トレセン学園コック長   作:ブランチランチ

9 / 29

誤字報告ありがとうございます。
感想は本当に励みになります。
あと、閃きも得られます。
感謝の気持ちでいっぱいです。

お楽しみいただけたら幸いです。


ドリンクお待ち!!

自販機の前でソワソワ、キョロキョロと周りを見渡すウマ娘、ミホノブルボン。

彼女は先程から何かを探しているようだ。

 

「どうしたんだ?ブルボンそんなにキョロキョロして?」

 

見かねたコック長が声をかける。

 

「コック長、丁度良かったです。飲み物を買おうとしていたのですが、私が触ると壊れてしまうので誰かいないか探していたのです」

 

「なるほど、ならこっちも丁度良い今からドリンクを配りに出ようと思ってたんだ。苺とパイナップル、バナナどの味が良い?」

 

「ふむ、ではバナナでお願いします。これから練習なので、よりエネルギーになるもので。さすがはコック長美味しいです」

 

香りと甘みの強い完熟バナナを牛乳と合わせてミキサーにかけて蜂蜜を軽く溶かしたものだ。

 

「なるほど、だからリアカーを引いていたのですね。こんなにクーラーボックスを積んでいるとは、旗は何ですか?」

 

「これは後でリアカーに立てるんだよ、ドリンクとおいしいって書いてある奴なんだけど、そうすれば何してるか想像つくだろ?」

 

「確かに、コック長が外で何かしてる時は旗や看板が出てますね」

 

「少しでも多く配りたいからな、何か騒がしいな」

 

はて?と振り返るコック長。

 

「おそらくあれは・・・」

 

「バクシン!バクシン!バクシン!バクシーン!!困ってる人がこの辺りに!!委員長レーダーが反応しています!!」

 

手を耳に添えて辺りを見回すサクラバクシンオー。

 

「やや?ブルボンさんにコック長じゃないですか。ここらへんに困った方はいませんでしたか?」

 

「その・・飲み物を買おうとしてたのですが、コック長にドリンクをいただき助かりました。サクラバクシンオーさんもいつもありがとうございます。」

 

「困り事が解決したならいいんです。友達ですし、何より私は学級委員長ですから!!」

 

腰に手を当てて笑うサクラバクシンオーと微笑むミホノブルボンブルボン。

 

この時コック長に電流が走る。

 

(つまり、ブルボンはバクシンオーを探していたのか!!あんなにソワソワして?!何というギャップ萌え!!普段はあんなにクールなブルボンが・・・はっ!!閃いた)

 

笑ってるバクシンオーに気づかれないようにミホノブルボンに耳打ちしあるものを渡す。

 

「サクラバクシンオーさん、そんなに汗をかいてまで、ありがとうございます。これはコック長からのドリンクです」

 

ミホノブルボンはサクラバクシンオーのおでこに流れる汗を拭きながらドリンクを差し出した。

 

「すみません。つい夢中で走ってきてしまいました。あまずっぱくて美味しいです!!」

 

おでこを拭かれながら、そのままストローに吸い付いたサクラバクシンオーは目を輝かせる。

パイナップルと完熟オレンジをミキサーにかけたドリンク。パイナップルの酸味を完熟オレンジの甘みでまろやかにしたスッキリとした喉越しのドリンクだ。

 

(俺の目的はおでこふきふきで達成されているが、さらにそのままストローに吸い付くだと!!甲斐甲斐しくお世話するブルボンという構図が予想以上の完成度になっている。やるじゃないかバクシンオー、流石は学級委員長だ!!)

 

「ちょわっ!!ブルボンさんコック長が立ったままで寝てます!!」

 

「何と!!随分と清らかな寝顔ですね」

 

「おっと、いいものありがとう、ブルボン、バクシンオー」

 

一瞬、キョトンとする2人だが

 

「まぁ、よくわかりませんけど満足したなら良かったです!!」

 

「そうですね」

 

「それじゃあ、俺は行ってくる」

 

笑うサクラバクシンオーと微笑むミホノブルボンに見送られてコック長は練習場へ足を向けた。

 

 

 

 

 

「うおぉぉぉ、負けるもんかー!!」

「くっ、させるか!!」

「負けない!!」

 

ウイニングチケット、ビワハヤヒデ、ナリタタイシンがほぼ同着でゴールを決めた。

 

「アタシの勝ちだよね!!」

 

芝に寝転がりながらゼーハーゼーハーと呼吸をするウイニングチケット。

 

「私に決まっているだろう」

 

「いや、アタシでしょ」

 

膝に手をついて呼吸を整えるビワハヤヒデとナリタタイシン。

 

「てゆーか、チケットの乱入のせいで無茶苦茶なんだけど!!」

 

「えー、でも熱いレースになったでしょ!!」

 

怒るナリタタイシンに笑顔で返すウイニングチケット。

 

「いや、まぁ、いい走りは出来たけど!」

 

「いいじゃないか、フォームの確認も済んできたところだったし、次は全力で走ろうと言ってたじゃないか」

 

ナリタタイシンを落ち着かせようとするビワハヤヒデ。

 

「はぁ、ちょっと休憩しよう」

 

「うん!!」

「わかった」

 

ナリタタイシンの提案で休憩しようとする3人に声がかけられた。

 

「へへ、嬢ちゃん達、暑い中大変だねぇ。おっちゃんの特製ドリンク飲まねえかい」

 

背を丸め、手を揉みながら声かけてきたのはコック長。麦わら帽子に短パンタンクトップで肩にはタオルがかけられている。

 

「飲み物ーー!!」

 

一目散に駆け寄るウイニングチケット。

 

「コック長相変わらず暑苦しい笑顔だね」

 

「タイシン流石に失礼だろ」

 

「へへ、気にしねぇでくだせぇ、あっしは気にしてやせん。へへへ」

 

「そ、そうか」

 

呆れるナリタタイシンと困惑するビワハヤヒデだった。

 

「この赤いの苺なんだー美味しいーー!」

 

苺をベースにクランベリーと葡萄をミキサーにかけたドリンクは、葡萄で瑞々しさを加えて、苺とクランベリーの酸味でアクセントをつけたものになっている。

 

「私はバナナだな、うん、うまいな」

 

「アタシはパイナップルかな?おいしい」

 

「へへ、お気に召したようで何よりで、へへへ・・・うーん!!飽きた!!」

 

姿勢を正し伸びをするコック長。

 

「急にもどんな!!びっくりする!!」

 

「あははは、コック長は面白いなぁ」

 

「ちゅー」

 

驚くナリタタイシンと笑うウイニングチケット、ドリンクを飲むビワハヤヒデ。

 

「にしても、さっきの走りは見ててワクワクしたぞ、ゴールから離れてて分からなかったんだが誰が勝ったんだ?」

 

「正直分からんな、殆ど差が無かったし、みんな必死だったから」

 

「いやいや、アタシだよーハヤヒデ!!」

 

「はっ!アタシだチケット!!」

 

「勿論、私も自分だと思ってる」

 

「なるほど」

 

納得したコック長は既に別の事を考えていた。

 

(うーん、チケゾー、あのジャージの中にはあの勝負服で垣間見える健康美が隠されているのか、ゴクリっ、タイシンも時折見せる優しさと照れ顔が素晴らしい。ハヤヒデのあの髪に頭突っ込んで深呼吸したいなぁ。うーんせめてあの髪を模倣したデフォルメ人形でも作るか。ハヤヒデのモコモコを再現したいあのボリューム」

 

「おい!!コック長!!誰の頭がデカいって!!」

 

「何と漏れてしまっていたか、違うハヤヒデの髪の毛がもふもふで触りたいと思っただけだ!!」

 

「か、髪だと!!」

 

「いやいや、コック長流石にそれは」

 

「でもハヤヒデの髪モコモコしてて気持ちいいよね」

 

「やはりか、チケゾー!!どんな感じだ!!」

 

驚くハヤヒデと呆れるナリタタイシン、髪について感想を述べるウイニングチケット。

 

「なんか、わたあめみたいな感じかなぁ、ふわっとしてて、艶々でサラサラしてるんだ」

 

「おおおおお!!」

「へぇーーー」

「やめろ!!チケット!!」

 

「そういや、触ったことないやアタシ」

 

「さっき、ふとハヤヒデのデフォルメ人形でそのモコモコを再現出来ないかと考えていてなチケットもっと詳しく!!」

 

「良いねそれ、出来たらアタシにも頂戴!!」

 

「勿論だともチケゾー君」

 

熱い握手を交わすコック長とウイニングチケット。

 

「その、アタシも欲しい」

 

遠慮がちにナリタタイシンが告げる。

 

「もちろんだタイシン」

 

コック長の出された手をそっと握るナリタタイシン。

 

「ちょっと待てコック長!!私は許可してないぞ」

 

抗議の声を上げるビワハヤヒデだが

 

「まぁまぁ、ハヤヒデはん、そうムキにならんとどうせ人形自体はゲーセンにもあるじゃないですか」

 

「むぅ、しかし」

 

「ちゃんとチケゾーはんとタイシンはんのも作りますさかい。3つ揃えてお渡しいたしますよ」

 

「おお!」

「ええっ!」

 

「それなら、うむ、しかし」

 

悩みはじめるビワハヤヒデ。

 

「ちょっと、ハヤヒデ!!ていうかアタシの作るの聞いてない!!蹴るよ!!」

 

「蹴られて達成出来るなら容易い!!この俺にウマ娘から逃走するという選択肢は無い!!野望を叶える為ならば、引かぬ!!媚びぬ!!省みぬ!!さぁ、こい!!」

 

「なら、望み通りに!!」

 

ナリタタイシンの蹴りが迫る中コック長に電流が走った。

 

自身をパンプアップし鋼と化したコック長

 

「あれ、手応えが?」

 

蹴りを放ち確かに直撃した足。しかし、ものを蹴ったというにはあまりに手応えが無い。

 

片膝をつきながらコック長は

 

「間に合ったか、ぐふっ」

 

「えっ、ちょっとどういこと?」

 

困惑するナリタタイシン。

顔を見合わせるウイニングチケットとビワハヤヒデも困惑していた。

 

「ふふ、簡単な事よ。確かにウマ娘の蹴りは強靭、だがそれで硬いものを蹴ればタイシンの脚がどうなるか分からん。故に直撃のタイミングで脱力しタイシンへの負担を無くしたのよ。それがこのザマさ」

 

「あんた、バカじゃない、蹴る側の心配するとか・・・でも、その気持ちはありがとう」

 

「うぉぉぉ、ごっぐぢょゔ」

「いい話なのか?」

 

この後、ナリタタイシンのありがとうで全快したコック長は改めて説得し開発の許可をもらえた。

 

 

 

 

 

おまけ

 

トレセン学園某所

 

「やりますねぇ、本当に素晴らしいウマ娘ちゃんが見れました」

 

「ふふ、お前も最高だぜ!この写真達は、後で絶対に許可を取り付けてやるから俺の分もたのむぜ」

 

「でゅふふふ、勿論です。そのかわり許可はちゃんお願いしますね。私ではウマ娘ちゃん達の前に出てお願いなんて出来ませんから」

 

「難儀な鉄則だな、それとこっちは許可をもらってきた案件なんだが・・・」

 

「皆まで言わなくて大丈夫です。既に素材を集め始めてます。じゅるり、最で高のものを作りますとも、ふひひっ!!」

 

「おう、これからも頼むぞ」

「勿論です」

 

「無断で部屋を使っていると報告があった生徒会だ!!」

 

「クソ、嗅ぎつかれた!!またな!!」

 

「はいぃぃ!!」

 

「クソっ待て!!」

 

 

謎の2人はエアグルーヴの追手を無事振り切ったのだった。

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。