イナイレ世界に転生したら女子だったんですが   作:マルメロ

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神の意地

 ついに世宇子からゴールを奪った。私は身体の底から燃え上がるような力を感じながら皆とその喜びを分かちあった。

 

「というか天川、その髪どうしたんだ?目の色も変わっているような…」

 

 風丸君の言葉で自分の髪の毛を確認すると、毛先の方が何故か緑色に変色していた。目の色は自分ではわからないから後で鏡で見てみよう。

 

「さぁ?でもなんだか凄い力を感じるの!」

「さぁって……変な奴だな」

 

 変な奴とは失敬な!でも自分に起こっている現象を自らでも理解できてないから何も言えないんだよなぁ…なんというかあの緑色のオーラを身体に吸収した感じ?うん、わからん!

 

 世宇子ボールで試合再開。彼らはシュートを止められた上に点を決められたことに動揺しているのか動きがさっきよりも明らかに鈍っていた。

 

「僕は確かに神の力を手に入れたはずだ!」

 

 私に向かって突っ込んでくるアフロディ。あのヘブンズタイムを使われたら正直止められる気がしないけど冷静さを欠いているのかその様子はなかった。

 

「焦りすぎだよ!」

 

 彼の足元から一瞬離れた隙を突いてボールを奪い取る。そしてそのまま一気に追加点を取るべく攻め上がる。

 

「行かせるな!」

 

 アフロディの号令でディフェンスの4人が私の進路を塞いだ。だけどそれは悪手だ、なぜなら今の雷門はまさに覚醒状態。さっきとはまるで別物だから。

 

「風丸君!」

 

 左サイドを得意のスピードで駆け上がってきた風丸君にパスを出す。彼の前には坊主頭のミッドフィールダーが1人いるだけだ。

 

「疾風ダッシュ!!」

 

 文字通り風のような速さで相手を抜き去った。その間にディフェンスが立ち塞がったけど染岡君にパスすることでそれを回避する。

 

「へ、天川ばっかにいい顔させらんねぇからな」

 

 そう憎まれ口を叩きながらパスを受け取った染岡君は一気にペナルティエリア内に侵入する。

 

「調子に乗るな!メガクエイク!!」

「グッッ…!取られてたまるかよ!天川!」

 

 盛り上がった地面に飛ばされてしまった染岡君だが、弾かれつつもボールはしっかりキープしていていた。そしてそれを私の方にバックパス。

 

「さばきのてっつい!!」

「ストームゾーン!!」

 

 落ちてくる巨大な足を巻き起こした風で消し飛ばす。技を発動したディフェンスもそれに巻き込まれて吹き飛んだ。

 

「2人共、力を貸してくれる?」

「おもしれえじゃねえか!」

「ああ、もちろんだ!奴らの鼻を明かしてやろう!」

 

 いつの間にか両隣を走っていた風丸君と染岡君に声をかける。その返答に頷いた私は、ボールを宙に蹴り出した。

 私と染岡君は空中跳びだして、回転しながら同時にかかと落としでボールを蹴り落とす。その時に発生したエネルギーを纏いながらボールは落下し、それを風を切りながら助走つけた風丸君が高速で蹴りつけた。

 

「「「ザ・テンペスト!!!」」」

 

 螺旋状に黒と水色のエネルギーを纏った旋風が解き放たれる。そのあまりの速度に反応できなかったポセイドンごと、それはゴールネットを激しく揺らした。その威力の凄まじさにボールはゴールに到達してもしばらく回転し続け、その間ポセイドンを拘束した。

 

『ゴ、ゴォォォォルッッッッ!!また強烈なシュートが決まったぁぁぁ!雷門これで2点目!」

 

「よっしゃあ!」

「やったな2人共!」

「うん、凄いよ!咄嗟にあんなシュート撃てるなんて!」

 

 即興で放ったそのシュートの完成度の高さにハイタッチしながら喚起の声を上げる。ベンチの方から勝手に名前を付けるなと文句が聞こえてきた気がするけど無視無視。

 

「なんだ、何が起こっている……!!」

 

 圧倒的実力差があったはずの相手に2点も取られたことにアフロディが驚愕の声を漏らす。この状況に理解が追いついていないようだ。

 キックオフからアフロディが攻め込んでくる。高速でパスを繋げながら必死に点を取ろうとするその姿からは前半までの余裕は感じられなかった。

 

「ゴッドノウズ!!」

 

 ゴール前に到達したアフロディの渾身のシュート。それに対し守君は背を向け心臓に気を貯め始める。

 

「マジン・ザ・ハンド!!」

 

 再び現れた魔神の右手と白いオーラを纏った神々しいシュートが激突する。その凄まじさは付近の地面に亀裂が走るほどだった。

 そしてそのぶつかり合いを制したのは魔神。守君の右手にはがっちりとボールがキャッチされていた。

 

「そんな……」

 

 一度ならず二度もシュートを止められたことに落胆するアフロディ。ボールは守君から鬼道君へ。

 

「イリュージョンボール!!」

 

 必殺技でディフェンスを突破した鬼道君。その隣には一之瀬君が並走している。そして鬼道君がボールを蹴り上げると、飛び上がった一之瀬君がヘディングで落とすと鬼道君がそれをシュートする。

 

「「ツインブースト!!」」

「さばきのてっつい!!」

 

 シュートコースを塞ぐように現れた巨大な足がツインブーストの威力を相殺し、弾かれたシュートは空中に放り出された。

 

「だぁぁぁぁぁ!!」

 

 それにいち早く反応した私はボールに向かって飛び上がった。すると黄緑色に輝く月が出現しボールと重なる。その光は今までに比べて色濃く、そして美しかった。

 

「ムーンフォースラビットォォ!!」

 

 オーバヘッドキックでその月を蹴り落とす。月はいくつもの星屑へと姿を変えて地面に降り注ぐ。その数と大きさも以前と比較にならない。何度も地面を跳躍した星屑はやがてひとつのシュートとなりポセイドンを襲う。

 

「ギガントウォール!!……!?ぐぁぁぁ!!」

 

 巨大化してシュートを阻もうと拳を振るうポセイドンだが、シュートに触れた瞬間そのあまりの威力に振り飛ばされた。

 

「今のは……ムーンフォースラビットG2と命名させていただきましょう!」

 

 ベンチで1人興奮する眼鏡君。でも私にはそんな声聞こえていなかった。自分でもこんなに威力が出るとは思わなかったからだ。今までのとは比べ物にならない。

 何はともあれこれで4対3。残り2点で勝ち越しだ。

 ホイッスルが鳴り試合再開。アフロディが単身突っ込んでくる。

 

「行かせないよ!」

「ヘブンズタイム!!」

 

 私はアフロディの前に立ち塞がるが彼が指を鳴らした瞬間姿が消えてしまった。だけどその必殺技は何度も見た。故に私はその後襲ってくる突風を飛び上がり回避した。そしてそのまま空中で何かを振り払うように回転するといくつもの光の粒子が現れてアフロディを囲った。

 

「グランドスイーパー!!」

 

 その粒子の一つ一つが大爆発を起こしアフロディを吹っ飛ばした。そしてボールは着地した私の足元に転がってくる。

 

「ぐ……!まだだ!」

 

 そのままドリブルをしようとするがすぐに追いついてきたアフロディに進路を蓋がれた。

 

「何故だ!僕達は確かに人間を超越した神の力を手に入れたはずなのに!何故君達のようなただの人間がここまで食い下がれる!」

「確かにあなた達の力は凄いかもしれない。でも私達は1人で戦ってるんじゃない!チームみんなで力を合わせれば何十倍にも何百倍強くなれるんだ!」

「ッッ……!そんなこと、認めてなるものか!!」

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 ボール越しに私とアフロディの渾身の蹴りがぶつかり合う。数秒の拮抗の後、私はその衝撃に耐えられず弾き飛ばされた。前方を見るとアフロディも同じ状況のようだ。弾かれたボールを取ろうにもさっきのダメージが残って身体が思うように動かない。

 

「お願い、みんな!」

「任せろ!」

 

 そのボールを拾ったのはいつの間にかここまで上がってきていた守君だった。彼はとてもキーパーとは思えない豪快なタックルでディフェンスを突破し鬼道君にパスを出した。そしてそれを受け取った鬼道君がボールを蹴り上げると、そこに落雷が発生。闇と稲妻を纏ったボールに鬼道君、守君、豪炎寺君の3人がそれぞれ蹴りを入れる。

 

「「「イナズマブレイク!!」」」

「ギガントウォール!!………!がぁぁぁ!!」

 

 巨大化したポセイドンの拳をなぎ払い、稲妻を纏ったシュートがゴールに突き刺さった。ついに同点に追いついたことに歓喜の声を上げる私達。対照的に世宇子中の選手達は膝をつき崩れ落ちていく。

 

「同点…!?ありえない……」

「俺達は負けるのか……」

 

 考えてみれば当然だ、彼らの力は神のアクアで手に入れた偽物の力。確かにその実力は凄まじいけど、それは日々の努力で手に入れたものじゃない。いざという時に自分を支えてくれるのは毎日のように辛い特訓を乗り越えてきた積み重ねなんだ。雷門の皆を見ているとそれを強く実感する。

 このまま逆転勝ちだ、と守君がみんなに声をかける。けれど私の目には拳を強く握ってわなわなと震えるアフロディの姿が入ってきた。その目は血走っていてこれまでにない狂気のようなものを感じる。

 

「……まだ一波乱ありそうだね」

 

 誰にも聞こえないようにそう呟くと、私は自分のポジションに戻っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 残り時間が少ない中、アフロディは屈辱と敗北感に心が押し潰されそうになっていた。自ら最強であると自負していたゴッドノウズは止められ、鉄壁であると思っていたディフェンスも破られ、遂には同点に追いつかれた。それも自分達の敵ではないと見下していた雷門にだ。彼らにここまでの力はなかったはずだ、事実前半は自分達が完全に圧倒していた。相手の反撃など寄せ付けず完全なワンサイドゲームだった。だが後半になってからはどうだ、未完成だったはずのマジン・ザ・ハンドが突然成功したことを皮切りに、力の差に打ちのめされていたはずの少女はまるで覚醒とも言えるようにプレーがガラリと変わり、自分達に牙をむいた。他の選手達もまるで別人のように動きがよくなり、気づけば同点だ。

 

「これが……仲間と共に戦う力だと言うのか……」

 

 そんなもの認めない、認められるわけがない。それを認めてしまったら、神のアクアに頼ってまで力を得た自分達を否定することになる。故に彼は覚悟を決めた。次のプレーに全てを賭けると。

 

「僕は……負ける訳にはいかないんだ……」

 

 審判の笛で試合が再開される。次の瞬間、フィールドに突風が巻き起こった。ボールを受け取ったアフロディが目にも止まらぬ速度で加速し、豪炎寺と染岡を抜き去った。突然のことに動揺していた彼らは反応出来ずに突破を許す。そして羽花、鬼道、土門、壁山と次々に物凄いスピードでかわしていき、遂には円堂と1対1になった。

 今の彼を突き動かしているのは神のアクアではなく負けるわけにはいかない、負けたくないという純粋な気持ちだった。

 そしてアフロディはボールと共に跳躍する。背中には翼が生えているがそれは今までの純白の翼ではなく、黄金に輝く神々しいものだった。彼の周りにはいくつもの雷が降り注ぎ、ボールは巨大な黄金のオーラを纏う。

 

「ゴッドノウズ・インパクトォォ!!」

 

 アフロディがそれを蹴り込むと、雷と共にエネルギーの塊と化したボールが雷門のゴールに襲いかかった。

 




♢ザ・テンペスト パートナー(風丸、染岡)

簡単に言うとGOに出てくるエボリューションの風属性バージョンです。多分威力も同じくらい。

♢ムーンフォースラビット

地味にG進化、威力は爆熱ストームやウルフレジェンドと同等。この時点だと最強技の1つ

覚醒後羽花の髪型載せておきます。参考までに。


【挿絵表示】

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