英雄譚   作:繊細なゆりの花

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第11話

リオレウス希少種 通称「銀火竜」

 

大きさは金火竜とほぼ変わらないが、昼間は銀色に輝く外殻も夜は闇を吸収し黒色に近くなる。

 

月を背に飛来し、又翼音が殆どしなかった為エイスは接近に直前まで気づかなかった。

 

「オトモは奥で控えていろ!」

 

銀火竜の爪には毒が仕込んであり、致死性ではないが戦闘不能になる。

 

どのみち人間程度の大きさでは肉片になってしまうだろう。

 

その爪をエイスは大袈裟と思うくらいの横っ飛びで回避した。

 

本日2度目の緊急回避である。

 

よくよくついてない

 

それぞれの位置、状態を確認したマークは銀火竜に対し閃光玉を投げた。

 

目が潰れている金火竜には効かないが、その眩い光が銀火竜の落下を成功させた。

 

マークが牽制の弾を金火竜の足に放つ。

 

その隙に、地面に這いつくばってもがいている銀火竜の翼の面に、エイスは思いっきり剣斧を縦に何度も何度も突き刺した。

 

翼を構成する骨を砕き、翼膜に穴が何箇所か空いた時、エイスの右側から太い何かが叩きつけてきた。

 

咄嗟に剣斧でガードしたが衝撃を防げず、脳が銀火竜の尻尾だと解った時には5〜6m吹っ飛ばされていた。

 

その先には金火竜の顔があった。

 

匂いで感じ取った金火竜が、大きく息を吸い込むと喉の奥から爆炎を吐き出した。

 

広範囲に渡る炎で、離れた位置にいたマークは重弩を担いでいたので、距離は空いていたが避けきれず、炎を被ってしまった。

 

エイスは・・・咄嗟に、落とし穴跡に入り蓋をするように剣斧で塞いだ。

 

死角となったエイスは、その喉元、竜の逆鱗に刃を突き立てた。

 

金火竜は絶命した。

 

マークは顔右半分、体右半分に火傷を負い片目が見えなくなっていた。

 

「マーク、目は見えるか?大丈夫か?奴の火炎と突進は厄介だ。足だけでも弱らせたい。できるか?」

 

荒い息遣いをしながらマークは答えた。

 

「ああ。任せとけ。本当は逃げ出したいけど・・・な」

 

銀火竜がその巨体には似合わないスピードで突っ込んでくる。

 

20mの巨大物体が向かってくる様は恐怖そのものである。

 

マークは距離半ばで撃つことを止め、横に転がった。

 

そのマークがいた場所に銀火竜は転ぶように走り滑ってきた。

 

「マーク!!」

 

マークは装填されている全弾を銀火竜の足に叩き込み一時銀火竜の動きを止めた。

 

エイスは銀火竜の所へ全速力で走ると残った片方の翼の根元へ渾身の力を振り絞って剣斧を突き立てた。

 

2人とも同じ手は食わない。

 

散開し距離を取ると、追撃に備えた。

 

(これで奴は全力で走ることも飛ぶことも出来ない)

 

「マーク、本当に大丈夫か?」

 

「ああ、右目は見えないけど手は動かせるぜ」

 

通常射手は効き目、利き手というのがあり、マークは効き目右、利き手右だった為、左目では標準がつけられない。

 

つまり細部に弾を当てることが出来なくなった。

 

(ピンポイントに攻撃はできなくなったのか・・・ん?)

 

「いい案が浮かんだ」とエイス

 

「何だ?」

 

「オトモが置いていったこやし玉を奴・・・」

 

「大体わかった。けどうまくいくか?」

 

「やらないよりいい」

 

「だな」

 

その時銀火竜が大きく後方に跳躍し、さらに2人からの距離を空けると大きくのけぞり息を吸い込んだ。

 

先程の金火竜より威力の高い広範囲爆炎

【ワイドレンジ・バーニングブレス】

 

「これも盾にしろ!!」

 

エイスは銀火竜がのけぞった時点でマークの前に急ぎ、自身の剣斧を地面に突き刺し、本日3度目の横っ飛びで直撃から逃れようとしたが、レガースが弾け足元に炎が巻いていた。

 

エイスは炎を土で消火すると確認もそのままに、全速力で荷物置き場へ向かうと、持てるだけのこやし玉(激辛唐辛子とモンスターの糞尿を混ぜたもの)を持って銀火竜の口の中に放り込んだ。

 

マークは同時に閃光玉。

 

目が眩み前が見えなくなった銀火竜。

 

しかも口の中は辛味成分たっぷりのこやし玉。

 

壁面という壁面に激突しながら目を血走らせながら暴れ走り、最後は崖から転落した。

 

エイスとマークはこの岩壁上出入り口に避難してただ見ているだけでよかった。

 

あっけない最後である。

 

戦闘は終了した。

 

 

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