱を冷ます。よくできたじゃないか!!」

 

「やったー、後は同じようにやればいいんだね!!」

 

「おう、頑張ろう!!」

 

 

 

 

「はぁ、わたくしはこんなところで立ち止まれないのよ」

 

最近、レースの調子が良くない。練習しても結果がついてこない自分に腹が立つ。

一流でならなければならないのに!!

ピリピリしているわたくしを見兼ねてウララさんもよそよそしい。

あの眩しい笑顔を最近見てない。

 

「はぁ」

 

「キングちゃん!!」

 

勢いよく扉が開き名前を呼びながら入ってきたハルウララ。

 

「ウララさん、そんなに慌ててどうしましたの?」

 

肩で呼吸するウララは余程急いできたということがわかる。

 

「良かったー、部屋にいてくれて。はいっ!!プレゼント!!」

 

茶色の紙袋を手渡された。ラッピングなどはないシンプルな紙袋。

 

「芋けんぴ?」

 

「うん、ウララね。前に、落ち込んでる時にこれを貰ったの。その時に元気になれたからキングちゃんも元気出して欲しくてコック長と作ったの!」

 

「これをウララさんが、私の為に?」

 

「いつも、迷惑かけちゃうし、キングちゃんの役には立ててないけど少しでもって」

 

「いいえ、助けられてますわ」

 

キングヘイローはハルウララに抱きつきその温もりを感じる。受け入れてくれる彼女の優しくて眩しい温もり、いつも真っ直ぐに見てくれる。彼女は信じてくれる一流を肯定してくれる。

 

「少し力みすぎてましたわ。一流なら休むこともしなければ。一緒にいただきましょう」

 

「うん!!」

 

 

 

 

「なるほど、彼女の同室はキングヘイローだったのか。疲労が溜まって力が出せていないと思っていたが少しは良くなるだろう。後は私が」

 

じゅるり

 

「テメェ、余計な事したらマジでたたきにしてやるからな!!でも頼むぞ」

 

「当たり前だ、体の不調ならすぐに直して見せよう。彼女は幸せだハルウララと一緒ならばメンタルも良い方に向くだろう。是非ともハルウララも」

 

じゅるり

 

「そこになおりやがれ1発入れてやる」

 

「ふふ、面白い能力を持ったようだが私に通用するかな」

 

パンプアップし戦闘モードに移行するコック長と余裕を持って対峙する女医はこの後死闘を繰り広げるがまた別の話。

 

ハルウララの芋けんぴを貰った農家の方々は泣いて喜び、神棚に飾ったものもいたという。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。