イナイレ世界に転生したら女子だったんですが   作:マルメロ

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聖戦・決着

「ゴッドノウズ・インパクトォォォォ!!」

 

 試合再開直後、急加速したアフロディに私達は全員抜かれてしまった。すれ違いざまに見えたその目には今までにない闘志のようなものが迸っていた。やばい、そう直感した私はすぐさま彼の後を追った。しかしその時には既にシュート体勢に入っていてこれまでのゴッドノウズとは比べ物にならない程の強力なシュートが放たれていた。

 

「マジン・ザ・ハンド!!」

 

 魔神を出現させてその神の一撃に対抗する守君。しかし徐々に魔神の手が後ろに押されている。守君はたまらず両手を使うもそれは変わらなかった。

 

「ぐぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 必死に破られまいと踏ん張るも、シュートは勢いをさらにましてゴールに強襲する。だけど、彼の頑張りは無駄ではない。そのおかげでフォローが間に合った私は、守君の後ろに立ち背中を両手で力いっぱい押さえつけた。

 

「………!?羽花!!」

「絶対止めるよ!!守君!!」

「へへ、おう!!行くぞ!!」

「「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 その時、私の身体から黄緑色のオーラが放たれた。それは守君の身体に吸い込まれるように入っていく。すると魔神はより色濃く、虹色の輝きを放ちながら巨大化し姿を変えていった。

 

「「グレイト・ザ・ハンドォォォォ!!」」

 

 私と守君、2人のありったけの力を込めた右掌がアフロディ渾身の一撃と衝突する。そのあまりの衝撃に周辺の地面はえぐれ、エネルギーのぶつかり合いで突風が巻き起こり私達は立っているだけでもやっとだった。それでも必死に踏ん張り喉が張り裂けそうになるほどの声をあげる。

 

「「負けてたまるかぁぁぁぁぁぁぁ!!」」

 

 その声に呼応するように魔神の右手がさらに一回り大きくなる。その瞬間大爆発が起こり、辺りに砂埃が巻き起こった。周囲からは激突の結果はわからないだろう。だけど私にはわかっていた、守君の両手にガッチリとボールが握られていることを。そして砂煙は徐々に消えていく。

 

『と、止めたぁぁぁぁ!2人がかりの必殺技でアフロディのシュートを止めました!!しかし残り時間はロスタイムを残すのみ!このまま延長戦に突入か!?』

 

「行くぞぉぉ!これがラストチャンスだ!」

 

 守君の手からボールが投げられ、私もそれに追随して走りだす。時間的にこれが最後の攻撃だ。ボールを足元に収めたのは一之瀬君、だけどすぐに世宇子がスライディングでボールを奪いに来た。間一髪パスでかわしたけどそのプレーを見てわかった、世宇子の目に闘志が戻ってきていることに。さっきのアフロディのプレーが世宇子全体に力を与えたんだ。

 

「いいね、そうこなくっちゃ!」

 

 一之瀬君からのパスを受け取った私は思わず笑みを零した。だってサッカーをしてて一番楽しいのはお互い全力を出し尽くす真剣勝負をしている時なのだから。

 ドリブルを開始する私だが、すぐにディフェンスに阻まれた。さっきよりも対応のスピードが上がってる。向こうもレベルアップしてるってわけね。

 

「鬼道君!」

 

 すかさず鬼道君にパスを出すと、彼はそれをダイレクトで風丸君へ。素早い動きで敵をかわした風丸君は再びボールを私に返した。

 

「メガクエイク!!」

「ぐっっ…!」

 

 パスを受け取った瞬間、盛り上がってきた地面に弾き飛ばされた。だけどこのボールだけは絶対に渡さない。なんとか身体を動かしヘディングでバックパス。

 

「「「最後の一秒まで全力で戦う、それが俺達のサッカーだ!!!」」」

 

 そのボールを取ったのは一之瀬君。両隣に守君と土門君が並走し、高速で交差することでエネルギーを増幅させ不死鳥を生み出した。不死鳥は空へ舞い上がり、それを3人が同時に蹴り出す。

 

「「「ザ・フェニックス!!!」」」

 

 放たれた不死鳥は燃え盛る炎を撒き散らしながらゴールへ迫る。-----だけどそれで終わりじゃない。そのシュートに私と豪炎寺君、鬼道君が追従する。そして豪炎寺君と鬼道君が飛び上がり、ボールを中心に回転するとそれは輝かしい青白い光を纏った。それを豪炎寺君が左足、鬼道君が右足、そして最後に跳躍した私が下からオーバーヘッドでそれぞれ同時に渾身の力で蹴り込む。

 

「「「プライムッッ…レジェンドォォ!!」」」

 

 不死鳥は赤い炎を纏った姿から神々しい姿へと変化すると、世宇子ゴールへと向かっていく。しかしシュートコースの前に一つの影が現れた。あれは……アフロディ!?

 

「僕は負けない……!負けたくないんだ!!」

 

 そう叫んでシュートに向かって飛び上がると、彼の足には黄金のエネルギー、背中には翼が現れた。そのままシュートを蹴り返そうと足をボールにぶつける。

 

「ゴッドノウズッッ………インパクトォォォォ!!」

 

 ぶつかり合いによって生じたエネルギーが大地を揺らし、天を裂く。アフロディはかつて聞いたこともないような悲鳴をあげるが、それでも蹴り返すことを諦めなかった。

 

「がぁぁぁぁぁ!!」

「「「いけぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」」

 

 激しいせめぎあい、それでも私達の叫びが届いたのかついにシュートはアフロディを吹き飛ばし、ゴールへと向かった。

 

「ギカントォォ……ウォール!!」

 

 チームみんなの想いを込めたボールはアフロディを、そしてポセイドンをも吹き飛ばしてゴールへと突き刺さった。そしてそれと同時に審判が試合終了の笛を鳴らす。

 

『逆転!雷門勝ち越し!そしてここで試合終了!雷門、劇的な大逆転勝利だぁぁぁ!!』

 

「……勝った?」

 

 その事実をすぐには理解できなかった。だけど得点板を確認しても5対4で雷門が勝ってる。それに沸き立つ観客の声援と守君に駆け寄る皆の姿を見てやっとその現実を認識した。

 

「よかったぁ……」

 

 皆と同じように守君のところに行こうとしたけれど、無理をしすぎたのか身体に力が入らずその場で仰向けに寝転んだ。空を見上げると私達を称えるように色とりどりの紙吹雪がそこら中に舞っていた。

 

(色々あったけど、雷門に入ってよかったな)

 

 守君達には本当に色んなものを貰った。絶望から救い出してくれた。きっとこんな素敵な仲間にはこれから先一生出会えないと思う。だからこそ私はこのチームでサッカーを全力で楽しみたい。……そう、ここがゴールじゃない。始まりなんだ、私の新しい人生の。

 

「お疲れ様。それとおめでとう、羽花!」

「夏美ちゃん……うん、ありがとう!」

 

 差し伸べてくれた夏美ちゃんの手を取り、立ち上がる。思えば彼女にも沢山助けてもらったな。今度何かお礼しなくちゃ。料理でも教えてあげようかな…次の犠牲者が出る前に。

 

「はぁ、まったく。見てるこっちがハラハラしちゃったわ」

「えへへ、ご心配おかけしたようで」

 

 呆れた様子でそう言う夏美ちゃん。だけどそれは心配だったって言うのが恥ずかしいから誤魔化してるだけだ。だから私は笑顔で答えた。まったく我が親友ながら可愛らしい。

 

「おーい羽花!なにしてるんだ、こっち来いよ!」

「…うん!今行くよ!」

 

 守君に呼ばれて皆の歩んでいく。すると皆が一斉に私を取り囲んだと思うと、次の瞬間には私は空を飛んでいた。

 

「よし、羽花を胴上げだ!」

「へ!?ちょ、ちょっとま……うわぁぁ!」

 

 いくら私が普段からポンポン飛んでるからって他人に飛ばされるのは怖いんですけど!?夏美ちゃんに涙目で視線を送っても笑って手を振るだけだし。てか今誰か変なとこ触ったでしょ!?

 そして数分後、やっと解放された私は臓器が身体の中をぐるぐる回る感覚を味わいながら地面に項垂れていた。要するに気持ち悪い。

 

「はぁ、酷い目にあった…」

「何言ってるんだ、さっきまであんなにフィールドを飛び回っていたじゃないか」

「自分で飛ぶのとは違うの!……なんなら鬼道君も飛んでみる?」

「……遠慮しておこう」

 

 メガネのようにゴーグルをクイと上にあげる動作をする鬼道君。くそぅ涼しい顔しやがってコノヤロウ!

 

「でも本当に今日の試合、勝てたのは羽花のおかげだ。ありがとう」

「守君……お礼を言うのは私の方だよ。みんな、ありがとう!」

 

 私がここまで強くなれたのは間違いなく彼らのおかげだ。私はこれからもこの仲間達とサッカーを続けていく、この最高の仲間達と。だからこの節目にこんな言葉を紡ぐ。

 

ありがとう、イナズマイレブン!!

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

 おまけ・閑話

 

 フットボールフロンティア決勝2日後、雷門サッカー部女子部室にて

 

「え?自己紹介動画を撮る?なんでまたそんな…」

 

「……次の全校集会で発表する部員募集動画を作りたいから?……そういうのって普通キャプテンの守君を撮るんじゃないの?」

 

「……私の方が受けがいいから?……意味わかんないだけど」

 

「……って春奈ちゃんカメラ向けないでよ!もう、しょうがないな!髪の毛直すから待ってて……」

 

「……よし、いいよいつでも準備OK!……え?もうとっくにカメラ回ってる?ちょっと!?なんでそれ言わないの!?今のとこ絶対カットしてよ!夏美ちゃんと秋ちゃんも笑わないの!」

 

「まったく……こほん、皆さんこんにちは。サッカー部2年の天川羽花です。」

 

「ポジションはミッドフィールダー。だけどフォワードもディフェンダーも一応はできます。キーパーはさすがに難しいですけど」

 

「特技はドリブルと、後ジャンプ力には自信があります。こう見えてジャンプ力はチームでもトップレベルなんですよ」

 

「私達サッカー部は知っての通り少し前までは部員が7人しかいない弱小チームでした。でも、キャプテンの円堂守君を筆頭に血が滲むような努力を重ねて、ついに中学サッカーの全国大会、フットボールフロンティアで優勝しました。」

 

「私は以前まで自分に自信が持てませんでした。でも、サッカー部に入って皆とサッカーをする内に、段々と自信を持てるようになりました」

 

「雷門サッカー部はそんな勇気を貰える不思議なところです。皆さんと一緒にサッカーできる日を楽しみにしています!ご清聴ありがとうございました!」

 

「ふぅ、こんな感じかな…?我ながらいいスピーチだったんじゃない?……え?次はこの紙に書いてある質問に答えればいいの?」

 

「なになに……趣味、好きな食べ物、嫌いな食べ物………ねぇ、これサッカー部に関係なくない?……需要はある?………どういうこと?」

 

「まぁいいや…えっと、趣味は……サッカーかな?……え?サッカー以外?……じゃあ、料理かな?最近始めたんだけどコレが結構楽しいんだよね……始めたきっかけ?友達に壊滅的に料理ができない子がいて、その子に教えてあげるためかな。え?…誰のことかって?さぁ?誰だろうね?ふふ」

 

「次は好きな食べ物……う〜ん難しいなぁ…唐辛子入りのおにぎり…かな……?……冗談だよ、怒らないで。…肉じゃが、かなぁ…温子さんが作ってくれるのすごく美味しいんだよね。で、嫌いな食べ物か……ニンニクとかほうれん草かな…特に深い理由はないけど」

 

「最後にこれからやりたいこと……この前鬼道君が言ってんたんだ。世界にはまだまだ私達の知らないすごいプレイヤーがいるって。私はそんな人達と戦いたい!……ってのはちょっと単純かな?でもそれが今私がやりたいことだよ」

 

「こんなところかな………春奈ちゃん、一応言っておくけど最初のところはちゃんとカットしておいてよ?」

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「こら春奈ちゃん!なんでカットしてないの!……面白そうだったからじゃない!夏美ちゃんも秋ちゃんも笑うなぁ!!」

 




まだ終わりません!なんか書いててすごい最終回っぽい雰囲気になっちゃってますけどまだまだ続きを書いていきます。なんならここまでは序章にすぎませんから。これからも羽花の活躍をお楽しみに!
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♢ グレイト・ザ・ハンド

GOで登場する円堂の化身技です。一応今作では化身は登場しませんが必殺技として化身技は登場します。マジン・ザ・ハンドや爆熱ストームと同じで化身の一種って感じです。

♢ プライムレジェンド (パートナー・鬼道、豪炎寺)

今作ではシスコンビに羽花を加えた3人技です。といっても最後の蹴るところに羽花が加わるだけなのでモーションはそこまで変化はありません。ただ3人で撃つので当然威力は上がってます。

化身は出した方がいい?

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