孤独な少女の望むモノ   作:g_c

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お待たせ致しました。

第八話でございます。
過去編は多分次くらいで終わりです。

ここまでヒロイン(♂)登場無しとかいう作品があるらしいですよ。

第三者視点で書いてみました。思ったより書きやすかったです。(なお執筆期間)






休日、その一幕

朝、時刻は地球で言うところの7時、暁色(ぎょうしょく)は徐々に青く変遷していく時間帯。普通の会社員ならば、そろそろ起きて身支度を整えて居る者もいるだろう。

 

そんな折、俗に言う繁華街と呼ばれる場所をカタリーナは歩く。夜にあった喧騒は鳴りを潜めてはいるものの、齢12歳の少女が歩くには余りに不釣り合いな場所であることに変わりはない。

 

迷いも無く繁華街を進んでいく。

 

時には朝方まで潰れた酔っ払いに絡まれ、夜のお仕事から帰宅するお姉さんに心配されたりしながら、彼女は迷いも無く目的地へと進んでいく。

 

「指名手配の魔導師さんが潜んでるのはここ?」

 

『はい、どうか油断なさらずに』

 

たどり着いた廃ビル。

元は何かの事務所として使われていたが、最後のテナントが撤退して久しく。メンテナンスもされていない取り壊しを待つだけの存在。

 

そこに凶悪犯罪者が潜んでいる。

そんな報告を受けて、()()()()()()()()()()()()()()

 

「ありがとう、気をつけるね。…行こうか、セットアップ。」

 

彼女の言葉に合わせて銀の魔力が全身を包む。

バリアジャケットを展開して、慎重に中へと進んでいく。

 

もう…自分の存在はバレているだろう。

相手の出方を伺う為に()()()()()()()()()()()()()()()()

 

敵の居場所は分かっている。彼女の探知魔法「ストリームエネミー」は敵が何処にいるかマップに正確に表示している。音も気配も消しているが、敵がゆっくりと階段を降りてくるのが彼女には丸分かりだった。

 

階段の踊り場から身を出した男…指名手配の男はポツリと呟いた。

 

「子供…?」

 

「おはようございます。とても良い朝ですね。」

 

「あ、ああ。おはよう…道に迷ったのかな?」

 

人形の様な愛らしい顔立ちが柔らかく笑顔で緩む。何の変哲もない挨拶に男は毒気を抜かれてしまったのか、なんとも間抜けな返事が返ってくる。

 

「通りすがりの魔導師です。悪いヒトが隠れてると聞いたので、やっつけに来ました。」

 

ぺこり、そんな音が似合うような丁寧なお辞儀。通りすがりと呼ぶには、余りに強大な魔力、そして佇まい、男にとって強敵であるのは間違いない。

 

「……一人で来るとは大した度胸のお嬢さんだ。」

 

「貴方こそ悠長ですね。私なら奇襲で出鼻を挫いてそのまま殺します。格上相手に真正面から挑むなんて、それこそ()()()()()()()()。」

 

冷ややかな、と言うには余りにも冷たい声音。目の前の少女は本当に自分が見た通りの年齢なのか?そんな恐怖すら男に感じさせる。

 

実際、男の魔導師ランクはA、一般的に見ればそんな存在は一般人からすれば脅威ではあるのだが。カタリーナはAAAに近いとすらされるAA魔導師。

 

彼女に対して「大した度胸」と称する時点で彼は自分の立場を理解していないのだ。彼女の冷ややかな態度も生意気な小娘程度という認識でしかない。

 

「さて君には悪いが死んでもらおう。もう少し隠れ住む必要があってね。こんなつまらない事で、捕まるわけにはいかない。」

 

男にとっての最後通告。自分の前に現れた蛮勇に対してせめてもの礼儀のつもりか、言わずとも良い情報をペラペラと並べる。

 

「金銭欲しさに、人を殺しおいて()()()()()()か。

同情の余地無し、だね。」

 

その軽口が、良くなかった。

カタリーナの顔から感情が失せる。

 

整った顔立ちが能面のような無表情、美しさは時に恐怖を煽る。不味い、そんな感情を抱いた男はほとんど反射的に、ストレージデバイスから魔力弾丸を射出する。そんな不意打ちにもならない攻撃はカタリーナに通用するはずもない。しっかり弾丸を目視、姿勢を変えぬままラウンドシールドを展開。男の攻撃はあっさり霧散する。

 

「ッ……。」

 

それでも男にとってはそれなりに自信のある攻撃だったのか、消えゆく銀のシールドに奥歯を噛む。再び杖の先を少女に向けるが、余りにその判断は遅かった。放たれた二の矢は彼女を貫く事はなく、かと言ってシールドに防がれるでもない。

 

「ど、どこだ……!?」

 

文字通り唐突に視界から消滅した少女を必死に探す。後ろ、段上、そして真上…その瞬間に逆さ吊りに見開かれた、二つの青い瞳が男を捉える。

 

「はァッ!」

 

「へぶ……!?」

 

間髪なく、全体重の乗った拳が男の鼻ッ面を容赦なく打ち貫く。細い手足ながら魔力でブーストされた一撃は、一般男性の腕力をはるかに凌駕する。小さな断末魔をあげながら雛壇上に仰向けに倒れる。しかしその瞳には未だ意識が戦意が残っている。

 

「しッ…!」

 

ヒラリと、男なら上に着地した少女はマウントポジションのまま一切の躊躇なくその頬骨目掛けて拳を打ち込む。今度は声も出せぬ、口から溢れる赤い体液、口の中を切ったか、或いは鼻血が逆流でもしたか。とにかく男は今度こそ意識を手放した。封印バインドを男の胴、両手、両脚に念入りに施す。

 

「他人の家族を奪っておいて()()()()()()()()()()()()()()()。」

 

感情の乗らない声が静かに響き、45秒程度の戦闘行為は幕を閉じる。倒れ伏した男を見下ろす青い双眸は強烈な怒りの炎に燃えていた。

 

男は…強盗殺人の指名手配犯であった、彼の中でたいそうな目的はあったのだろうが、余人には理解できぬ内容だろう。あろうことか、家族を喪う事に極大の恐怖を感じているカタリーナの前で、その事実をつまらないと切り捨てた。…虎の尾を踏んだとはこのことである。

 

『カータ。』

 

「……わかってる。……グレアムです。犯人を確保しました。」

 

愛機から響く静止の言葉、カタリーナは沸騰した脳味噌を落ち着かせるべく深呼吸を一つすると、カタリーナは無線機を構えて近くに待機する局員に連絡を取った。

程なくして応援本隊が駆けつけ、厳重に封印バインドで拘束され気絶した男を引き渡す。

 

「お疲れ様です、グレアム執務官。いつも…ご協力感謝します。」

 

「役に立ててよかったです。それと…今日の私は普通の女の子なので、敬語も不要です。」

 

先の憤怒の色はどこへやら、人好きする愛らしい微笑みを口元に浮かべて一回りも年上の局員に対して冗談めかして笑う。彼もその意図を汲んだの家族、表情と態度を崩した。

 

「……そうだったね。改めてありがとう、カタリーナちゃん。本当に助かったよ。後は私たちに任せて帰りなさい。気をつけるんだ」

 

局員はそのまま気絶した魔導師を護送車に詰め込むと、不要であろうが注意を一言告げる。

 

「はい、局員さんもお仕事頑張ってください。」

 

お行儀良く、お辞儀をするカタリーナに局員は手慣れた敬礼を返すと、護送車に乗り込んで撤収していった。

 

仕事終えた微かな緊張を、ため息一つで緩める。

 

「…はぁ、帰ろっか。」

 

『朝食には間に合いませんね。…そろそろバレるのでは?』

 

「もうバレてると思うけどね。」

 

既に2時間と少しが経過している。自宅では早朝に自主練に出かけたまま、まだ帰って来ない…そういう体となっている。

いつもこの後は上の姉に叱られるのだ。ちゃんと連絡をする様に、と。

 

「またお姉様に叱られちゃう。」

 

『………。』

 

あの日…カタリーナが父と姉の話を盗み聞いてしまった日から、およそ二年の月日が流れていた。士官学校を卒業し、1年間ほどギル・グレアムのもとで執務官の基礎教育を受けた後に、次元航行隊のある部隊の副長で指揮を学ぶ傍ら、こうして折を見て地上本部の厄介ごとに首を突っ込んでいる。

 

父親に迷惑をかけないため、そのつもりで彼女はあくまで秘密裏に動いている…つもりだ。(局員が彼女を送り届けない理由も、ここにある。)彼女の実績はもう何件にも及ぶも、彼女は称賛の言葉を受けて居ない。だから、自分の隠密は上手くいっている…そう思っている。だが実際は父親が裏で密かに動き、情報操作をしている為、完全匿名で終わっている事を彼女は知らない。

 

良くも悪くも…カタリーナは12歳の女の子なのだ。

 

 

 

ここで、ミッドチルダの情勢に軽く触れておこう。

 

 

 

 

本来、ミッドチルダの治安維持は地上本部の仕事であり、

管理局本局勤めの執務官には無縁の仕事である。

(ミッドチルダの存亡が掛かるほどの大事件なら別だが…)

 

管理局はお膝元の治安維持にそれほど精力的ではない。どちらかと言うと、次元世界全体の安定を目指しており優秀な魔導師の殆どは次元世界の哨戒に当てられてしまい、地上本部に対しては殆どリソースが裂かれない。

 

そのため、地上本部は人手も資金も不足しており、ミッドチルダ首都『クラナガン』でさえ、荒廃したスラム街が年々拡大し、その整備もままならない状態である。

 

これを…カタリーナはヨシとしなかった。

 

理由は単純、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。この一心である。

 

しかし執務官という役職に、本局が期待した役割は次元世界の安定を維持することばかり。

おまけに地上本部の任務は脚光を浴びにくく、ギル・グレアム《お父様》に輝かしい栄光を捧げるのには不十分だった。

 

だから、少しでも彼らの負担が減るのであれば…そんな思いで彼女は休日の早朝から地上本部のお手伝い(トレーニング)をしている。

 

今日は、少し相手が迂闊過ぎたのもあって、大した訓練にはならなかったが、無血で終わった(犯人は全治数ヶ月であるが)のは良い事であると無理矢理カタリーナは納得した。

 

『カータ、今、何処に居るの?』

 

『ひッ…?、お、お姉様…?』

 

帰路に着く中、リーゼアリアから思念通話が入った。普段は帰宅してからお説教のため、完全に油断してた彼女は思念であるにもかかわらず、素っ頓狂な悲鳴が上がる。

 

稀代の天才魔導師も怖ーい長女の前ではただの末っ子なのである。

 

『繁華街です、姉上殿、()()()()()()()()()()()()()()遠出をさせてしまいました。』

 

『……!、子供が一人で行くところじゃありません、何かあったらどうするの…!直ぐに帰ってきなさい。それと…お父様が貴女にお話があります。帰って来たらお父様の部屋まで行きなさい。』

 

『ごめんなさい…、すぐに戻ります。』

 

思念通話が途絶えたところで、彼女の相棒がどこか得意げに点滅した。

 

『貸しひとつ、ですね。』

 

「そうだね、今からでもメアリに分解メンテナンスでもしてもらう?」

 

『マスターのお役に立てて大変光栄でございます。』

 

「よろしい。」

 

そんなじゃれあいの帰り道。主人の冗談とも本気とも取れる発言に珍しく立方体から発する音声は震えて居る様だった。

なお、決してメアリの腕を疑っているのではなく、新たに知識を詰め込みまくった、好奇心超旺盛な子供(メアリ)に実験台を与えられたらどうなるか?その結果は推してしるべし、なのである。

 

 






カータ「メアリ、教材が欲しくない?」
メアリ (ガタッ)
ゲイト『ヒェツ』



マッド扱いされてますが、魔改造する前に必ず同意を取りにきます。
彼女は良識あるマッドエンジニアなので。
ドリルとか付けたがりますが、良識あるマッドエンジニアなので。
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