英雄譚   作:繊細なゆりの花

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第8話

雷狼竜討伐を、上空の監視気球がユクモ村に一足早く知らせた。

 

エイス達が村に帰還する時には、村では付近の森に一時的な平和が訪れた事によるお祭りが既に始まっていた。

 

村に到着するや否や空に綺麗な花火が上がった。

 

中央広場では出店が並び集会浴場の受付嬢達が集まって何かを食べていた。

 

はやしの音が響き、アイルー達が的撃ちゲームで遊んでいる。

 

「こりゃ盛大だな。まるで俺たちがたお」

 

「あら、お帰りなさいまし」

 

振り返ると村長が歩いて来た。

 

「おう、今帰って来たぜっ討伐部位は後でゲン爺に渡すよ」

 

「あらあら、碧玉が綺麗に取れましたのね。おめでとうございますわ」

 

「ああ、ひとまず一難去ったってやつだな」

 

「ええ、その事なのですけれど、最近飛竜が活発に活動しているという報告をギルドから受けまして・・・暫く安全の為監視気球を飛ばす事は控えますわ。その代わりと言ってはなんですけれども、オトモ2匹を新たにご一緒させて下さい。いくばか狩が楽になると思いますわ」

 

「村長さん、この村祭りの状況はあんた、俺達が雷狼竜を倒すって予め分かってたみたいだな?」

 

「ええ、あなた方を信じていましたから」

 

シーラは尋ねたマークの方ではなくエイスの目を見て言った。

 

「ステルヴィア村長、ありがとう」

 

「いえいえ、どういたしまして。それと私の事はシェラとお呼び下さいな」

 

「ずるいぞエイス。抜け駆けは良くねえな。村長、俺もいいだろ?」

 

「あなたはダメです。違いますもの」

 

「違う?何が・・・?」

 

「まあそれはさておき、お酒も食べ物もお好きなだけお召し上がり下さいませ。このお祭りは全てあなた達に対してのお礼です。本日は本当に有難う御座いました。それではまた後ほど」

 

村長の背中を見送りながらマークは言った。

 

「さっきのはなんだったんだ?」

 

「俺に聞くなよ。それより楽しもうぜ」

 

「わかったよ。しゃーねーな」

 

祭りは夜更けまで続き、村人達も久しぶりの平和な夜を楽しんだ。

 

この祭りでエイスは一滴の酒も呑んでいないことを明記する。

 

次の日の朝、ゲン爺に渡した素材を元に作った装備が夕方には出来るというので、エイス達は前日村長が言っていたサポートアイルーを受け取りに、ネコバァのところまで足を運んだ。

 

「おはよう。ネコバァ。昨日村長が進言してくれたオトモを連れて行きたいんだけど、準備できてる?」

 

「%☆¥$ああ、いるよぉ。ちょいと待#てなぁ」

 

・・・入れ歯でうまく聞き取れない。

 

とても良いアイルー婆なのだが、何を言っているのか判らない。

 

ネコバァが戻ってきた。

 

「#@+÷<はか>○・」

 

「わ、わかった。2匹とも名前を教えてくれ」

 

「レッドですニャ」 「ツウニャ」

 

赤色の毛並みがレッドで白い毛並みの方がツウという名のアイルーだった。

 

エイスがレッドを、マークがツウをそれぞれ雇った。

 

「この後どうする?」

 

「装備品が出来ないんじゃ何も動けねぇ。夕方までは、弾薬買って整理したり、温泉入って時間潰してるわ。お前は?」

 

「村長の所に行って今後の対策と化物の動向を聞いてくる。」

 

「かぁー。真面目だねぇ。んじゃめんどくさいことはお前に任せるわ。よろしくー」

 

そういうとマークは道具屋の方角ではなく、集会浴場の方へ消えていった。

 

第三章  危機を乗り越えて

 

天暦120年

3月1日 エイスが村に到着する11日前、ギルドから派遣された古龍観測隊3名が、ユクモ村北東15里にある観測定置点より出発。

 

3月4日 鉱石研究家が嵐龍を見たという、定置点よりさらに北東15里の霊峰(高く上にせり出た岩山が連なる山々)付近で観測隊員3名が行方不明と定置点からユクモ村に報告が入る。

 

3月5日 新たに観測隊員5名が先の3名の救出の為出発準備。しかし暴風雨に拒まれ捜索を断念。その日のうちにユクモ村村長と連絡を取り、周辺の森の安全確保と嵐龍の討伐、観測隊員の救出作戦を共同で練る。

 

3月10日 ジーナ村ハンターがエイスをスカウトする。

 

3月11日 エイス、ジーナ村を出立する。

同日、ユクモ村到着

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