やっと師匠出せました。
お楽しみいただけたら幸いです。
「練習終わりー」
「ふぅー疲れたー」
練習が終わり寮に戻ろうとするネイチャとターボ。
「ネイチャ!!何して遊ぶ!」
午後からは休息となるためターボは目を爛々と輝かせている。
「眩しー、んーどうしよっか」
ゲーセン、ショッピング、食べ歩き、うーんと考えていると見慣れた人物が通りかかった。
「コック長!!どこ行くの?いつもと違うかっこだね」
タタタッと駆け寄るターボを追う様に歩いていく。
「ちょっと午後休みになってな、ちょっと趣味でやってる畑を見に行くんだ」
麦わら帽子にタンクトップ、下はジャージ姿だ。クーラーボックスを肩から下げていた。
「畑?」
「おう、小さいけどいい感じに実ってるんだ。そろそろ収穫だし来るか?」
「面白そう!行く!ね、ネイチャも行こ!行こ!」
ネイチャに抱きつき体を揺らすターボ。
「行く、行くから!揺らさないで!あと!!コック長大きくなるな!!それのせいでめちゃくちゃ恥ずかしい思いしたんだからね!!」
2人の触れ合いにホッコリするコック長はウガーと頬を染めるネイチャに更に大きくなった。
トレセン学園内、理事長が栽培している畑からほど近い場所でこじんまりとした畑があった。
「きゅうりにトマト、これは、とうもろこし?この葉っぱは?」
「ニンジンだ、理事長と肥料なんかを色々試してるやつだ」
こじんまりしてる割には種類が豊富だ。
「ちょっと軍手とか取ってくる」
そう言ってコック長は席を外す。
「ネイチャ見て、このきゅうりすごい曲がってる!」
ターボが指さすきゅうりは途中から重力に逆らう様に天目掛けて急に曲がっている。その他にも先端が異様に太かったり、細かったりと市販されているものとはかけ離れてるものもある。
「トマト〜とうもろこしのヒゲ〜?ヒゲ〜?なんか髪の毛みたいじゃない?う〜ん?まいっか」
(可愛いなぁ、この子ほんと無邪気なんだから)
野菜を見て周りはしゃぐターボに和んでいるとポンっと頭に何か置かれた。
「まだまだ日差しが強いからこれを被るんだ。ターボも戻ってこーい」
「はーい」
ネイチャとターボは麦わら帽子を装備した。麦わら帽子からはぴょこんと耳が出ている。
「なぁ、ネイチャ」
真剣な顔をしているコック長。
「な、何?」
少し身構えるネイチャ
「今度、麦わら帽子を被ってワンピース着てくれないか?」
「な!?何を言うの!」
「??ネイチャなにをそんなに焦ってるの?」
(いや、何を意識しているのよ。でも女神とか言われちゃったし)
モンモンと考えるネイチャを他所に話を続ける。
「なぁ、ターボ想像してくれ」
「うん」
「ここは草原、そよ風ふく草原だ」
「草原」
ターボは目を閉じて想像する。広大な草原を心地よくふく風は草を撫でる。
「そこには大きめの麦わら帽子を被った白いワンピースを着た女の子が居るんだ」
「ふんふん」
草原に立つ女の子は麦わら帽子を押さえている。
「それはネイチャなんだ」
帽子を押さえて佇み、振り返り微笑むネイチャ。
「おお、ピッタリ!!」
あははと笑い合う2人。
「いやいや、ないし!!そんなキャラじゃないし!!ネイチャさんにはキツイですよ!!」
頬を赤らめてイヤイヤと手を振るネイチャ。
「いやいや、似合うぞ!!そんなに言うならワンピース用意するから着て見せてな」
「ズルいターボには?」
頬を膨らませブーたれるターボ。
「ふむ、ターボはかっこいい勝負服のイメージが強いから可愛いドレス、悩むなぁ、清楚系か?これは会議だな用意したらターボは着てくれるよな?」
「うん、着る!!ネイチャも着よう!ね!ね!」
(ぬぅ、ターボかわいいなぁ、くそぅ)
抱きつきネイチャを説得するターボはニコニコで体を揺する。そんなターボを可愛いと思うネイチャであった。
「わかったから、着るから揺らさないでぇ」
観念したネイチャと
「「いぇ〜い」」
ハイタッチを決めるコック長とターボ。
(嵌められたか)
喜ぶ2人に苦笑するネイチャだった。
「まぁ、大分脱線してたが野菜も大分育ってるなぁ幾つか取ってみるか」
きゅうりを幾つか取り近くの水道で汚れと棘を落とす。
「きゅうりって棘あるんだね」
「スーパーとかのにはないしなぁ、まぁ新鮮な証だな」
「んじゃ試食ターイム」
「ええ、そのまま食べるの?」
驚くターボ。
「いや、結構美味しいんだよ。私も前に八百屋で新鮮なの食べさせてもらったことあるし」
「ん〜」
手渡されたきゅうりと睨めっこするターボは意を決して齧り付く。
パリッといい音を立てて折れるきゅうりは、シャクシャクと口の中で気持ちの良い歯応えを与えみずみずしい果肉はほんのり甘い。
「お〜美味しい!!」
ぱぁっと笑顔になるターボは更にぽりぽり食べ進む。
「ん、美味しいじゃん」
「おお、ちゃんときゅうりしてるな。じゃあコイツらもどうだ」
コック長はクーラーボックスから小瓶を出した。
「味噌と、梅?これは明太子?!」
「そうだ、梅肉ソースと明太子はまんまだな。この塩気がきゅうりに合うんだ。すまんな飲み物は麦茶しかないわ」
「ありがとう。んでつけていい?」
「おう、好きなのつけてみな」
ターボとネイチャは味噌をつけて食べてみた。味噌の香りに包まれる口の中にみずみずしいきゅうりがシャクシャクと音を立てて踊る。濃厚な味噌の味もみずみずしさが相まってちょうどいい。
梅肉ソースは梅干しの香りが爽やかな香りを届けて、さっぱりとした酸味で味噌とは違う軽い味に仕上がっており、きゅうりが短くなる。
最後は明太子、解された明太子は先程までとは違う磯の香りを口に広げきゅうりにプチプチとした別の歯応えを生み出す。少し強い塩気もきゅうりのみずみずしさにより絶妙な塩加減に変化する。
「っかーやっぱりビールに合うわ」
ビール片手にきゅうりを食べるコック長。
「なんかコック長が私達と食べ物食べてるのに違和感ある」
「いっつも作ってくれる側だからね」
「確かにな、ほらトマトもどうだ?うまいぞ」
酒が入り上機嫌なのか笑いっぱなしのコック長はトマトを渡してきた。
齧りつくと溢れる果汁、しかし驚く事にトマト特有の酸味はなく甘いのだ。
「何これ?甘い!」
「トマトじゃないよこれ!」
「なんでも水を余りやらないようにすると甘くなるらしいんでやってみたんだ。本物のフルーツトマトには全然だけど風変わりなトマトにはなったろ?」
感動したのかターボは両手でトマトを2つ交互に食べていた。
「もう、口周りベトベト」
苦笑しながらハンカチでターボの口元を拭いてあげるネイチャ。
「ん、ありがとう」
微笑ましいことをしている2人ににっこりしつつ最後の品を出す。
「最後はこれだ!!」
ドン!!と置かれたのはまんまるで黒シマ模様が入った緑の玉。
「「スイカ!!」」
大きく6つに切る。
「どうするこのままでも良いけど?」
「ターボはそのまま!!そのままおっきいの食べてみたい!!」
「私はもう少し小さく」
「ほいさ」
6つに切ったものをそれぞれ2つづつ分ける。ネイチャのは更に半分に切り渡す。
しゃくりと食べると溢れる果汁、噛むほどに出る果汁で口が一杯になりスイカの甘さに支配される。
「はぐはぐ、しゃくしゃく」
「そんな慌てて食べなくても」
一心不乱に食べ進めるターボ。
顔を離すとスイカの果肉は無くなっていた。
(何この子マジかわいいんですけど!?)
盛大に顔を汚してるだろうとハンカチをスタンバイさせていた手が止まる。
モゴモゴと口を動かすターボはほっぺがパンパンになったハムスターの様になっていた。そんな顔でスイカの甘さにより惚けているのだ。かわいくないわけがない。
「っんーー!?」
ペシペシとコック長を叩きながら悶えるネイチャはターボを指さし声にならない悲鳴をあげていた。コック長はサムズアップで応えるのだった。
師匠出したくて捻り出しました。
今度はドヤ顔させたい。
師匠の抱きつき攻撃に撃沈した同士は多いはず・・・
泣き顔も良いけどニコニコでやられたら断れないよね!!