話が少し戻る。
火炎弾を撃ち尽くしたマークはバリスタ横に置いてある弾薬箱からワイヤー付きの拘束弾を取り出すとバリスタに装着し嵐龍目掛けて発射した。
この拘束弾は4本のワイヤーの先端に巨大な矢尻を取り付けたもので目標に着弾するとその返し矢が相手の肉に食い込み離さない。
ただこの大型弩砲(バリスタ)は先発の古龍観測隊が嵐龍との初遭遇の折、簡易設置したにすぎず、台座の留め具もしっかり固定されていなかった。
よって拘束により嵐龍が暴れれば暴れる分台座が外れる可能性が大きくなる。
その前にマークは嵐龍へ麻痺弾を叩き込まなければならない。
ポーチに入れていた麻痺弾を全て装填し、拘束が効いている間マークは撃ち続けた。
止血を終えたエイスは悶え暴れている嵐龍の正面・・・は止めた。
水弾による直撃で即死するからだ。
嵐龍の首が回らない角度まで移動するとその角に何度も剣を斬り入れた。
拘束が解ける頃、麻痺の為嵐龍の動きは弱まり口からは泡が出てきた。
「マーク、正面に回って加重攻撃。援護してくれ」
エイスは嵐龍の首に剣を深く何度も突き刺した。
首から凄まじい量の血液が噴き出てくる。
(思ったより柔らかいな)
そして1本目の角を根元から折り2本目の角の半ばを折った。
嵐龍の角の中には太い神経が何本も通っている。
麻痺から目覚めた嵐龍は激痛にのたうちまわり水から上がった魚の様に跳ねた。
マークは通常弾に切り替え正面そのままに撃ち続ける。
がふっ
尾の先には注意していたエイスだが尾の根の部分は死角だった。
右脇腹を思いっきり強打され崖際まで吹っ飛ばされた。
転落する寸前左手で木の根を掴んだが、肋骨が折れているのか力が入らなかった。
右手でポーチから秘薬を取り出すと口に放り込んだ。
骨は繋がらないが痛みが和らいだエイスは両手を使い、なんとか崖から這い上がることができた。
休んでいたいが休めない。
マークが倒れていた。
エイスは剣を掴んで走った。
距離10m
嵐龍はマークの頭を噛み砕こうとしていた。
距離5m
「嵐龍!!」
エイスは叫んだ。
振り返った嵐龍の顔はぐちゃぐちゃだった。
両目は潰れ、感覚器官の角も両方折れ顔面は穴だらけで火傷も酷かった。
体も至る所傷だらけで、もはや飛べる体ではない。
我が子を守る一心で動いているに過ぎなかった。
エイスは走りながら剣を嵐龍の顔に向けて投げた。
剣は折れた角の先端部に当たり、嵐龍はうめき声を上げロロロロロと懇願するようにもう一度鳴いた。
エイスは剣を拾い上げると構わず嵐龍の右目に深々と突き刺し上部にしゃくり上げた。
嵐龍は絶命した。