オトモ達がすぐに駆け寄ってきて2人の火傷の処置をした。
特にマークの火傷は酷く、すぐにでも村のかかりつけ医師に見せる必要があった。
4匹は丁寧に傷薬(薬草をすり潰し、少量の蜂蜜とラベンダー精油を調合した物)を塗っていった。
「これで傷の治りは早くなるはずですニャ」
「サンキュー。しかしたった2人だけで勝てたのは運が良かったな」
「ああ、誰も欠け無くて良かった」
2人ともその場で寝転ぶとマークがボソッと呟いた。
「これどうするよ」「どうしよう・・・」
そう、エイス達の横にある20mの金火竜である。
「一応あるにはある」「ほー聞こうじゃない」
エイスの案はこうだった。
監視気球を飛ばせられない為、依頼の成否に関わらずキャンプには後続で出発させた11人の村人と現地調査員1人。
金銀の素材を運ぶ6隻の舟艇、それにキャンプに常駐している4台の荷車がある。
村人4人が下に落ちた銀レウスを解体している間に残り(村人7人と現地調査員1人)が荷車2台(エイス達の荷車を合わせて計4台)を岩壁上まで持っていって部位を運ぶというものだった。
「俺には何も思いつかなかった。エイスの案でやろう。」
早速エイスたちはオトモ2匹(マイムとテン)に指示を出し、キャンプの待機人員と連絡をつけ、解体作業に入った。
戦闘終了が午前0時過ぎ。
作業は朝日が上り切ったところでようやく終わった。
第4章 嵐の前の静けさ
正午近く、ユクモ村に全員が帰還すると、エイス達は早速火傷の様子を医者に診てもらう。
幸いマークの失明は免れ、皮膚のただれも完治は難しいが応急手当てのおかげで大事には至らず、温泉治療を数日行えば良くなると言う。
持ち帰った素材は全てゲン爺に預けた。
臨時で人を雇い急ピッチで作業を進めると言っていた。
勿論ゲン爺の事だから妥協はせずにという意味が含まれているだろう。
村全体で協力してくれる事をエイスは嬉しく思った。
「よお。君が噂のハンター君か。ようやくお会いできたな。初めまして。ジル・ローレンツだ。」
そう話しかけてきたのは下はパンツルックに上は鎖帷子を着けている女性だった。
彼女はもう1人の村のハンターである。
軽装で短剣を2つ腰に差しているということはおそらく双剣使いだろう。
「エイスだ。・・・いつもすまない」
開口一番エイスは謝った。
それはそうだろう。
エイス達が村長からの緊急依頼を受けているとはいえ、集会浴場の通常依頼を全てやっているのは
彼女だ。
見れば体に新旧いくつもの傷が無数にある。
しかし、ジルは微笑みを返した。
「何言ってるんだ。君たちの方がずっと大変じゃないか。たった2人で金銀火竜を倒したんだって?同じ村の仲間として鼻が高いよ」
エイスは泣きそうになった。
別に賛美が欲しくてやっているわけではないし、自分が村に来て日が浅いのにこうやって認めてくれる。
「俺たちはこの地域の為に動いているハンターだ。お互いありがとうだな」
「だね」
再び安寧の日々が来る事を心から願った2人だった。