どらごんれでぃい!!!〜捨てた魚が竜でしかも俺の事が大好きなんですが〜 作:囚人番号虚数番
現在時刻PM01:00
現在位置 実家 自室
「ドラコ。これからお前に人間について学んでもらう」
「はーい。んで、拓海。このテレビみたいな物は何ですか?」
「パソコン。人間が作り出した中で最も素晴らしい計算機だ」
用意したのは大学入学のときに買った中古のノートPC。中身は少しだけ弄ってあって見た目よりも性能はいい。
俺はパソコンを起動してなれた手付きで動画サイトにアクセスし、適当に日常系のアニメを検索した。
検索ワードは「日常系アニメ」「都会」 「ほのぼの」。それと人外キャラのいるアニメは除外設定した。
「よし、結構ヒットしたな」
「これは……絵だね」
「アニメ、絵みたいだが動く。お前にはこれで人間がどのような挙動をするのか学んで欲しい」
「きょどう……?」
「あー……人間がどんな生活をしているかとか、どんな事ができるかとかそんなのを知って欲しい」
「はいはーい、そーゆー事ね!!ただそれには一つ問題があると思います!!」
「パソコンの使い方か?安心しろ。複雑な操作は無いから簡単に使えるし使い方は教える。勿論問題が起きないように監視もするつもりだ」
「……そうだった!!それじゃあ拓海、私に1から何まで教え込んでよ!!」
「じゃあまずはマウスの使い方からだな。力入れ過ぎて壊すなよ」
俺は1時間位かけてバソコンの基本的な使い方とサイトの使い方、ローマ字をざっくりと教えた。ショートカットや複雑な操作は極力省き、最低限情報を集められるようになることに重点を置いて。そのせいかローマ字入力以外は一度教えただけで、ローマ字も手書きの表を作ったら解決して、あとは聞かずとも勝手に弄り始めていた。
「……よし、軌道に乗り始めたな。俺は俺で別の事を……」
「拓海?拓海はあにめ見ないの?ほら、今見ているの面白そうだよ?」
彼女は今、先程まで見ていた5分アニメワンクール分が見終わり30分アニメを見始めた。日常系を指示しておいたはずなのに学園能力物の様だが平気だろうか。
「あー……そうだな」
「この水の能力者とか私よりも能力の扱い上手いですし参考になるね!!あんな立ち回り考えたこともなかった……川に籠もる以外にもイメトレとは!!こんな手があったのか!!」
「……人間の生活について何か学べたか?」
「あ……。わ、分かりました。すぐに軌道修正するよ……」
「いや、学べればいいんだけど向いてないのは分かってくれたんだな」
「!はい、そうです。そうなんですよ!!あと色々見てたら掲示板とか百科事典とかも使うといいらしいので教えてくれる?」
「お前PC弄ってそこまで経って無いのにそんな事も調べたのか……」
まあもっと時間があればそれも教えるつもりだったからそれが少し早まっただけである。
そう、今俺には時間がないんだ。
「今お前が知りたい単語ってなんだ?」
「え!?いきなり何を……強いて言うなら拓海の事……じゃなくて……うーん思いつかない」
「とりあえずドラコの事、というか『ドラゴン』の事でいいか。ほい、そのページだ」
「ありがとう!!……ちょっと難しそうだけど使ってみるよ!!!」
……ここから現代社会の人間の生活についてのリンクに辿り着けるかは俺には分からない。だがきっかけとしてはこれでいいだろう。その後はドラコは俺が教えずとも百科事典を使いこなしている様だ。掲示板は……半年ROMる時間などないから調べないように指示した。
「ところで拓海、何で急にこんな事を始めたの?一緒に住むならここで生活しながら学べばいいと思うけど」
……あーあ。気づかれてしまったか。
「その事何だが……明日、俺の都合で街に戻るからだ」
ーーー
現在時刻PM11:00
「おい、そろそろ寝るぞ」
「もうちょっと待ってて……あと少しで主人公の親の正体が分かるから。これが分かればあそこのフラグが回収されて大体の事が片付くんだよ……」
彼女は俺の布団の上で寝っ転がって視聴を続けている。俺は彼女に布団を貸してしまったため畳の上で直に寝る予定だ。エアコンこそつけているが夏場なので平気だろう。
「おう、頑張れ。俺は朝早いから寝るぞ」
「おやすみなさーい!!……人間は寝る前にこう言うんだよね」
「よく学んだな。おやすみ」
ドラコはあれから未だにノートパソコンで動画を見続けている。見方は倍速かつ4分割で並行して色々なものを同時視聴という荒業。見ているものはアニメは勿論のこと、今はアクションゲームの実況、ドラゴンについて解説動画、もう一分割分は百科事典で難しい記事をスクロールさせている。彼女には俺のイヤホンを渡している、音がごちゃまぜで混乱しないだろうか。いやそれよりもこれ理解できてるのか?
「(これで街に帰った時にトラブルが起きなければ最高だ……)」
街に帰る、これについて寝落ちする前に説明しておく。簡単なことだ、元から実家には二泊三日しかいない予定だったのだ。今日はその二日目、明日の午前にはここを出て電車で帰宅する……あ、電車代一人分だけしかない。メシ代と小遣いを犠牲にするか。
閑話休題。そしてこの事をドラコに話し、そして聞いてみた。
「お前は街までついて来て俺と住む気なのか?」
勿論答えはYES、出逢って数時間も無かったが彼女ならそう言うと思っていた。
彼女には人としての常識もとい色々な概念が抜け落ちている。それがどんなトラブルを引き起こすのか……最悪を考える。
もし竜の姿で街を闊歩して、辺りの建物に全てを貫く水のブレスを撒き散らし、万物を水に帰結させる。それだけは、人間の中で一番彼女を知る俺が制御、抑制しなければならない。
だから彼女に付け焼き刃の常識を教え込む為、アニメを見せたのだ。
と、ここで眠気が襲ってきた。彼女の使うPCの明かりに背を向けてから甘んじて眠気を迎え入れた。
「zzz………」
「……よし、寝たね」
「『日本 朝食 簡単』っと」カタカタカタッ
彼、滝沢 拓海は気づいていなかった。彼女がPCを使い始めて数分の段階でブラインドタッチを取得、それと検索時のサジェストやIPから既に彼の今の家の位置を把握している事、それとこの数時間で既に彼が望んだ知識量に追いついた事を。
ーーー
「……んん。朝か」
現在時刻 AM06:00
優しい光が部屋に差し込み朝を伝える。PCの前にはドラコはいない。寝ているのだろう、布団の方を見ると……
なんと布団に寝ていたのは俺の方だった。彼女に貸したの布団に俺が寝ていた。そして当人の姿はこの部屋の中には無い。
「……下に降りたか」
そういえば彼女は昨日何を調べていたのか?ノートパソコンを起動し検索履歴を調べてみるか。……やっちゃいけない事とは重々承知している。しかし彼女が何に関心をもち何を知りたかったのかに少し興味が出たのだ。
検索履歴をクリックしてその中身を見た。結果は……まさかの消去済み。動画サイトの方も全ての履歴が消してあった。やり方なんて教えてないはずなのに、いつ知る機会があったのだ?
「……あいつ、どこまで調べ上げたんだ」
疑問を残しつつも予定のある俺は朝食をとるために1階リビングへと降りた。
誰かがキッチンで作業をする物音がする。それに腹を刺激するいい匂いも。家には俺とドラコしかいない筈。
まさか、あいつが飯を作っているのか?昨日まで人の常識すら怪しかった彼女が?そんな事ありえない。学ぶチャンスがあるとするならば昨日のネットサーフィン位……
推測が整理し終わる前にリビングへついた。ここまで来たらもはや考えるよりも入ってしまったほうがいい。ドアを開けた。
「おはよう、拓海!!」
「……おはよう」
「朝ごはんは出来たからゆっくり食べてていいよ!!初めての手料理だから味付けは保証しかねますが……多分食べられるからね!!」
彼女が初めて、といって作ったその朝食はテーブルに二人分配膳してある。
ご飯と豆腐の味噌汁、それと玉子焼きと魚の塩焼き。
事実確認のためキッチンを確認する。コンロには余った分の味噌汁が火の着いてない上の鍋にあった(昨日みたいに吐き出したものではないと願おう)、しかも温かい。シンクの中も料理に使ったと思われる道具が水につけてある。冷蔵庫の中の卵も少ない……おいおい、こいつマジでやりやがったのか……
「んー……もしかして本当に作ったか怪しんでるの?ちゃんと作ったよ!!」
「確かに匂いは美味しそうだな。でも何故作れたんだ?包丁とか火の使い方とかは教えていないが」
「だって昨日拓海が使う所見てたから」
……これ以上彼女と話していたらせっかくの朝食が冷めてしまう。それに頭も痛くなりそうだ、席につき食事を始めてしまおう。いただきますの後に味噌汁を一口。
「……うっま!?お前これホントに初めてか!?」
「もっちろん!!よーし私も食べるよー。いっただきまっす!……んまぁーい!!」
いやまじでこれ本当に初料理か?米の炊き方もちゃんとできてるし玉子焼きもふわふわ……こいつ頭おかしいよ……。魚の焼き加減も皮はパリッと中はふっくらと限りなく理想的だ。そういえばこの魚、なんの魚だ?冷蔵庫には魚は無かったし切り身ではなく一匹丸々焼いて用意してある。
「……これで次からは自己生産できる」ボソッ
「なあドラコ」
「ひゃい!?何でしょうか拓海!」
「この魚何の魚なんだ?冷蔵庫には魚なんて無かっただろ?どこで手に入れた魚なんだ……まさか取ってきたのか」
「はい。とりあえずネットの画像を参考に鮎を2匹ほど取ってきたの。内蔵の処理なんていつも飲み込んでたから初めてだったよ。だけと案外なんとかなるもんだね」
「何をそこまでお前を突き動かしたんだよ」
「愛だね、愛情!!人間も愛があれば何でもできるでしょ」
「にしても技量と熱量がおかしいだろ。誰がここまでやれと言った」
ーーー
「ご馳走さま」
「ごちそうさまでした!!」
結論として彼女の作った飯はめちゃめちゃ旨かった。味噌汁なんて出しのとり方がうちの親よりも上手く、毎日飲みたいくらいのクオリティだった。なお本人にそれをまんま伝えたら次も頑張ると言われた……とんでもない事を口走ったのがバレずに助かった。
朝食も済ませて次は街へ戻る準備を……の前に皿を洗わなければ。朝食は彼女が勝手ではあるものの作ってもらったわけだ。皿洗い位俺がやらなければ。
「俺は洗い物をやるから少し待ってろ。あと一時間くらいしたら出発するからそれまて……」
「皿洗いなら食事中にやっといたよ」
「おい」
また仕事を奪われた。こうも自分より10歳くらい年下の少女に世話をされるとアニメの様で嬉しい反面、できるはずの事も出来ないような屈辱的な思いになると知った。バブミとは違う、ヒモみたいでどうしてもこう、彼女とは相容れない、俺はそんな人間らしい。
「お前いつの間に終わらせた?さっきまで俺と飯食ってたし立ったのって水取ってきたときくらいじゃなかったか?」
「ふふふ、それはね……」
するとキッチンから水で出来た触手が伸びて来た。それはうねうねと蠢きながら空となった食器類に近づいてそのまま持ち去る。
戻った先を見に行くと触手はシンクに貯められた水源から生えていて、その触手が泡だったスポンジをに持ちながら高水圧で飛ばした水とともに食器を洗っている。水圧は昨日のようにカッターの水圧ではなく強めのシャワー程度、汚れはすぐに落ちて水も触手に吸収されてすぐに乾く。しかし収納する所までは分からなかったのか乾燥された皿は綺麗に重ねられている。
「こうやってさっきから食べながら洗ってたんです」
俺には家事の役割を衣食住に分割したらとしたら、まだ衣と住が残されている。……そういえばドラコの服はどうするか。
「……」ジー
「どうしたの拓海?」
あまり話題にはしなかったが彼女の今の服はスク水(旧スク)の上角と尻尾と羽が生えている。後半3つはコスプレとか趣味でゴリ押せば通ると信じたいがスク水だけはどう考えても倫理的にアウトだ。
「あ、いやドラコの服はどうするかって。今から買いに行くにもこの年で女児服を買うのも抵抗があるしネットを使っても時間的に厳しい……俺の小さい頃のってまだあるか探すか」
「あ、多分それも一時的には大丈夫!!」
どういう事だ、と彼女に問いかけるその前に既に彼女が結果を見せてくれた。いつの間にか彼女の服が仄かに青白いワンピースになっていた。
俺は先程から彼女の方から目を離していないはず。それなのに彼女が水色のスク水からワンピース姿になった過程を認識できなかった。そんな事をする時間は……瞬きをした瞬間か僅かにでも視線がぶれた時しか思いつかない。
「……」
「原理は水で極細パイプを作って繊維状に編み込んでるの。光の屈折で白く見えるのから裸でも服みたいに見えて大丈夫、触られてもちょっと湿ってるくらいなので安心して移動できる……はず」
……翼の所に穴が開けてある。うん、買った訳じゃないらしい。
「……よし、そうだな。確かに湿ってるのは気持ち悪いし早く本物の服を買わないとな」
こういうことは難しく考えても頭が痛くなるだけだ。さて、朝食も済んだことだ、街へ行く……実家から帰宅する準備をしなければ。
ーーー
味噌汁の出汁のとり方が上手く、毎日飲みたいくらいのクオリティだった。
彼が言った発言を纏めるとこうだ。
これは遠回しに好意を伝えるための表現方法だと私は知っている。
……良かった、彼もその気のようだ。家事の能力はこのまま上げていってもよさそうだ。
ドラコかわいい?それともやばい?
とりま、また3日後です。
評価の方をつけて頂けると嬉しい限りです。
2話目までだけでオリジナル日間ランキング(加点)50位って何だよ(予想外)。何かの冗談なんじゃ……
しかも新作日間ランキン35位ってどーゆー事だよ……ええ……
どのキャラが好きですか?
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ドラコ
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拓海
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ナツメ