ホグワーツの司書   作:影尾カヨ

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ネビル・ロングボトム:2

 試験期間になると、図書室の利用者は一気に増える。みんな試験に向けて熱心に勉強しているのだ。

 

「やあロングボトム。調子はどうかな?」

 

 スネイプが言うには、最近の彼は魔法薬学の授業でも最低限の成績を残せているらしい。嫌がらせ気味に減点するしかない。と、スネイプは嫌味ったらしく顔を歪ませていた。

 

 そんな彼は今、必死になって試験勉強をしている所だ。最低限の成績ではスネイプの試験はクリアできないだろうから、当然である。

 

「大変ですけど、何とかなりそうな気がします」

 

 彼の性格は以前と比べて幾分か前向きになったようだ。未だにおどおどと臆病なところは変わりないが、怯えながら話すという事は無くなった。これが学校の成績が良くなったからなのか、何か友人関係の影響なのかは僕には分からないが。

 グリフィンドール生は『勇気』に優れるとされる。全ての生徒がそうあるべきだとは思わないが、彼が自身の勇気を示す機会に恵まれることを祈るばかりだ。

 

 彼は今、主要な魔法材料の採取場所と見極め方について調べている。例年通りなら、スネイプの試験は魔法薬の作製に違いない。彼の実践的な試験は難易度が高く、優秀な生徒でも思うような成績が取れないことが多い。そして成績不良の者は躊躇なく蹴落としていくスタイルだ。

 

 ロングボトムは今まで授業で習った魔法薬を必死に思い出しては、羊皮紙に纏めている。1年生の内容なら大した量も無いと思っていたが、中には高学年でも難しいような薬の名前まであって驚いた。

 

 まさか『生ける屍の水薬』を試験に出したりはしないだろうが、彼の授業はそんなにハイレベルのものなのか。一応、『忘れ薬』のようなものが出るのではないかと助言をしておく。

 本来は教師が試験に関してアドバイスをする事は無いが、僕は司書だ。図書室の利用者に対しては惜しみなく僕の知識を貸し与えるのが主義だ。これは昔から変わらないし、スネイプもその助言を受けた生徒の1人だ。とやかく言われることは無いだろう。

 

 

 ロングボトムは今日の試験が終わった後も、図書室に来て勉強をしていた。今度は魔法史だ。これが明日の、最後の試験になるらしい。

 魔法史の教師、ビンズ先生はゴーストだ。彼の授業は恐ろしく退屈だと評判で居眠りをする生徒は多い。

 そのくせ筆記試験はマニアックな所を出すのでこの時期になると皆、真面目に聞いていた同級生に羊皮紙を写してもらうのだ。

 

 たしかグリフィンドールの1年生なら、グレンジャーが真面目な子と扱われていたのだったか。マグル出身なのに良くやる。どうやら彼女なりに魔法界での生活を満喫しているようでなによりだ。

 

 だがわざわざ写す手間を掛けるなら、最初から真面目に授業を受けるべきだと思うのだが。まあ魔法史は暗記が主な教科なので、新たな発見や興味を引くものが少ないのが原因かもしれない。僕も魔法史は苦手科目だった。

 学生時代は友人と度々、魔法史の不毛さについて議論し合ったものだ。

 

 結局ロングボトムは閉室時間まで図書室にいたが、最後はほとんど眠りそうになっていた。

 

 彼がちゃんと試験を合格できれば良いのだが。

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