英雄譚   作:繊細なゆりの花

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第18話

 不揃いな大きい岩が乱立している中に比較的綺麗な円柱の岩がある。

 

入り口は岩で出来たカラクリ扉で閉まっており通常、定置点への出入りは洞窟内部から観測気球で上がる。

 

中が吹き抜けで空洞最上部は木板で蓋がされていて手動で開閉出来る仕組みになっている。

 

カールが金槌で3回扉を叩くと、石がスライドし、中から女性が出てきた。

 

「おかえりカール。心配したわ。ジアースもシモンスキーも無事で良かった。とにかく中へ」

 

出迎えたのはカール・マクダウェルの妻マイラ・マクダウェル。

 

ショートウィッグブロンドで眼鏡をかけている20代、唯一の女性だ。

 

「貴方方が嵐龍討伐専属ハンターね。マイラ・マクダウェルよ。よろしくね。さ、中に入って。濡れた体温めなくちゃ」

 

『よろしく』

 

奥で道具袋を分けて作業しているのが副長のランバート・ヒックス。

 

実質このメンバーを纏めている人で高身長。

 

物資調達の責任者である。

 

「嵐の中ご苦労様でした。私は副長のランバート・ヒックスと申します。お時間無いでしょうがお茶の一服でも召し上がってください」

 

「なあランバート、彼らに〝アレ〟を見せたい」

 

「隊長はせっかちですね。でも見ておくといいかも知れませんね」

 

「だろ?上まで登らにゃいけんが狭くて2人しか上がれねえ。どっちが来る?」

 

エイスはマークを見ると、マークは首を横に振った。

 

「見せてくれ」

 

「シモンスキー、ジアース、お前らはマークさんに道具を渡してくれ。マークさん、好きなの持っていってくれ」

 

「サンキュー。遠慮なく貰うぜ」

 

「マイラは茶の用意だ。菓子もな」

 

「わかってるわよ。貴方こそ落ちないようにね。最近太ってきたから」

 

「ちっ一言多い女だぜ。エイスさん、足元気を付けろよ。滑るからな」

 

この定置点の内部の壁は螺旋状に岩が削ってあり、それが上部横の穴まで続いている。

 

霊峰が見渡せる上部まではロープと木で補強した足場があり、円柱の壁際を登っていくことができる。

 

エイスがそこから見た景色。

 

雨で視界は悪いが、遥か遠くには霊峰の切り立った岩山がそびえ、連なっていた。

 

エイスが驚いたのはその中で一番高く大きな岩山の上空がそこだけぽっかり晴れていたことである。

 

「びっくりしたろ?奴は子育て中卵を守る為、外敵からああやって身を守ってるんだ。だからここら辺に住んでいた生き物は全部嵐の来ない外側まで追いやられるか穏やかな中心部は奴の餌だ」

 

「つまりドーナツ状になっていてここから先は今と比べ物にならないくらい嵐が強まるということか」

 

「ああ、その為マークさんに荷車の補強部品とガーグァが潰れないようロープと被せる布を見てもらっている」

 

定置点を境に嵐はさらに強まり、嵐の目の山【嵐目山】から半径35kmが無風状態の嵐龍の縄張りとなる。

 

定置点から霊峰まで北東約15里(60km)定置点から6里(約25km)までは強烈な暴風雨圏内。

 

定置点全員でガーグァが潰れないようにロープと荷車をしっかり繋げていた。

 

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