孤独な少女の望むモノ   作:g_c

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ちょっと今回使いたかった表現をちょっとだけ入れてみました。

象牙の塔のヤベー奴は好きですか?
私はキュート界の自称クールが好きです。
というか三人とも好きです。(なお引退済)


という訳で第6話、新キャラ(ネームド)登場です。


魔女のお友達

 

 

 

あの時以来、私の学校生活は大変静かな物に様変わりした。

…というより、教室がどんなに和気藹々としていても、私が現れた途端に空気が凍る。

 

『おい見ろよ、アレが噂の』

『怒らせると氷漬けにされるらしいぜ』

『ちょっと声大きい、聞かれるでしょ』

 

いや、しっかり聴こえていますけれど。

氷漬けって…私に氷変換の能力は無いのに、一体どこで噂がねじ曲がったのやら…。

 

こんなことになったのも、

学内の人気者が何故か私にご執心に。

そしてやり過ぎた彼は私を怒らせた。

 

結果、人気者さんは一躍嫌われ者に。

心も折れて再起不能(リタイア)

 

前回の一件は流石にやりすぎたとは思っている。

でも、あんな精神性の人が武装局員になったらと思うとそれはそれでヤバい気もする。

 

それは置いといて。

 

あの後、学内での私の噂を聞いたクロノから連絡があった。

てっきり怒られる物かと思ったけど、

内容は状況確認というか、状況報告の様なものだった。

候補生の中では上級生、下級生問わず私の話は知れ渡ったらしく、

 

『氷銀の魔女』だなんてセンスのカケラも無い呼ばれ方をしてるだとか。

 

……あの時の半笑いのクロノ…今でも殴りたい程ムカつく。

 

彼らのいう『氷漬け』も私の渾名から出て来たのだと思う。

 

そんな彼らはもうちょっとお勉強を頑張ってほしい。

魔力変換資質はレアスキルだよ?

そうホイホイ居る物じゃありません。

 

そんな訳でお友達の居ない私、

クロノはガールフレンド(エイミィ)を作ってるらしいし

(本人は否定してるけど)

同じような立場なのに一体どこで差がついてしまったのか。

 

『貴女が意固地なっているからでしょう。』

 

食堂の片隅でお弁当を突きながら相棒を話し相手にしている。

なんたって私の周囲3席程は誰も近づかないのだから、

迂闊に真ん中に座るのは迷惑という物。

 

「意固地じゃないよ、お父様を侮辱したのが許せないだけ。」

 

ゲイトからの大変遺憾なお言葉に思わず唇が尖る。

私の大恩人に向かって、後ろ指指した連中だ。

なんで私の方から歩み寄らねばならんのか。

 

『頑固ですね。お父上はもう少し柔軟な発想をなさいますよ?』

 

「お姉様やお姉ちゃんなら私と同じ意見だと思うね。」

 

お互い全く譲らない平行線。

大抵はゲイトが根負けして話が有耶無耶になる。

 

「誰と話してるの?」

 

「!?……。」

 

唐突に後ろから響く声にスプーンを取り落とす。

声の方向に振り返ると、

ウェーブがかった綺麗な金髪を肩まで伸ばした女の子が立っていた。

 

私の悪評が流れてから時々こういう奇特な人が現れる。

目的はよくわからないし、知りたくもないけど

大抵は二言三言で会話が終わった。…というか終わらせた。

 

「誰とも話してないよ。独り言。」

 

今回も、その例に漏れないだろう。

視線を向けないまま、愛想も何もない返事。

 

なんとなく、ゲイトの事は周りから隠している。

肌身離さずつけて居るけど、基本的に外には出さない。

 

更衣室で何度か見られてはいるけれど、

ただのペンダントぐらいにしか思われていないはずだ。きっと。

 

「ううん!私聞いたよ!もう一人声がしたの!」

 

「え、えぇ…?」

 

会話が成立したのは珍しい。

しかも私の言い分を突っぱねる奴なんて今までいただろうか。

 

「もしかして、デバイスさんとお話してた?」

 

碧色の瞳が目の前にある。…思わず仰反るほどには近い。

目の色は確信を持った自信、これは誤魔化す方が疲れそうだ。

 

観念した私は周囲に人がいない事を再確認して小声で彼女に聞いた。

 

「………。誰にも言わない?

 

力強い頷き、…尻尾を振り回す子犬みたいだ。

 

「ゲイト、挨拶して。」

 

『はじめまして、

マスターカタリーナの補佐をしているゲイトです。

失礼ながら、お名前をお伺いしても?』

 

このバカ、話を広げるんじゃない。

そんな思念で文句を言うもこんな時ばっかり無口なゲイト。

 

ーいいからさっさと友人の一つでも作れー

 

そんな圧を感じる。

 

 

「あ、ごめんね?…私、メアリ、メアリ・スコット

よろしくね、カタリーナさん、ゲイトちゃん。」

 

『ちゃん……?』

 

思わぬ呼び名に思わず吹き出す、

勝手に話を進めるからそうなるのだ、ざまーみろ。

 

「ぷっ…くく、よ、良かったね、ゲイトちゃん?」

 

『メアリ、どうかご主人様(マスター)のことは、

カータと呼んであげてください。その方が喜びます。』

 

こいつ…!ご主人様を裏切りやがった!!

 

「うんわかった、じゃあ私もカータって呼ぶね。」

 

『良かったですね?カータ?』

 

「ゲイト、今すぐデバイスの高価買取をしてくれるお店を探して」

 

『おや、大切なお父上からの贈り物(・・・・・・・・・・・・・)を、売り払うなんて貴女もひどいヒトですね!』

 

あー!あー!やめろー!!

私が悪かったからこれ以上個人情報をばら撒くな!

 

そんなコントを繰り広げた居る間に

いつの間にか隣で弁当を広げたスコットさんが楽しそうに笑った

 

「ふふ、二人ともとっても仲良しなんだね。」

 

「……何かご用?スコットさん。」

 

「メアリでいいよ〜。」

 

「……用件は?」

 

「お話しをしに来ました!

カータがとっても怖いヒトってみんなが言うから、

どんなヒトか知りたくて。」

 

むふー!とすごく元気な笑顔でお返事をするスコットさん。

スコットさん気づいて、

貴女のせいで食堂の室温が急転直下していることに。

私のせい?いやいや、私は絡まれているだけです。

 

「何処かの世界にこんな例えがあるみたいだよ。

好奇心、猫を殺すって。」

 

確か、チキュウって惑星の言葉だったはず。

 

「???」

 

『過ぎた好奇心でイタズラに首を突っ込むと、

危ない目に遭いますよ、そんな意味ですメアリ。』

 

「そうなんだ!ありがとう!教えてくれて!」

 

うん、ありがとう!じゃあないんだよ。

お構いなしにお弁当の舌鼓を開始するんじゃあないよ。

 

「やっぱり噂はあてにならないね、カータ優しいもん。」

 

頬張ったものを飲み込むと彼女はあっさりと言い放った。

 

「こんなに近寄るなって言ってるのに?」

 

「えー?そんな事ないよ、だってお話してくれるじゃない。

みんなさ、すごい事言うんだよ?

怒らせると氷漬けにされるとか、

近寄ると魂を取られるとか、

隠し事すると全部暴露されるとか…あとねあとね。」

 

うわあ、すごい。一部事実だけど前半はなんだ?

しかも、まだまだあるらしい…。

私は悪い魔女か何か?あ、怖い魔女呼ばわりだったね。

 

「でも、カータが誰かを傷つけたなんて一人しか知らないし、

色々な人に聞いたら、それも当然の報いだって思った。

だからね、こうやってお話しに来たんだ。」

 

その言葉に食事の手がとまる。

この子は単に好奇心で近寄ったわけじゃない。

 

少しずつ私の事を外堀から理解したんだ。

だから魔女なんて呼ばれ始めて直ぐに突っかかってこなかった。

 

自分の見聞きした情報と、

周囲の認識にズレがあった。

だから自分の目と耳でカタリーナを確認しにきた。

 

そんな彼女に聞きたいことができたので、

思い切って聞いてみることにする。

 

「そっか、メアリ、一つだけ聞いてもいい?」

 

「いいよ?」

 

「私の編入のこと、どう思ってる?」

 

「どうって?」

 

流石に聞き方が遠回り過ぎた。

要領を得ない、スコットさんの顔色からはそんな雰囲気が出てる。

あんまり核心突いた聞き方はしたくなかったけど、仕方ない。

 

「えっと、不正をした〜とか、色々言われてるじゃない?私。」

 

「あ〜、言われてるねぇ。

今のカータ見ても同じこと言ってる人いるんだから

不思議だよねぇ。」

 

私は寧ろどんな試験受けたのか気になる〜。

そこまで口にしたところで、私の顔を覗き込んだ。

 

「…もしかして気にしてる?」

 

顔に出ていたらしい、クロノにもよく言われる。

『キミは嘘が下手くそだ』って、そんなに顔にでやすいのかな。

 

「ちょっとだけ。」

 

『ちょっと所ではないですが。』

 

「ゲイト、黙ってて。」

 

「私はそんな事思ってないよ、

ズルなんて必要無さそうだし、したくないでしょ?

……したくないよね?」

 

私の事を考察した結果…かと思ったけど、

最後はスコットさん、メアリの主観だったらしい。

そんなチグハグさが可笑しくて思わず笑ってしまう。

 

「…ふふ、そうだね、ズルは嫌い。

……私行くね。声かけてくれて、ありがとう。」

 

「うん、またね。」

 

食べ終えた容器をランチバックにしまって立ち上がる。

目的を果たしたのか、彼女は私を引き止めるでもなく、

小さく手を振って見送ってくれた。

 

入れ替わりで彼女に近づいた数名の女の子が、

メアリにあれやこれやと声を上げている。

 

後ろから見られていると思ったけど、あの子達だったのか。

食堂から出て行くと何人かが溜息しているのが聞かずともわかった。

 

『カータの思う様なヒトばかりでないと、立証されましたね。』

 

「そうだね。メアリには今度ちゃんとお礼言わないと。」

 

誰もいない廊下の中、私たちの声が静かに響く。

他の候補生達を噂に踊らされ、

人に指差す失礼なヒト達だと思っていたけど、

私自信も噂に振り回される群衆の一人だった。

 

大を見て全容を知ったつもりになって、

小に目を向けていないことをメアリに教わった。

 

これで友達認識してしまうのだから、

案外私はチョロいのかもしれない。

 

 

 

 

 

ーーーーーー

 

 

それから私の生活は、少しだけ賑やかになった。

メアリを通じて友人ができたからだ。

 

意外な事にメアリは交友が狭い。

人見知りはしないタイプだと思う、というかしない。

単に関わりを持とうとしてないのかもしれないけど、それは本人に聞かないと分からない。

 

「へぇ、執務官を目指してるんだ。

お父さんが毎年不合格になって、お母さんに叱られてる奴だ。」

 

「メアリ、その話はお父さんの名誉の為にしない方がいいと思う。」

 

お労しや、メアリパパ。

きっとこのド天然ちゃんは

日常的に傷口を抉っているに違いない。

 

「いいの、もう3回も落ちてるんだから、

そろそろ頑張ってもらわないと!」

 

スコットさん宅のお父様は娘さんより

カーストが下なのはよくわかった。強く生きてほしい。

 

「ま、まあまあ…一応難関資格だからね。

私も他人事じゃないし。メアリは何を目指してるの?

お父さんに倣って、武装局員?」

 

これ以上顔も知らないパパさんの名誉を傷付けるのはかわいそうだから、なんとなく話題を変える。

私の目標を聞いたんだから、メアリの目標を聞く権利はあるはずだ。

 

「私の夢はねー、ゲイトちゃんみたいな

インテリジェントデバイスの開発者!」

 

『大きく出ましたねメアリ 、私は強敵ですよ?』

 

「えぇ〜そうかなぁ、ゲイトちゃん簡単そうだよ?」

 

『能あるモノは実力の全てを見せませんので。』

 

こんな感じでゲイトまで彼女に絆されている。

人のことをチョロいだなんだの揶揄っておきながら寧ろ私よりお喋りが多い気がする。

 

「だからねー、あの日はドキドキしたんだー。

生のインテリジェントデバイスだー!って。」

 

「ああ、あの時妙に食い気味だったのはそういうこと。」

 

インテリジェントデバイス(こんな代物)を持ってる魔導師は当然ながら少ない。

彼らは特注品だ、ただ魔法を保存しておく杖ではなく

意思を持って、主人をサポートする。

その特性上、術者へ個別の調整がされるし、その分コストも上がる。

 

おまけに使えばそれで強いわけじゃない。

彼らのサポートを十全に引き出せなければ、術者はお飾りとなる。

それに純粋な処理速度で言えば、ストレージデバイスの方が速い。

 

だから一般的ではないし、

私のような候補生が持っている事の方が稀だ。

私の場合は特別な事情(レアスキルの制御)も絡むから、

これまた特殊なのだけど。

 

「だからさーゲイトちゃん、

将来は絶対私にアップデートさせてね!」

 

『メアリに私を弄るのは五年早いですね。」

 

「そこは十年じゃないの?」

 

十年と言わない理由も分かる。

今まで他人様の成績なんて見ていなかったけど、

実は彼女、私と同じ成績上位の常連だった。

(陰でこっそりライバル心を燃やされていたらしい。)

 

独学でも色々学んでいるようで、三年の課程を終えてからもう二年専門の技師課程に行く予定なのだとか。

要するに、卒業して即戦力になれ、と偉く遠回しな応援をしている。

 

「ゲイトちゃんに期待されてる!!

これは絶対に応えてあげないとね。」

 

『負けられませんね、カータ。』

 

負けるも何も、行き着く先は違うでしょう。

なんて野暮なことは言わない。

即戦力を目指すのは私だって同じだ。

 

だからお互いが成功すれば

いつか私たちの道が交わる日も来るかもしれない。

 

「あーでも私がゲイトちゃんを触る時は、

強敵に負けて、復活する回がいいなー!」

 

「メアリ、流石にアニメの見過ぎだって…」

 

『全くです。

第一私とカータのコンビは無敵ですから、

多分負けません。ええ、多分。』

 

「ねぇ、ゲイトちゃんってホントにAI?」

 

もっとな友人の言葉に全力で同意する。

相棒と話していると偶に相手が電子機器であることを忘れる。

 

『失礼な、私はジョークも嗜める超高性能なのです。

メアリも将来は私の妹を作る勢いで、

是非参考にするといいでしょう。』

 

「新しく開発するなら、何かの同型機より

私のナンバリングが欲しいなぁ。開発者メアリ!憧れる〜!」

 

「メアリならいつか本当に出来ちゃいそうだね。」

 

任せてください!そんな風に腕まくりする彼女。

そんな様子に彼女の将来を幻視する。

近い将来、ホントに私の相棒のメンテナンスをお願いする

なんて関係になるかもしれない。

 

その前に私も私で目標を達成しないといけない。

メアリが一流になって、私が二流じゃあカッコがつかないもんね。

 

 

 

 

 

 




やったねカータちゃん!
将来有望なコネクションができたよ!!


第六話にして新キャラ
メアリ・スコット(十歳)
スコットさん家の一人娘、微かな魔法の才能と
溢れ出んばかりのエンジニアの才能。
実はいくつかコンテストで華を送られてる天才児。

ご両親ができた人間なので、前話の才能人くんみたいに
慢心もしないし周囲を見下したりもしない天使ちゃん。

多分はやてが六課に引き抜きします。

原作にそんな奴いない?
カータが居る時点でここは特殊時空です。
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