---------村人の証言-------------------------
「あの日俺は仲間と渓流で木を伐採していたんだよ」
そうとつとつと話し始めたのはユクモ村で林業を営んでいるロットと名乗る青年だった。
「昼間だというのに、鳥の声が聞こえ無いなと思ったら身を絞るような雄叫びが聞こえたんだ。
一瞬で雷狼竜だって判ったよ。目が合っちまった時一緒にいたボイルとカールも腰が抜けていた。
大人しく村長の忠告を聞いておけば良かったと後悔したさ。
でも俺らも食っていかなきゃ死んじまうってんで森に入ったのが運の尽きさ。
まさか森の入り口で雷狼竜に出くわすなんて思う奴ぁいないだろ?
3人ともすぐ挽肉にされちまうと思ったんだ。
そうしたらよ2人のハンターがあっという間に現れて助けてくれたんだよ。
そのうちの1人はこの村に着任したばかりのヒヨッコだったんだぜ?」
ベラード・ダイス著
嵐龍記 調査書メモ欄から抜粋
第二章 相棒となる男
村長と共に集会浴場に着くとその男はいた。
「マークさんお食事中の所失礼します。
こちらエイスさん。今朝お話しした、周辺の森の調査をして頂いているハンターさんですわ。
昨日、大猪の群れを討伐されたのですが、雷狼竜に阻まれ再度森へ。
そこでマークさんもご一緒してくださるかしら」
「ああ?なんだ?あんたがもう1人のハンターさんて奴か。俺はマーク・シュルツ。マークって呼んでくれ。ハンター稼業をしながら村々を渡り歩いている」
「皆同じだな。俺はエイス。エイスでいい。ジーナ村出身だ」
「マイムというニャ。サポートは任せてニャ」
エイスは改めて男を見た。金髪で短髪、整っていて少し濃い顔立ち、体つきは筋肉ががっしりついていていかにも狩人という体系だ。
(なるほど・・・流石に出立前に呑みすぎるほどの奴じゃ無いということか)
「こいつはオトモのテンだ。ほら、テン、挨拶しろ」
「テンって言いますにゃよろしくニャ。エイスさん。マイム」
「ジーナ村?・・・聞いたことないな」
「小さな集落だ。ここより北北西8里。さらに山奥だ。南に9里降ると渓流があるが起伏が激しく大型は滅多に近寄ってこない。何もない村だよ」
「そうか。まあ、今後長い付き合いになると思うからよろしくな」
「ああ、こちらこそよろしく頼む」
「村長から聞いたんだが、エイスさん、あんた、ハンターの仕事は初めてらしいな。でも大猪の群れを倒したんだって?凄ぇじゃねえか」
(ぐいぐいくるな)
「何、木こりだったからさ。森に棲む奴らの習性は大体わかる。牙獣種や鳥竜種程度なら斧で追い返していた。だから武器は片手剣か剣斧しか使えない」
「そうか。俺はボウガン系統を使う。・・・よっと。そろそろ行くか」
「お二人とも準備ができましたら私(わたくし)の方へいらして下さいましな
シーラはそう告げると集会浴場の階段を降りていった。
「俺は準備できているぜ。エイスは昨日の今日でまだだろ?足らない道具があるなら言ってくれ。譲るぜ」
「いや、問題ない。前回とは対象が違うから装備も道具も一新して出られる準備はしてある。
片手剣は念の為鍛冶屋に修理に出しているから、今回は俺の村から持ってきた狗竜(鳥竜種に属す)の素材から作った防具と剣斧を使う。
・・・まあ、相手との相性もいいだろうしな。」
「了解だ相棒。また後でな」
「ああ」