イナイレ世界に転生したら女子だったんですが   作:マルメロ

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お久しぶりです!
投稿サボっててすみませんでした!
今回からちょくちょくですが投稿再開しようと思います!


エースストライカー

 

 

「俺がエースストライカー!! 吹雪士郎だ!!」

 

 そう宣言した彼を雷門イレブンの誰もが驚愕の眼差しで見ていた。

 ……雰囲気が変わった? 

 髪が若干逆立ち目も釣り上がり周囲にブリザードを発生させている。

 まるで某漫画の超○イヤ人だなんてくだらないことを思わず考えていると吹雪君は私達に向かって突進してきた。

 真っ先にそれを止めようとしたのは一之瀬君、彼は吹雪君の前に立ち塞がるとチャージを仕掛けた。

 

「お手並み拝見といこうか!」

 

「へ、……邪魔だァァ!」

 

 だけど仕掛けた一之瀬君の方が逆に一発で吹き飛ばされてしまった。

 続いて風丸君と鬼道君が左右から同時にスライディングを仕掛ける。それを見た吹雪君はさらに加速し自身の周りにソニックブームを生み出した。結果、風丸君と鬼道君はボールに触れることなく地面を転がった。

 

「なんてパワーとスピードだ……だが!!」

 

 今度はアフロくんが止めに入る。

 走り出す瞬間、彼が一瞬こちらに視線を向ける。その意図を理解した私はアフロくんに続くのではなくその場で時を待つことにした。

 相変わらず猪突猛進に突っ込んでくる吹雪君にアフロくんは正面からスライディングを仕掛ける。

 しかし吹雪君には通用せずあっさりと上にかわされてしまった。

 

「こんなスライディングが通用するか!」

 

「ああ、通用するなんて思っていないさ」

 

 瞬間、吹雪君は目を見開くことになる。何故ならジャンプしたその先には大量の光の玉が浮いていたのだから。

 

「グランドスイーパー!!」

 

 私が手を振るうと同時に光の玉が一斉に大爆発を起こす。

 そう、予め私がこの位置に仕掛けておいたのだ。アフロくんの一見無謀なスライディングもこの地点に吹雪君を誘導するため。

 普通に必殺技を使ってもあのスピードで回避されてしまう恐れがあるから。

 

「──―この程度で」

「え?」

「俺を止められるかァァ!!」

 

 爆発によって起こった雪煙、それを晴らすように再びブリザードが吹き荒れる。その中心にはボールを足元にキープした彼の姿。

 爆発は間違いなく命中したはず、まさか耐えきるなんて……

 

「今度はこっちの番だ、吹き荒れろ!!」

 

 シュート体勢に入った吹雪君がボールに回転をかけると、そこを中心にブリザードが吹き荒れる。そこに回転しながら跳躍した彼が蹴りを加えると、ボールは氷の塊を纏い発射された。

 

「エターナルブリザード!!」

 

 そのシュートの威力でフィールドに豪雪が吹き荒れる。

 それに対し守君は足を大きく振り上げ、そして地面に打ち付けると拳を前に突き出した。

 

「正義の鉄拳!!」

 

 回転する拳をシュートに叩きつける守君。

 その衝突は数秒の間拮抗した。

 しかし段々と拳がシュートの持つ冷気で凍りついていき、やがて飴細工のように粉々に砕け散ってしまった。

 

『ゴ、ゴォォォォル!! なんと先制したのは白恋中です!!』

 

 ……凄いパワーだ。まさか正義の鉄拳をあんなに簡単に……いや、確かにエターナルブリザードのパワーも凄かったけどそれより正義の鉄拳の方になんだか違和感を感じる。大介さんのはもっと凄かったような……

 

「すっげぇ!! 吹雪、お前のシュートどうしても止めたくなった!!」

 

「できるもんならやってみな」

 

 倒れた身体を即座に起き上がらせて守君は吹雪君にそう宣言してみせる。それに対して吹雪君は余裕そうに煽る。目線の間に火花でも飛んでもそうなやり取りだ。

 

「おいアツヤ、一人で楽しんでないで俺にもやらせろ」

 

「……ユウチ」

 

 だけどその空気は一瞬で凍りついた。一人だけユニフォームではなく赤いベストを着た選手が吹雪君に話しかけると、彼は顔を顰めてユウチ君を見つめる。

 ……今アツヤって呼んでたよね? 確か吹雪君の下の名前は士郎だったはず、あだ名か何かかな? 

 

 ともあれ私達のキックオフで試合が再開された。ボールはフェイからバックパスで私に渡される。ちょうどいいや、吹雪君のディフェンスと勝負してみたかったしね。狙いを定めた私はボールを蹴り出し前進する。だけど──

 

「──遅いな」

 

「……は?」

 

 瞬間、私の身体は宙に投げ出された。何が起こったのか理解できないうちに地面に叩きつけられ悶絶する。顔を上げると私を見下ろすユウチ君の姿が視界に入ってきた。

 

「……こんなもんか?」

 

「な……!?」

 

 その言葉に反論しようとするが、それより先にユウチ君はドリブルを開始する。その速度に皆は度肝を抜かれた。

 

「な、なんだあの速さは!?」

 

 皆の動揺ももっともだ。彼は吹雪君や風丸君を遥かに凌駕する速度で攻め上がってきた。その姿を視認することさえ困難なドリブルに雷門は反応することさえできない。

 

「……来い!!」

 

 あっという間にゴール前に到達したユウチ君は不気味な笑みを浮かべるとボールを上げる、そして足を2回振るうとブリザードが発生する。更に彼の背後で白い虎が咆哮をあげた。

 

「パンサーブリザード!!」

 

 冷気を纏ったボールをユウチ君がシュートする。それは虎の咆哮と共にゴールへ一直線に伸びていく。その速度と威力は今まで見たどのシュートよりも強力だった。

 

「正義の鉄拳!!」

 

 シュートと拳が衝突する、だけどさっきのエターナルブリザードより遥かに強いシュート、拮抗すらなく拳は弾かれ守君ごとシュートはゴールにねじ込まれた。

 

「守君!!」

 

「円堂!!」

 

 倒れて起き上がれない守君に私達が駆け寄る。

 ……今のシュート、今までのどのシュートよりも強かった。あのユウチ君って人、何者なんだろう? 

 

「……おかしいぞ」

 

「ワンダバ?」

 

「あんな選手は本来白恋にはいないはずだ」

 

「……!? それって!?」

 

 本来白恋にいない。未来から来たワンダバが言うってことはつまり歴史改変が起きてるってこと、だよね? さすがにその辺はわかってきたけど、ということはユウチ君はエルドラドのスパイか何かってこと? でもザナークのこともあるから一様には言えないか……ああ! なんかややこしくなってきた! 

 

「……?」

 

 なんだか視線を感じるような? その方向を見るとユウチ君が私の方を鋭い目つきで見ていた。なんだろう? 私何か──!? 

 

「……ッッッ!?」

 

 その瞬間、私の頭の中に何かが流れ込んできた。……なに……これ? 頭が……痛い!? 

 ものすごい頭痛と流れ込んでくる何か、それらに耐えようとするが無駄だった。すぐに私の目の前は暗くなっていき、そして完全に闇へと落ちていった。

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

「羽花? どうしたんだ!?」

 

 突然地面に倒れた羽花に隣にいたワンダバが声をかけるが、彼女からの返答はない。すぐに異変に気づいた雷門の面々が駆け寄ってくる。

 

「おい羽花! しっかりしろ!」

 

 円堂が羽花を抱き抱え声をかけるが、やはり返答はなく目を瞑ったままだ。

 

「……! 試合は終わりよ! 彼女を早く保健室に!」

 

「……っ!? は、はい!」

 

 いち早く判断し指示を出した瞳子監督の言葉に従い、円堂は羽花を背負って保健室に向かう。試合は中断、全員が心配しそうにその背中を見送り、監督やマネージャー陣、フェイとワンダバは一緒に保健室に向かった。

 

「羽花様、大丈夫かな……?」

 

 白恋の面々も彼女の安否を案ずるが、吹雪はユウチを睨みつけると静かに問い詰めた。

 

「……あれ、お前の仕業だろ?」

 

「さぁ? なんのことだか……証拠でもあるのか?」

 

「てめぇ……!」

 

「俺の役目はここまでだ。後はせいぜい頑張れ」

 

 背を向け手をヒラヒラさせながらユウチは去っていった。

 その背中を吹雪は睨みつけていたが、彼が見えなくなるとふぅっとため息をついたと思うと逆立っていた髪が元に戻り、目つきも緩いものへと戻った。

 

「ユウチ君……君は一体……」

 

 数週間時を共にしてもまったく理解できなかった相手に対し思いを馳せる。だがどれだけ考えても理解できないのは変わらない。

 

「吹雪君! 私達も保健室に!」

 

「……そうだね、彼女が心配だ」

 

 荒谷に声をかけられ、吹雪は白恋イレブンと保健室に向かった。そして到着し中に入ると、ベッドで横になっている羽花を囲むように雷門の面々が立っていた。

 

「彼女……大丈夫かい?」

 

「吹雪……ああ、ちょっと倒れただけみたいだ。先生は貧血じゃないかって」

 

「そう、良かった」

 

 円堂が吹雪を安心させるように言った。それを聞いた吹雪はホッと胸を撫で下ろす。そんな彼にフェイが声をかけた。

 

「吹雪君、さっきの彼は?」

 

「彼? ……ああ、ユウチ君か。彼ならどこかへ行っちゃったよ」

 

「……そう」

 

「フェイ、何か気になることでもあるのか?」

 

「……いや、なんでもないよ」

 

 思い詰めた様子のフェイに鬼道が声をかけるが、フェイはなんでもないとだけ答えて思考を巡らせる。その様子を見て鬼道はそれ以上聞くことはせずに眠る羽花に視線を戻した。

 その時だ、部屋に備え付けられていたテレビから彼らにとって聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 

「……!? これは……」

 

 春奈がそれに気づき、皆がテレビに視線を向けた。そこに映っているのは破壊されたどこかの学校の校舎と長身の男だった。

 

『聞け、白恋中サッカー部よ。我々はエイリア学園ファーストランクチーム、イプシロン。私はキャプテンのデザームだ』

 

「デザーム……」

 

『お前達は我々の対戦相手に選ばれた。応じない場合は破壊が待っている。拒否などできない、助かる道は勝利のみだ。時は二日後、それまで楽しみにしているといい』

 

 一方的な宣言を行い、デザームは姿を消した。そしてそれを聞いた部屋の中に静寂が訪れる。

 

「ここにエイリア学園が来るなんて……どうしよう吹雪君……」

 

「大丈夫さ、あんな奴らに学校を破壊させないよ。僕らでエイリア学園を倒してみせる」

 

「……!! ということは……」

 

「うん、君達のチームに僕も加えて欲しい」

 

「吹雪……ああ! これからよろしくな!」

 

 円堂と吹雪が固い握手を交わす。白恋中にやってきた目的を達成し、一同は笑みを浮かべた。

 

「それじゃあ早速始めようか」

 

「始める? 何をだ?」

 

「特訓さ、風になるためのね」

 

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