イナイレ世界に転生したら女子だったんですが   作:マルメロ

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vs帝国・決着

 …やられた。

 得点が示された電光掲示板を見上げる。視線を戻すと同点に追いついたことを歓喜する雷門イレブンの姿。

 その中心には帝国が誇るキングオブゴールキーパー源田からゴールを奪った少女、天川羽花がいた。

 彼女の身体能力の高さは尾狩斗戦で見せた動きでわかっていた。

 ジャンプ力とドリブルだけなら自分をも上回るだろうと。

 しかし、個人での決定力はなかったはずだ。少なくとも尾狩斗戦ではそうだった。単独でのシュートを撃たずにフォワードへパスしていたのが証拠だ。

 気をつけるべきは円堂との連携シュートのみ。後はフォワードへのマークを徹底すれば大丈夫だと。

 鬼道はそう考えていた。だが、現実は違った。同点という現状がそれを物語っている。

 認識を変えなければならない…ともすれば豪炎寺や円堂以上にやっかいな存在になる可能性がある。

 

「あの技を使うか…」

 

 ♦♦♦♦♦

 

 

 

 

『さあ、前半も残り時間はわずか!このまま同点で終わるのか!』

 

 点を取られて警戒を強めたのか、俺へのマークが激しくなっていた。おかげで思うようにパスを受けることができない。

 次第に帝国がボールを保持している時間が長くなり、雷門は防戦一方になっている。

 帝国のディフェンスからフォワード、そして鬼道へとボールが繋がっていく。

 

「いくぞ!これがゴッドハンドを破るために編み出した必殺技!」

 

 鬼道が指笛を吹くと同時に地面から数体のペンギンが出現。彼のシュートと共に前進した。

 そしてその先には寺門と佐久間。彼らが同時に鬼道のシュートに蹴りを入れる。

 

「皇帝ペンギン!!」

「「2号!!」」

 

 3人がかりで放たれたシュートはペンギンと共に雷門ゴールへ迫る。

 

「勝負だ、鬼道!ゴッドハンド!!」

 

 円堂が右手を掲げ、ゴッドハンドの構えをとる。

 黄金に輝く右手とペンギンの力を得たボールが激突する。しかしペンギン達がゴッドハンドの指に突き刺さり、そのまま押し込んだ。

 ついにゴッドハンドが跡形もなく砕けてしまい、円堂ごとゴールにねじ込まれた。

 

『ゴォォル!!鉄壁を誇るゴッドハンドを打ち破ったのは、帝国の新たな必殺シュートだ!』

 

 これでまた1点差。1点目のような奇襲はもう通じないだろう。そうなるとあの源田から点をとるのはかなり難しくなる。

 試合が再開するが、依然帝国のペース。ろくにボールを奪うこともできず完全に翻弄されてしまっている。

 

「鬼道さん!」

 

 辺見から鬼道へとパスが通る。そしてその横を走り抜ける寺門と佐久間。

 

「追加点を入れて試合を終わらせる!皇帝ペンギン…ッッッ!?」

「だァァァァァ!!」

 

 ペンギンを呼び出し、再び皇帝ペンギン2号を発動しようとする鬼道。しかしそこに豪炎寺が蹴りを入れる。

 双方の蹴りがボールを間に衝突。少しの拮抗の後に豪炎寺が競り勝ち、鬼道は後方へと吹き飛ばされた。

 

『なんと、フォワードの豪炎寺が皇帝ペンギン2号を阻止!帝国得点ならず!』

 

 そしてここで前半終了を告げるホイッスルが鳴り響いた。

 お互いの選手がベンチに戻る中、鬼道は足を痛めたのか右足を引きづっている。

 

「サンキュー!豪炎寺!」

「……」

 

 円堂が豪炎寺に礼を言うも彼は答えることなく円堂を一瞥し、ベンチへ戻って行った。

 

「円堂どうしたんだ?」

「影山になにか言われたのか?」

「…いいえ」

 

 ハーフタイム、円堂の不調を感じ取った風丸や響監督が声をかける。

 

 ふとベンチの隅でなにやら考えている木野が目に入る。恐らく円堂の事だろうがどこか様子がおかしい。もしかして…

 

「木野さん」

「あ、羽花ちゃん…どうしたの?」

 

 木野の横に腰掛け、声をかける。相当考え込んでいたのか反応がワンテンポ遅れていた。下手な詮索はせずに単刀直入に問いかける。

 

「守君の事、なにか知ってるんじゃないですか?」

 

 驚いた様子で目を見開く木野。どうやら当たりのようだ。

 

「なんで?」

「人の表情を見て何を考えているのか読むのが得意なだけです。大丈夫、誰にも言いませんから」

 

 安心させようと笑顔を作ってみるがどうだろうか?数秒の沈黙の後、木野がゆっくりと口を開いた。

 要約すると鬼道と音無は兄妹であり、小さい頃に両親を無くし別々の家に引き取られた。しかし音無と暮らしたい鬼道は父親と約束をしたらしい。3年間フットボールフロンティアで優勝し続ければ音無を引き取ると。その話を円堂は試合前に影山に聞かされていたそうだ。

 

「なるほど…守君はそのことを気にして」

「うん、自分達が勝てば音無さん達の邪魔をしてしまうと考えてるんだと思う」

 

 そうか、確かに円堂の性格ならそう思っても仕方ないと思う。だが鬼道からしたらそんな勝利は真っ平御免だろう。

 だけど、これは2人の問題だ。俺が首を突っ込んでもどうにもならない。

 フィールドから審判の試合再開を促す声が聞こえた。選手達がそれぞれポジションについていく。

 

「ありがとうございます。少しスッキリしました」

 

 そう木野に言い残し、俺も自分のポジションへと向かった。

 

 帝国ボールで試合再開、いきなり鬼道がドリブルで攻め上がってくる。

 

「行かせない!」

 

 彼を止めようと立ち塞がるがヒールリフトで俺の頭上にボールを上げられてしまった。だがそれは想定内だ。

 すぐさま飛び上がり頭上にあったボールを胸トラップ。だが胸にボールが触れた瞬間、音を立てながら弾かれてしまった。

 

「な…スピン!?」

「ふ、さすがにそれくらいは読んでくると思っていたさ」

 

 俺の胸元から離れたボールは鬼道の足元へ。そして彼はボールを大きく蹴り上げる。

 

「いくぞ!デスゾーン開始」

 

 ボール目掛けて飛び上がる3人、そして回転と共に同時にボールを蹴り出す。

 

「「デスゾーン!!」」

 

 放たれたシュートに円堂がゴッドハンドの姿勢をとる。と、その時

 

「うおおおおぉぉぉぉ!!」

 

 なんと土門がデスゾーンを顔面で受け止めた。弾かれたボールは外へ。そして土門は倒れ伏している。

 

「土門…なんて無茶を!」

「デスゾーンはこうでもしないと止められない。…円堂、俺は雷門イレブンになれたかな?」

「当たり前だ!お前は俺達の仲間だ!」

 

 そのまま担架で運ばれていく土門。そして交代で影野が入る。

 

「円堂!!」

「え?ぐわぁぁ!!」

 

 すると突然炎を纏ったシュートが円堂のどてっぱらに直撃した。蹴ったのは当然豪炎寺だ。数mぶっ飛ばされた円堂はすぐに起き上がることができない。

 

「俺のサッカーにかける情熱を全て注ぎ込んだボールだ!フィールドの外で何があったかは関係ない。ホイッスルが鳴ったら、試合に集中しろ!」

 

 そのまま立ち去る豪炎寺。かなりの荒療治だがどうやら円堂には効いたようだ。表情から迷いが消えている。

 

『帝国のコーナーキックで試合再開!ボールは鬼道から佐久間、そして再び鬼道へ!』

 

「「ツインブースト!!」」

 

 鬼道と佐久間の連携シュートが円堂を襲う。すると円堂は目にも止まらぬ連続パンチをシュートに叩き込んだ。

 

「まさに…爆裂パンチ!」

「それでこそ円堂だ!」

 

 円堂が弾いたボールが俺の元へ落ちてくる。ジャンプしてそれを空中でトラップし、着地と共にドリブルを開始する。

 止めに来た洞面をボールごと回転することでかわす。いわゆるマルセイユルーレットてやつだ。

 

「行かせない!キラースライド!!」

「アグレッシブビート!!」

 

 成神の必殺技をこちらも同じく必殺技で弾き飛ばす。

 残るはキーパー源田のみ。だが彼のパワーシールドをどう破るか…

 

「羽花!こっちだ!」

 

 振り向くといつの間にか円堂がゴール前まで上がってきていた。よし、それならあれが使える。

 ボールを大きく蹴り上げ、跳躍し蹴り落とす。そうしてイナズマを纏ったボールを円堂と共にシュート。

 

「「ライトニングジャベリン!!」」

「パワーシールド!!」

 

 すぐさまシールドを展開する源田。シュートは弾かれないもののシールドを突き破れないでいた。すると

 

「ファイアトルネード!!」

 

 普段よりかなり低く回転した豪炎寺が拮抗していたシュートに蹴りを入れた。

 

「パワーシールドは衝撃波で出来た壁!弱点は薄さだ!遠くからのシュートは跳ね返せても至近距離から押し込めば…ぶち抜ける!」

 

 豪炎寺の言葉通りパワーシールドに徐々に亀裂が入り、そして完全に崩れ去った。

 2対2、同点だ。

 

『さあ残り時間もわずか!お互い譲らない攻防が続く!果たして勝利の女神はどちらに微笑むのか!』

 

 ボールを持った鬼道が宍戸と半田を抜き去った。そしてその前には寺門と佐久間。

 

「皇帝ペンギン!!」

「「2号!!」」

 

 ペンギンと共に進むシュート、それに2人が同時に蹴りを合わせる。

 

「このシュートだけは絶対に止めてみせる!!」

 

 対する円堂もものすごい気迫だ。今までで1番のオーラを感じる。そしてそのオーラから渾身のゴッドハンドが繰り出された。

 

「ゴッドハンド!!」

 

 しかし徐々に押されていく円堂、すると

 

「だったら…これでどうだぁ!!」

 

『なんと円堂!両手でのゴッドハンドだァァァ!!』

 

 両手で使用することによりパワーが上がったゴッドハンドと皇帝ペンギン2号のぶつかり合い。あまりのパワーに砂煙が巻き起こる。

 

 そしてそれが晴れると…両手でボールをがっちりキャッチした円堂の姿があった。

 

「いくぞ、みんな!!」

 

 円堂が前線にボールを蹴り出した自らも攻め上がる。

 すぐに俺に対し2人のマークがつくがそれを振り切るようにまだ誰も届かない位置にあるボールまで跳躍し、逆サイドの風丸にパスを出した。

 

「円堂が止めたこのボールは!!」

「絶対に!!」

「ゴール前まで、繋いでみせる!!」

 

 風丸の疾風ダッシュ、少林寺の竜巻旋風、半田のジグザグスパークと必殺技の連発で帝国を翻弄し、ゴール前の豪炎寺にラストパス。

 壁山を踏み台に飛び上がる豪炎寺、イナズマ落としだ。だが今までと違うのが

 

『なんと!壁山の背後から円堂が!これはイナズマ1号か!?』

 

 そう、豪炎寺だけでなく円堂も飛び上がりそしてそのままシュート。

 

「「イナズマ1号落とし!!」」

 

 今までにない強烈な落雷を纏ったシュートがゴールに降り注ぐ。

 

「フルパワーシールド!!」

 

 パワーシールドを明らかに超えた量のシールドを展開する源田。しかしイナズマ1号落としには通用しなかった。

 

「いっけぇぇぇぇ!!」

 

 フルパワーシールドを破り、シュートがゴールに突き刺さった。そしてここで試合終了のホイッスルが鳴り響く。

 雷門の全員が頭上に目線を上げる。

 得点板には3対2と確かに表示されていた。

 

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