孤島。名も無き島。
ユクモ村より南に7.8km南下した場所にある。
直径10km周囲約42kmのこの島は、通常火竜が10年に1回、春先に産卵の為飛来するくらいで、草食動物と大型両生獣達の楽園だったのだが、ここ最近金火竜(♀のみ金色)、銀火竜(♂のみ銀色)の夫婦が住み着き、その生態系を狂わせているという。
火竜は本来自分達の縄張りから殆ど出ない。
霊峰から海岸沿いに南下し、産卵のこの時期に加えて定住した彼ら。
その土地の草食動物を食べ尽くした後、次に狙うは人も動物も多い森があるユクモだろう。
火竜も人を食べる。
すぐに退治して欲しいと村長はエイス達に訴えるように言って来たという。
この時点で一つ補足しなければならないことがある。
冒頭部分初依頼時に村長は、この村にもう1人ハンターがいると言った。
名はジル・ローレンツ。
彼女はエイスとマークが特別依頼を受注中、集会浴場にあるギルドからの依頼をずっと1人でこなしている。
彼女の体は一つだ。
いずれ限界が来る。
元々、ユクモ村の防衛は彼女とハンターを退役した訓練所の教官と後1人いたのだが、その1人というのが、先の雷狼竜に討伐戦の折に殺された。
その代わりに来たハンターがエイスとマークというわけだ。
話を戻そう。
教官は彼女に何か起こらない限り、ユクモ村の防衛と待機をしている。
最後の砦というわけだ。
エイス達は、霊峰で行方不明の古龍観測隊員3名の捜索をし、嵐龍も討伐しなければならない。
村人の証言から当時、村長とエイスは時間が惜しかったし焦ってもいたという。
ベラード・ダイス著 嵐龍記メモより一部抜粋
夕方、エイスはマークを迎えに集会浴場に向かった。
「マーク。ゲン爺、道具屋に寄ったらすぐ村を出るぞ」
「あいよ」
「あまり酔ってはいないようだな」
「そこまで馬鹿じゃねえよ」
「ほら酔い止めだ」 「これは?」
「数種類の草をすり潰して丸めたものだ。効くぞ。」
「サンキュー・・・苦っ!きっつ!まっず!でも・・・お陰で目はスッキリしたぜ」
「さあ行くぞ」
「ああ、死ぬかと思ったぜ」
ゲン爺の店に着くと、すでに互いの装備は店先に置いてあった。
エイスは劍斧でマークは重弩と防具。
一頭の雷狼竜から取れる素材から2人のフル装備の製作は無理だった。
が、エイスは目の前の『スラッシュアックス』を見て確信していた。
(これならば奴らの首を取れる)
次は道具屋だ。
「ハンターさん、お噂は聞いてますよ。はい。頼まれた道具一式。確認して持っていってね」
道具の内訳
爆薬【腰に装着したヤスリで擦ると着火できるタイプ】
落とし穴【中心部がネジ式になっているボーリング式を採用したもの】
こやし玉【激辛成分、モンスターの糞尿を混ぜてこねたもの】
閃光玉、大樽爆弾
以上
「あの・・・私たちの村をどうかお守りください。お願い致します」
「任せろ。行ってくる」
「無事を」
エイス達が海岸に着くと、辺りはもう暗くなっていた。
船は2艘用意されていたので、それぞれ装備、戦道具を積み込み出発した。
「マイム、レッド。2匹で右舷を頼む。左舷は俺が漕ぐ」
「ツウ、テン。お前らもだ」
(この漁村から孤島まで1里。波は穏やか。ゆっくり行っても30分ってところか)
「マーク、向こうへ着いたら少し仮眠しよう。夜更けまで待ちたい。上陸は北からだから南にいると思われる銀火龍には気付かれない筈だ」
「了解」