どらごんれでぃい!!!〜捨てた魚が竜でしかも俺の事が大好きなんですが〜 作:囚人番号虚数番
現在時刻 遊園地の2、3日後 朝
現在位置 小学校
「じゃーん!!」
「ええっ!これあの遊園地のストラップ?」
「うん!!週末に連れてってもらったの!!」
「射的の景品だけで手に入る貴重な奴だけど得意なんかー」「射的とかやった事無いですが当たらないものなんですか?」
この前遊園地の射的で手に入れたストラップを早速自慢した。荒稼ぎしたお陰で友達のお土産になる程度には手に入れてある。友達も欲しいと言っていたので手に余った分は彼らにあげた。
「誰かと一緒に行ったの?」
「誰かって?」
「友達とか家族とかでい。私達知りたいなーん」
「そうゆうことか!!たく……お兄ちゃんと二人で行ったの!!」
あ、学校では拓海は私の兄ということになっている。本当は恋人と公言してみたいが拓海から止められている。
「お兄さんと二人ですか!?……お兄さんの心中お察しします」
この先少しそのことで話し込んでいた。何に乗ったかとか何を食べただとか。しばらくして普段話さない、彼女ら側の友達が話に割り込んできた。
「へー?遊園地にいったのねー……」
「うん!!めっちゃ楽しかったよ!!いつかまた行きたいな」
「それに、お兄さんと二人きりで、とね」
「そうだよ!!……で?それが何か?」
「なにかいいますか……なんといいますか……」
「焦らすのは良くないぞー」
「いやー?それってさ、『気持ち悪』……私には恥ずかしくてできないなー、ってなって」
「……え?」
悪い言い回しを訂正するかのような言い直し。だが、その言葉は声を抑えるでもなく人に聞かせるための声量と滑らかな流れで言われていた。まるで、伝えたいがためにも聞こえ……いや
その言葉には明確な悪意があった。でなければ……
「いやいや、ドラコちゃんを否定するわけじゃぁないよ」
何故、そこまで私を煽るような笑い方をしているの?
ーーー
現在時刻 同刻
現在位置 大学 フリースペース
朝から隅の椅子に座り一人、甘すぎるコーヒーを飲みながらスマホをいじる。1限を取らないので普段はこんな時間に登校しないものだからこの雰囲気は初めて知った。
「おや、君がこんな時間にここにいるとは」
……こいつがいるなら雰囲気もクソもないな。同じコーヒーを飲んでいるナツメがいた。
「ナツメか、お前こそ。1限は必要ないって言ってたのにどうした」
「僕は普段からこの時間にきている。なにせ、家から通うとどうしても電車の時間の都合で2限からでも1限の中盤から来ないといけないんだ」
「それはご苦労」
正直こいつの事はどうでもいい。こいつは無視して調べ事を続ける。しかし、ナツメが俺のスマホを取り上げて強制的に中断せざるを得なくなった。ナツメの事だ、どうせやらなきゃ返さないんだろう?付き合ってやる。
「それじゃあ君にも答えてもらおうか。君も1限はないんじゃあ……」
「電車の時刻を間違えた」
こいつには何を言っても無駄だ、下手に物を言うと言い包められるからシンプルに答える。
「……ほう、続けて」
「ドラコの時間に合わせて生活してたらいつの間にか朝方気味になってた。んで起きて遅刻寸前だって飛び起きて登校したらこんな事に……っと」
「あっ!」
話すことは話したのでナツメの不意を付き取られたスマホを取り返す。ナツメも取り戻そうとするも、身長差に負けてしばらく試してすぐに諦めた。
「くっ……僕にも身長か胸があれば、それかモツがなければ……それになんて贅沢な悩みなんだ。僕も同居していいかな?」
「あいつに女を愛する趣味は多分無いし男が胸を増やしてどうする」
「モツはスルーですか……僕に出来る事は男性の恋愛についてかな。ちょうどタイムリーな話題だろう」
「お前……どこでそれを?」
「取り上げた時にスマホを覗いたのさ。何を熱心に調べてるのか気になって。僕も混ぜてくれよ、場を掻き乱すのは嫌いじゃない……思い当たる節もある」
ナツメは言葉こそふざけているはこういう所ではちゃんと役立つ答えを提案はしてくれる、ふざけているが。俺の無い頭では処理落ちしそうだったし調べ事も行き詰まっていた。ここは彼を頼ってみよう。
ーーー
「実は……本題から入る。ドラコに告白された」
「ドラコちゃん……彼女まだ子供だろう?君は重く捉え過ぎなのではないか?」
「詳しい事を話すからしばらく黙ってろ」
あの告白が嘘なはずがない。
あの時の彼女の目は思いを伝えるための覚悟、言葉にするのは俺との未来への希望、そして俺を己の物にするという挑戦と賭け。
まるでドラマかラノベみたいだった。言葉は臭く雰囲気は勢いで作って俺は置いてけぼり、それが素直で情熱的な彼女の長所を引き出して……悔しいが乗り気になってしまった。
「……という訳だ」
上記を私情を織り交ぜつつ俺は事細かに一連の騒動と、必要だろうと彼女との出会いから今までの事をざっくりナツメに伝えた。
13年前に彼女を川で拾ったこと。僅か1ヶ月で何でもこなせるようになるまでに学習し続けた事。それに異常ともとれる俺への庇護。ナツメには愚痴程度でそれらを伝えた事もあったので、最初こそそんな事もあったと笑いながら相槌を混ぜていたが段々と真剣な顔になってくる。
「……大学レベルの知識量もあるのに態々竜秘宝?とかいう中二心くすぐるそれで小学校に入学したと」
「ああ。ドラコについて焦ってた時期だったから特に何も言わなかった……あいつがあそこで何をしてんのかは俺もよく知らない。取り敢えず楽しくやってるらしいぞ」
「ふむ……断定はできないけど仮説を思いついた。ドラコちゃんは多分経験を積みに行ってるんだよ」
「経験……すまない、説明を頼む」
「君はドラコのお世話を回避しようとし続けてるのは僕も聞いた。だから今度は真逆、子供らしくなるのに小学校に入った」
「……ドラコならやりかねないな」
「そうかい、意外だよ。だいぶ妄想まじりだったのに。意外と当たるものだね……彼女も彼女で考えすぎだよ。そんな事しなくても告白で許可は貰えたんだし寝込みでも襲えば拓海の事だし責任はとってくれるだろうに」
「ノーコメント」
「君も男だろう?特に君は既にこんな情熱的なことさせておいて無責任になれないはずじゃないのか」
……それもそうか。変な所で真面目なのが俺の癖だ。だからドラコの事についてここまで思い悩んでいるのだ。
それでも……それでもここでどう動くべきなのか俺にはわからない。
最も簡単なのは素直に彼女を受け入れる事だろう。彼女に一生を捧げ、そして捧げられる。一番簡単で楽なエンディングの迎え方だろう。
一方、俺が望むのは……これ以上、ドラコに努力をさせたくない。正しく言えば彼女には無理なくもっと気ままに生きてほしいのだ。
「いやいや、彼女充分自由な方だと思うが」
「それは手法の話だろ?目的が全部俺のためなのがな……」
俺は毎日彼女を見ている。朝早く起きて家事をこなし、昼は学校で勉強、夜は深夜までネットで人間の研究……楽しそうにしているがかなり無理をしている。いくら竜といえどもあんな事を続けては長くは持たないと思う。
それに彼女の無理は肉体だけで無く精神的にもだ。俺とともに生活していて薄々気がついていたが彼女は俺に依存しすぎている。前々から俺以外の人物へ敵対的な態度をとりがちだった……前まではそれが何故なのか分からずじまいだったが、今ならそれもある程度分かる。俺が他人と親しくい事に嫉妬していたと仮定すれば……。
「それは正しいだろうね。以前に彼女と会った時は正に君の予想道理だったよ」
「ここに当事者がいて助かった」
「それで、君はどうするんだい?何をそこまで返答に困っているのか僕にはわからない。告白は向こうからだしどう答えても……」
「……それが迷ってんだ。何でも出来すぎる」
ドラコは俺が何を言おうとそれを受け入れるだろう。今回はそれが逆に俺を困らせている。俺が受け入れれば喜ぶのはそうだ、だが……条件付きで付き合うとなっても彼女はそれも受け入れるのだと思う。でも、それは俺が望まない、俺は彼女と……
「そうか、ドラコと俺は対等でありたいのか」
「……それが答えで良くないかい?」
「ああ、ここからドラコをどう動かすかを決めないといけないな」
「めんどくさいな君。僕はもうそれを本人に伝えれば終わりだと思うけど」
俺の事情、彼女の事情……どちらも満たす最適解はあるかも分からない以上は完璧にしないと。
と、頑張ってみたものの先程までの調子と打って変わって、考えど、考えども前と同じ結論を出すばかりでそれ以上の進展がなくなった。
「……うーん」
頭を抱えて10分経過、飲みかけのコーヒーは冷めてすっかり不味くなってしまった。こうなってしまったら後は時間をかけてアイデアができるまで待つしかない。講義まではまだある、コンビニで立ち読みでもしてこようかな。
「随分と悩んでるね。それなら僕からのアドバイスだ。30秒で答えを出せ。君の場合、悩むような重大な問題での最も合理的な選択肢は考え始めてから一番最初に出てきた物のみだ」
「それで良いものなんかな……(まあお前のアドバイスならいいか)。……やってみる」
深呼吸の後、目を瞑る。こころなしか、思考が早回しになったように感じる。
……今までのドラコとの生活を思い出す
ドラコ!!私ドラコだよ!!小さい頃、大人になったら一緒に住もうって言ってくれた……私だよ!!覚えてない?拓海!!
8月の帰省、会ってからの全て
愛ですよ。愛情。人間も愛があれば何でもできるでしょ
この数カ月間の……彼女の愛と俺の応答
わ、私の下g
これはスルーで。とにかく、今までの事をできる限り思い出して
『拓海と結ばれる』事を望んでる!!今は妹でも何でもいいけど拓海といたいの!!だから私もその気にさせるから覚悟してね!!
最良の答えを……出した。
「(アホ面晒して……いたずらしてみたい……」
「なんでどいもこいつも良い所で邪魔してくるんだよ」
「失礼。で、1分は経ったけど」
方向性はもう決まっている。……だたし答えは
「……俺の答えは……よし、二択。二択にまで絞った」
「まだ二択か。決断は先送りと……これからのあだ名は暫定的にチキン野郎でいいな?」
「言ってくれるな。人の気も知らないで」
「ははは、それは冗談さ。で、答えは?」
俺の答えは……
「ドラコを振る。あいつが何歳か分からないが精神的にはまだ子供扱いでもいい、それに賭ける」
「……」
「もしくはドラコの望みを先送りにして依存を矯正する。まずは頭を冷してから話を始める」
「……君らしいな。相手の都合を考えてるつもりで、何も考えてない素晴らしい答えだ」
「……ドラコのことも考えての結果だ。あいつが将来俺と別れて独り立ちするなんて時に人との突き合わせ方を学ばせないといけないからな……んお?」プルルルル
突然俺の携帯が鳴った。ドラコの学校からの電話、こんな朝の時間に……というかなぜ俺に電話を?
「どうぞ。僕は黙ってるから電話していいよ」
部屋の端に移動して通話ボタンを押す。
「……もしもし、滝沢です……はい、はい。ドラコの兄ですが…………分かりました」
言葉少なく通話を終わらせる。少々まずいことになった。
「ドラコが教室でぶっ倒れた。小学校から連れ帰れってきたから病院行ってくる」
「ドラコちゃんのお迎えを頼まれたのか。行ってらっしゃい、代返はしないからね」
ナツメの冗談は無視して俺は残ったコーヒーを全て飲み干し、荷物をまとめてその場から去った。
「(ドラコに何があった。電話に出た先生は熱中症だとか言ってたけど……なにか嫌な予感がする)」
言いようもない焦りと不安からいつもより少し足早に学校から出た。
ーーー
……暫定的にチキン野郎、帰ってしまったか。
彼とはもっと、具体的には講義が始まる前までは話し込んでいたかったけどドラコちゃんの事なら仕方がない。
「熱中症ねぇ……」
冷めてしまったコーヒをちびちびと飲みながら会話を振り返る。
「(……拓海、僕は君に2つ嘘をついた。一つは言えなかっただけだけど)」
「(1つ目は今は9月のホットコーヒーが美味しくなり始めた時期。熱中症で倒れたっていうのは怪しくないかい。締め切った室内で激しく動くなら分かるけど……教室で、って所がどうも怪しい)」
冷えたコーヒーは苦くて飲みにくいな。このペースだとコーヒーが終わりそうに無い。熱々を買って混ぜて飲もうと2本目を買う。
「(2つ目は……実は彼女と僕は裏で通じているんだ。彼女がパソコンからメールを送っている事を拓海は知らない、あいつはスマホしか使わないからね。僕は言わないようにと強く釘を刺されていたから言えなかったんだ)」
「(大抵の内容は拓海の好みの事、ファッションや処世術の事……人一倍の知識の裏側だよ)」
「……んく……ぷはぁ!……一気飲みは少々きついな」
「(彼女の欲しがる知識はニッチな物も多いから返答に困る……だけど彼女の本音が聞けて面白い。彼女は他人の心情を考えない、というか……)」
「(彼が何を望んでいるのかもう分かってるくせに、何をやっているんだ?)」
飲み終わった缶をゴミ箱に投げ捨てる。
「……って所が特に」カーン カラカラ……
外れた、もう一度捨て直して講義に向かう。
ーーー
おっと?
五日後です
修正しました
どのキャラが好きですか?
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ドラコ
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拓海
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ナツメ