トレセン学園コック長   作:ブランチランチ

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誤字報告ありがとうございます。

お楽しみいただけたら幸いです。


焼き魚お待ち!!

しゃがみパタパタと団扇を煽ぐコック長。

朝日が顔を出し、今日も暑い日になるだろう。

 

「来るとは思ったが、いつもより早いんじゃないか?」

 

「そんな匂いを嗅いだら、いつもより早くお腹が空いてしまった」

 

お腹をさするのはオグリキャップの視線はコック長の先、七輪で焼き上げている秋刀魚。

 

 

外に席を設けたオグリ専用特別テーブル。正面には大きな七輪が7つ、業務用炊飯器が4つある。

 

「まだ出始めのものだが良いものだぞ」

 

秋刀魚の塩焼き、焼き魚特有の香ばしい匂いが鼻腔をくすぐる。

 

「いただきます」

 

身に箸を入れるとほろっとほぐれる。まずは一口。まだ秋には早い季節の物なのに脂ののりは悪くない。皮の香ばしさと絶妙な塩加減、ご飯が進む。次は、はらわたをいただく。幼少の頃は独特の苦味が苦手で好んでは食べなかった。しかし、この組み合わせで食べた事から大好きになった。

大根おろし、これを箸で分けたはらわたに乗せて醤油を数滴垂らす。白い小山が醤油でほのかに色付けられる。大根おろしが溢れないように気をつけて口に入れれば、大根おろしによりマイルドになった苦味に醤油のアクセント、またご飯が進む。山盛りだったご飯は消えてしまった。

茶碗を置くと別の茶碗で白い山が出される。

ニコリと微笑み感謝を伝える。コック長もニヤリと返す。

 

少しの間秋刀魚を楽しんでいるとコック長が別のお皿を出してきた。

 

「こいつは脂の乗った旬のものだ」

 

泳いでいる途中で時が止まってしまったかのような姿で串に刺さり、程よい焦げ目と塩で化粧された魚。

 

「鮎か」

 

「がぶりとやってくれ」

 

一旦、秋刀魚をリセットする為水で口の中を清める。そして・・・

湯気を立てる鮎にふー、ふーと息を吹きかけ少し冷ます。狙うわ背中の部分、はむっと齧り付けば、パリパリの皮をつきやぶった先にはホクホクの身、秋刀魚とは違う甘みを含んだ味と鮎独特の香りが香ばしさを携えて突き抜ける。次に腹に食いつけば食べやすい苦味が広がる。いくつか食べていると・・・

 

「これは」

 

子持ち鮎に当たった。お腹に卵を抱えた鮎はプチプチとした歯応えになり、身とはまた違う淡白な味が舌を楽しませる。

 

「子持ちがいるとは気が早いのもいるもんだな」

 

一体幾つの秋刀魚と鮎を平らげたか分からないが満足しお腹をさする。

 

「レース勝ってこいよ」

 

「ああ」

 

「ご馳走様でした」

 

「お粗末様」

 

漲る力に今日はいい結果が残せそうだとこの場を後にするオグリだった。

 

 

 

「コック長」

 

殆ど照明が落ちた食堂。コック長以外のスタッフも居ないそんな中スピカのトレーナーが現れた。

 

目には隈があり、表情は優れない。

 

「待ってましたよ」

 

優しい笑顔で迎えるコック長。

 

「素面で話すような事じゃないんでしょう?ささっ」

 

厨房から程近い場所に料理が置いてあった。

 

「とりあえず、ビールで」

 

「了解」

 

ビールを取りに行くコック長を見送る。

 

「いただきます」

 

幾つかある料理のうち小鉢に箸を向ける。

 

小鉢に入った里芋の煮っ転がし、程よくツヤのある見た目に惹かれた。食べやすい程度の熱を残したそれは、口の中に溶けると出汁の風味と里芋の滑らかな食感を感じ。確かな旨味を口に落とす。優しい味を楽しんだら、胃袋がもっとパンチのあるものを寄越せと食欲を刺激する。目についたのは唐揚げ。まずは一つ。皮がパリッとし、肉からは肉汁が溢れる。醤油味とわかる風味とガツンとくる味に「アレ」が飲みたくなる。

 

ニヤリとしたコック長がジョッキを渡してきた。こちらも笑い返し一気に煽る。

口の中の脂を全て薙ぎ払い苦味と香りが突き抜ける。喉に心地よい刺激を浴び一つの区切りを迎える。

 

「っあーー!!」

 

気づけば一気に飲み干してしまったジョッキを見てると次がおかれる。

 

「もう一杯くらいはいるだろ?」

 

ジョッキを置くコック長に感謝する。

 

「ありがとう」

 

空のジョッキを渡し、新たなビールを受け取る。

 

唐揚げを食べるのを再開する。

 

唐揚げで追加のジョッキを開ける。

次の料理をいただく前に酒を変えたい。

 

「コック長、日本酒ある?」

 

「勿論、冷酒でいいか?」

 

ちょっと迷い告げる。

 

「熱燗で頼む」

 

少し驚き、了解と厨房に戻るコック長。

 

里芋を食べつつ酒を待つ。

 

徳利とお猪口をコック長から受け取り料理に箸を向ける。

 

刺身だ。綺麗に切り並べられ光沢を放つ空は美しく見える。脂ののったサーモン。わさびをのせて醤油につける。わさびのツンと抜ける香りと刺激、サーモンが口の中で甘味のある脂の旨味を爆発させる。そしてそれらを流すように熱燗を煽る。辛口の日本酒は口の中を塗り替えるように全てを押し流す。ビールとは違い酒による熱が胸をカッとさせる。

 

酔いも周り口が回りやすくなった頃合いでコック長は話しかける。

 

「それで、今日はどうした?」

 

「あの女医に叱られましてね」

 

あった事を聞かせるスピカのトレーナー。

 

「いやー、事務室閉めようとしたら女医に詰め寄られましてね。「お前は練習後のケアをちゃんとしているか?」と俺は言ったさ、キチンとそれぞれやらせてるって。そしたら烈火の如くキレ始めてね。何事かと思ったよ。そしたら、マックイーンの脚について言われてな。「彼女はどう考えても貴方のトレーニング以上のダメージがあった」っと。それで俺も調べたら、俺の想像以上のトレーニングをしてたんだ。結果だけ言うと無茶してたようだ。あの内容だと確かにケアが不十分だった。そして怖くなったんだ。俺の不注意でマックイーンの脚を壊してしまったかも知れないと、アイツの夢を俺が潰してしまったかもしれないと」

 

グイっと酒を飲む姿は妙に小さく見えた。

 

ウマ娘が大好きでレースで走るウマ娘が死ぬほど好きなトレーナー。そんな彼が自分のミスで彼女達の栄光に泥を塗ってしまったら?少し想像しただけで鬱になる。トレーナーはそれが現実になるところだったのだ。これを慰めるのは俺が適任ではないな。アイツの意見を聞こう。さっきから居るのはわかってたんだ口下手な奴だから少し不安だが・・・

 

「お前はどう思う?オグリ?」

 

ガタッと音がした方を見ると観念したオグリキャップが出て来た。

 

「気づかれてたとは」

 

「来て直ぐ位に気づいたぞ、頭も尻尾も見えてたし」

 

「そうか、まあいい、スピカのトレーナー、いいか?」

 

「あ、ああ」

 

コック長以外が居て少し恥ずかしくなるトレーナーだが意見が聞きたかった。

 

「うまく伝わるか分からないが、今のままで良いのではないか?」

 

「今のままで?それだとまた俺が」

 

言い淀むトレーナーにオグリキャップは続ける。

 

「ん?だって女医の意見を聞いて正せたのだろう?そして後悔をしたくないからコック長に相談しに来たんじゃ無いのか?」

 

「オグリはこう言いたいんじゃないか?間違いは正したし、その相談も俺にしに来たなら後は次に動くだけだと。トレーナーも次は注意するだろ?」

 

「当たり前だ!!」

 

「そのいき、そのいき、トレーナーはスピカを此処まで盛り上げたんだ自信を持ちな。ケアについては悔しいが、あの姉に頼めば最高の状態にしてくれるさ。美味いものが食いたいなら此処に来れば良い。ウマ娘を支えるのはトレーナーだけじゃないんだから、っな!!」

 

いつもの暑くしい笑顔で告げるコック長。

 

「そうか、みんなでか」

 

少しは良くなった表情になるトレーナー。

 

「んじゃ、飲みな、オグリも腹減ったんだろ?少しつまんでけ!!」

 

「ああ!!」

 

「コック長、酒ー!」

 

「あいよ」

 

こうして賑やかな夜会になったのだった。

 

 

 

 




タイシンの育成が捗りません。
寝不足、偏頭痛、太り気味のコンボやめてください。
やたら不調になるし・・・

タイシンは女医の刑にするので楽しみに待っていてください。

以上
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