孤独な少女の望むモノ   作:g_c

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あけましておめでとうございます。今年もカタリーナをよろしくお願いします。

気が向いた時に書いてたらこんなに時間かかっちゃったw

色々とチャレンジを踏まえた一話でございます。



普通の女の子

 

 

カタリーナは、迅速に思念通話の発信地点にたどり着いた。

時間にしておよそ2分と少し。

雑木林の中を探しても…声の主と思しき人影は見つからない。

 

『聞こえる?到着したんだけど。どこにいるの?』

 

『えっと…ですね。今、女の子に保護されています。』

 

『は?どう言う事…?』

 

『マスター、4時の方角です。…アレはハヤテのご学友では?』

 

相棒の言う方向には、先程図書室で紹介された二人のお嬢様の後ろ姿と、高町なのは。スズカの腕の中には傷だらけのフェレットが抱かれている。

 

『まさか、アレじゃないよね?』

 

『…正解です。』

 

立ちくらみが起きそうな程うんざりする。何という不幸。

 

『動くなって言ったよね。ちゃんと隠れててよ。』

 

『すみません、なんせ、もう動けなかった物で……』

 

幸い、3人はこちらに気づいた様子はない。彼?も無力なフェレットを演じている。…事実無力なフェレットか。

 

『呆れた。野良犬にでもやられたの?一先ず、その子たちに病院に連れてってもらって、私は帰る。』

 

バリアジャケットを解除しながら帰路を辿る、一方的に通信を切ろうとしたその時だった。

 

『待ってください、僕はユーノ・スクライア、一緒にジュエルシードを回収してくれませんか?』

 

『どう言う事?』

 

『実は……』

 

彼はこれまでの経緯を説明し始めた。

遺跡の発掘で掘り出されたロストロギア(ジュエルシード)を運搬中に事故でとある世界にばら撒いてしまったこと。

何とか回収を試みたが、力及ばずジュエルシードをたった一つ封印して満身創痍となってしまったこと。

このまま放置すれば、散らばったジュエルシードが暴走して大変なことになるとも。

 

『だから、お願いです、僕と一緒に回収してくれませんか?』

 

『管理局に通報してあげる。後は自力ではどうにかして。』

 

『ま、待ってください!それを待ってる間に絶対に被害が出ます!』

 

『………。』

 

それは困る。自分の仕事は八神はやてに穏やかな日常を与える事だ。

だが、積極的に厄介ごとに首を突っ込むことはない。

自分の代わりに、街を守る正義の味方を立てる必要がある。

 

いるじゃないか、1人。

 

絶好の傀儡が。

 

『あ、あの…!』

 

『分かった。とにかく後で連絡するから、勝手な事をしないでね。』

 

通信を一方的に遮断する。

あのフェレットは使命感の塊だ、言っても聞かない。

なら…あの才能人を利用させてもらう。

 

彼女がこの街を救うヒーローになればいい。

 

『高町なのはにやらせるおつもりですか?』

 

『何か文句ある?』

 

『危険過ぎます。』

 

また始まった。

 

お父様は言った、多少の犠牲を払っても問題はない。

少女1人の身の安全くらいは、許容されるはずだ。

 

『多少の助言はするよ?』

 

『そうではありません。』

 

『うるさいなぁ、じゃあなに?』

 

『お父上は、そんなことは望みません。』

 

『ゲイト』

 

腹の底が煮え繰り返る。

彼女は大事な大事な相棒だ。

滅多な事はしてはいけない。

 

努めて冷静に、一言だけ、牽制してあげることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だまりなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

理性を総動員した、一言。

 

『失礼しました。では、お父上にはそのように伝えます。』

 

『そう、ありがとう。』

 

スマホを出して、アプリを叩く。

今頃待ちぼうけを食らってるであろう家主にメッセージを一つ。

 

少年が、近くの公園の林で怪我をしていた。既に救急車で運ばれたらしい

 

そんな当たり障りの無い事を送信しておいた。

イシダ先生経由でバレそうな嘘だが、その時は、その時だ。

 

その後、街灯下で待つハヤテと合流し、カタリーナは共に帰路に着いた。

 

「カータ、大丈夫?顔がすっごく疲れてるけど。」

 

後ろで車椅子を押されるハヤテが振り向いた。

相変わらず感の鋭い子と感心半分、鬱屈半分。

こういう時、どう返すべきかはメアリに教わった。

 

「誰かさんが速報をお求めかと思いまして、少し、ほんのすこぉし…急がせていただきましたので。」

 

煙に巻きたいのなら、冗談めかしていうとヨシ。

 

「私急げなんていうてへんよ?困ってるなら早く駆けつけな!とは思ったけど。カータには強制してへんし!」

 

「わぁ、嫌だなぁ、こんな8歳児…。」

 

この年で詭弁を使いこなす異様な精神の成熟ぶりに心の底からため息が出る。苦労は人を成長させるとはいうが、彼女はその典型例かもしれない。

 

「で、ほんまに何もなかったん?」

 

「………。」

 

告白するならば…私は八神はやてのことは苦手である。

他者の為であるのなら、彼女は嫌われるのを厭わない。

故に、踏み込むべきでない領域に言葉を差し込む。

彼女のそういう所が、私は大嫌いだ。

 

「編入初日だから、かな?私にもわかんないや。」

 

「それならええけど…。」

 

致命的で無いのは、ハヤテはこちらに″機会″を与えるだけで踏みとどまる。

故に、カタリーナは、彼女のことが″苦手″であるが、″嫌い″ではない。

 

「それより、今日の晩御飯はなにを作ろうか。」

 

「そやねえ、お隣さんからお野菜頂いたし、天ぷらにでもしよか?」

 

「春のサンサイって言ってたね、楽しみ〜。」

 

夕闇の迫る中、二人で帰路を辿る。そんな中私が頭に描くのは

如何にして高町なのはを魔導師に仕立てあげるか?という議題で持ちきりだった。

 

 

 


 

【現地の子どもを、か。気は進まないが、確かにお前が目立つのは良くない。そのユーノ・スクライアという子には協力してあげなさい。くれぐれも、目立たぬように。】

 

夕食の後、ユーノに対する私の意見を具申した。

私の考えは概ね、ご意向に沿った、というところか。

湧き上がる安堵のため息をなんとか飲み込む。

 

【では、ユーノ・スクライアを高町なのはに誘導して見せます。お父様からは他になにか?】

 

【そうだな、…カータ。学校は楽しかったかい?】

 

予想外の質問。でも返す言葉は決まっている。

 

【チキュウの学校はとても新鮮で、楽しいです。明日が来るのが今から待ち遠しいくらいです。】

 

こうして答えて居れば、余計な心労をかけない。

実際、特に悩みなどないし、クラスメートは私を歓迎してくれている。…ように感じているから、概ね事実だ。

 

【そうか、ロッテとアリアも心配していたよ。なにせ…カータは人付き合いが、得意な方ではないからね。】

 

【そ、その件は…お騒がせ、しました…。】

 

お父様は時々、あの件を引っ張り出してくる。

例の彼にしっぺ返しをしてやった直後、私の悪名は瞬く間に広がった。

加えて、お姉様二人にこっぴどく…特にアリアお姉様には大変なお叱りを受けた。

 

あの時は、本当に路頭に迷う事を覚悟したのだけど

今では良い教訓だ。

キレた勢いの行動で良い事など一つもない。*1

 

【あんまり言うとアリアに叱られてしまうから、この辺にしておこう。必要とあらば、クロノに連絡を取る事を許可する。】

 

一瞬、理解が追いつかなかった。つまり『お前は手出し無用』そう言われたのか?不味い。

それは、すごく、まずい。まずいまずいまずい。

 

【お父様、必要であれば、私が…!】

 

クロノは私と一つしか違わない。

これは言外に『クロノと違って使えない奴』と叱責されているのだ。

 

なんだ?何を間違った?

ハヤテを一人置いてユーノ・スクライア追いかけたから?

そもそも、彼に正体を明かしたから?

不用意に言語翻訳の魔法を使ったから?

現地に不要な友人関係を作ったから?

 

それとも、これまでの全て?だから私は管理外世界(ココ)に隔離された…?

 

考えろ…!

カタリーナ・ウィリアムス。

捨てられるわけには…行かない…!

 

【カータ、お前はまだ13歳、そして今は執務官でもない。お前が危険を背負う必要はない。普通の女学生として、穏やかに暮らして欲しい。】

 

言葉の意味を考えろ。

お父様はこうおっしゃっている。

 

《八神はやての身を守るのが、お前の使命である。》

 

……納得できた、そういうことなら…私に与えられた役割は変わらない。私は未だ…グレアムにとって利用価値があると言える。

 

【お気遣い、痛み入ります。カタリーナは、大丈夫です。】

 

【近いうちに帰ってきなさい。アリアが寂しがっているからね。】

 

【はい、わかりました、では…失礼します。】

 

思念通話を切ったと同時に、肺に溜まった空気が一気に噴き出す。

気をつけないと…私の言葉一つで…いつでも捨てられる。

私はグレアムにとって()()()()なのだから。

 

…分からない、アリアお姉様が、私になんの用事があるのだろうか…?

お父様が、意味のない事を言い残すとは思えないし。

 

『カータ、着信が来ているようです。』

 

『ん…?誰だろう。メアリ …からは届かないんだっけ。』

 

『はい、残念ながら。』

 

考え事を後にし、スマホの画面を開くと着信は随分前。

そういえば、夕食の支度から随分放置してた気がする。

画面の通知には『一生のお願いですので』なんて枕詞が映っている。

気づいてしまったのなら、見てあげねばなるまいそんな気持ちも

 

『一生のお願いですので、部屋着姿を見せてください。』

 

虚数空間に消え去るほどにはくだらない内容だった。

送り主は言うまでもない、リエだ。

何度読み直しても、その言葉の裏が読み取れない。

あるいは、何も考えて無いのかもしれないけど…。

 

ふと、部屋に置いた姿見に視線を送る。

パーカーにショートパンツ姿の自分と目が合った。

色気のカケラも無いのだけど…減る物でも無い。

 

こんなので距離が詰められるのなら安い物だ。

 

送信ボタンに触れる直前、メッセージが投稿され、瞬く間にチャット欄は戦場に変わった。

 

『同性でもセクハラは成立するんだけど、何か弁明はあるかな?(^^)』

 

『パツギンチャンネーパイオツカイデーなレディの部屋着に興味がないのか!?貴様それでも男か!?』

 

『どこで覚えたのさその可笑しな呪文!?リエこそついに見境無いケダモノになったね!?』

 

『ナンテコッタ!草食系男子とは思っていたがよもやそこまで堕ちたか!見損なったぜ兄弟!』

 

これが噂に聞くチワゲンカって奴…?

とにかく私が槍玉に上げられてるのに黙ってる訳にはいかない。

 

『そうだ!見損なったぞ兄弟!( ͡° ͜ʖ ͡°)』

 

『あれ?もしかして僕が悪者?』

 

『アタシも予想外の援護射撃に驚いてるぜ兄弟。じゃあ、イカした一枚を頼むぜ!カータ!』

 

『画像を送信しました』

【挿絵表示】

 

 

『ありがとうございます。家宝にいたします。』

 

『カタリーナ、なんか手慣れてない?』

 

『上手く撮れてるってこと?ありがとうガイキ。じゃあリエ【一生のお願い】の報酬の件です。( ͡° ͜ʖ ͡°)』

 

『HAHAHA、ちょっと何言ってるのかわからない。』

 

『画像を送信しました』

【挿絵表示】

 

『言い逃れできませんね。』

 

『これは罠だ!陰謀だ!不当な請求である!』

 

『認めません、有罪です。ではカタリーナ、ご要望をどうぞ。』

 

『と゛お゛し゛て゛た゛よ゛お゛お゛お゛!!』

 

チャット上ではリエが騒がしく何かを延々と打ち込んで発狂している。

さて、勢いで言ってみたは良いけど、特にしてほしい事は……あった。

 

『高町なのはの事について、もうちょっと知りたいかな。』

 

その一文で。リエの発狂はピタリと泊まった。情緒どうなってんの?

 

『…お目が高いね、カータ。』

 

『どう言う事?』

 

『ケーキ屋さんの末っ子がなーんでこの学園切ってお嬢様ズと懇意なのか、そこが気になるんでしょ。』

 

『まあね。』

 

『あの子を一言で表すなら…【脳筋】だね。』

 

…ちょっと何言ってるのかわからない。スマホの表示に首を傾げて居ると、ガイキが補足を入れてくれた。

 

『口より先に手が出るタイプって事だよ。』

 

『なかなかヴァイオレンスな子だね。』

 

『いやいや、そう簡単に拳をブンブン振り回す子じゃあないさ。相手の首根っこを引っ掴んでお説教する。そう言う子。』

 

成る程、なんとなく繋がった。アリサとナノハが一緒に居る訳。

 

『アリサと取っ組み合いの喧嘩でもしたんだ?』

 

『うちの学園じゃまあまあ有名だよ、なんせ大企業のご息女様に一発平手打ち!若さって怖いねぇ〜アタシなら見て見ぬ振りだよ。』

 

『リエなら、別の手段で解決しそうだけどね。』

 

『はぁいガイキン、お口チャックね〜。』

 

油断するとこの二人はすぐ惚気出す。グループチャットでしないで頂きたい。

 

『見て見ぬ振りって?』

 

『その時ね、アリサはすずかを虐めて揶揄ってたんだよ。それに対して鉄拳制裁のなのはさん。アタシにはできないねぇ〜』

 

然るべき相手には武力で黙らせる、か。

その考えは、少しだけ理解出来るかもしれない。

私にも、身に覚えがない訳ではないし。

 

『アタシが知ってるのはこのくらいかなぁ。』

 

『うん。ありがとう、参考になった。』

 

『良いってことよ、報酬はスイス銀行に頼むぜ。』

 

『リエが報酬払う側なんですけどね。』

 

『ガイキン、しゃらっぷ!』

 

『いちゃつくならここじゃなくて別でお願いね?』

 

アプリを閉じてベットに放り投げる。気付けば時計は21時を回ろうとしていた。

 

『操り人形にするには、骨が折れそうですね。貴方の一番苦手なタイプです。』

 

『なんとかする。それと、最後の一言は余計。』

 

『失礼しました。それで、どうされますか?』

 

『先ずは明日、ユーノと合流する。それとなくなのはの事を話す。』

 

『成功率の見込みはございますか?』

 

『100だよ。失敗したら、私は終わりなんだから。』

 

『失礼しましたマスター。』

 

何か言いたげなのが気になるけど、どうせお小言が飛んでくるだけか。

ゲイトの明滅が終わった頃、ノックの音が響く。

この時間はいつも二人で本を読む時間、彼女は律儀に今日はどっちの部屋で読むかを聞いてくる。煩わしくないといえば嘘になるけど、こう言うのも悪くないと感じる自分がいる。

 

「カータ、今日はそっちで読んでもええ?」

 

「うん、いいよ。」

 

ハヤテの身体を私のベッドに移動させる。

初めは迂闊に彼女を持ち上げられて驚かれたのを思い出す。

どうも彼女は、私を深窓の令嬢か何かだとでも思ってたらしい。

これでも一応、こっちでいうところの元軍人なのだけど。

 

こうして、片方の部屋に集まって、寝るまで一緒に本を読むのがいつのまにか習慣となった。

 

「なぁ、カータ?」

 

「…わかってる。狭いって文句言わないでよ?」

 

「うん、ありがとう。」

 

そしてハヤテが私の部屋に来る時は、決まって私と一緒のベッドで寝ている。でも、気持ちは少しわかる。私だって眠れない夜は何度かお姉様たちを頼った。しっかりしていても、ハヤテは未だ8歳。ヘルパーさんを住み込みで雇っても良いくらいだと思ってる。…なんでそうしないのかは、聞かないけど。

 

「ありがとうな?」

 

「いつものことでしょ?気にしないで。」

 

「そうじゃない。学校のこと。」

 

「私は何もしてないよ。全部、お父様のおかげ。」

 

「でもカータがおらんかったら石田先生は許してくれなかったで?」

 

「それは…そうだけど。」

 

ハヤテは時々、こう言う善意をど直球にぶつけてくる。

それが、私にはむず痒くて…苦しい。

 

「だから、ありがとう。お陰でやっと、普通の女の子になれた。」

 

「そっか。なら、良かった。…明日も朝早いから、お休み。」

 

ハヤテの頭を優しく撫でる。見よう見真似、お姉様がいつかしてくれた時みたいに。

 

「うん、おやすみ。」

 

友人が瞼を落とすのを確認して顔を天井に向ける。

 

普通の女の子

 

今日の報告で、お父様はそうであれと仰った。

あの言葉の意味は…なんだろう。

 

わからない。あの時、お父様が実の親みたいに感じた。

 

わからない。私は、赤の他人のはずだ。

 

わからない。

 

 

私には、お父様の心が、わからない。

 

 

そんな益体のない妄言をぐるぐると回してる間に、私はゆっくり眠りに落ちた。

 

*1
その割に未だ沸点は低い





※カタリーナの髪の長さを旧作と間違えて作る阿呆、修正しました…


こんだけ時間かかって本編一話のBパートにすら辿り着いてないってマジ?
なのはの変身シーンまで書こうと思ってたのに気づいたら閑話みたいになってしまった。

カータと理恵はnovel AIで生成しました。
貨幣価値に換算しておよそ480円そこそこ掛かっておりますw
もう二度とLINEのスクショ画像なんてつくらねぇ!
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