イナイレ世界に転生したら女子だったんですが   作:マルメロ

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本当の想い

「がはっ!ゲホッ…ゲホッ…!」

 

 突如襲ってきた激しい熱と衝撃、そして吹き飛ばされた痛みに悶える。それに耐えながら目の前にやってきた人物に視線を向ける。こんなボールを蹴れる人なんて1人しかいない。

 

「…豪炎寺君……なんで……?」

 

 私を襲った衝撃の正体は彼のファイアトルネードだった。突然のことで動揺し抗議しようとするが、彼の鋭い眼光に怯んでしまい何も言えなかった。

 

「……ふざけるな。まさか諦めたなんて言うんじゃないだろうな?」

「……ッ!…だって……私のプレーは何一つ世宇子には通用しない…」

「サッカーは1人でやるものじゃない。たとえお前の力が通じなくても、11人全員で戦う。それがサッカーだ!」

 

 彼の言っていることは正しい。だから私は反論することができなかった。だけど……

 

「……でも、私は…皆の役に立って…必要としてもらわないと!また独りになっちゃう!だから私は!皆に必要としてもらえるように特訓して!強くならなきゃいけなかった!………でもダメだった…私の力は結局世宇子には通じない……皆に…必要としてもらえない………」

 

 言ってしまった。今まで隠し続けてきた本心を皆の前で…

 

「……勘違いしているようだが、ここには元よりお前のことを必要だと思っている奴なんて1人もいない」

「…ッッッ!?」

 

 私の言葉を聞いて戸惑った表情をした豪炎寺君。それから目を瞑りなにか考えた後、口を開いた。

 ……必要だと思っている奴なんていない、か……そうだよね、こんな役に立たない私なんて必要とされるわけない…

 

「…だが、必要ないと思っている奴も1人もいない」

「……え?」

 

 彼の予想外の発言に呆気に取られる。どういうこと?言ってる意味がまるでわからない。

 

「お前は俺達のことをそんなに信用できないのか?周りをよく見てみろ!」

 

 その言葉に顔を上げるといつの間にか皆が私を囲うように集まっていた。その顔には優しい笑みが浮かべられていた。

 

「豪炎寺の言う通りだ、俺達がお前を必要ないなんて思うわけないだろ。お前の調子が悪い時は俺達がフォローする、それが仲間だ!今更何水臭いこと言ってんだよ」

 

「風丸君……」

 

「俺が陸上部に戻るか悩んでた時、残って欲しいって言ってくれただろ?あれ、結構嬉しかったんだぜ」

 

 その言葉の後、染岡君が前に出て口を紡いだ。

 

「そうだな、俺が点を決められなくて悩んでた時も俺には俺の良さがあるって言ってくれたっけな。たく、他人のことばっか考えてるくせに自分はこれだ。ほんと、めんどくさい奴だぜ」

 

「染岡君……」

 

「俺、天川さんともっとサッカーしたいっス!」

「俺もでヤンス!」

 

「壁山君…栗松君…」

 

「俺が帝国のスパイだったって知っても受け入れてくれただろ」

「トライペガサスを完成させることができたのは君のおかげだ」

「 ふ、お前は雷門の中盤の要だ。いつまでも情けないプレーをされては困る」

 

「土門君…一之瀬君…鬼道君…」

 

「マネージャーの仕事、いつも手伝ってくれたじゃない」

「一緒にお出かけできて楽しかったです!」

 

「木野さん…音無さん…」

 

 彼らの言葉に涙ぐみそうになり唇を噛み締める。だけど、それでも抑えることが出来なくてポタポタと目から雫が落ちてくるのを感じた。

 

「私はあなたのことを親友だと思ってるわ。お人好しで、真面目で、頑張り屋なあなたのことが好きになったの。だけど、そう思ってるのは私だけだったのかしら?」

 

 

「……っ!?…そんなこと……ない…わたしも……思ってる!!親友だって……おもってるよ!!」

 

 

 雷門さんの言葉にもう我慢なんてきかなかった。胸を突き上げてくるような感覚で、闇雲に涙が零れてくる。

 

 

「羽花!俺さ、羽花が好きだ!羽花とサッカーするのが大好きなんだ!初めて会った時に感じたんだ、こんな凄いやつとプレーできて楽しいって…!必要とか必要ないとかじゃない!一緒にいるだけでいい!一緒にサッカーするだけで楽しい!それが仲間だろ!だからさ、羽花!サッカーやろうぜ!!」

 

 

 

 屈託のない笑顔を見せてくれる守君。そんな彼の姿に決壊したダムのように流れ出てくる涙を抑えるのに精一杯だった。胸の奥が熱くなって凍った心が溶けていくのを感じる。私はなんて馬鹿だったんだろう…皆は私のことを想っていてくれたのに……私は必要されないとって勝手に焦って……皆の声を聴こうともしないで…

 

「私も……守君が好きだよ!守君と…皆とサッカーするのが楽しくてしょうがないの!でも…また………皆に迷惑をかけるかもしれない……!足を引っ張るかもしれない!それでも……私…ここにいていいの………?」

 

「当たり前だ!!」

 

 なんとか絞り出した問いに即答してくれる守君。その答えに皆も微笑みで返してくれた。守君が差し伸べてくれた手をゆっくり取る。その瞬間世界が光に包まれた。そうか…そうだったんだ……私は………

 

独りじゃない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 審判が笛を鳴らして、後半開始を合図した。それを聞いて、私達はそれぞれポジションに向かう。だけどあることを思い出して、私は自分のカバンの中を探った。そして手に取ったのは、前に皆で買い物に行った時に貰った白いうさぎのヘアピン。今まで自分に自信が持てなくて、つけるのを躊躇ってた。だけど今なら。ゆっくりとそのヘアピンを前髪につける。

 

「よく似合ってるわよ」

 

 その声に振り返ると、私を親友と言ってくれた彼女がいた。

 

「まったく…手のかかる親友だこと」

「…ありがとう」

「お、お礼なんていいわよ…………さぁ、行ってきなさい()()!」

 

 相変わらず素直じゃない親友に、思わずクスリと笑う。でもその激励は私にとっては何よりも勇気を貰えるものだった。だから私も最高の笑顔で答える。

 

「うん!行ってきます、夏未ちゃん!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雷門ボールから始まったボールはすぐに奪われてしまい、ゴール前のアフロディに渡る。彼はすぐに翼を生やして飛び上がった。前半に幾度となく苦しめられた必殺技。だけど不安は全くなかった。守君なら絶対に止めてくれるって信じてるから。

 

「これは…サッカーを守るための戦いだ!」

 

 気合いを入れるように両手を叩いた守君。すると何かに気づいたように左手を見つめる。そして彼の次の行動は背中を捻るようにして後ろを向くことだった。

 

「諦めたか!だが今更遅い!」

 

 アフロディはそう言うが守君が諦めるわけない。その時、彼の全身にエネルギーが満ちていくのを感じた。

 

「ッッッ!ゴッドノウズ!!」

「これが俺の!!マジン・ザ・ハンドだぁぁぁぁ!!」

 

 守君が前を向くと同時に現れた魔神がゴッドノウズとぶつかり合う。目を開けていられないほどのエネルギーの衝突を制したのは……魔神だった。

 その奇跡のような出来事に会場に静寂が訪れる。だけど何度確認しても、守君の右手にボールがしっかりと握りしめられていた。

 

「あれが…ついに……」

「「「マジン・ザ・ハンド!!!」」」

 

 雷が落ちたような衝撃、恐らく皆も同じものを感じただろう。湧き上がる会場を背景に守君がボールを前線に投げつけた。

 

「行っけぇぇぇぇ!!」

「……!どこを狙っている!?」

 

 投げられたボールは遥か上空、世宇子の選手でも届かない高度まで飛び上がった。これは私へのパスだ、守君は私なら取れるって信じてる。

 ボールの真下まで走ると、思いっきり踏ん張って跳躍する。そして私は誰も届かないと思われたそのボールを空中で足元に収めた。

 その瞬間、目の前が光に包まれた。そこで見たのは以前夢に出てきたあの影だった。

 

『どうやら気づいたみたいだね』

「うん、必要とかじゃない。皆私と一緒にいたいって思ってくれてる。そういうことだったんだね」

『…ふふ、俺はもういなくても大丈夫みたいだね。君には大切な仲間がたくさんいるんだから』

「……今までありがとう!私頑張るから!」

『ああ、ずっと見守ってるよ』

 

 目を開けた私の視界には黄緑色のオーラが映っていた。それはだんだん私の中に吸い込まれていき、そして全身に熱い感覚が滾ってきた。

 

「……行くよ!」

 

 地面に着地し、大きく1歩踏み出した。世宇子の選手達がボールを奪おうと立ちはだかってくるけど、今の私を止めることはできない。1人をマルセイユルーレットで抜き去り、1人をエラシコでかわす。

 

「さばきのてっつい!!」

「メガクエイク!!」

 

 発動される必殺技、だけどそれでも私は止まらない。さばきのてっついで落下してくる巨大な足とメガクエイクで盛り上がる地面を一度の跳躍で飛び越える。

 またもや前方に敵の姿が見えてきた。だけどそんなの問題にはならない。すぐにバックパスで鬼道君にボールを渡す。後ろを振り向き、彼のゴーグル越しにアイコンタクトをかわすと彼は上に向けてボールを蹴り上げた。

 そこに私と私の隣を走る豪炎寺君が走り込む。一瞬彼の顔を見て微笑むと、無言で頷いてくれた。

 

「決めるよ!豪炎寺君!」

「おう!」

 

 私達は同時に飛び上がり、炎を纏いながら回転しながらボールの元にたどり着いた。そして同時にシュートを放つと、炎は勢いよく燃え上がった。

 

「「ファイアトルネードDD(ダブルドライブ)!!」

 

 1人で放つファイアトルネードとは比較にならないほどの爆炎を纏いながら、それは世宇子中のゴールを強襲する。

 

「ツナミウォール!!」

 

 ポセイドンがゴール前に津波を呼び出し防御するが、私達2人……ううん、チーム全員の想いが詰まったそのボールを止められるはずもなかった。

 

「「「いけぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」」」

「…!?なんだ、このパワーは!?うわぁぁぁぁぁ!!」

 

 高くそびえる津波を突き破り、その先のポセイドンの巨体すら吹き飛ばしてボールはゴールに入った。

 

『ゴォォォォォル!!なんだこのシュートは!?豪炎寺と天川が同時に放つ新たな必殺技が鉄壁のポセイドンを打ち破った!!』

 

「やったね豪炎寺君!それと…ありがとう!」

「ふっ」

 

 豪炎寺君とハイタッチをし、お礼を言ったが彼はクールに微笑するのみだった。

 

「すげぇぜ羽花!!豪炎寺!!」

「うわぁ!」

 

 急に後ろから抱きついてきた守君に私は倒されてしまった。そして次々と集まって一緒に喜んでくれる皆。私はその暖かさに再び溢れそうな涙をグッと抑えて代わりに言葉を紡いだ。

 

「みんな……ありがとう!!!」

 




今回からここで新必殺技の解説?をしようと思います。

・ファイアトルネードDD

GOで剣城と天馬が放つ連携シュート。元々は豪炎寺の必殺技だったらしいので。威力は世界でも通用ほどに高い。

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